出版社 : 光文社
名作『野菊の墓』に隠された謎が、殺人事件の鍵を握る。「日比野さんは殺された…」北峰瞳子と名乗る女性から東邦新聞に殺人を告発する電話が入った。社会部記者・瀬沼は事件を追う。一方、同新聞の文芸部勤務の牧田は、一通の投書に興味を持つ。『野菊の墓』には、恐るべき秘密があるというその投書にも、瞳子の名前が…。
湾岸戦争によって世界は新しい局面を切り開かれ、ソビエト体制の崩壊は、拍車をかけた。政治、経済、軍事は次なるバランスを求めてうごめいていた。-小暮勇、52歳。倒産により失業中の彼は、念願のアメリカ一人旅に出たが、思わぬ事件に巻き込まれた。中東の武器調達、米ソの暗部…。“秘密の領域”に対し、小暮はその経験と知識を武器に死闘を開始した。
’89年F1GP。元F1ドライヴァー、ピート・ホーソンは、新規参入のヴィターレ・チームから誘いを受ける。願ってもないF1復帰。が、チームのオーナーは、19年前、ラリー出場中に謎の失踪をしたピートの父の雇い主でもあった。事件の真相に迫るピート。開幕戦のシグナルは赤から緑に。-栄光のチェッカーめざして疾走するマシン。限界に挑むドライヴァー。華やかなサーキットの陰では、もうひとつのバトルが…。シリーズ第1弾。
1975年、ワシントン。タクシーの中で発作を起こした客が残したアタッシェケース。中身は門外不出の対ソ戦略極秘文書だった。運転手が匿名でホワイトハウスに送り返したことから、政府中枢にソ連スパイが潜入していることが明らかになる。だが、その大物スパイは、この日に備えて捨て駒を用意していた…。諜報活動の本質を描いた第一級の本格スパイ小説。
夢の酒を造るため、集まった江崎恭平、棚橋藤子ら十四人。いよいよ最初の吟醸酒ができあがった。ところが、その酒「修羅の露」に絡んで、密室状況で二人が殺された。さらに銘酒コンテストの会場でも、衆人環視の中、大胆な殺人が…。マスコミによってスキャンダルが仕立てあげられる中、江崎たちは真相を探る。しかし、容疑者は二転、三転。その間にも、さらに殺人が…真犯人の目的はどこに?日本酒をこよなく愛している著者が、深い造詣を傾けながら情趣豊かに描いた、まさに香り高く味わい深い本格ミステリー、渾身の書下ろしで登場!
西村香織。丸の内にある鉄鋼会社に勤める普通のOL。が、給料は同僚の女性たちよりもかなりいい。彼女の語学力が買われ、外国からのお客さんの接待係も任されているからだ。いつもは観劇などへの同行であったが、そのアメリカ人の場合は違った。米軍基地に連れていられた彼女は、銃を撃つように言われた。しかも全裸で…。
「満たされないわ。満たされないわ」すべてに恵まれていて、思う存分自由奔放に生きている孔雀警視が、突如、結婚願望におそわれた。すかさずつけ入ったのは、何やらいわくありげな精神科医。三人の妻が死ぬたびに、多額の保険金を受け取っていた男、しっかりしろ笙子。虎田警視監の命を受け、笙子の恋人ヒロシは初秋の北海道へ飛ぶ。超人気シリーズ第21弾。
浜名湖に近い別荘で、所有者の江沢清彦が何者かに全裸で殺害された。一緒にいた女性は忽然と行方を絶ち、さらに近くのモーテルからも男の死体が…。ひと晩に、眼と鼻の先で起きた二つの殺人事件。果たして、同一犯人による仕業か。カウンセラー、特別秘密捜査官と、二つの顔をもつ赤垣美晴が、男女の性の葛藤を捌く、大好評“赤い闇の未亡人”シリーズ。
「いい加減にしなさいよ。いったい自分を何様だと思っているの。離婚しましょ!」翔子の搭乗便で、成田離婚ならぬ、機内離婚騒ぎが持ち上がった。とばっちりを受けた翔子は、新妻からは相談され、夫からは逆恨み…。ところが、成田到着の数日後、二人が相次いで死体となって発見され、翔子にも容疑が。今度はオーストラリアで大活劇。好評シリーズ第二弾。
銀座で般若の面を付けた男の絞殺死体が発見された。被害者は能登の町役場の嘱託で、町おこしのために「鬼の棲む里」キャンペーンを促進していた民俗研究家。ちょうど、その町に取材に出かけていた旅行ライター・江本は、町の観光化をめぐる、町長派と反対派の暗闘をかいま見る。「鬼女伝説」に隠された秘密とは?書下ろしミステリー力作。
「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
ご存じ、赤かぶ検事が光文社文庫に初登場。しかもシリーズ初の長編書下ろしで、名推理。赤かぶ検事と行天燎子警部補は、出張の帰途、信州・更埴市の「あんずの里」に立ち寄った。二人はそこで、髪をバッサリ切られた若い女の変死体を見つける。一方、松本で、その女の髪の毛を用いた京人形が、男の他殺体とともに発見された。人形をめぐる奇怪な連続殺人。
英秘密情報局局員サムソンの妻フィオーナの裏切り、KGB高官の亡命、莫大な公金紛失事件、そして東西の暗闘の渦中で消されたいくつもの生命…。過去十年にわたり発生した、これら一連の事件の黒幕は誰か。深謀を巡らし、仕掛けられた“シンカー作戦”とは。ベルリンの壁崩壊の真相がいま…。-’83年の『ベルリン・ゲーム』以降計七冊。訳文総量8100枚。巨匠レン・デイトンの最高傑作、史上最長のスパイ・ストーリー遂に完結。
横浜の港の見える丘公園で、エリート社員・久保木が絞殺された。県警の薬師寺は、久保木のライバルに着目するが、彼には第三者によるアリバイが。数日後、長崎での久保木の葬儀前夜、第二の殺人が起きた。苦悩する薬師寺は、妹の友人・美緒とその恋人・壮に相談、新たな視点から事件に取り組むが、そこにも時間の壁が立ちはだかっていた。アリバイ崩しの本格推理。
遣唐副使として唐に渡ったまま行方不明となった父・石根を求め、道麻呂はかの地へ赴いた。20数年の歳月を経て、ようやく出会った父は、あまりにもおぞましい姿に変わり果て…。直木賞受賞の表題作のほか、オール新人杯第1回受賞作「子守りの殿」、異色作「水妖記」など初期の作品6編を収録。直木賞受賞までの歴史小説をすべて網羅した、巨匠の原点。
コンピューターメーカー・東洋電気と警察庁が、ある目的のためコンピューターによる“個人監視システム”を極秘に完成させた。しかし天才ハッカーを擁する秘密組織がこのことを察知、「二日以内に百億ドルを用意せよ」と警察庁を脅迫する。協力を要求された東洋電気は、システムの開発者・長我部萌子にハッカー対策を要請。だが、長我部はなぜか突如失踪、二日間のタイムリミットが迫る中、長我部を求め、彼女の同僚・吾妻圭介が必死の追跡を行なうが…。巨悪の殺意が吾妻を襲う。疾る戦慄、溢れるスピード感、期待の大型新鋭が抉る情報社会の裏面。新感覚ニューウェイブ・ハードサスペンス書下ろし力作。
一代で財を成した一ケ原高顕が死んだ。妻子を持たない高顕の莫大な遺産の相続にあたって、生前彼が残した遺言書が一族の前で公開されることになった。一族は高顕がオーナーだった、“回廊亭”と呼ばれる旅館に集められた。さらに、一族の他に、本間菊代という老婆が関係者という形で、回廊亭に招待されていた。だが、菊代の真の目的は別なところにあった。半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探るためにやってきたのだった。その夜、第一の殺人が。心中事件に絡んで巻き起こる回廊亭での怪事件、何がここで起こったのか?そして、何がここで起こるのか。著者の新境地を拓いた、書下ろし長編推理小説力作。
田坂元太郎は、大手の家庭電化製品販売会社の開発係長。33歳。バリバリ働いて、女性にはモテモテなのに、評判の恐妻家であった。ところが、ある夜、不倫の味を知り、人生観が一変した。女性はすべて恋人である。彼はカチカチカクテルを発明し、OL、社長秘書、モデル…と次々に昇天させ、その結果、出世の糸口を掴んでいく。娯楽と実益をかねた、勤め人の清涼剤。
「ポルシェ959で高速道路を350キロで走ってみせる」元レーシング・ドライバー・唐山から、公安二課に不敵な挑戦状が届いた。唐山の真の狙いは?急遽、特捜刑事に任命された高速隊のはみ出し者、天宮駿介は激しいバトルのすえ、中央道・阿智P・Aの先で唐山を追いつめた。が、突然狙撃され、しかもポルシェは忽然と姿を消した。迫真のカーアクション傑作。