出版社 : 光文社
発病、闘病、介護、そして…死。半世紀、ともに穏やかに生きてきた夫婦。その終わりに訪れた、凄絶な生命の闘いを妻の視点で描く迫真の物語。作家・内田康夫の妻でもある著者が、実体験をもとに、夫婦のあり方を問う短編集!
同心・木暮信次郎×商人・遠野屋清之介ー亡き母の過去を探る信次郎。商いに生きると決めた清之介。事件は、殺された夫婦の驚愕の死に顔から始まった。もっと異形、もっと歪、もっと奇怪。「弥靱」シリーズ第十作目。
“蛭鬼”と呼ばれる、不老不死で超人的な能力をもつ吸血鬼の伝説があった。その伝説の地で、兄弟は育ったー。山奥の密室状態の別荘で、若き映画スター、比留間稔流が殺された。稔流は弟の真斗に、自分たち兄弟は、“蛭鬼”の血統だと言っていた。“蛭鬼”の血が目覚める条件は、本当の恋に落ちること。稔流は、かりそめの死の一年後に復活するはずだと、真斗は信じた。犯人は誰なのか、兄弟は“蛭鬼”の血統なのか。真斗は本当の恋を求めながら、謎を探っていく…。
刑事と人殺しに休日はない。警視庁刑事部捜査一課殺人犯捜査第十一係姫川班。事件がなければ休日も待機もシフトどおりに取れるのだが、そううまくはいかない。各署に立てられた特捜本部に入ることもあれば、人手が足りない所轄の応援に回ることもある。激務の中、事件に挑み続ける彼女の集中力と行動が、被疑者を特定し、読む者の感動を呼ぶ。だから。立ち止まるな、姫川玲子。警察小説数あれど、女性刑事の一番手は、彼女だ。さらなる深化を遂げる最新作!
犯人は、報復する者であり、破壊者です。かつて心臓移植を経験している南美希風と、その移植手術を執刀した医師の娘であるエリザベス・キッドリッジ。ふたりにとって縁の深い篤志家の安堂朱海の訃報が届いた。高齢で長く闘病していた彼女だったが、自殺あるいは他殺の疑いが浮上する。誰が、何のために?弔意のために安堂家を訪れた美希風たちは、奇妙な因習、複雑な人間関係、そして未解決のままの悲劇の存在を知るー。精緻にして過剰な論理的推理が辿りついた、驚くべき真相とは!?
「馬が凶暴になってるだけの問題じゃないの。馬インフルエンザが新しい、未知のタイプに変異している。つまり、種を超えて広がるかもしれない兆候があるってことなの」2024年、欧州での新型コロナ感染拡大を受け、夏季五輪は再び東京で開催されることになった。だが、日本馬術連盟の登録獣医師・一ノ瀬駿美が参加した五輪提供馬の審査会で、突然、複数の候補馬が馬インフルエンザの症状を示し始める。ウイルスの正体は過去に例を見ない「新型馬インフルエンザ」。感染した馬を凶暴にさせてしまう「狂騒型」だった。五輪は無事に開催できるのか、そして新型馬インフルエンザの先に現れる、もう一つの恐ろしいウイルスとはー。獣医師で大学教員の著者にしか描けない、理系ミステリーの新境地!第24回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
田中久兵衛吉政、筑後三十二万石の太守となった男。十六の歳に貧しい百姓から地元武将の小者となり、初めての禄は三石。しかし何が何でも出世をめざし、がむしゃらに戦う。運と度胸、さらに冷静さも併せ持ち、時に痛快に、時に歯を食いしばって、ついには大名へと出世していくー。圧倒的な迫力の戦闘場面と魅力溢れる人物描写。読む者を惹きつけてやまない、著者の円熟の境地をみせる歴史小説の傑作。
嵐の夜、夫はなぜ列車事故に巻き込まれたのか。自分は、彼に生きていて欲しかったのだろうか。早紀は、ずいぶん長い間、夫の考えも事情も、知ろうとはしなかった。事故をきっかけに明らかになっていく夫の足跡と、見え隠れする何者かの悪意。ひとりになった自分は、今後の人生をどう生きていくべきなのか?二転三転する展開から目が離せないノンストップ・サスペンス!
一九三九年、上海。蒋介石と和平交渉にあたってきた工作機関の責任者・小野寺信陸軍中佐は、別ルートで中国と交渉を行っていた影佐禎昭陸軍大佐からの抗議によって、その道を絶たれてしまう。失意の小野寺から交渉を引き継いだのは、盧溝橋事件で停戦交渉に尽力した今井武夫陸軍大佐だった。小野寺の工作に関わってきた民間人の倉地スミや生物学者の森塚たちは、今井大佐から、これから行う和平交渉を手伝ってほしいと頼まれる。それは蒋介石に繋がる人脈の中から協力者を探すことと、和平の密書を届けるというものだったー。
天正十八年(一五九〇)、北条家当主・氏直とその家臣たちは、小田原城にて連日評定を行っていた。天下のほぼ全てを手中におさめた豊臣秀吉の大軍勢に城は囲まれ、北条家の命運は今や風前の灯火。誰もが策を見いだせず諦めかける中、亡き北条氏康の寵臣にして小田原一のへんくつ坊主侍・板部岡江雪は動き出す。舌先一つでコロリと人を動かし、奇縁を生み出し、天下をひっくり返す!これが戦国最後の秘策だ!!「爺の全身全霊で、お屋形様に天下を取らせましょうぞ」
事故による頸髄損傷で、肩から下が動かず寝たきりの「妻」(49)を自宅で介護している「わたし」(50)。自由のない生活を長年送っているが、身体が動かない以外は事故前と変わらない妻から「ありがとう」と言われたこともない。なんのためにこんな生活をしているのかと悩むなか、ある“趣味”をはじめるー。一方、設計士の一志(39)と編集者の摂(38)夫婦は、一年限定で始めた妊活が実らなかった。摂から特別養子縁組を検討したいと打ち明けられた一志は戸惑う。不倫相手である上司の子を身ごもった広告代理店勤務の女性、障害を隠して趣味の合う女子大生とパソコン通信で交流する脳性麻痺の青年…。さまざまな悩みを抱える男女の“過去と未来”が、照らし出したものとはー。現代社会の歪みを書き続けてきた著者渾身の書下ろし長編。
伊豆半島沖の大川豆島で前触れもなく発生したウイルス感染症。罹患者は人の血肉を求める凶暴な存在と化す。政府はそれを「バイター」と命名。相澤総理大臣の娘・彩香は、不運にも部活動の合宿で島を訪れていた。一人、また一人とバイターに喰い殺されていく教師や友人たち。混迷が深まる中、自衛隊と警察の混成チーム「ブラッド・セブン」が結成される。彼らに課せられた総理からの特命は「彩香の救出」だったー。「バイターは人間じゃない。奴らは死人だ。危険を感じたら、容赦なく撃て」。稀代のエンタメ作家が放つサバイバル・バトル小説!
男はリビングでくつろいでいる。キッチンでは妻が夕食の支度をしている。幼い息子は冬でもないのにマスクをつけて、テレビ番組を見ている。男はキッチンへビールを取りに行く。妻の作っている料理に「美味しそうだね」と声をかけ「息子は風邪でもひいたのか?」と聞く。そしてふと気づく。自分たち夫婦に息子なんていただろうか?そして妻を見て驚愕する。誰だ、この女は?なんだ、この大きなマスクは?日常が奇妙に歪む、戦慄のノンストップホラー!
ある理由で家を出た小説家が、葉山の古民家に一時避難。生活を満喫するも、そこで出会ったのは(「海の家」)。早期退職の勧告に応じず、追い出し部屋に追いやられた男性が、新たに始めたこととは(「ファイトクラブ」)。人気プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー。恋愛相談に訪れた先でのアドバイスとは(「占い師」)。五歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる?パパがとった究極の対応策とは(「コロナと潜水服」)。ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れ乗り出すと、不思議なことが次々に起こって(「パンダに乗って」)。コロナ禍の世界に贈る愛と奇想の奥田マジック。紙の本にだけ、作中の登場曲が楽しめるSpotifyのプレイリスト付き!!
サタン橋爪率いる「悪魔党」。奇抜なメイクと高飛車な言動で耳目を集めるイロモノ候補かと思いきや、意外と真っ当な政権公約に次第に人気を集め、見事4人が比例区当選を果たす。やがて世界中に「悪魔運動」を起こすほどの影響力を持つようになるのだがー(表題作)。幽霊歴75年、心霊写真に長年写り込んできた柳田勇だが、昨今の画像編集技術の向上で心霊写真の信ぴょう性が薄れてしまい、怖がらなくなった現代人を再び恐怖させる方法を模索している。新たな仲間の幽霊を募り、ユーチューブやニュース映像に映り込もうと画策するがー(「心霊昨今」)。元お笑い芸人の著者ならではの特盛ネタ!次々繰り出すあの手この手の短編&ショートショート全12編。
突然やって来たセールスマン。ぬりかべ派遣サービスって一体!?(「壁とともに」)。なぜかひとつ多い既読数。まるでストーカーのような妖怪とは?(「いた」)。先輩と訪れた料理店。ピンク色した謎の肉料理にハマった男性は…(「N肉」)。雪女が営む美容クリニック。SNS炎上を解決する意外な正体…!?河童や座敷童子、かまいたちなど、おなじみ妖怪たちが現代社会を舞台に大活躍!!ブラック&ユーモアがたっぷり詰まった全12編!スキマ時間にピッタリなショートショート集。
自分で自分を傷つけ、憐れみ、そんな自分に依存する…。生きづらさのループから抜け出すためたどり着いた心のありかたとは。繊細な心を描き、各国で話題のエッセイ、その後の話。
殆どの人が訪れたことのない平凡で小さな町。寂れた観光地。ようやく射した希望の光をコロナが奪い、さらに殺人事件が…。犯人と探偵役、それぞれの仕掛けが張り巡らされています。騙されないように、お読みください。