出版社 : 光文社
ヒトラー救出作戦失敗!富嶽隊、壊滅!戦局はついに最終局面に達しようとしていた。米軍は原子爆弾の開発に成功し、テニアン島に実戦配備した。原爆投下阻止のため、日本軍は試作機として残存するたった一機の富嶽で、テニアン島空爆をはかる。護衛機もない富嶽に乗った近藤正己隊長は、はたして日本の“運命の日”を阻止できるのか!シリーズ堂々の完結編。
週刊誌のキャップをする兄から「私」に電話があった。上海系の麻薬組織を追跡取材しているが、編集部には中国語を話せる者がいないので手伝ってほしいと言う。早速私は大同というデスクの取材に同行することになった。関西の広域暴力団までが絡むからくりが見えてきた。そして、兄の首が切り落とされた!温厚な男の中に眠る戦士の目覚めを、練達の筆致で描き切る。
ーシルヴィアの悪夢は現実のものとなった。将来を約束していた恋人が溺死したのだ。そのときからだった。否定しようのない霊能力が発揮されはじめたのは…(「頭痛と悪夢」)。-’98年度MWA賞短編部門候補作「ダヴィデを探して」を含むスカダーもの3編のほか、軽妙なタッチで読者を楽しませてくれる泥棒ローデンバーものなど13編を収録。作品の幅の広さと、変化に富むシリーズものに冴えをみせるブロックの、上質なオリジナル短編集。
寿永三年(1184年)、義仲に代わって再び京に戻った平家を倒し、市中に入った義経は、後鳥羽帝を擁し、平家追討の宣旨が下されるのをじりじりしながら待っていた。一方、義経に追われ、後白河法皇、安徳帝をたてて屋島に退いた平家は、着々と源氏を迎え撃つ準備を。ついに勅命が下り、義経が平家追討に成功したかにみえたそのとき、頼朝を倒し、不気味にも鎌倉で沈黙を守っていた秀衡率いる奥州軍が、西へと移動を開始した!?源氏と平家の雌雄を決する最後の海戦!そこに参入せんとする秀衡の真の意図とは?書下ろし長編奇想歴史小説シリーズ、堂々完結。
鬼(ゴースト)。おれが還暦になったとき見えはじめた奇妙な寄生生物だ。そいつが、目黒川に浮いた首と両手のない屍体を見つけた-警官上がりの血が騒ぐ私立探偵・前田太一は、相棒のゴーストとともに危険に満ちた事件に飛び込んだ!被害者は晴友銀行の総務部長代理・高井。犯人は中国マフィアの二人組とすぐに判明した。ところが、この事件の背後に、晴友銀行の巨額の裏金を巡る恐るべき陰謀が隠されていた。続出する犠牲者。太一は潜入捜査に挑むが…!?ときにユーモラスに、ときにスリリングに、練達の筆が冴える!シルバー・エイジのタフ・ガイの活躍を、痛快に描く長編ミステリー。
「どうして私が飛び降り自殺したか調べて!」-歌やドラマに引っ張りだこの新人アイドル・胡桃沢ひろ子は、誰もいない事務所でまどろんでいるとき、人気絶頂時に突然自殺した先輩歌手が夢枕に立ち、哀願された。この自殺事件は、芸能界でも不可解な事件として語り草になっている。高校三年生で、人気歌手のひろ子が、華やかな世界に渦まくスキャンダルと謎に挑む。
盗品らしき象牙の撥、金縛りに遭う蒲団…台東区浅草の天野質店には、わけありの客がいろんな質草を持ってくる。なかでも主人・天野籐吉や息子の籐一郎が驚いたのは、旧華族更級家の娘・美登利が質入れした日本最古(!?)の仏像だった。ところが、その直後、更級家は全焼、美登利が蒸発した!?連続放火、集団詐欺事件の行方は?謎たっぷりの人情噺。
子供たちを守るため、すべてを捨てる決意を胸に、SIS(イギリス秘密情報局)局員、バーナード・サムソンは、何度も危地脱出の手を借りたプロの運び屋「スウェーデン人」と密かに接触。だが運び屋は、ハンマーでめった打ちされた無惨な死体となって発見される。やがてこの事件は、かつてのベルリン国境脱出劇の真相へと、直接つながってゆく…。訳稿じつに1万枚。最高最長のスパイ・ストーリー、いま感動の最終話。
“智久は、「僕はどこにでもいるんだよ」と、謎めいた台詞を口にした-”インド古代遺跡での火災事故、六本木路上での殺人、巣鴨での質屋の女主人の失踪。まったく関連性が見えず、次々におこる事件に、若き天才囲碁棋士・牧場智久の影がちらつく。智久本人は大事な対局を控え、ほかのことを考える余裕はないはずなのに…。智久の姉・典子をも巻き込んだ、面妖な事件の真相は何処に?色とりどりの風車に囲まれた、長くゆるやかな坂を歩いた幼き日の記憶。それはいつしか白い壁に塗り込まれて…。
愛と憎しみ、友情と裏切り、そしてジャズのもの悲しい調べ。男の双眸に宿る暗い陰は…。過去を背負って生きる男たちの世界を、哀愁に満ちたタッチで見事に描ききった、「泣かせる」アメリカ人情物語!-名手の短編集をアメリカに先駆け世界初出版!MWA最優秀短編賞受賞作を含めた珠玉の10編を収録。
治承四年(1180)八月、伊豆で目代屋敷を襲い、平家への反撃の狼煙を上げた頼朝は、源氏ゆかりの者や坂東武者を束ね、鎌倉で京の清盛を伐つ準備を着々と整えていた。その頼朝の蜂起を鈍らせていたのは、弟・義経が身を寄せていた奥州の支配者・藤原秀衡の動向。秀衡は頼朝にとって、後方でじっと見つめている羆だった。その間隙をつくように、木曾で義仲が挙兵、入洛!決戦の火蓋が切られた!血で血を洗う源平の戦い!源氏の棟梁の座をめぐる骨肉の争いに、ついに奥州の眠れる羆・秀衡が動きだした…。
体重110キロの松木夏代は、筋骨隆々の青年・江利新太郎と箱根のエステランドのオープンに参加。集まった女性は八人。だがそのエステランドに漂う無気味な雰囲気。突然灯が消え、あたりは真の闇。絶叫、悲鳴のなかで、一人また一人と女たちが無残に殺される。電動ノコギリを振りかざして迫りくる血まみれのゾンビ男。乳房を抉り取られ、スポンと首をちょん切られ、活造りにされ…ついに夏代も捕まり、アンコウの吊し切りに!?つぎからつぎへと襲いくるジェットコースター・ショック!恐怖、ナンセンス、グロ、爆笑、謎…。著者はB級ミステリーのジャンルをここに確立した。
旅行先の島根県松江市のホテルで、画壇の巨匠・月原龍生が失踪した。同じころ、出雲大社内で男の肉体の一部が発見される。さらに島根県各地のスサノオを祭る神社から次々と同じ男のバラバラ死体が。鑑識によって死体は月原と判明。だが、ホテルは月原が外出できない特殊な状況に…。何故、ヤマタノオロチの如く月原は解体されたのか?そしてスサノオの意味は?月原の妻・芳乃の調査依頼を受けた探偵・大道寺綸子は、かつて月原をオロチと呼んだ男の存在を知り、真相を追うが…。
余命半年を宣告され、旅に出た石文高士。だが、偶然手に入れることとなった1枚のMOディスクが、何もなく終わるはずだった石文の人生を変えた。ディスクを求め次々に襲いかかる謎の組織“裏警察”。最後の命を闘いにかけた男の逃走劇が始まった!-平凡な人生を送ってきた男が巻き込まれた“非日常”の恐怖を描く表題作「牡牛の渓」。