出版社 : 中央公論新社
「小沢長官と『鳥海』が助かっただけではない。我々は、歴史的な瞬間に立ち会ったことになる」 長年、列国の海軍において「航空機と戦艦はどちらが強いか」という論争が戦わされてきた。その決着が、たった今ついた。 洋上で作戦行動中の戦艦に、航空機が打ち勝ったのだ。 航空機による攻撃は、英国海軍最新鋭艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を沈没せしめ、南遣艦隊は窮地から脱したかに見えた。しかし米太平洋艦隊の主力部隊が近づきつつある。勝敗の行方はまだつかないーー
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。 なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」 一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのかーー。 圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。
プリンストン大学図書館の厳重な警備を破り、フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された。消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル。その行方を追う捜査線上に浮かんだブルース・ケーブルはフロリダで独立系書店を営む名物店主。「ベイ・ブックス」を情熱的に切り盛りするこの男には、希覯本収集家というもう一つの顔があった。真相を探るべく送り込まれたのは新進小説家のマーサー・マン。女性作家との“交流”にも積極的なブルースに近づき、秘密の核心に迫ろうとするが…。あのグリシャムの新たな魅力を楽しむ本好きのための快作!全米ベストセラー。
会員になれば3ヵ月で結婚できるーーそんな評判を耳にして、青山の一等地に事務所を構える「スマイル結婚相談所」に、今日も男女が訪ねてくる。30代食品メーカー勤務女性、30代洋酒メーカー勤務男性、20代家事手伝い女性、30歳医薬品メーカー研究者……。彼らはなぜこれまで結婚しなかったのか? 実は二人とも独身の44歳社長・岸本達也と34歳スタッフ・葉山希が、その謎に迫る!
読売新聞オンライン連載中からその一騎当千ぶりが話題をさらった、汀・泉・澪の花城三姉妹が、沖縄、東京、鹿児島、福岡、山口、台湾を縦横無尽に疾駆する! 失われた「海神の秘宝」を巡り、三姉妹の欲望と三大国の思惑が錯綜するーー冠前絶後の冒険小説。 山田風太郎賞受賞作『ヒストリア』から三年、満を持して贈る受賞第一作。 【目次】 第一章 失われた秘宝 第二章 三姉妹の夢 第三章 相続人の行方 第四章 古墳は囁く 第五章 銅鏡と貝輪 第六章 暗躍する男 第七章 純白の平和と黒いアイドル 第八章 海神島の正体 第九章 見捨てられた疎開船 第十章 海底の決闘 第十一章 禁断の島へ 第十二章 太古からのメッセージ
昭和一六年、日米両国の関係はもはや戦争を回避できぬところまで悪化。連合艦隊は開戦に向けて防空巡洋艦「青葉」「加古」を前線に出す。主砲すべてを高角砲に換装し、空母機動部隊を航空攻撃から守るために改装された艦である。だが「青葉」「加古」両艦は真珠湾攻撃への参加を見送られ、マレー・シンガポール攻略を担当する南方部隊に配属される。果たして、南方作戦に防空巡洋艦の出番はあるのか…。その時、陸海軍、いや日本中を動転させる驚愕の情報が飛び込んできた!新シリーズ開幕!
男は命をかけて闘い、命をかけて愛したー。1998年6月にC★NOVELSとして刊行された本作は全く注目されることもなく絶版。それから14年後、世紀が変わった2012年に大幅改稿を経て文庫化し大ヒット作となり、累計110万部を超える人気シリーズ“もぐら”が誕生した。ほとんど読まれることのなかった主人公・影野竜司の初登場作を、読者の要望に応え復刻。荒々しくも心癒やす読後感!著者特別寄稿「熱量の正体」収録。
第二次世界大戦で勝利したドイツ第三帝国は、カナダで抗戦を続ける英国を追い北米に侵攻。欧州を制圧した強大な軍事力による電撃攻勢と、史上初の反応弾攻撃で合衆国を崩壊させた。ここに、日英同盟対ドイツの第三次世界大戦が勃発! 著者最大のシリーズを合本する愛蔵版。第一巻には本篇1「合衆国侵攻作戦」、本篇2「迫撃の鉄十字」、本篇3「反撃の旭日旗」を収録。
母は、わたしの恥部だったーー 申し分のない夫・聖司と結婚し、〈ふつう〉の幸せになじもうとするも、にわかに体と心は夫を拒み、性の繋がりも歪になっていくーー密かに声を殺して生きた子ども時代の〈傷〉に気づくとき、台湾の祖母、叔母、そして異国に渡った母の一生が心を揺らす。 夫と妻、親と子それぞれの〈過ち〉を見つめる心温まる長編小説
あの男ー小早川が熱海に帰ってきた。小早川は、殺人罪で六年の刑期を務め出所したのだ。熱海と湯河原でクラブを経営していた美人ママを絞殺したという事件であった。小早川の出現により、平穏な温泉町に得体の知れない緊張が走る。そして二週間後、湯河原に住む公認会計士が、熱海のホテルで何者かに射殺された。そんな折、警視庁の十津川警部が、一月前に東京の成城で起きた幼女誘拐事件の容疑者として小早川に接近するが、さらに殺人が…。十津川は六年前の殺人事件から、細い糸をたぐり寄せるが!?
雑誌「歴史サーチ」の編集部員・菅原誠一は、特集企画「八甲田山雪中行軍遭難事件」を担当することになった。遭難死した兵士の数が記録によって違うことに気づいた彼は、青森で取材を開始。当時の悲惨な状況を改めて知る。特集企画は成功を収め、社長からもう一度、特集を組むこと指示された菅原は、再び青森を訪れた。遭難死した兵士数の違いにこだわる彼は、遭難事件の半年後に病死した稲田庸三一等卒に注目。取材のため、地元ガイドの小山内ととともに冬の八甲田に足を踏み入れた、菅原が見たものとは一体ーー。話題の歴史小説『茶聖』の人気作家が、世にも有名な「八甲田山雪中行軍遭難事件」を題材に挑んだ、傑作クライムノベル!
27歳、元甲子園球児。地元の期待を背負い、プロ野球選手になるも戦力外通告。故郷から逃げ、今はスーパーで働く普通の男。それでも、人の夢を後押ししたい。35歳、お笑い芸人。芸歴15年。バイトしながら妊娠中の妻と安アパートで暮らす。売れなければ、もう食っていけないかもしれない。それでも、夢は諦めない。お笑いがなくても人は生活していけるし、世の中は回る。でも芸人がいない世界より、芸人がいる世界の方がずっと楽しい。憂鬱な気分も笑い飛ばす、感動の逆転劇!!
連合艦隊は奇策により、ラバウルに迫る米艦隊に大打撃を与えて撃退することに成功した。戦力を整えるための時間を稼いだ日本軍は、「信濃」「陸奥」の両空母と新型戦闘機「陣風」を配備するが、この戦力で次なる来寇に抗し得るのであろうか。日本の完全屈服を目論む米国は、首相となった山本五十六の講和の申し出をも一蹴、かつてない大兵力をもって攻勢作戦を発動した。果たしてこれが最後の戦いになるのか?山本が目指した日米講和は結実するのかー。シリーズ最終巻。
「飢饉に沈む人々に元気を与えたい」。 男たちの熱い想いがあの花火大会を生んだ。 時は享保。江戸の町は飢饉に沈み、失業者、果ては餓死者までが出る始末。為政者ですら救えないこの町を、文字通り明るく照らそうとする男がいた。花火師・六代目鍵屋弥兵衛。困った人を放っておけないこの男は、江戸中の人を放っておけなかったーー! 弥兵衛は自らの小さな工場に仲間を集め、ある計画を練り始める。大川(のちの隅田川)で、将軍の号令のもとに行われる「水神祭」。その場に江戸中の人を集め、一世一代の大仕掛けを披露することであった。