出版社 : 中央公論新社
ひとつの言葉が世界を変えた-万能著述支援用マシン“ワーカム”を結ぶニューロネットワークに、ある時、異次元言語空間が生まれた。ネット内で変容し増殖する異次元は、人々の言語中枢を侵蝕していく。そして世界は…。
小奴の澄子、久千代の民江、花勇の貞子、染弥の妙子ー戦争という苛酷な運命を背景に、まだいたいけな少女の身で、金と男と意地が相手の稼業に身を投じた四人の女がたどる、哀しくも勁い愛の生涯を描ききる傑作長篇小説。女流文学賞受賞作。
愛の王国をさまよう青春。マドリード、バルセロナ、グラナダ、サラマンカ。スペインを背景に、劇的に展開される痛切な愛と死の物語。世界的なフラメンコ・ダンサーである著者による、初めての自伝的書下し長篇。
ペリー艦隊来航時、主席通詞としての重責を果たしながら、思いもかけぬ罪に問われて入牢すること四年余。その後、日本初の本格的な英和辞書「英和対訳袖珍辞書」を編纂した堀達之助。歴史の大転換期を生きた彼の劇的な生涯を通して、激動する時代の日本と日本人の姿を克明に描き尽くした雄編。
美女伏姫の体から飛びちった八つの霊玉。その化身、智勇兼備の犬塚信乃、化け猫退治の犬飼現八ら八人の犬士。行く手をはばむ希代の悪人、毒婦たち-。滝沢馬琴の原作を時代小説の名手が平明な現代語によみがえらせた見事な絵草紙。総挿画五十一葉入。
アラベスクとジャパネスク大正浪漫とボンデージ。友愛、征服、そしてサディズムとマゾヒズム。相反する混沌が妖しく融けあい、少年たちの官能はやがて静かに薫りたつ。SFの異才が狂気とエロス渦巻く仮想空間にメタファーな眩惑を企む禁断の耽美冒険浪漫。
両親の離婚、新天地を求める旅の日々、継父の容赦ない仕打ち-。逆境にあっても活力に満ち、逞しく成長していく〈現代のトム・ソーヤ〉を生き生きと描く。現代アメリカ文学界を代表する実力派作家の自伝的長篇小説。
播磨の悪党の首魁には大きすぎる夢だった。大望を抱いて時を待ち、遂に兵を挙げた。寡兵を率いて敗北を知らず、建武擾乱の行方を決めた男-赤松円心則村。大塔宮、正成、尊氏が征く。大義に生きた英傑に伍して、悪党として、おのがために闘い続けた赤松一族を通して描く、北方太平記京畿の巻。
居候をつづける男友だち、クラブのママをしていた若い継母、年代の違う3人の縁談相手、それぞれの憶測と思惑の中から喜久子が愛をみつけたとき…。30歳で家を建てた独身OLの愛のさまよい。