出版社 : ベストセラーズ
人類の切り札となり得る「振動弾頭」のサンプルをアメリカまで輸送する依頼を受けた千早群像は、イオナと共に霧の艦であるタカオ、キリシマ、ハルナを打ち破りつつ補給基地である硫黄島を目指す。そこではかつてイオナによって破れたヒュウガが、一行の到着を待ち受けていた。さらに、彼らを追撃してきた、コンゴウを旗艦とする霧の艦隊が硫黄島を包囲。絶体絶命の状況下で、群像はとある提案をコンゴウに対して行う。人類と霧、その共存の未来を探る群像の戦いの先に待つのは悲劇か、それとも…。
ひとりは職人髷。ひとりは役人髷。ひとりは芸人髷。碧い眼をした弔い師・彫辰、正義感あふれる新米同心・仏光寺左門、お人よしの噺家・山遊亭楽丸。猪牙船に揺られる大川で三人が釣り上げたのは、木場で働く川並の骸だった。楽丸の知り合いだという男。その指は紫色に変色していた。彫辰は思わず南蛮渡来の毒薬の名を呟いた…。何の因果か、はぐれ三人組が、世直しのおせっかいを焼く、痛快時代活劇シリーズ第1弾。
元三島町の親分、御用聞上がりの弥八老人が、若い文士こと「私」を相手に語る昔語り。銭ならぬ硬く炒った豆のつぶてを放ち、屋根から屋根へ跳び移る大鼠を撃ち落とした初手柄が評判となり、ついた通り名は、“鉄砲の弥八”。二十年以上にわたる御用聞稼業での武勇伝は数知れない。三河町の名親分を向こうに張った功名談を、随所に江戸っ子のしゃれッ気を混ぜて描く。四話仕立てのお噺しは面白可笑しく、江戸情緒も満載。
片山伯耆流居合の達人で直参旗本の三男白光新三郎。訳あって、剣の腕を活かし、江戸から関八州に逃亡した犯罪者を追う賞金稼ぎに身をやつしている。が、御納戸役を務める出世欲旺盛な兄に上司の接待に金が必要だと、稼いだ金はすべて巻き上げられる始末。無欲括淡な男ではあるが、部屋住みの悲哀を噛みしめ負い首稼業に奔走するのだが、幕府の屋台骨を揺るがしかねない事件に遭遇…。
明治という時代を背景に、わが国の海運の礎を築いた英傑ー名を岩崎弥太郎という。土佐の郷士の家に生まれ、たいした役にもつけない身分や役に立たない学問に失望し、入牢の憂き目にあうなど、荒れた青春時代を送った。安積艮斎、吉田東洋らのもとで学び、後藤象二郎の知己を得、坂本龍馬と交流し、長崎の土佐商会の実権を握るようになる…。嫉妬やコンプレックスをばねにしながら、三菱財閥の基礎を築いた巨人、波瀾万丈の大河ドラマ、堂々の開幕。
女体に巣食う悪霊や邪気を取り除く異能を身につけた天宇は、ある日、彼との不義が原因で夫に斬殺されたはずの秋乃と出会う。久しぶりの秋乃との情事で気を失うほど何度も精を放った天宇だったが、目覚めたとき隣に秋乃の姿はなかった。彼女は“亡霊”だったのか。帰宅した天宇を迎えた助手・瑞穂は秋乃の影に気づき、嫉妬の炎を燃やす。そして夜、瑞穂は自ら天宇に挑んでいった…。好評時代官能シリーズ第二弾。
時は寛政、11代将軍家斉の世。毎夜、公方様の寵愛を受けるべく三千人の美女たちが壮絶な暗闘を繰り広げる“女の牢獄”大奥。そんな男子禁制の女の園でひそかに起こる一大事の解決に孤軍奮闘する、男であることを捨て去った男。その名は、斎左門。将軍の隠密役を担うこの男を、奥の女たちは声を潜めて「大奥始末人」と呼んだ。一子相伝の刀術を極めた左門に今夜も勅命が下される。それは御台所に生まれてくる男子の暗殺…。
蝋燭問屋を狙った付け火事件が起き、犯人として捕まったのは問屋のあるじが妾として囲っていた女だった。しかし、献残屋の箕之助たちは女が付け火をせざるを得ないようなあるじの非道な仕打ちを知り、密かに抹殺する(「火付け始末」)。また、街道筋の用心棒・寅治郎を敵として狙う武士の正体がついに判明し、首を差し出す覚悟をしていた寅治郎だが、意外な結末を迎える(「寅治郎蘇生」)など、傑作好評時代小説。好評シリーズ、ついに完結。
見ず知らずの夜鷹を庇い、朝右衛門は下段に構えた。抜き放った刀身は月光を吸い、刃紋は青々と怪しい陰を映す。世に知られた大業物、千子村正。首斬り役人こと公儀御試御用役、将軍の佩刀を吟味するはずの山田家当主が、徳川に仇なす妖刀を佩びている…。労咳を病み、死界へ片足を入れた朝右衛門を待ち受ける敵は、鬼か蛇か?夜陰に響く山田流居合抜き、裂帛の気合。新次元の時代小説、ここにあり。
薬師の硯杖は、犬以上と自負する鋭い嗅覚を武器に、女たちの人に言えぬ悩みを癒してきた。ある日、性具屋の若い女主人から、店秘伝の媚薬を再現してほしいと依頼され、薬草の知識と鋭敏な嗅覚とを駆使して媚薬を作り上げる。夫との不仲に悩む武家妻、生きるために体を売る女郎、男は煩わしいという少女たち…、何人もの女を媚薬と硯杖の魔羅が極楽浄土へと導いていく。好評時代官能シリーズ第3弾。
箕之助が献残屋「大和屋」を営む芝の近くに新しく寄合茶屋が店開きすることになった。新装開店の挨拶用に扇子などを注文しに大和屋を訪れた若い主人・春治は、役者にしたいような色男で金もあるようだが、応対した箕之助と女房・志江は春治の様子に不審なものを感じる。密かに春治の正体を探る箕之助は彼の過去の許されざる悪行を知り、街道の用心棒・寅治郎とともに成敗する…。書き下ろし好評シリーズ第7弾。
御家人の次男と三男である松之介、竹之丞、梅太郎の三人は、生家で居候・穀潰しと冷遇される身だが、弱い者いじめをとことん嫌う気持ちのいい男たちだ。風俗取締りの御改革のせいで火の消えたような江戸の町。ある日、梅太郎は十六、七の娘を救う。娘は悪い男に狙われているという。男は妖怪・鳥居耀蔵の手先で、ご法度の抜け荷に手を染めていた。南蛮渡りの淫薬で若い娘を弄でぶ奸物に“松竹梅”は怒りの一閃を討つ。
芝三丁目で献残屋を営む箕之助はある日、辻屋という一膳飯屋の嫁姑の諍いが町の噂になっていることを知る。そんな折り、金杉橋の近くの河原に男の死体が転がっているのが発見される。箕之助は辻屋の内情に踏み入るうち、嫁姑の仲違いが世間の目を欺くための芝居であり、その事件があくどい金貸しに義理の息子を殺された辻屋のあるじたちの復讐だと気づく。箕之助は用心棒の日向寅治郎らの協力を得て、町人には許されぬ仇討ちを最後まで密かに成就させるが…。
京都西町奉行所与力、大江権十郎。いかつい名前に無骨な面相。惚れた腫れたがこれほど似合わぬ男もいないが、十年来の恋をしていた。暴漢に襲われた娘を助けた権十郎は、感謝のしるしに簪を差し出された。一目ぼれした権十郎は、己の小柄をお返しとばかりに渡し、十年ののちにふたたび見えようと約した。初心な同心のせつない恋心を描いた一篇ほか全二話を収めた、“鬼平”の父の推理と刃が迫る、シリーズ第4弾。
元盛岡藩南部家の剣術師範、十時平蔵。深川にある道場の主におさまっているが、藩から追われた苦い過去があった。困った人を見ると、せっこ(お節介)を焼かずにはいられない平蔵は、今日も他人の恋路に首を突っ込み、上覧試合の手ほどきをし、花のお江戸を東奔西走する。中西派一刀流の秘技「おぼろ返し」を揮う剣の達人でもある心優しき道場主と、平蔵を取り巻く人々がおりなす、下町人情あふれる時代活劇。
人並みはずれた鋭い嗅覚を持つ薬師の硯杖は、薬草を取りに入った山で、忘れえぬ女性の香りと酷似した秘毛を見つけ、その持ち主を見つけ出すことを誓う。ところが、川開き夜、その秘毛をお守り代わりに入れていた財布を掏られてしまう。硯杖の着物に残された匂いを手がかりに探し出した犯人は、はちきれんばかりの若さと肉体を持った女掏りだった…。硯杖が己の魔羅を薬にした裏治療で、女たちの悲しみや不幸を癒していく好評時代官能シリーズ第2弾。
武家のはみ出し者、松之介、竹之丞、梅太郎。御家人の次男・三男ゆえに、冷や飯食いと悪し様に言われる若者たちだが、世のため人のため、陰に回って働く義侠心を持っている。この“松竹梅”三人と、彼らが慕う浪人・天涯弥十郎が、私欲、私怨を欲しいままにのさばる時の権力者・鳥居耀蔵たちの追及から辛くも逃れ、身を隠した医師と助手、そして罠に堕ちた娘を救い出すべく、執拗な刺客に敢然と逆襲の刃を向ける!痛快時代小説第二弾。