出版社 : 作品社
1930年代、ソウルの路地裏。幼いノマと、その友だちトルトリ、ヨンイ、そしてキドンイが繰り広げる日常の物語。貧しくも、元気いっぱいの子ども時代。どこか懐かしい気持ちになる、大人のための童話集。
大学受験を控える高校生の少年が夏休みにプールの監視員のバイトをしていると、ある男から小学生の息子に水泳を教えてほしいと頼まれ、やがて、少年を自宅に招いた男は長い口づけをする…。高校生から大学生へと成長する少年のひと夏の経験が語られる、本集最年少の新星による表題作のほか、全十一篇を収録。
田舎町に魚売りの娘として生まれ、ソウルにわび住まいする大学生ビトナは、病を得て外出もままならない裕福な女性に、自らが作り出したいくつもの物語を語り聞かせる役目を得る。少女の物語は、そして二人の関係は、どこに辿り着くのかー。ノーベル文学賞作家が描く人間の生。
いまふたたび熱い注目を集める作家・都筑道夫が手がけた、翻訳にして創作“創訳”ミステリ小説3作品を一挙復刻!底本の書影・口絵・挿絵を収録!エッセイ・解説・註によって「ツヅキ流翻案術」を解剖!
昭和二十年の夏、敗戦によっていきなり奈落の底へ突き落とされた陸軍幼年学校の少年兵たちーその懊悩と混乱の中で引き起こされる精神のドラマを鮮烈に描いた問題作!
「ほんとうの悲劇にはいつも滑稽な要素があるのよね」大学生の主人公は、乗っていた車に自分からぶつかり飛ばされた謎の少女・品琴に興味をひかれ、調べていくうちに、バナナ畑のなかで暮らす彼女の家族とある宗教団体の関係を突き止める…。新世代作家の期待の星による、家族の秘密をめぐる怪奇的で幻想的な表題作のほか、中篇全三篇を収録する小説集。
張赫宙は、かつては、魯迅と相並ぶ、アジアを代表する作家と称された。しかし、植民地期朝鮮の作家として日本語で活躍したため、張の文学は戦後社会に帰属先を失い、長い間、漂流してきた。現在、多文化、多言語における「近代」の急速な見直しが進められるなか、「世界文学」としてその作品は再び注目されはじめている。本書は、代表作「仁王洞時代」をはじめ、文学的な価値が高いものを中心に珠玉の短編を編む。
恋愛結婚と出産を経て、幸せな家庭を手にしたはずの主人公が、「よき娘」「よき妻」を演じてきた人形のような過去に別れを告げ、同性への愛に生きる決心をする…その後の台湾レズビアン文学に大きな影響を与えた表題作「蝶のしるし」のほか、女性作家の小説全八篇を収録。
深い孤独に絡みつかれながら、荒漠たる異国の地を彷徨するパリの日本人たち。いくつもの狂気に取り巻かれ精神の牢獄に囚われた男女が幾重ものドラマを織りなしていくー『フランドルの冬』に続く、第二長篇。
ベンチャーズの衝撃で世界が変わった。四国の田舎町の高校生たちが繰り広げるロックと友情、淡い恋と笑いに満ちた永遠の青春・音楽小説。受賞作の2倍=800枚を完全収録!完全オリジナル版!
承久の乱に勝利し、治天の君と称された後鳥羽院らを流罪とした「逆臣」でありながら、たった一枚の肖像画さえ存在しない「顔のない権力者」。謎に包まれた鎌倉幕府二代執権の姿と彼の生きた動乱の時代を、超豪華作家陣が描き出す。
愛する両親を喪い、悲しみに暮れる乙女エミリーは、叔母の夫である尊大な男モントーニの手に落ちて、イタリア山中の不気味な古城に幽閉されてしまうー。刊行から227年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳!
北フランスの荒涼とした低地帯にある精神科病院を舞台に、若き日本人精神科医とその仲間たちが繰り広げる魂の群像劇。自らの留学体験をもとにした長篇デビュー作。芸術選奨新人賞受賞。
聖徳太子千四百年遠忌記念出版。稀代の歴史小説作家の遺作となった全集未収録長篇小説『聖徳太子』に、“悪人列伝”シリーズの劈頭を飾る「蘇我入鹿」を併録。海音寺古代史のオリジナル編集版。