出版社 : 光文社
1945年8月、出撃を目前にした「神風」特攻隊員原田に信じ難い命令が下った。「戦争は終わった。全員引き揚げよ!」憤怒と恥辱にまみれ、玉音放送に聞き入る原田。この時、彼は復讐を誓った。“いつの日にか、この無念を晴らしてやる!”1991年12月、真珠湾。日米首脳が一堂に会した開戦50周年記念式典の上空に一機のゼロ戦が飛来した。機上には、「神風」の鉢巻きをしめた老いた原田が…。ミリタリー・ノベルの鬼才が放つ問題作。
源義経の秘宝を狙う宝探し屋・橋爪竜助に、戦慄の妖魔軍の襲撃が。念法の達人・工藤明彦は旧友・橋爪の危機に駆け付ける。さらに魔人・由比もまた、秘宝を狙い、工藤らを襲う。三つ巴の死闘、烈闘、奇闘!妖魔軍は青年剣士・風街と橋爪の娘・美鈴を強奪。工藤が、由比が、妖魔の本拠・地下王宮へ-。しかし秘宝を守る最強妖魔群が狂暴化、王宮は淫気魔風の坩堝と化した。そして、念法を封じられた工藤に、義経「復活」をかけて恐るべき罠が。息もつかせぬ「妖」と「淫」、著者のすべてのパワーを叩き込み、読者を興奮の熱波で呑み込む『妖魔淫獄』全4巻ここに圧倒的な完結。
群雄割拠し、非道罷りとおる戦国時代。血腥い争乱の世に、天下統一の凱歌を奏したのは、今川でも武田でもなく、冷酷な将・織田信長であった。桶狭間を血に染め、比叡山を炎の地獄絵図に変えた男…だが、信長の背後には、彼を操り世を乱す怪しの幻術師・修羅丸がいた。かつてなき烈しい戦時を生きた梟雄たちと、夢幻の人世を描きだす、著者会心の大河小説。
ロンドンのワイン商ウォーナー。少しばかり退屈だが、何不自由ない暮らしの中年男…。そんな彼に、突然、一発の銃弾。ウォーナーを狙った犯人は、逃げ込んだ底なし沼に沈む。だが、続けて第二、第三の暗殺者が。なぜ、なぜ狙われるのか。身に覚えはない。自ら事件を解明すべく、ウォーナーは見えぬ敵に反撃を開始した。そして結末は意外にも…。-“大型新人の素晴らしいデビュー作”と英米紙絶賛の異色冒険小説、シリーズ第1弾。
江戸川乱歩の未発表小説が発見された。雑誌に連載されたその小説の題名は『白骨鬼』-その内容は次のようなものだった。ある理由で南紀・白浜を訪れた乱歩は、自殺の名所『三段壁』で起きた首吊り事件に遭遇する。首吊り自殺した学生・塚本直は、死の直前まで怪異な奇行を繰り返し、自殺した姿も異様なものであった。その奇行を知り、自殺に疑惑を抱いた乱歩と詩人・萩原朔太郎は、強烈な推理合戦を繰り広げるが。-だが、作者名のないこの連載小説には、恐るべきカラクリがあった。衝撃の大どんでん返し、大胆かつ精緻なトリックで虚と実を融合させた、新鋭が描く新本格推理の白眉。
刑事安芸新八の妻・真澄は、一人息子の守介を連れて郷里の新潟県十日町に向かっていた。途中、豊富な金の産出で賑わう国分村に立ち寄った際、飢えた七人の少年に襲われ、守介は撲殺され、真澄は性交奴隷として飼われるはめに…。行方を追う新八も村人の罠に落ちた。復讐に燃え、鬼と化した夫と妻の凄絶な怨念を描く著者渾身のハード・バイオレンス衝撃作。
「あなたの一生は楽しかった?」玉井葬儀社のタマ子社長は霊柩車に同乗し、棺に向かって話しかけた。遺体は知り合いのフジキ製薬創業者の未亡人。ところが、中から男性の声がして、背広姿の若者が現われたのだ。誰が遺体を摩り替えたのか。おばあさんはどこに消えたのか。莫大な遺産を狙う企みに、ゴッドマザーこと玉井タマ子と逞しい五人の子供が再び正義の挑戦。
紅翔子は、新宿・歌舞伎町の寿司屋の一人娘。そして、花の新人スチュワーデスだ。ミステリー大好きで姐御肌の翔子は、いつも事件に巻き込まれて大騒ぎ!?厳しいチェックを通過して、憧れの国際線の初フライト。そのステイ先のロスで、翔子はなんと、連続スチュワーデス殺しの犯人に狙われた。恋と仕事と冒険のスチュワーデス探偵物語、シリーズ第一弾。
嘉手納広海、25歳、表参道にある広告代理店に勤めるコピーライター。ある日、彼女の企画したキャンペーンがボツだと告げられ、コピーの変更を指示された。クビを覚悟で断わった彼女は、制作局長からある特別な仕事を命じられた…。自分の“スタイル”を持つ大人の女を主人公に、スリリングにハードボイルドタッチで描く、著者新境地の書下ろし。
「女子大生誘拐事件」「熱海別荘殺人事件」「ローカル鉄道の怪事件」など12の難事件、怪事件をあなたの頭をフル回転させて解決してほしい。『おもしろ推理パズル』シリーズ6冊目のこの本では、ちょっと趣向を変えて、推理トリック研究家の久我京介氏に登場してもらった。
中山雅之は、売れっ子の音楽プロデューサー。もうすぐ40代に突入なんだが、ギョーカイ人にありがちなパターン、流行モノに詳しくてノリが軽いから、まだ20代に見られるのは珍しいことじゃない。おまけに裕福な家の次男坊で一流大学卒。独身。本人いわく「モテすぎて困る」ほどだった雅之が、本気になった相手は。男と女、恋愛と結婚を前向きに考えてみると…。
Kブライダルセンターに一通の手紙が舞い込んだ。「貴社の仕事は愛を冒とくするものだ。ただちに中止せよ」誰かのいたずらかと無視していたが、センターのOLが散弾銃で撃ち殺されてしまい、死体の上には花束が…。折りしも翌週に「愛の花束」と銘うった集団見合いが企画されていた。片山刑事、晴美たちもこの見合いに出席するが…。スリル満載のシリーズ15弾。
営業部長の妻がロックされた団地七階の自宅で頚骨を折られて死んでいた。つづいて総務部長の娘が謎の自殺を。そのうえ宣伝部副部長が浴槽から溺死体で発見された。関係者がみなヨコハマ自動車の社員か家族であり、殺人現場がいずれも密室風であることから、社内に戦慄が走った。そこでOL探偵団が結成されたが、姿なき殺人者の手は彼女たちにものびてくる。
高木彬光の生み出した5人の名探偵、神津恭介、大前田英策、百谷泉一郎、近松茂道、そして、霧島三郎。五人五様の推理の冴えを競う、文庫未収録作品3編を含む推理ファン必読の作品集。-東大法医学教室の助教授・神津恭介のもとに奇怪な事件が持ち込まれた。7年前に父親が失踪し、最近部屋に血の雨が降るという。しかも血には血液型がなかった。(「幽霊の血」)。
三味線片手に、諸国を旅して歩く門付け女、お丹。息をのむほど美しい新内の名手。彼女を一目見た男は、すべて艶やかな色香の虜になってしまう。ところが実は、無類の力持ち。東海道の宿々で、美貌と怪力にもの言わせ、近寄る男たちを手玉にとりつつ、荒稼ぎ。御金蔵破りの助っ人やら、山賊、果ては大名の姫君の替え玉役まで、奔放に生きる怪美女の痛快旅日記。