出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
友人の牧場からの帰宅途中、猛烈な嵐に遭ったブリジットは、偶然通りかかった男性と一緒に小屋に避難した。九死に一生を得た二人は互いの体を温め合い、愛し合った。だが翌日救助されると、彼はあっさりと別れを告げた。3週間後、ブリジットはあの夜の男性、アダムを新聞で見つける。なんと彼は名家の御曹司で、とてつもなく裕福な企業家だった。私とは身分が違いすぎるから、素性も明かさず去ったのね。時を同じくして、ブリジットは身ごもっていることに気づいた。アダムの情熱的な愛の営みと冷たい別れを思い出して胸が疼くが、彼に拒まれることを思うと、妊娠を告げるのは怖くて…。
ジェイムは二十歳そこそこでブレークと結婚した。年上で裕福、しかもセクシーで優しい夫は、彼女のすべてだった。だがまだ年若く世慣れていないジェイムに結婚は早すぎたのか、忙しい夫は不在が多く、ちらつく女性の影にも不安をあおられ、愛されている自信がなくなった彼女は、ついに家を飛び出してしまう。ほどなくして妊娠がわかり、ジェイムは夫に手紙で知らせた。きっと彼は私とこの子を迎えに来てくれるーそう期待したが、なんと夫からの返事はなく、ジェイムは絶望した。3年後。ジェイムの近隣の屋敷に、ふらりと夫が移り住んできた。いったい何が目的なの?娘を見たら、彼はなんて言うだろう…。
せっかくのパーティなのに、エドニーは少しも楽しめなかった。エスコート役を頼んだ知人にしつこく言い寄られ、あまり事を荒立てないよう拒絶するのに四苦八苦していた。とうとう強引にキスされそうになったとき、どこからともなく現れた男性がエドニーを救い出してくれた。長身で黒い髪、黒い目、洗練された雰囲気ー彼はエドニーを家へ送り届けると、慰めるような優しいキスをした。なんだか夢みたいだったわ…。翌週、転職先のオフィスで、エドニーは思いがけずあの男性の名前を知った。サヴィル・クレイソーンー彼こそ、エドニーの新しいボスだった。
「待って!わたし、妊娠しているの。あなたの子よ」ラザロの婚約披露パーティの会場で、スカイは思わず口走った。アイルランドでウエイトレスをしていた彼女は、客として訪れたゴージャスなラザロの誘いを拒めず、熱い夜を過ごした。彼がスペインの富豪と知って驚いたが、忘れるつもりだった。一夜の夢だと。けれど想定外の妊娠がわかり、自分のように父親の名も知らない子にするに忍びなく、ここへ来たのだ。「これはいったい、なんのゲームだ?」晴れの舞台を台なしにされ激怒する彼。スカイは震えだした。
ある嵐の夜、苦学生のアリーは仕事で訪問した豪邸で、思いがけず初恋の人ドミニクと再会した。長年秘めてきた想いが溢れだし、アリーは誘惑されるまま純潔を捧げてしまうが、翌朝、すべては彼の計略だったと知る。「半年間ぼくと結婚してほしい。仕事上、“妻”が必要なんだ」学費は肩代わりしてくれるという。何より、短い間だけれど、ドミニクと一緒に過ごせるー愚かにも、アリーはうなずいた。数日後、簡素な式が執り行われ、新婚生活が始まるが、あの甘い一夜が嘘のようにドミニクは冷淡になって…。
ジェイク!なぜあなたがここに?ロージーは凍りついた。16歳の少女だった彼女はジェイクに仄かな憧れを抱いていた。けれど…友人に誘われて行ったパーティーで、彼のいとこに騙されて強いお酒を飲まされ、朦朧としたところを強引に…。悪夢のような時が過ぎ、ショックのあまり震えていたそのとき、あろうことかジェイクが現れ、咎めるように彼女を見つめたー。そして今、あのときと同じ軽蔑の目を向けてくる彼。ロージーは胸が張り裂けそうだった。彼に誤解されたあの日から、孤独を噛みしめて生きてきたから。
兄の結婚式の最中だというのに、サブリナは気もそぞろだった。ついさっき、妊娠していることがわかったのだ。調子がいいだけで不実なお腹の子の父親とは、別れたばかり。どうしよう…。困り果てたサブリナの前に、救いの神が現れた。兄の親友トレントが彼女の異変を見て取り、力を貸すという。元恋人に妊娠を告げ、一人で産み育てると伝える気のサブリナをトレントは自家用ジェット機に乗せ、パリへ向かった。ところが元恋人は不在。途方に暮れて二人で行方を探るなか、男らしいのに気が利くトレントに、サブリナはおのずと惹かれた。だめよ、シングルマザーになる私に、恋する資格なんてないもの!
助産師である私自身が、子供は持てない運命だったなんて…。妊娠は難しいと知った婚約者は、無情にもアニーのもとを去った。独りスペインのアンダルシアへの傷心旅行に出たアニーだったが、旅の終わりに立ち寄った教会で、運命は大きく変わる。急に産気づいた女性を救って、産科医ラファエルと出会ったのだ。彼とはなぜか最初から心が通い合い、アニーは生涯の思い出にと、彼と一夜だけの愛を交わしたーまさか身ごもるとは思わずに!ところがそれを告げると、ラファエルは冷たくこう言い放った。「本当に僕の子か?イギリスとスペインで弁護士をさがす」そしてアニーを探るつもりか、彼女が働く病院へ転職してきたのだ。
モーガンは自宅で開かれたパーティーで驚くべき人物と再会した。リバー・アトキンソン!10年前、駆け落ちして結婚したものの、父に口止め料を渡され、婚姻を無効にして私を捨てた人…。茫然とするモーガンに、リバーは告げた。「君のお父さんの会社の仕事を請け負ったから招待されたんだ」今やリバーは建設業で大成功を収めて億万長者となり、強健な体と洗練された雰囲気を持つ男性へと変貌を遂げている。でも、私はもう二度と同じ過ちを繰り返したりしない。リバーに捨てられたあと、私のおなかには彼の娘が宿っていたけれど、不幸にもその子の命は失われてしまったのだから。
帳簿係のジェシカは人一倍、家庭と愛を注げる子どもを欲していた。というのも、ジェシカは生まれてすぐに教会の階段に捨てられ、里親のもとをたらい回しにされてきたからだ。でも、誰からも欲しがられない私に結婚相手なんてきっと現れない…。そこで人工授精を思い立つが、我が子に父親の身元は知らせたいと、昔から密かに想いを寄せる親友の兄カートに協力を仰いだ。ところが激しい拒絶に遭い、ジェシカは涙ながらに彼の家を後にした。しかたない…子どもの父親は、見知らぬドナーしかいないということね。毛布にくるまり、ジェシカが打ちのめされた心の痛みに耐えていると、なんとカートが現れた!「後悔するようなことをさせないために来た」
レストランを切り盛りするテリーは、ハンサムで有能な実業家のレオが客として初めてやってきたときから、強く惹きつけられていた。たった一度でいいから、こんな男性に身も心もゆだねられたら…。その秘めやかな望みは、彼が3度目に訪れた夜に叶えられた。閉店後、二人きりになると、レオの巧みな手に導かれるまま、想像を絶するほどのめくるめく時間を過ごした。翌日、レオに今後も自由で束縛し合わない関係を求められ、たとえ愛されなくても一緒にいられるならと、テリーはうなずいた。10カ月後、奇しくもテリーの誕生日に、医師から衝撃の事実が告げられる。「おめでとうございます。妊娠されていますよ」
「デューク!待て!」ソフィーは逃げ出した犬に鋭く命じた。すると歩道を歩いていた男性が突然立ち止まり、大おばの愛犬デュークは磨き上げられたブーツに激突した。「止めてくださって助かりました。この子が行方不明になったら、大おば様のお世話係を首になり、田舎に送り返されるところでしたわ」彫像のように美しくたくましい男性と言葉を交わすうち、彼の物憂げで苛立たしげな様子に気づいたソフィーは頬を赤らめ、しゃべりすぎたことを悔やみながら逃げるように立ち去った。このハンサムで陰のある紳士がデュークー公爵の称号を持つ大貴族で、ほどなく彼と愛なき婚約をすることになるとは夢にも思わずに。
物心つく頃に母はなく、ずっと寄宿学校で暮らしてきた19歳のアン。もうここを出ていくべき年齢だが、父もこの世を去り、行く当てがない。なにせこれまでも、着る物にも困って施しを受けていたほどなのだ。教師として母校に残るのが自分の生きる道だと思い始めたある日、イアン・シンクレアと名乗る、上質のコートに身を包んだ貴族が現れた。美貌の彼は、アンの父の遺言で彼女の後見人に指名されたのだという。まあ、こんなすてきな方が、私を迎えに来てくれたなんて!アンの胸に、人生で初めて、淡い恋心が芽生えた。だがイアンは彼女を社交界デビューさせ、ふさわしい花婿を探す役回りだ。しかも、アンはまだ知らなかったー彼が明日をも知れぬ命ということを。
大富豪マークと結婚したバネッサは、義母の心ない仕打ちに耐えきれず家を出た直後、思いがけない妊娠に気づく。だが、電話をかけても夫が出ることはなかった。“二度と話したくない”-それが夫からの伝言だった。バネッサは絶望し、逃げるように田舎町へ移り住んだ。1年後、赤ん坊と二人でひっそりと暮らす彼女の小さな店先に黒いメルセデスが停まった。現れたのは…夫のマーク!どうしよう。息子の存在を知られたら、きっと取り上げられてしまう。慌てて赤ん坊を隠そうとした彼女を、夫の怒りに燃える瞳がとらえた。「いったい、どういうことなんだ?」
オーストラリアの貧しい農家で育ったクレオは、恋人だと信じた男にだまされてしまい、お金を取られたあげく、旅先のロンドンで置き去りにされた。ホテルの住み込み清掃係の仕事を見つけて働き始めたが、ほんの数週間で、その仕事も失うことになる。ホテルがギリシアの大富豪アンドレアス・ヘニデスに買収され、そうとは知らず不法に雇われていたクレオはくびになったのだ。今度こそ本当に路頭に迷ってしまうー懸命に懇願する彼女をしばらくじっと見つめていたアンドレアスは、意外な提案をする。「きみ…1カ月だけ僕の愛人にならないか?100万ドルで」
ガブリエラは義理の兄ルーファスにひと目で強く惹かれたー資産家であるルーファスの父と、母が再婚したその日から。だがガブリエラの母親を欲得ずくと信じるルーファスは、娘も同じだと決めつけ、金目当ての誘惑は無駄だと冷たく言い放った。ひどく傷ついたガブリエラは彼を忘れようと努め、避け続けてきた。6年後、ルーファスの父が亡くなり、意外な遺言が明らかになる。継父は遺産相続と引き換えに、二人に半年間の結婚を命じていた。従わなければ事業も財産もすべてルーファスの従弟のものになる、と。事業を従弟に渡したくないルーファスは、ガブリエラに結婚を迫る。愛する人に憎まれたまま妻になるなんて…でも、私には拒めない。
ベルは幸せに見放されていた。生まれてすぐ両親に捨てられ、育ててくれた祖父母も相次いで他界し、無一文になった。今は車上生活をしながらウェイトレスをしている。そんなベルに有名企業家ダンテが奇妙な依頼を持ちかけてきた。執拗な元恋人を撃退するため、大金とひきかえにベルに彼の恋人のふりをしてほしいというのだ。見るだけでどきどきするセクシーな男性の恋人役…?でも彼の金の瞳に射すくめられると、どうしても断れなかった。ベルは、まだキスの経験すらないというのにー。
秘書のサフロンは世界一裕福なボス、ジョアン・オリビエラに今日こそ退職を願い出るつもりだった。孤児である彼女の夢は、笑顔の溢れる温かい家庭を持つこと。だが仕事人間で休日もなく働くジョアンに振り回されていては、夢は叶えられない。そして…この憧れもお終いにしなくては。3カ月前、長年想いを寄せた彼とついに一夜をともにしたが、直後にただの気晴らしだったと聞かされ、深く傷ついたのだ。ところがジョアンと話している途中、サフロンの体調が急変し、医者が呼ばれて思わぬ事実がわかる。彼女は…妊娠していた!
母を亡くし、住みこみの子守として昼夜働きづめのソフィアは、臨時庭師のラファエルには戸惑わされてばかり。その完璧な容姿もさることながら、あまりに尊大なのだ。主の留守をいいことに、彼は仕事もせずにやりたい放題。それでいて優美なオーラを持つ彼に、つい心を許し始めた矢先、ソフィアは自分の出生にまつわる信じがたい話を聞かされる。「きみはロンドンに住む富豪の生き別れの娘なんだ」驚くソフィアに、彼は裕福な実業家という自身の正体を明かし、突然、期限付きの“白い結婚”を申し込んできた!
エミリアは両親の離婚後、父が再婚した継母や義姉との生活になじめず、16歳で家を出て独りで生きてきた。ある日、親友と立ちあげた会社に地中海を望む、さる公国の大舞踏会の仕事が舞い込んだ。さっそくエミリアは現地へ飛び、宮殿の屋根裏に滞在しながら、地下室のオフィスで3週間後に迫る舞踏会の準備をすることになった。あるとき中庭に足を踏み入れ、偶然出会ったランという名の美しい男性と意気投合した彼女は、久しぶりに胸のときめきを感じて舞い上がった。だがほどなく、ランの正体が、若き君主ローランだったことがわかる。ああ、なんてこと!彼が大公なら、年内に婚約すると言われているーそのお相手の最有力候補は、エミリアの疎遠の義姉、ベラだった。