出版社 : 双葉社
身分違いの大名のお姫さまに一目惚れして失恋した次郎吉は、生来の敏捷さを買われて火消し人足になった。屋根瓦を音もなく走る練習を重ねながら、火付けで材木の高騰を狙う悪徳商人を懲らしめたこともあった。正義感が強かったのである。その次郎吉が、大名屋敷専門の盗っ人に身を落とした理由は…。ご存知“鼠小僧”誕生までの痛快時代娯楽。
全国制覇を目指し神戸から関東に進出した西仁会の斬り込み隊長は石田だった。石田の強引なやり方で抵抗の旗頭だった新藤組は呆気なく壊滅させられたが、組員の一人・南郷清二は西仁会への復讐の炎を燃やしつづけた。麻薬取締官の赤城も西仁会に苦汁を飲まされた一人だった。この二人が偶然なことから邂逅し、共通の目標に歩調を共にすることを誓った時、やはり西仁会に縄術師の祖父を殺された孫娘の裕子が加わることになった。長編バイオレンス・アクション。
1年前、不慮の事故で夫を亡くし、行き場を失った相馬千鶴は小学1年の沙耶を連れて伯父の家に身を寄せる。子供のころ母と2年ほど過ごした田舎町。千鶴が戻ったことを知った幼なじみ5人が歓迎パーティを開いてくれた。懐かしい再会。が、話題は22年前のあのことに。寺の古井戸に幼女が扼殺され投げ込まれていた事件だ。実は仲間のひとり高村の子供も去年、同じ手口で…。そして今度は裕司の愛猫が首を絞められ川に。厚子の娘桜子が校庭の焼却炉で…。さらに奇怪な殺人が。
盛岡発の東北新幹線〈やまびこ〉が東京駅に近づいた時、マネージャーの古山博が女優の杉本美也子のいる個室を訪れると殺されていた。女優の死体の傍には古山が紛失したライターがあった。女優には江波浩一という歳下で俳優の恋人がいた。事件の二日後、やはり〈やまびこ〉に同乗していた女優の森啓子が密室状態の自宅で死んだ。警察の捜査とは別に、古山達は独自の捜査をはじめて、幾つかの成果をあげる-。芸能界を舞台に展開する連続殺人事件を描く書き下ろし長編ミステリー。
下呂温泉旅館『下呂渓山荘』の経営者坂松寿男から「妻の不倫の証拠をつかんでほしい」との依頼が『フレンド探偵社』に舞い込んだ。夫・坂松との夫婦仲がしっくりいかない女将は男と次々浮気を重ねていく。その一人・河内大介は女将の案内で飛騨高山へ車で見物にいった帰途、舞台峠でトラックと正面突し、怪死する。主人の目を盗んでは女将と不倫を重ねていた番頭・吉田も河内と同じ運命をたどる。一連の死に犯罪の臭いを嗅ぎとった志摩男、倫子のコンビは事件解明に本格的に乗り出す。
叶理香子は26歳の美人監察医である。東京23区内で発見された変死体を検死したり、場合によっては現場から持ち帰って行政解剖して死因を明らかにするのが主な任務である。その理香子のもとへ若林早紀という女性から一通の封筒が舞い込んだ。「姉がはめていたはずの指輪が事故現場になかったこと、姉に一億円の保険金がかけられていたことで姉の事故死に疑惑を抱いている…」との文面である。ミステリ好きの理香子は早紀とともに事故死の裏に隠された謎の解明のため知恵を絞る。
本田由夫、ナホ夫婦は二階を貸間にしている。その一室に平井が越してきた。そして平井の恋人・信子は、あろうことか、平井の情事をナホに洩らした。なんと華麗?なる行動…その思いがどう発展したのか、いつの間にかナホは平井に燃えだしていた。平井の両腕がナホの両脚の間に入る間柄となった。夫の顔が脳裡をよぎる。が、浮気の一回や二回、現代の常識よ。あんただって、レストランの女の子と熱海で…。ナホは自分を納得させ始めた。多彩なシークレット・ラブの狂詩曲。
麻里子はパリで突然姿を消した。兄の北村泰介は行方を探るべくフランスに飛んだが、待ちうけていたのはパリ警察の刑事だった。どうやら彼女の失跡は恋人の変死事件に関係があるらしく、警察の追及も厳しい。調べ回ってみると恋人というのは電子工学家だが、裏の顔は変質者の上スパイグループとも関係があると判明。その魔手は遂に北村をも襲った。
俺の名は次元大介。ひょんなことからICPOによる、ルパン三世逮捕の全面作戦の情報を耳にした。コードネームは“戒厳令作戦”。世界中に一時的に戒厳令をしき、各国の警察を総動員するという、大がかりなものらしい。とにかく、相棒のピンチは放っちゃおけねぇ。なんとかこれをルパンに知らせなきゃ。それに、やつと一緒にいれば、スリルが味わえる。俺の真価はスリルのなかで発揮される。一瞬の判断と、反射神経のゲーム…。久しぶりに、それが始まろうとしていた。
神秘につつまれた美くしい王国ブリタニアに、滅亡の危機がしのびよる。伝説の8つのルーンを奪い去った、暗黒の騎士ブラックナイトのたくらみとは何か?いま、勇気と正義にあふれる冒険者の前に、ムーンゲイトが開かれる。ブラックナイトの8つの地下迷宮に挑むのはキミだ。
“鶴ケ峰市長選で、死人が出る。現市長は東亜観光より多額の政治資金を…”加賀放送に寄せられた一通の投書。殺人予告か、いやがらせか。同市長選はリゾート開発をめぐり推進派と反対派が激しく闘っている。報道番組部の出雲路幹彦は先輩の女性カメラマン花巌美也、アルバイト学生の田中一平と組んで取材開始。現市長の親戚筋にあたる一平から「すごい情報が入りそうです」-。幹彦と美也が駆けつけると、大事な情報源は無惨な姿に…。著者渾身のサスペンス・アクション。
ドジな三流夕刊紙の記者の可能克郎は、終電に乗り遅れて、深夜サウナにもぐりこんだ。中にはいろいろな常連がいたが、ひときわ異彩を放っていたのは、布袋さまのような恰幅のいい頭の禿げた老人だった。名前も年齢も定かならぬ老人が、客の経験した事件の謎を名推理でたちどころに解決してしまうー。軽妙なタッチで綴る長編ユーモア・ミステリー。
リルガミンの女王アイラスは、即位より1年、気の休まる時がなかった。街に襲いかかる災いの数々、姉・ソークスの謎の失綜…。そしてついに、宮廷付きの魔法使いタイロッサムが迷宮に身を潜め、魔物を召喚しはじめたのだ。君は怪物を倒し、謎を解くことができるか。
三信建設設計課一級建築士・田中浩一は、ある夜、中学・高校が同窓で、今は東南大学法医学教室の古谷一郎の訪問を受けた。「緊急に信用できる人に会いたいのだ」といって古谷は、緑色の百円ライターを取り出して机の上に置いた。そして田中が、煙草を吸うためにそのライターに触れようとすると「それに触っちゃいけない」と声を荒らげ「僕はあるグループに追われている。ある研究の成果が素晴らしく軍事目的に使用できる」と付け足した。法医学者の夢を満たすどころか、原爆・水爆よりも恐しい科学兵器なのだ、という。最後に古谷は「目の前の、そのライターだよ」といって口をつぐんだ。人類が初めて出会った、その兵器とは。