出版社 : ベストセラーズ
元与力、井上孫四郎は、新たに始めた捜し屋稼業がようやく軌道に乗り始め、ひと息ついたところ。そんな孫四郎夫婦に舞い込んできたのは、七人の捨て子の親探しと世話の依頼だった。育ち盛りの子どもたちの底なしの食欲に圧倒される孫四郎と妻のお福。だが、孫四郎は捜し屋稼業で江戸の闇に足を踏み入れた結果、人身売買であくどく儲ける極悪人に命を狙われるようになっていた。預かった子どもたちのために買い出しに出た孫四郎を尾行する不審な人影が!?書下ろし時代小説。
元盛岡藩南部家の剣術師範、十時平蔵。深川にある道場の主におさまっているが、若殿に嫌われ、藩から追われた苦い過去があった。困った人を見ると、せっこ(お節介)を焼かずにはいられない平蔵は、今日も自ら事件に首を突っ込んでいく。中西派一刀流の秘技「おぼろ返し」を揮う剣の達人でもある心優しき道場主と、平蔵を取り巻く人々がおりなす、江戸下町の人情あふれる時代劇。
本所の一膳飯屋「井筒」の看板娘お蔦は、鬼平も一目おいた名親分の忘れ形見。顔は悪いが、情の厚い御用聞き「不動の井蔵」に溺愛されて育った。定廻り同心、遊佐清之介の屋敷で武家奉公することになったお蔦。清之介の母の厳しいしつけに半べそであった。そんなおり、清之介宅に現れた記憶のない女。謎の女性の哀しい過去を綴った一篇、母を知らぬ小盗の親孝行を描いた中篇、勘違いで巻き込まれた剣難の全三篇を収録。
船宿の船頭を表の稼業に、よろず揉め事を請け負う浪人・小佐々銑十郎。元は国家老の家柄で、直心影流の凄腕を持つ銑十郎に、蔵前の札差・大黒屋が持ち込んだのは、旗本同士の喧嘩の仲裁だった。その場を丸く収め、旧知の榊原を諍いから救ったかに見えたが、榊原の相手だった男が後日斬殺され、榊原に嫌疑が掛かる。友の窮地を救うべく立ち上がった銑十郎だったが、裏には旗本たちの醜い内輪揉めと勢力争いが絡んでいた…。好評シリーズ第三弾。
薬草の研究と小売を家業としている父の仕事を手伝う千之介は十三、四歳の頃から人の体臭に敏感になり、犬顔負けの嗅覚を持つようになった。店に薬を求めにやって来たこの世の極楽を思わせる芳香を放つ人妻・雪乃との交合を果たした千之介は甘美な陶酔にひたるが、その後、彼女は急死してしまう。やがて千之介は独立して「硯杖」と名乗り、薬師として女体を法悦に導く「裏治療」と、冴える嗅覚のおかげで店には女たちが次々と訪れる…。時代官能の騎手が放つシリーズ第一弾。
風烈廻り与力、井上孫四郎は、父親との反目からお役儀返上して浪人の身となった。貧しい暮らしながら恋女房に支えられ「捜し屋」稼業に精を出す毎日だが、ある日、幼い兄妹と出会う。気になった孫四郎は、別れた後に二人を探し回り、浪人者に襲われて危機一髪のところを救い出すが、兄の背の荷物には数えきれないほどの小判が入っていた。「僕たちの用心棒になって!」哀れな兄妹のため、はぐれ与力が江戸を駆ける!好評、第二弾。
刀剣の鑑定師、また剣の遣い手として江戸にその名を響かす嶋右近。恐喝りの達人・大河内宗達、凄腕の盗人・稲葉小僧、定廻り同心・奥平八郎らと共に、不思議なつながりの男たちが、この世に許されぬ悪を断つ!右近が怪しげな刀売りから預かったのは、右近の先祖が鍛った名刀・左文字だった。その後、左文字の元所有者の浪人と刀売りが何者かによって惨殺される。刺客の狙いは左文字なのか。やがて敵は右近の身辺に迫り来る。
強請りたかりはお手のもの。誰が呼んだか、蛇蠍の忌み名。そんなワルの俺より悪党がいるー。長屋の井戸端に埋められていた藁人形。ささいな事件が招いた因縁。男気を出したばかりに無実の罪を背負わされて島流しにされた男。ご赦免花が咲き、ようよう帰ってきたというのに虫けらのように斬り殺された。手加減いっさいなしの悪党退治、“あぶない”岡っ引きが活躍するシリーズ第二弾。
霊験あらたかな秋葉権現のお札を求めて、大川を本所へと渡る舟が転覆した。凍てつく川から女や子どもを救ったのは、御家人の次男坊三男坊、松之介・竹之丞・梅太郎の三人組だった。生家では厄介者扱いされ、無頼と怠惰の日々を送っていた彼らだが、今は「どんなことでもいい、世のため人のためになることを気が向いたらやっておくれ」という緋扇屋秀五郎の寮で気ままに暮らしている。「松竹梅」の爽やか三人組の活躍を描く痛快新シリーズ。
剣術と柔術を組み合わせた刀法起倒流の遣い手、瀬戸七郎太。ある事件がきっかけで、南町奉行所与力から同心に格下げされた。元同僚からは蔑まれ、不慣れな仕事の辛さに悲哀を感じる日々。給金が減ったのに愚痴も言わぬ妻の顔を見るにつけ、心が重い。極悪人をぶちのめし、手柄を立てて与力に戻る!怒りの覚悟を胸に今日も本所深川を歩き回る。やがて持ち前の腕と推理で難事件を次々に解決していく七郎太だが、奉行所の反応は意外と…。話題の著者の新シリーズ。
献残屋を営む箕之助は、町内でも色っぽいことで評判の小間物屋の家つき娘・おトシが新しい婿を迎えるという話を聞く。しかし過去に一度入った婿は半年もしないうちに亡くなり、不穏な噂がながれてもいた。箕之助はおトシの母親に探りを入れ、裏で悪事を企む男の存在を知る…(「入り婿殺し」)。また、浅野内匠頭切腹事件の後、忠義から事を性急に進めようとする浪士たちを、箕之助らが身を呈して諌めんとする忠臣蔵秘話(「忠臣潰し」)などを収めた好評シリーズ第四弾。
妾腹の子ゆえ、剣の腕も立ちながら家督を継ぐこともかなわず、無頼の日々を送っていた八坂鏡之介だが、ある日、大目付から、上方より江戸に下ってきた盗賊一味を捕縛するための隠密を依頼される。日常生活に飽いていた鏡之介は喜んでこれを引き受けるのだが…。表向きは白着流しの八卦観として情報集めに専念しながら、異相の岡っ引き・伊佐吉親分と一緒に、米問屋の金蔵から消えた金子、品川沖に漂う幽霊船、そして深川の太鼓橋に夜な夜な現れる辻斬りの謎に挑む。
伝説の名刀匠・左文字の末裔として生まれた嶋右近は、刀剣の鑑定を生業としているが、ある日、初老の侍から人を斬って欲しいと頼まれる。侍は丹波亀山藩家老の家臣で、家老の命を奪った仇を追って江戸へ来たのだという。右近に、家老の遺された奥方と子息の仇討ちの助っ人をして欲しいというのだ。報酬は二十両と家宝の名刀・来国行。心を動かされた右近は、仇である葛西新三郎の裏で糸を引く者たちの、さらなる悪辣な企みがあることを知り、怒りの斬撃を炸裂させる。
井上孫四郎は、将来を有望視される南町奉行所の風烈廻り与力だったが、父親との反目からお役儀返上し、しがない浪人の身となった。貧乏ゆえの金欲しさで町のご隠居の愛犬捜しを引き受けた孫四郎だったが、ある日「お父ちゃんが迷子になった」と言い張る少年に出会う。孫四郎はその父親を必死に捜し出そうとするが、少年親子には並々ならぬ曰く因縁があった…。愛妻や仲間たちの助けを得ながら、はぐれ与力・孫四郎が人情の町、江戸を駆け回る。
世の邪悪に、容赦ない剣を振るう浪人・鬼怒玄三郎。理不尽な悪党を断罪する死斬人を裏稼業に持っていた。豪商・紀伊国屋文左衛門の影の用心棒を務める玄三郎は、幕府御用達を笠に着て、儲けた金で女を泣かし悪逆無道を繰り返す札差商・中内屋竜之助の始末を密かに依頼された。そして同時に、ふとした縁で繋がった女の窮状を救うことになる…。中内屋があぶく銭で雇った無頼漢や、闇の刺客人の凶刃を撥ね返し、玄三郎の剛剣が悪を斬撃する!好評シリーズ第3弾。
草履でどすどすと、剥き出しの尻を踏みつけたー腕っこきだが、下手人を挙げる荒っぽさから“蛇蠍”と忌み嫌われる岡っ引きの捨蔵。強請りたかりもお手の物。信じるものはこの十手のみ。そんな悪党より悪党の俺でも許せねえ奴がいる。先代を殺った野郎に、落とし前はきちっとつけさせてやる。先代の形見、一尺九寸の仕掛十手が、江戸の闇に唸りを上げる。悪漢ヒーローが活躍する新シリーズ第一弾。
両替商から舟の扱いと凄腕を見込まれ、庄内藩江戸藩邸へ二千両を運搬する仕事を請け負った、よろず稼業・小佐々銑十郎。途中、大金を狙って襲ってきた賊を撃退するが、金は庄内藩嫡男の身代金で、一味を討伐したことで、誘拐された若君が危険にさらされると江戸家老は激昂する。だが、誘拐事件には裏があり、銑十郎は意外な展開を見せる後継者争いの陰謀に巻き込まれることに…。好評シリーズ第2弾。
嫁ぎ先である秋月家を逃げ出してきたかつての許嫁・志穂を追っ手に奪われた旗本の次男坊・結城拓馬は、志穂を助けるために佐倉から江戸へ向かった。途中、暴漢に襲われた村娘・みつを救った拓馬は、彼女の家に身を寄せ、夜毎濃厚な交歓のときを過ごす。ある日、江戸へ出た拓馬は、秋月家の女中・なつと知り合い、志穂の様子を聞きだす。その夜、誘われるままになつの家に泊まった拓馬は、志穂への想いをなつへとぶつけていった…。好評「やわひだ」シリーズ第4弾。
本所の一膳飯屋「井筒」の看板娘お蔦は、鬼平も一目おいた名親分の忘れ形見。顔は悪いが、情の厚い御用聞き「不動の井蔵」に溺愛されて育った。太鼓持ち「たぬ忠」が持ってきたお蔦の見合い話を握り潰した直後、井蔵は相手がお手討騒ぎに巻き込まれたと知る。五両で我が子を売った哀しい母の顛末に、浮気医者源庵のおしゃべりが救った貧しい姉妹の話。御用達茶道具屋「洗心堂」の先代夫婦の夫婦愛を描いた全三篇を収録。