出版社 : サンリオ
1830年、「川の魔女号」はミシシッピ川をナチェズに向かって処女航海をしていた。船主アシュトンと結婚したばかりのリアリンは、深いエメラルド・グリーンの瞳に溢れるばかりの幸福感をたたえ、夫を見つめるのだった。これから二人は、リアリンの父と姉に結婚の報告に行くところだった。そんな静寂をうち破るように船首が騒がしくなった。海賊の急襲だ。激しい応酬のなか、アシュトンはライフルで撃たれてくず折れ、リアリンも船べりに追いつめられ川に転落していく。水面に浮かび、意識が遠のくなか、リアリンは夫の死を覚悟するのだった。
「すごいわ…」アスレチックジムの受付で、パットはとまどっていた。豪華な設備…。ふだんのつつましやかな生活が嘘のようである。オロオロしているパットに、ステキな男性が近づいた。彼の名は、マイク・テイラー。その彼が実は、このジムのオーナーで、有名なオリンピックの選手だったとは…。パットの中で、ときめきの胸さわぎがはじまった。
18世紀、霧のロンドン。最高の贅沢を身につけた誇り高いレディ、シャナは、今、窮地に陥っていた。21歳の誕生日までに結婚相手を見つけなければ、父にどんな男を押しつけられるかわからない。一代で豪商に成り上がり、今やカリブ海のロス・カメロス島の領主となった父の野望は、シャナを名門に嫁がせ、由緒ある名前を手にすることだった。約束の日は迫る。あせったシャナは、ある日、死刑囚との偽りの結婚で父を欺くことを思いついた。「あとは、悲しみにくれる未亡人のふりをすればいいわ」選んだ男はルアーク。彼は、傲慢にも一夜を共にすることを条件に、シャナのプロポーズを受け入れた。
死んだはずのルアークが生きていた!父を欺くため、偽りの結婚を遂げたシャナの夫。死刑囚だった彼は今、奴隷としてロス・カメロス島に送りこまれてきたのだ。不安にかられるシャナ。が、心は次第に彼に魅せられていく。あげくのはて、ルアークに言い寄るミリーへの嫉妬から、シャナは彼を島から追放してしまった。その騒ぎの中、シャナは海賊の島、メアズヘッドに掠奪される。「逃げ出さなくては…」海賊たちの目は欲望にぎらついている。穴の底に落とされ、弄ばれ、もうこれまでという時、目の前に差し出された男の手は、あろうことかルアーク、その人だった。
時は、1066年。イギリスは今まさに、ノルマン軍の手中に落ちようとしていた。ダーケンウォルドの領主の一人娘、エイスリンもまた、血なまぐさい戦乱に巻きこまれた。父や部下たちは目前で惨殺され、自分は母と共に奴隷という屈辱の身の上である。傷ついた心のエイスリンは、はげしい憎しみと愛の中に身を投じていくのだった。
エイスリンは、いつしかウルフガーに魅かれていった。父の領土を略奪した狼の騎士、自分を奴隷としてひざまずかせる男なのに、ふたりの魂は、複雑にからみあい、運命の糸をおりあげていく。はげしい生きざまを闘わせる騎士たち、愛にゆれる美しい女たち-壮大なヒストリカル・ロマンスが今、再び!!
なんて図々しい男かしら?バーで食前の1杯を楽しもうとしていたアルシーはさっきからうるさくモーションをかけてくる男を断固拒否しようと顔をあげた。この、どこかなじみのあるグレイの目は-?ティージ・アンダースン!6年前の日々がたちまちよみがえる。あれは、ガンで夫を亡くす前のこと。やりての実業家としてアルシーの仕事の能力を磨き、そして結婚していることを知りながらアルシーの情熱に火をつけようとした危険な男。アルシーは不思議な興奮をおぼえた…。
極秘任務でロシアに潜入したと思われる外交官の父はもう2か月も消息不明。第六感で父の危険を察知したヴィダは、偽のパスポートでロシア人になりすますと、父の救出にむかった。途中、てがかりを得るために謎の人物ともくされるイワン大公の居城に立ち寄った。ハンサムで若々しく気品に満ちた大公の姿にヴィダの胸はときめくが、かれが敵か味方かはっきりとした決め手はない。その夜、ヴィダはロシアの謀報員と思われる男が大公の部屋に入っていくのを目にする…。
「スラヴォニア国王と結婚せよ」女王陛下の命令はあまりにも突然に、ジオーナの将来を決定するものだった。会ったこともない、しかも52歳の相手との政略結婚!猶予はたったの3週間だけだったが、見知らぬ国へ、何も知らないまま嫁ぐことは、ジオーナの自尊心が許さなかった。そこで、スラヴォニア語の勉強を始めるのだが、大使をはじめ、周囲はあまりいい顔をしない。一体、スラヴォニアで何が待っているのか?ジオーナの好奇心は募っていく。やがて、イギリスを旅立ったジオーナはスラヴォニア国内で反乱が起きていることを知る。先頭に立っているのは、前国王の息子で、“見えないひと”と呼ばれている男だった。