出版社 : 勁文社
喫茶店「花隈」の従業員・小野季夫は経営者の佐久間玉恵から店舗を引き継ごうとして、契約を焦るあまり、不動産屋と弁護士の甘言にはまり、訳のわからない即決和解に同意してしまった。小野が騙されたと気づいたのは、それから二年後、店舗の明け渡しを求める内容証明を送りつけられた時だった。このままでは店が…。小野は悪徳弁護士に孤独な闘いを挑む…。
福祉予算を倍にせよ。さもなければ次々に犠牲が出るだろうー鎌倉市長に“殺人鬼”なる人物から届いた脅迫状。最初は悪戯かと思われたが、犬猫先生の隣人・月夜子のインコが市庁舎の前で斬首されたのを皮きりに、猫、犬と殺されたため事態は深刻に。犬猫語を操る犬猫先生は、市内の動物たちを駆使して犯人探しに乗り出す。だがその矢先、遂に人間の犠牲者が…。
女探偵・朝岡彩子は白人青年・ポールから大手電機会社会長一族の身元調査を依頼された。だが数日後、その一家は惨殺されてしまった。依頼人ポールと恋に落ちた彩子は、彼とともにテキサスへ旅立ったが、ポールは何者かに銃殺され、しかも彩子が容疑者として法廷に立たされることとなった…。米国陪審制度を綿密な取材で描く長篇本格推理シリーズ第3弾。
1931年満州に武力介入を果たした日本は、親日政権を樹立、実質支配に乗り出した。しかし五族共和、王道楽土を標榜する石原莞爾と武力支配を主張する東条英樹が対立、東条の策により石原は満州を去る。勢いづいた関東軍はノモンハンでソ連軍と激突、壊滅的敗北を喫す。全面戦争突入を憂慮した石原は海軍に協力を要請、最強を誇る連合艦隊の主砲が火を噴き、搭載機がソ連軍めがけ殺到した…。
東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補の許に、殺人事件の通報が入った。ライブハウスでホステスが毒殺されたというのだ。場違いと思える被害者がなぜそこにいたのか。疑問を感じた安積は、同時刻に発生した別の事件との意外な接点を発見。繋がりをみせた二つの標的が、安積たちを執念の捜査へと駆り立てる。気鋭が放つ刑事小説シリーズ待望の文庫化。
太平洋戦線で苦境に立たされた日本は、日米戦の命運を賭けて、密かに建造していた巨大な戦艦空母摩利支天を投入した。起死回生の秘密兵器は、台湾沖でハルゼー艦隊に打撃を与えると、比島奪還を目論むマッカーサーの大上陸軍を撃破した。敗色濃厚であった日本は、恐るべき戦艦空母の破壊力によって活路を見いだせるのか。次なる目標はミンダナオ島、摩利支天はハルゼー艦隊追撃に向かった。
私立女子大・聖花学院にマスコミ学講師として招かれたタレントの牛丸誠一郎。ある日彼は、先輩助教授・風間の娘・淳子に誘われ、図書室で関係をもってしまった。睦言に彼女の母親が助教授の後添いで、欲求不満なことを知った牛丸。早速、美貌の夫人を陥落させ、情事の部屋へ連れ込んだのだが、夫人の乱れようは、上品な容姿から想像もできないような貧婪さで…。
警視庁歌舞伎町分室の警視・村木正は、妖刀“村正”と恐れられる強者。その村木の許にOL全裸殺人の知らせが入った。だが、被害者の藤咲霧子は、過去に傷害事件を起こし、村木が更生させた女だった。新しい就職先で、順調に勤めていたはずの霧子に何があったのか。彼女を殺した憎き犯人を追い、村正が闇の世界に戦いを挑む。長篇バイオレンス・アクション。
郊外の一戸建てに住む城戸家は仲のよい夫婦と息子の三人家族。春、妻が妊娠した。後妻の絢子にとっては新婚の象徴ともいえる出来事だ。だが、十五も歳の離れた兄弟が出来ることになった息子は当惑し、夫は「まさか…」という言葉が出そうになる。やがて、絢子には思いもよらぬ事が次々と城戸家に起こって…。ガラスの家族が演じる偽りの“幸福物語”の終幕は-。書下ろし恐怖心理サスペンス。
筋金入りのレースマニアの西岡勝彦の許に、先輩の鎌塚俊一から突然の依頼が飛び込んできた。それは、「軽四輪耐久フェスティバル」にドライバーとして出場することであった。レースの知識を持ちながらも、ドライバーとしては素人同然の西岡は、期待と不安に戸惑いながら、鎌塚とともに会場である仙台ハイランドへ向かう。練習走行、予選-サーキットを走るにつれ、自分の走りを掴みかける西岡。そしてついに、四時間耐久決勝の瞬間が来た。書下ろし長篇カーレース・ロマン。