出版社 : 光文社
ベルが紘一を振り返らせた。キャロラインが自転車を止め、片っぽうの赤い運動靴の足を地面につっぱったところだった。「送って行くわ」(表題作)。孤独な編集者や下級外交官夫人の“冒険”、元プロ野球選手の娘の失恋…。ニューヨークで暮らす日本人たち。十の男と女の物語を、マンハッタンの風俗を織りこみながらつづる。
南アフリカで、日本企業の多くがオフィスを構えるビルが爆破された。一方、西ドイツでは日本人学校の生徒の誘拐事件が!さらにタイでも…。犯行は『悪魔の劇場』と名乗るテロ組織。一連の事件は、やがて謎の集団の恐るべき目的を明らかにしていくのだった。国際社会を舞台に壮大なスケールで展開する陰謀ノベルの大作。
ドイツと日本を股にかけた誘拐事件…その真相を追うICPOの京増は、『悪魔の劇場』の手によって射殺される。また、往年の腕利き特務機関員である坂主は、愛孫を誘拐した犯人グループの標的が、実は自分自身であることを察知!謎の鍵を解くためタイへ飛ぶ。本格スパイ物の第一人者が世界的恐怖の実態を描く巨編、完結。
猿飛佐助と穴山小助、由利鎌之助たちは、駿府へ向かう家康を東海道で襲撃しようと計画を練る。いざ、と身構えたとき、思わぬ邪魔が入った。三好清海入道、伊三入道の二人が、行列に殴り込みをかけたのだ。
深夜、17分署の一級刑事“モンク”に呼び出しがかかった。事件発生。パーク・アヴェニューの高級マンションで男女の全裸死体発見。男は英国の女首相の不肖の弟、女はKGBのスパイだった。英国からは首相の特使が派遣され、KGBはスパイを使って犯人を探る。ホワイトハウスの高官もからんで、事件は意外な展開を…。-ニューヨーク市警17分署を舞台に、大都会の犯罪と人間模様を見事に描いた警察小説の秀作。
〈声楽コンクール〉の前夜、優勝候補のナンバーワンの井田貴子が何者かに狙われ、咽喉に悪い激辛の薬味をサラダに入れられた!不測の事態の発生を恐れた審査委員長の要請で、しぶしぶ会場に出かけた警視庁捜査一課の片山義太郎と妹の晴美、石津刑事と三毛猫ホームズの一行。はたして会場周辺で不穏な動きが…!?貴子はライバルの恭子が怪しいというが、犯人は意外にも…!?超人気シリーズ珠玉の短編三編に、著者の自伝的エッセイ「三毛猫ホームズの青春ノート」を加え、待望のシリーズ第17弾登場!
実業家・黒住泰造のもとに、“殺されかけたお前の息子より”という奇妙な脅迫状が届いた。脅迫者は、25年前に岩手県宮古市で起きた母子放火殺人事件の犯人が黒住であると述べ、その口止め料として3千万円を要求してきた。殺されかけた息子とは誰なのか!?公になることを恐れた黒住が、独自に脅迫者の正体を調査し始めた矢先、執事の池上が密室状態の部屋で短剣で刺されて殺された。謎の脅迫者の犯行なのか。捜査に乗り出した警視庁捜査一課の八木沢警部補と新米刑事の村岡は、殺人と脅迫事件とを結ぶ鍵となる25年前の惨劇を追うが…黒住の別荘で第二の密室殺人が。密室トリックで読者に挑戦、書下ろし長編推理小説渾身作。
28階のホテル『ハイライズ下町』が国際通りに華ばなしくオープンした。ロビーは往来と同じで、人間模様の縮図となった。掏模も忍び込み、コールガールも現われる。果たせるかな開業早々、奇妙な事件が発生!ホテル専属探偵(ディック)こと田辺素直元刑事の名推理が冴え、事件ごとに読者の期待を高めていく。浅草の風俗も活写した名作。
売れないタレントの鳩村八一は、ある夜ふとしたことから、美貌の人妻と巡り合う。罠にはまり、夫殺しの容疑で追われているという。その女・岡部安芸子の妖しい魅力にひかれた鳩村は、彼女の無実を晴らすため、真犯人捜しを決心するが、事件は意外な方向へ…。計られたのは牡か、牝か。人間心理の謎を抉る傑作長編推理。
博多行きの寝台特急「あさかぜ1号」2人用個室で、現金1千万円を持つ本田徳一郎が毒殺された!連れの女性はなぜか事件直前に、岡山で途中下車していた。この謎の美人・白井マユミに、車中で惹かれた警視庁杉本刑事は、単身、尾行を開始。彼女の乗った「北斗4号」「おおとり」でも第2、第3の殺人が…!3人の被害者の共通項は?死を呼ぶ女-マユミの正体は?異色のトラベル&ラブ・ミステリー秀作!
純白のドレスに、真っ赤なしみがついた。観客が騒ぎだした。オペラの舞台上で、本物の殺人を目撃した孔雀警視は、そのまま怪事件の渦中へ!謎の館に幽閉され、全裸で縛りあげられて、鞭とローソクで…。つぎつぎ起こる奇怪な殺人、そして若き人形師への恋の予感!恋と事件が大好きな、おなじみ笙子の大冒険、第13弾。
丸の内銀行、東京駅前支店に大変な美人がいる。中上川良子、銀行の創業者中上川弥太介翁の孫娘である。一般行員にはアンタッチャブルのこのお嬢様がなんと、関東ではもはやただ一つの賭場を取り仕切る二代目賭博師であった!美人賭博師が男たちをしり目に、次々と起こる難問題に立ち向かう好評“博徒シリーズ”第2弾。
決戦のときは来た!輪廻転生を繰り返し、千数百年に及ぶ呪いとの戦いを続けてきた姫と5鬼。果たして、完全なる勝利を得て富士に封印された仲間の霊を解放することができるのか。強敵に立ち向かう彼らの胸に、初戦での凄惨な敗北が蘇る…。興奮、驚愕、恐怖、官能…すべてが凝縮されて結集。
ーニューヨークの北東、ロングアイランド島の高級リゾート地、ハンプトン・ビーチに埋められていた男の死体。男の名はヴィクター・アンボイズ。郷土史家。アンボイズは、百年まえに消えたという島の土地権利書の秘密を握っていた。だが、地元の警察はインディアンの青年を犯人に仕立てて、事件の真相をもみ消そうと…。-ハーヴァード大学出身の異色警官シュワーツが、休暇を返上して事件に挑む。好評シリーズ第2弾。
茨城県東海村にある東海第2原発に異常震動が発生!日本原子力研究所の湯原博士は原子炉を停止させるが、東菱研究所の井沢は、形ばかりの点検を済ませると、独断で運転再開に踏みきった。だが、再び異常震動が起こり、原子炉は破滅への暴走を始めた!膨大な資料を駆使し、原発倒壊の悲劇を赤裸々に描いて世界に問う、著者渾身の書下ろし長編小説衝撃作!
スナックのホステス、森園由香子が絞殺体で発見され、森園の愛人で、区役所に勤務する郷秀哉が逮捕された。だが、事件の成り行きに不審を抱く石倉練造刑事は、弁護士になりたての冬野尽に郷の弁護を強引に依頼した。1人ではからっきしだめな尽も、美女秘書の野村綾子、石倉の娘で新聞記者のさくら子、郷の娘で不良女子高生の淑子らの強力な助っ人を得て発奮!斬新な本格推理小説の秀作!
その日、会社社長西条宏助の家には、すでに結婚して家を出ている息子英一と妻馨子、英一の妹聖子が来ていた。兄妹は父に財産の生前贈与を願い出ていた。彼らは遺産が後妻に行くのが我慢できなかったし、緊急にお金がいる事情があったのだ。そして夜、惨劇の幕が上がり、殺戮は為された。女流俊英が描く完全犯罪の謎。
通り名が、“二本差(りゃんこ)”の弥太郎。跳ねッ返りそうな小気のきいたやくざ渡世の旅烏。そんな弥太郎が惚れた娘のために上州松井田宿で一暴れ(表題作より)。他に「次郎太川止め」など、計5編を収めた、痛快股旅小説集。
貴族の家を嫌ってロンドン警視庁の警官となったペリー・トリソワン。彼が実父の死を知ったのは、《タイムズ》の死亡欄でだった。事件の担当となったペリーの悩みは深い。世間の笑い者になるどころか、警官としての生命も危うい。というのは、父親は中世の拷問具にかかって死んでいたからだ。それも、薄いスパンコールのタイツをはいて…。-「抜群のテクニックとユーモアセンス」とNYタイムズ、ワシントン・ポスト絶賛。ペリー警部シリーズ第1弾。