出版社 : リヨン社
西シベリア平原では、日・イスラム枢軸国軍と米・ソ連合軍の凄絶な戦闘が繰り広げられていた。次々と使用される日本製ハイテク兵器の前に、ソビエト軍は壊滅状態にあった。逃げまどう避難民の列に、イスラム軍の残忍きわまりない化学兵器が射ち込まれていた。20世紀末に起きた最後の中東戦争でアラブ軍が使用した核兵器によるイスラエル消滅と、2005年の米国による南アフリカの首都プレトリアへの核攻撃後、核兵器は全面撤廃されていたため、核による反撃はできない。皮肉なことに、崩壊へと驀進するソビエトの最後の望みは、米国陸軍第7機動部隊だけだった。第7機動部隊司令官ジョージ・テイラー大佐は、戦況を逆転させるために日本軍基地への奇襲攻撃を企てる。ついに、ノボル・カバタ将軍率いる日本軍との直接戦闘が開始されるのだった…。
1970年、日本に潜在するアメリカ人の人類学者メルヴィルは、情報部と通じているらしき男スウィートウォーターと、旧知の実業家ミスター岳から思わぬ依頼を受けた。西側への亡命を望む中国の一将軍をひそかに連れだしてほしいというのだ。その将軍が目下駐屯する場所はチベットの山中。岳との過去のしがらみと多額の報酬ゆえに依頼を承諾したメルヴィルは、雪深い極寒の秘境に分け入った。
仮借ない大自然の猛威にさらされる中の行軍は困難をきわめた。しかも、周囲には中国軍の目が光り、頼みの綱の原住民ゲリラが留まる村には邪教の権力者の思惑が渦巻いている。やがてようやく問題の将軍と合流できたメルヴィルだが、自分に課せられた真の役割はそのときも知る由がなかった!アントニイ・プライス、テッド・オールビュリーが絶賛した英国の新鋭が放つ冒険サスペンス巨篇。
時は1902年初夏。新王エドワード7世の戴冠式を間近にひかえたロンドンは、奇怪な事件に震えあがった。巨大な魔犬が荒涼たるハムプステッド・ヒースで、浮浪者を襲ったという。あのバスカービルの犬の再来か?これにつづくクロムウェルの遺骨の発掘と盗難、フェリー内の中国人ボーイ殺害と、無関係に思える諸事件の裏に、ひとりシャーロック・ホームズは、邪悪な陰謀を見据えていた。ホームズの時代をあざやかに甦らせた会心作!
テロの嵐が吹き荒れるローマ。野心に燃えるアメリカ人の青年ジャーナリスト、デーヴィッドは大胆きわまりない計画に着手した。秘密のベールに包まれて過激テロ集団『赤い旅団』の内幕を、ノンフィクションと偽って創作しようというのだ。が、同じく『赤い旅団』を追う美貌の女性カメラマン、アリソンと出会ったときから、彼らふたりの周囲には危険な罠が…。映画化された異色サスペンス。
私立探偵カーヴァーは親友の警部補デソトの依頼で、サンヘヴン老人ホームへ赴く。そこに入居中のこの世を去ったデソトの叔父が、サンヘヴンには不審な点があると生前洩らしていたからだ。初め半信半疑だったカーヴァーだが、なぜか彼の調査は凶悪な犯罪者の妨害を受ける。果たしてサンヘヴンに潜む秘密とは?アメリカ私立探偵作家クラブ最優秀長篇賞に輝く入魂のハードボイルド。
戦時中、仲間を敵軍に売ったのはだれだ?-頭部の負傷が原因で失われていた記憶が7年ぶりに戻ったとき、マーティン・シェインの胸中に軍役中の忌まわしい謎がよみがえった。裏切った可能性のある人物は3名。真犯人を突き止めてその命を奪うべく、シェインは雨と霧に煙る街で捜査を開始する。が、行手には恐るべき奸計が待ち受けていた。冒険小説の第一人者が放つ秀逸なサスペンス。
ポーランドでの商談に失敗し、失意のうちに帰国した英国人貿易商メイソンのもとに、ある朝、奇妙な客が訪れる。最近、重病で収容所から釈放された老科学者の回想録入手を依頼するものだった。脅しと法外な謝礼に目がくらんだメイソンは、冬のポーランドに飛ぶ。老教授の家でメイソンは意外な人物に出会う。同国出身で南米で活躍するノーベル賞受賞のコスカ神父だ…。メイソンとコスカに仕掛けられた悪辣な罠。猛吹雪の山中を逃げる2人に敵の魔手が迫る。
アメリカ政財界の大物たちの息子ばかりを集めた全寮制学校が、過激な武装テロ・グループに占拠された。人質となった数十名の生徒の親たちがいずれも政府に影響力を持つため、ホワイトハウスはかつてないほど対応に苦慮する。だが、生徒のひとり、ビリー・テッパーは持ち前の才知と勇気を武器に、大胆かつ奇抜なテロリスト掃討作戦を開始した。スリルとサスペンスに富む話題の映画の原作。
米ソの雪融けを迎えて、両国の指導者は平和サミットを開こうとしていた。その一方、頑ななソ連保守派は両国の新たな関係を阻止するべく、〈カウンター・フォース〉作戦を展開。北太平洋上から、サミット開催中のロサンゼルスとアメリカ全土へ核攻撃をしかけようと最新鋭原潜ブルカンを派遣した。陰謀に気づいたソ連書記長は米大統領に協力を要請。米大統領トライトンが現場に急行するが…。
ソ連の宇宙戦略に不可欠の存在で、世界的に有名なロシア人科学者シャライェズ。妻の不貞が原因で窮地に陥った彼は、西側への亡命を考え始める。折りしも恋仲になった美しいイギリス娘ルシンダとの暮らしを夢見たせいもあった。しかも、幸運なことに彼はスウェーデンの学会に招聘される。が、すべては英国の謀略だった。KGBに監視された彼を亡命させるべく、特殊部隊SASに密命が下った!
英国、スウェーデン、アメリカ、ソ連など、各国の思惑が複雑にからみ合う中、シャライェズ亡命工作は崩壊の危機に瀕していた。ついに英国情報部は最後の賭けに出る。その結果、SASはスウェーデンとノルウェーの国境の峨々たる山岳地帯に派遣された。待ち受けるのはソ連特殊部隊スペツナズの精鋭。猛吹雪の中でプロ同士の死闘が開始された!英国で人気沸騰の俊英が放つ冒険アクション。
ソ連大統領を乗せた特別機が北極上空で謎の爆発。米海軍原潜〈ディファイアンス〉は、急拠墜落現場への出動を命じられる。一方、ソ連軍強硬派の中心人物ミハイル・ハリコフ海軍元帥は、大統領機の墜落は米国の謀略によると主張。ブラック・ボックスを回収し、米国に核の報復をすべく、最新鋭原潜〈ネヴァ〉で北極に向かう。厳寒の海を舞台に、米ソ両超大国のパワー・ゲームが展開される。
結婚3年目のサラは、大西洋に面したリゾート地で、夫とともに夏の休暇を過ごしていた。表面的には幸せな若夫婦に見えたが、夫の異常なまでの潔癖症と暴力に、サラの忍耐は限界に近づきつつあった。逃げるのよ、それも夫が決して自分を捜そうとしないように。嵐の夜、サラは海で溺死したと見せかけ夫のもとを去る。名前を変え、かつらで変装し、小さな町で新しい人生を送ろうとするが…。
映画スター、ニック・ラングのあこがれはシリアスな警官役。そこで役柄研究のため、ニューヨーク市警きってのタフガイ刑事ジョン・モスに、警官としてついて回ることにする。狂気の連続殺人犯パーティ・クラッシャーを追跡中のモスはいかにも迷惑顔だが、それもラングはどこ吹く風。ところが、やがてラングの目の前にクラッシャーが現われて…。スリルと笑いの傑作ユーモア・サスペンス。
若く有能な科学者ペイトン・ウェストレイクは、画期的な人工皮膚の完成を間近にひかえていた。恋人にプロポーズもし、彼の人生は輝いてみえた。そんなとき、たまたま入手した賄賂の証拠となるメモから、すべてが暗転する。メモを取り返しにきたギャングに助手を殺され、ペイトンも研究所ごと爆破されてしまう。拷問と火傷で顔と手を失ったペイトンは、まだ未完成の人口皮膚で巧妙に変装し、彼の人生を踏みにじったギャング一味に着々と復讐し始める…。
一匹狼のパイロット、フィッツジェラルドのもとに、イラン政府との不正取引に応じた実業家から依頼があった。仕事の内容はハーキュリーズC130輸送機を隠密裡にイランへ運ぶこと。承諾したフィッツジェラルドは3人の仲間を集め、緻密な作戦を開始する。が、取引にからむさまざまな男たちの欲と野望が招くのは、二重、三重の裏切りの罠だった。英国航空小説の鬼才が放つ大型サスペンス。