出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
初めて会った日からずっと、天才外科医マックスに憧れてきたエヴィ。彼が1年間の海外任務に赴く直前に想いが通じ、結ばれた。マックスの出発後、妊娠したことがわかると同時に持病が悪化し、エヴィは闘病をつづけながら命がけで女の子を産んだ。だが体調が急激に悪くなり、とうとう手術を受けることに。そんなときマックスが帰ってきたが、娘の存在を告げられずにいた。彼の両親に、息子の仕事に差し障ると、口止めされているから…。けれども、手術の前に弱気になったエヴィは彼の励ましに胸を打たれ、ついに娘のことを打ち明けたーすると、マックスは豹変し、エヴィをなじった。「きみはわざと妊娠し、ぼくを罠にかけたのか?」
姉を亡くして1年余り、ナタリーは遺された甥を引き取ることにした。だが姉は未婚のまま産んだ幼子の父親が誰か明かしてくれず、ナタリーは甥にいつか教えるためにも、まず父親捜しから始める。わずかな手がかりをもとに、彼女は由緒ある公爵領を訪れた。ここの葡萄園で働く誰かが、甥の父親の可能性があるのだ。臨時の仕事に応募したナタリーは、面接官のドミニクを見て息をのんだ!深みのある黒い瞳と黒髪が、怖いほど甥に似ている。まさか…。でも、この公爵家出身の大富豪には、風貌のよく似た兄といとこがいて、姉が恋におちた男性が3人のうちの誰であってもおかしくなかった。ドミニクでありませんように。ナタリーはいつしか、そう願っていた。
雷雨の中、帰宅を急ぐサラは道に飛び出し、車に轢かれそうになった。運転していたのは町の名士で実業家のジェイク・ホーガンで、彼からお詫びの花束が届き、翌日にはわざわざ様子を見に来てくれた。紳士的なジェイクに、サラは生まれて初めて胸のときめきを覚えた。でも、私のような、幼い娘を育てている女に、彼は興味なんてないはず。それに、私には誰にも言えない秘密が、男性と親密になったら打ち明けないわけにはいかない秘密がある…。恋心を止めたいサラだったが、会うごとにジェイクに惹かれ、雷鳴に怯えていたある夜、彼になだめられるうちに一線を越えてしまう。そして、露見したー彼女がまだ、純潔の身だったということが!
テンパーは恋多き母のせいで、上流階級の口さがない人々から、どうせ娘も同類だろうと、いわれなき噂を立てられていた。男性に対してトラウマのある彼女は、母とは違うのに。ある日、テンパーは父に強いられて社交界デビューが決まり、兄の親友で伯爵家子息のギフが護衛を務めることになった。手が触れただけで甘い衝撃の走る彼が、そばにいるなんて…。戸惑うテンパーだったが、舞踏会が開かれた屋敷の寝室で、期せずしてギフと二人きりでいるところを他人に目撃され、大騒動に。テンパーの評判を守るため、ギフはやむなく彼女に求婚した。夫婦の契りを結ばない、白い結婚ならとテンパーは答えるがー
一生、一人の女に首枷をはめられるなんてごめんだー伯爵家に生まれた騎士ロビンは、次々と結婚する兄弟を見て毒づいた。あの強靭だった兄たちは今、妻の尻に敷かれ、まるで腰抜けじゃないか。一族にかけられた“結婚の呪い”なのか…。ロビンは身震いした。呪縛を解いてくれる人物を求め、たどり着いたのは女子修道院だった。すると突如、不穏な叫び声が響き、颯爽と駆けつけたロビンは、思わぬ言葉に迎えられる。「私たちを殺すつもりで、戻ってきたのね!」声の主は、透き通るような白い肌に瑞々しい唇の見習い修道女シビル。彼女の姿を目にした瞬間、ロビンは息をのみ、めまいに襲われた。この娘こそ、私を虜にし、破滅させる女…。そうはさせるか!
母親をとうの昔に亡くしているロージーは、短い間に相次いで父と祖父を失い、窮地に立たされた。祖父の遺言で、3カ月以内にロージーが結婚しなければ、400年の歴史を誇る屋敷は貪欲な親戚の手に渡ってしまうのだ。形だけの結婚相手には最高だと弁護士が白羽の矢を立てたのは、この界隈随一の富豪で、幼なじみのガードだった。何かにつけ子供扱いしてくる傲慢な彼と結婚なんてしたくない。でも、ほかに頼れる人もいない。ロージーは心を決め、ガードにプロポーズをするが…。
婚約者に裏切られ、傷心のハンナはギリシアを訪れた。ホテルのバーに足を踏み入れると、謎めいた男性が目に入った。物憂げな横顔に瞬時に魅了されたハンナは彼に誘惑されるまま、抗うこともできず、情熱の炎に身を投じてしまう。翌朝目覚めると、置き手紙を残して一夜の恋人は消えていた。レオニダス・スタサキス?彼が有名な大富豪だったなんて!程なく妊娠に気づいたハンナは勇気を奮って彼の元を訪ねるが、返ってきたのは氷の刃のようなプロポーズだった。「これは義務としての結婚だ、愛を夢見るな」
アミリアは公爵テオが主催する仮面舞踏会に忍びこんだ。かつて義兄と呼んだ初恋の人、テオ。二人の両親が別れたあとも、ずっと彼を忘れられなくて、想いを断ち切るために、この屋敷を訪れたのだ。目の前の仮面をつけた女性が、義妹とは気づかぬテオは、官能的なダンスで彼女を幻惑して抱き上げると、仮装のまま客間へ入って、夢のような情熱の時を与えてくれた。でも、まさか妊娠するなんて…。やがて正体を明かし、妊娠を告げた彼女にテオは傲慢に言った。「妻になるか、さもなくば使用人になれ」
自堕落な母と暮らすオーブリーは、父の名を知らない。ある日、母の恋人だった富豪の訃報を受け、葬儀に参列するが、若く美しい彼女は富豪の愛人と誤解され、理不尽に罵倒される。そのとき、セクシーな実業家カリドが現れ、恋人のふりをして彼女を連れ出してくれた。彼の宿泊するスイートルームへと。見たこともないような豪華なその部屋で、無垢なオーブリーは彼の魅力に抗えず、純潔を捧げてしまった。あろうことか彼は遠い国の次期国王で、愛人になれと迫られ拒んだオーブリーは、やがて妊娠に気づく。1年後ー。
サラは友人が勤める会社のパーティで、冷徹なビジネスマンと悪名高い社長、ジャスティンと出会った。ゴージャスな彼と、地味で冴えないサラ。正反対の二人はたちまち熱い恋におちたが、幸せは長くは続かなかった。彼はサラが身ごもると、残酷に追い払ったのだ。傷つき故郷へ帰ったサラは赤ん坊とひっそり暮らす道を選んだ。2年後、サラの雑貨店にジャスティンが現れる。事故で2年間の記憶を失い、たまたまこの村を旅行で訪れたーそう話す彼の虚ろな瞳を見て、サラは瞬時に悟った。私のことを…覚えていないのね?
この6年半、ルシンダは上司アンガスの秘書として身を粉にして働き、苦楽を分かち合ううち、彼に密かな想いを寄せるようになっていた。でも、独身主義者を自称する仕事人間の彼との恋が実る望みはない。もう限界…。女手一つで育ててきた8歳になる息子は、お手本となる大人の男性を必要としているのだから。ルシンダは意を決し、息子の父親になってくれたらとデートしてもなかなか好きになれずにいる男性と、休暇に出かけることにする。それはすなわち、愛しのボスへの恋心に終止符を打つ旅。しかし、ルシンダからその話を聞いたアンガスは、彼女が訪れるリゾート地に、自らも会議のため出向くと言いだし…。
かつて、ローラはみじめな思春期を過ごした。当時、顔の吹き出物のせいで、誰も友達になってくれなかったのだ。だから、遥か昔に母が“落伍者”と決めつけて離婚した実の父に同情し、画家だった父が遺した一枚の絵に、深い感慨をそそられたー落日を背に、苦悩に満ちた表情を浮かべる美しい女が描かれている。ある日、その絵を途方もない高値で買いたいという男が現れた。ダイアモンド鉱山を所有する若き億万長者、ジャレッド・イースタン。長身でたくましく、周囲を圧倒するようなその存在感に、心が乱される。だが父の形見は売れないと断るローラに、彼は驚くべき申し出をした!“この絵といつも一緒にいたいなら、ぼくの妻になればいい”と。
21歳の誕生日を迎えるロズは最近、ずっと気分がもやもやしている。会社社長のアダムと結婚して2年がたつが、子宝に恵まれないのだ。夫にとって、私はただの“愛人”と変わらないのでは…?そんな気がして、ベッドをともにした翌朝は必ず自己嫌悪に陥る。もやもやの原因は、そもそも二人のいびつな関係にあるのかもしれない。当時、借金を抱えて困っていたロズには経済力が必要で、一方のアダムは愛には冷淡ながら、家族を欲しがっていた。なのに彼に家族を作ってあげられないなんて、契約結婚が成り立たない。いいえ、契約上の妻のつもりでいたけれど、本当は心から夫を愛している。だが彼にしばらく離れようと言われ、ロズの胸は張り裂けそうになり…。
十代の頃から病弱な母の介護に明け暮れたウエイトレスのメリリー。気づけば同世代の皆が恋に結婚にと忙しい中、いまだ男性経験すらない。メリリーは意を決し、前から気になっていたセクシーな客ブリックに“初めての相手”を頼む。すると彼は一晩考えた末…(『ヴァージン卒業宣言』)。アンジェリーナは天涯孤独の身となり、寄宿学校へと送られて教育を受けた。アレクサンダー・セントクレアー第9代スタワーブリッジ公爵の計らいのおかげだ。3年後、彼女はロンドン随一の高級住宅街にある公爵の屋敷を訪れた。恩に報いて身を捧げるために(『身も心も』)。ガートルードは修道院から海賊船へ差し出された。船長の求める役目を果たすために。湯浴み中の船長に裸を誇示され、彼女は叫んだ。「ああ、神様!」船長が不敵に告げる。「海賊は奪う。持ち腐れの宝を狙う。優秀な海賊は、何一つ返さないーおまえを帰さない」(『海賊に贈られた花嫁』)。古代ローマ時代ー奴隷小屋で競りに出された私は、堂々たる体躯の裕福な商人に買われ、彼の屋敷で働くことになった。夜、ご主人様が私の粗末な寝床に現れ、容赦ない歓びを与えてくださった。そこから、奴隷としての“お勤め”を待ちわびる日々が始まったー(『過激な寵愛』)。
ナースのブリタニアが働く病院に、優秀なオランダ人外科医、ファン・ティーン教授が高度な手術を行うためにやってきた。年上の品格漂う彼を見て、ブリタニアは直感した。この人と結婚する、と。彼のことなど何も知らないのに、なぜか胸のときめきがそう感じさせた。だがほどなく、教授は帰国してしまった。また彼に逢いたい…。そこでブリタニアは、休暇でオランダへ行く同僚に同行することにする。旅を楽しもうと自転車で散策中に、傷ついた小鳥を見つけて拾った瞬間、立派なロールス・ロイスが、ブリタニアの目と鼻の先で急停車した。中から現れたのはなんと、ファン・ティーン教授!「君は大ばかだ」彼は冷たく言い放って小鳥を預かると、彼女を置いて、走り去ったー
億万長者のギリシアの海運王クリスにロンドンで再会したとき、キミーは体の震えを抑えられなかった。数カ月前、彼は結婚式当日に花婿に捨てられた私の前に現れた。そして巧みに傷心の私を誘惑し、バージンを奪って去っていった。今ならわかる。自分がクリスにもてあそばれただけだったのが。必死に連絡を取ろうとしたのに、彼は電話一本くれなかった。でも、かまわない。長年ほしかった新しい家族ができたから。キミーのおなかのふくらみを見ても、クリスは動じなかった。その氷の表情は、最初から彼女の妊娠を計画していたようで…。
16歳のとき、菓子作りコンテストで優勝したのを機に、ネーハは神童パティシエとして一躍人気者になった。だが実際は守銭奴の義父に操られ、恋愛も知らず、朝から晩まで働き続ける日々に虚しさをおぼえていた。このままでいいの?ふと一人の男性の顔が脳裏に浮かんだ。ネーハが唯一心を許せるミラノの富豪、レオ・ブルネッティ。人工授精でもいい。もし、彼の子を授かれたら…。荒唐無稽なネーハの願いに、レオは目に宿る炎を隠して答えた。「人工的なのはよくない。愛ある伝統的な方法を試すべきだ」
ジャクリーンは、豪華なパーティ会場で肩を落とした。経営難のウエディングドレス専門店への資金援助を、頼みの綱だった父の旧友に断られてしまったのだ。そのときー大企業CEOのギリシア富豪ニコスが現れた。悪魔的なほどセクシーなオーラみなぎる彼から目が離せない。雪のように清らかになんて時代遅れだと恋人にふられたあとも、結婚まで身を慎むという信念は変わっていないのに…。窮状を打ち明けたジャクリーンに、ニコスはパーティのあとで援助の話をすると約束してくれた。喜び勇んで部屋を訪ねると、ドア口のニコスは、腰にバスタオル1枚だけ巻いた姿で…。
夫の亡骸とともに、リリーは茫然とデインの到着を待っていた。もうすぐ彼がここに来る。私を軽蔑している彼が…。デインの兄と極秘の取り決めを交わし、偽装結婚してから、そうとは知らないデインにリリーは罵声を浴びせられてきた。家名を汚す雌狐!清楚な仮面に隠れて浮気を楽しむ悪女!いわれなき汚名に耐えつづけた結婚生活は、今、幕を閉じた。夫を亡くして、もうデインの憎悪に対処するすべもない。やがて顔をこわばらせたデインが、リリーの前に現れた。彼は知らない。私の体が無垢なことも、この胸に秘めた思いも。