出版社 : サンリオ
父を亡くして憔悴しきっていたアンセラは、亡き父の友人フェリックス医師の勧めにしたがって南フランスへ向かった。ロシアの貴族フェオドローワ・セボロフスキー妃が、話相手になる看護婦を求めているという。だが、到着する早々驚くことばかり-。アンセラは散歩の途中で、社交界に渦巻く、唾棄すべき陰謀を耳にしてしまったのだ。その夜、モンテカルロのカジノを訪れたことから、アンセラはその渦の潮流に呑み込まれていく。
継父が無理強いする結婚話から逃げるため、リーラは伯母を頼って海を越え、オランダに渡った。ところが、愛する伯母には会えたものの伯母は手術しなければ余命いくばくもない体のうえ、手術には莫大な費用が必要だった。そんな折、リーラの絵の才能に目をつけた画商が金になるという話を持ち込んできた。有名画家の絵を模写し、本物と称してとあるイギリス侯爵に渡せばいい、というのだが…。
海難事故で両親を失い、叔父の暴力に怯える毎日を送っていたシタ。インドへの船上、とうとう死を決意したシタは深夜の甲板に立った。そんな彼女の前に現れたひとりの男。ターバンを巻きインド人を装ったその男と話すうち、シタは次第に生きる望みを取り戻していく。
すべてを失い、失意の中で亡くなったロックボーン卿。残されたマリスタら三姉妹は、一家を追いつめたスタンブルック伯爵を憎みながら暮らしていた。そこへ伯爵から膨大な家賃の督促状が届く。途方に暮れたマリスタたちは、屈辱に耐え、かつての自分たちの城に、伯爵を訪ねることを決意する。
旅の途中、盗賊の襲撃に遭いイングランドへ帰るすべを失ったアテーリア。とりあえず身を寄せた教会で、アテーリアはある伯爵夫人に出会った。夫人は旅費はだすから、娘をヨークシャーにいる父親のもとへ送り届けてほしいという。願ってもない話に、アテーリアはさっそく少女と旅立つが…。
彼らがみつめている、奇怪な人物。それは、まだほんの10歳くらいにしか見えない、小さな少年だった。背もたれのない丸椅子にちょこんと座り、両手でひざをかかえている。少年はひどくやせこけ、顔から飛び出さんばかりの大きな目が、長い前髪の下で、異様な輝きを放っていた。なにかの昆虫みたいだ-と鳥子は思った。学園ドラマ風の冒頭から一気に谷山浩子の「迷宮」に突入する書下し長篇ファンタジー。
フランスに滞在中のイギリス人を拘禁せよ-。戦争が再開されると、ナポレオンは命令を下した。ちょうどパリを訪れていたヴェルニータと両親は帰国もかなわず、官憲の目を逃れて隠れるほかなかった。しかも、父が急病で亡くなってからは、お針子をして得たわずかな収入で、やっと暮らす毎日。このままでは飢え死にしてしまう…。意を決したヴェルニータは、つくった服を高く買ってもらおうと注文主であるナポレオンの妹ポーリーンのもとに出向く。そこで彼女は、ひとりのエレガントな紳士に出会った…。