出版社 : サンリオ
「あなたはダニューヴ川から生まれた空の妖精にちがいない…」。その言葉が、心を躍らせるハンガリーの旅の始まりだった。社交界デビューを控えた18歳のアリサは、父のバクリントン伯爵から、貴族の娘は結婚相手を愛情では選べないと言われ、ショックを受けて衝動的に家を抜け出したのだ。旅先で初めて出会ったハンガリーの男性の面影はアリサの心に深く刻みつけられた。
1863年、南北戦争のさなかのアメリカ。南部の由緒正しき家に生まれたアライナは、17歳にしてこの世の地獄をすべて見尽くしたかのようだった。戦禍で両親と兄を亡くしたばかりか、スパイの烙印を押され、北軍に猛獣狩りさながらに追われる身となってしまったのだ。彼女は愛する故郷バトン・ルージュに別れを告げ、少年の姿に身を変えて伯父の住むニューオーリンズへと向かう-。さらに苛酷な試練が待っているとも知らずに。港に着いたとたん新たな苦境に陥ったアライナを浮浪少年と信じて救ったのは、憎むべきヤンキーの大尉コール・ラティマーだった…。南北戦争を背景に、喜び、悲しみ、そして愛を壮大に描く、ウッディウィスの大河長編。
アライナの従姉ロバータの術中に陥り、ロバータを妻にしたコールだったが、そんな結婚生活が幸せであろうはずはなかった。一方、アライナは、娼婦のふりをしてコールと愛し合ってしまったという、あまりにも重い秘密を独り胸に抱きながら、自分が本当は女性であるということさえ告げられずにいた。ある夜、舞踏会に出かけたロバータの部屋を片付けていたアライナは、たくさんの豪華なドレスを前にして、思わず“少年アル”でいることを忘れてしまう。そこへ突然、コールが帰ってきた。透げ場もなく、ついに正体を見破られてしまった彼女は、行く当てもなくクレイグヒュー家を飛び出す…。
時は1812年。ナポレオン軍の侵攻迫るモスクワを離れ、ペテルブルグの知り合いの家に身を寄せていたゾイアは、イギリスからきたウェルミンスター公爵に出会った。ゾイアの弾くピアノの音に、公爵は深く感動し、ふたりはたがいに強くひかれあうのだが、突然ゾイアはモスクワへ送りかえされてしまう。あとを追いかけ、モスクワへ向かった公爵は、途中で重傷を負い、くしくもゾイアの家に運びこまれた。
あるときはかたむいた遊園地、あるときは7,900年後の海辺、またあるときは空っぽの水族館。電報を巡って、会えないあなたとわたしがくり広げる、谷山ファンタジーのメリー・ゴーラウンド。
18世紀、霧のロンドン。最高の贅沢を身につけた誇り高いレディ.シャナは、今、窮地に陥っていた。21歳の誕生日までに結婚相手を見つけなければ、父にどんな男を押しつけられるかわからない。一代で豪商に成り上がり、今やカリブ海に浮かぶロス・カメロス島の領主となった父の野望は、シャナを名門に嫁がせ、由緒ある家柄を手に入れることだった。約束の日を目前に、追いつめられたシャナは、死刑囚との偽りの結婚で父を欺くことを思いつく。「あとは悲しみにくれる未亡人のふりをすればいいわ」。選ばれた男はルアーク。彼は、傲慢にも一夜を共にすることを条件に、シャナのプロポーズを受け入れた。
ルアークが生きていた。父を欺くため、死刑囚との偽りの結婚を遂げたシャナだったが、死んだはずの“夫”ルアークが奴隷としてロス・カメロス島に送り込まれてきたのだ。彼女は不安に捕らわれながらも、次第に彼に魅せられていく。しかしシャナは、ルアークへ言い寄るミリーへの嫉妬から、心とは裏腹に彼を島から追放してしまう。そんな騒ぎの中、海賊の島メアズヘッドに捕らえられたシャナ。欲望にぎらつく海賊たちの目、目、目…。「逃げ出さなくては」。穴の中に突き落とされ、弄ばれ、もうこれまでという時、目の前に差し出されたのは、あろうことかルアークその人の手だった…。
エイスリンは、いつしかウルフガーの孤独の影にひかれていった。父の領土を略奪し、自分を奴隷としてひざまずかせる男からの寵愛。しかし、それは単なる囚われの愛人に対するものではなくなっていた。ふたりの魂は複雑に絡み合い、運命の糸は紡がれていく。身篭ったエイスリンは、その新しい命があの狡猾な男ラグナーの子供ではなく、愛する人のウルフガーの血を引くものであってほしいと望み苦しむ。略奪と愛に、名誉を賭けて激しく戦う騎士たち、愛に揺れ動く美しい女たち-。11世紀のイギリスを舞台に繰り広げられる、壮大なる長編歴史ロマン。
「ここで何をしているの?」ヴァーダの鋭い問いかけに、ホテルの部屋に忍びこんだその男は、アメリカの石油王のひとり娘を取材しにきたジャーナリストだと名のった。ヴァーダをその本人だとは気がつかないらしい。そこで、ヴァーダは令嬢の付添いだと偽って、パリを案内してもらうことにした。イギリスの公爵との愛のない結婚を勧められていたヴァーダには、つかのまの自由な日々だった。