出版社 : 光文社
イラストレーター井出ちづる。夫は若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。早くに結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを幼い娘に託し、人生を生き直そうとする。帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか…。『対岸の彼女』直木賞受賞時に書かれた、女たちの物語。14年間埋もれていた傑作が、今、私たちの魂を揺さぶる。著者5年ぶりの長編小説。
成人式を迎えるアンちゃん。大人になるには、まだ早い気がするけど、それでも時間は進むし、世の中は待ってくれません。おいしいおやつを食べて、前を向いて。さあいきましょう。デパ地下から着物売り場、催事場に金沢旅行。少しずつ拡がる世界。さらに深くなる和菓子の謎。お待たせいたしました。たっぷりお召し上がりください。
大正時代、警視庁に「華族捜査局」が新設された。記念すべき初捜査、公爵で局長の周防院円香と、警部補の来見甲士郎は、九鬼梨伯爵家で起きた毒殺事件に取りかかる。動機は家督相続権争いと思われた矢先、円香たちの目の前には、第二の犠牲者の「生首」が現れ、鎌倉時代から語り継がれる九鬼梨家の「首なし村の呪い」が明らかにー。連続殺人犯の真の目的、そして決して暴いてはならならなかった“一族の秘密”とは…。
トラブルやたくらみに巻き込まれて、お人好しが右往左往。誤解も悪意も呑み込んで、奇妙な謎を解き明かせ!にぎやかでアイディアに満ちた、6つの短編ミステリ。大崎梢の傑作集!
東京都に実験的に設置された動物保護を目的とする“東京アニマルポリス”通称TAPは警察や動物愛護相談センターと協力しながら、日夜活動している。かつて動物看護師として働き、現在はTAPで精力的に活動する北川璃々。後輩の中島涼太や警察官の天野広大らとともに、公園でのペンキ弾事件、タレントの愛犬虐待疑惑、ペット誘拐事件、多頭飼育崩壊などを解決していくが、ついにはTAP存続に関わる事件がー。彼女らは、この危機にどう立ち向かうのか!?
長谷川祐子は、霊視の依頼で来た客から、悩んでいる若い夫婦を紹介された。夫婦の二人の幼い娘が車に撥ねられ、姉が亡くなったという。その後生き残った妹が変なことを言い出した。「あたし、鏡に映らない。きっと吸血鬼になったんだ」(「鳥は涙を流さない」)。霊が人の身体を離れるときに起こるさまざまなトラブルを解決するため、人知れず命までかける霊能者たちの活躍を、ときに優しく、ときにシニカルに、ときにユーモラスに活き活きと描く連作ホラー・ミステリーの傑作。
2022年、雪と氷に閉ざされた北方領土の離島オロボ島、和名春勇留島では、日中露の三ヵ国の合併会社がレアアースを採掘していた。島の海岸で無残な日本人技術者の死体が発見される。警視庁組織犯罪対策第二課の石上が、ロシア語と中国語が堪能だというだけの理由で、捜査権なし、武器なしで島に潜入捜査に入る。閉鎖された孤島にたったひとりで、石上はどうやって事件に立ち向かうのか?生きて島を出られるのか!?
目立った手柄もないのに、なぜか警視庁捜査一課に所属する和戸宋志。行く先々で起きる難事件はいつも、居合わせた人びとが真相を解き明かす。それは、和戸が謎に直面すると、そばにいる人間の推理力を飛躍的に向上させる特殊能力、「ワトソン力」のおかげだった。殺人現場に残されたダイイング・メッセージ、雪の日の不可能犯罪、バスジャックされたバス内の死体…。今日も和戸を差し置いて、各人各様の推理が披露されていく!謎解きの楽しみが目白押しの本格ミステリ短編集!
“お誕生会が禁止された小学校”“姪っ子にサプライズで企画したお誕生会”“母が台無しにしたお誕生会”“お誕生会好きの会社の上司”“クラスメイトの中国人のお誕生会”“3.11に祝うお誕生会”“認知症の母が祝ってくれた誕生日”あなたのお誕生会には、どんな思いが詰まっていましたか。大人気「マカン・マラン」シリーズの著者が描く、生まれてきたことを自分で認めてあげたくなる全七編。
ただ立っているだけで圧倒的なオーラを放つスター、堀尾葉介。アイドルグループ「RIDE」の一員として十四歳でデビュー。二十二歳のときに演技の勉強のためにアイドルの座を捨てる。地道に努力を続け、アクションから時代劇までこなす実力派の俳優と評価されている。容姿と才能に恵まれ、誰もが好感を持ち、賞賛する男ー。過去に縛られ、不器用に生きている人々が彼とすれ違うとき、人生に変化が訪れる。その葉介も過去に縛られていた…。
「遺言」余命幾ばくもないお婆さんは、娘の咲子への遺言をレコードに吹き込むことにした。ところが、ご近所連中の悪口をまくし立てるばかりで一向に本題に入らない。録音時間はあとわずか。娘に伝えたいこととはいったい?「白蟻女」長く苦楽を共にした夫の通夜、夜伽する妻・恵子の前に現れた、ちょっと間の抜けた若い女の幽霊。「思い出をめちゃめちゃにしてやる」と彼女が口にした途端、なんと恵子は新婚旅行の日に戻っていた。しかも当時の姿で!反発しながらも賑やかに過去を辿る彼女たち。そして、回想の先に待つ奇跡とは?
中国、三国時代末期。「疑」の国は皇帝を傀儡とし、絶大な権力を持つ司馬氏の専横の下、権謀術数が横行し、密告がはびこる世だった。その欲にまみれた俗世間に背を向け、竹林に集い、酒を酌み交わしながら清談に耽る詩人、音楽家、学者、高級官僚などなど七人の男たちがいた。飄々と風雅に語り合う彼らの話題は、ときに持ち寄った謎の話「疑案」に及ぶ。怪異な謎、不可能な謎、不思議な謎等々に、彼らは博識優秀な頭脳を絞って挑むが、一刀両断、明晰に解いてみせるのは、意外な紅一点だったー。
スランプ中の老映画監督のもとに、次々出戻ってきたいい年した子供たち。図らずも一家集結したところで、事件発生!家宝の脚本がなくなった!?家族と過ごす時間が劇的に増えた今、一番身近で一番ふしぎ、そして一番大切な人たちと向き合う勇気をくれる、笑いと涙の物語。
部下の矢崎と漠市に入り込んでしまった翌日から、島本には次々と幸運が舞い込んできた。そんなある日、家に帰ると自宅の前に元カノののぞみが座り込んでいてー。(表題作)奇妙な町・漠市に関わってしまった人々が、ふとしたことから怪異と不条理に呑み込まれる。第一〇回小説宝石新人賞受賞作を含む、奇想あふれるホラー短編集!!
1937年の東京。隅田川で拾われた男が病院に運ばれてくる。身元不明の男は記憶を失っていたが、なぜかこれからやってくる戦禍の時代を知っているかのようだった。「遭難者」。とある北の国。猛吹雪の夜、図書館に一人の少年が取り残された。暖房もない極寒の館内。そこに突然現れた謎の男は少年を救い、やがて大切なことを伝え始めたー。「図書館の子」。時とたたかい、時に翻弄される者たちを描く全六編。
医大の解剖学実習で組まれたのは、異例ともいえる女性4人だけの班だった。城之内泰子教授の指導の下、優秀な成績で卒業した彼女たちは、真摯に医療の道を歩む。医学部不正入試と過酷な医療現場。5人の女性医師がつむぐ涙と希望。-そして秘められた意外な真実。デビュー作『サイレント・ブレス』で話題の現役医師が描く切実な人間ドラマ。
イタリアの美術館から盗まれたクリムトの絵画「婦人の肖像」が発見される。その絵を入手したのは評判の悪い美術商・吉崎為一郎だ。資金洗浄で生き延びてきた吉崎のバックには美術集団「朱鷺の会」がいる。有名実業家・清水谷貴実社長が、そのクリムトを30億で買うらしいと業界が騒いでいる。そんな中、明治初期に日本美術を精力的に集めたフェノロサのコレクションが密かに買い戻されていて、そこには一級品の北斎の肉筆画が存在しているという。どうやら件の朱鷺の会がその隠し財産を継承しているのではと噂されるが…。突然日本に現れた「クリムト」。美術愛好家たちを奮い立たせる幻のコレクション「北斎」。『大絵画展』『フェルメールの憂鬱』に続く、絵画ミステリー第3弾!!
警視庁捜査一課の青山陽介は、不可解な殺人事件の捜査で関わるようになった検事の稲城に、ある刑事失踪の調査を命じられる。向かったのは、事故死や病死と判断された人物の関係者の失踪が連続する武蔵野東署。美しき検案医・夏目塔子が関係するのか。そして稲城も失踪し、謎は深まっていく。青山は、同級生の“不安椅子探偵”小鳥冬馬に助けを求め、それらの背後にある大きな力の存在を知るー。新進気鋭作家が放つ、新感覚“警察ミステリー”!
5年前に起きた連続殺人・傷害致死事件。美貌の作家として注目され始めた柚木しおりは、その一連の事件の関係者だった。彼女の作品を読んだことをきっかけに、舟見警部補は以前事件の解決を導いた青年、ジャン・ピエールに、再び捜査協力を依頼。関連があるのかどうかも分からなかった3つの事件について、当時の記録を辿り始める。