出版社 : 和泉書院
あなたの知らない日本漢詩の世界が見えてくる! 日本の古典和歌の世界は『万葉集』や『古今集』以下の歌集によって広く知られているが、日本漢詩の世界、ことに古代・中世のそれについてはほとんど一般には知られていない。だが、実はその時代は漢詩が重んじられ詠み継がれていたのだった。天皇・貴族・僧侶・武士といったそれぞれの階層に在った、苦悩する孤独な漢詩人たちの運命とその作品を物語る、日本漢詩に関心のある方にお勧めの一冊。『詩人たちの歳月ー漢詩エッセイー』の続篇、いまここに! 梅花飛乱ー説きがたり平城天皇ー 西府伏魔ー大江匡房と詩人たちー 乱世悲哀ー藤原忠通・頼長・信西ー 禅僧流謫(るたく)-雪村友梅断章ー 碩学(せきがく)孤高ー新井白石ー あとがきー本書を手にされた方へー
明石八景は寛文八年(1668)、明石藩主松平信之が領内の名所八つを選び、幕府儒官林鵞峰らに詩文を依頼したもの。江戸時代につくられた明石八景の漢詩、発句を読み進めながら、風景と伝統美の関係を分かりやすく解説する。講演形式のやさしい語り口で展開される議論はときに抱腹絶倒。単に明石の地域史としてのみならず、古典入門としてもおすすめの一冊。 一、明石八景を読む 中村健史 二、明石八景 本文と注釈 中村健史 附 明石八景地図 矢嶋 巌 三、明石文学散歩 1播磨国風土記 鎌田智恵 2菅原道真 川上萌実 3源氏物語 中村健史 4平家物語 中村優公 5西山宗因 三原尚子 6松尾芭蕉 中村真理 7井原西鶴 大関 綾 8夏目漱石 白方佳果 あとがき 中村健史
日本古代の漢詩人たちの心の一端に触れながら楽しみ味わう、著者初めてのエッセイ集。日本漢詩の世界を旅することをお勧めする一国文学徒の著者が共感を込めて書き下ろした六篇。 悲哀の詩人ー石上乙麻呂ー 詩人天皇ー嵯峨天皇と小野岑守ー 一世風靡ー白居易詩の伝来ー 子を思うー菅原道真ー 栄華の御代にー『源氏物語』時代の詩人たちー 聖女(マドンナ)-傀儡無常ー
極上ワインのように、醸成され尽くした最高位の『倫敦塔』論7編を収録。掲載紙「帝國文學」のこと、『倫敦塔』をめぐる漱石自身の12通の「書簡」のこと、長大精密な「評釈」「研究史」「研究文献目録」を収録する。漱石研究の醍醐味を堪能。研究論文もまた愉しい!解説の「鼎談」も熱い!読んで「面白い」、「長いと感じない」、「お買い得」の一冊。作品そのものが読みたくなること、必定の文章群。特別寄稿も1本収録。漱石の天才に、驚愕・乾杯。
本書は、日本漢文学史上の貴重な資料の紹介や江戸時代の文人についての考説、江戸時代の一地方儒家の蔵書目録などから成る。「資料篇」には、菊亭文庫本『本朝小序集』『童蒙綴詞抄』の本文を初めて翻刻・校訂すると共に、簡略な解説、或は略注を付し、林榴岡撰『本朝世説』については、その本文翻刻と共に詳細な出典調査を提示する。次いで、「考説篇」では、中国字書『文字集略』の逸文をめぐる問題を採挙げ、撰者阮孝緒について解説し、また林家の『本朝通鑑』と『史館茗話』の関係について記し、林読耕斎や林梅洞といったこれまであまり採挙げられることがなかった文人の略伝を所収する。ことに彼らの漢詩世界の一端に言及し、先行する平安朝の漢文学との関わりを明らかにしている。また、「目録篇」では、中江藤樹門下で、後には伊藤東涯の学統に師事した、滋賀県高島市(現在)の儒家中村家に伝存する図書の目録と同家の家系譜を所収。地方儒家の学問の一端を窺いうる資料である。 資料篇 『本朝小序集』本文翻刻・付記 『童蒙綴詞抄』についてーー本文と略注ーー 『本朝世説』の基礎的研究と本文 考説篇 『文字集略』抜書ーー逸文の蒐集をめぐってーー 『史館茗話』とその周辺ーー『続本朝通鑑』とのことなどーー 林読耕斎の漢詩覚書ーー王朝文人詩とのことなどーー 夭折の文人ーー林梅洞覚書ーー 目録篇 中村家近江国高島郡五番領村蔵書目録と家系譜 あとがき
平安時代の漢詩の表現世界を追求する十四篇の論考を収めた著者二冊目の論文集。勅撰漢詩集の時代、菅原道真の漢詩の新解釈、「三蹟」と漢詩の世界、院政期漢詩と『白氏文集』、飲酒詩や筧の詩歌などに言及する。
江戸時代の様々な作品に見える日中の故事を検証する文献として有用かつ、 当時の日中の古典に関わる教養の実態を考える上でも重要。 備前足守藩主の木下公定により正徳年間に刊行されたと思われる『桑華蒙求』は、日中の近似する人物故事譚を対にして掲げた漢文体教養書であり、所謂『蒙求』続撰本の一書である。上代より近世前半に至る本朝の多くの典籍を利用し、その享受継承の様相を知ることができると共に、中国古典籍の引用も豊富で、所謂中国類書の引用の諸相が窺われる。 「人名索引」により人物故事事典としても機能 〔本書の構成〕解説「『桑華蒙求』についてー編纂素材と後続書への影響の一斑からー」に続き、全612話の「本文」を翻刻し校訂を傍記、各話の「概略・出典・参考」を記し、典拠についても詳しく言及。『絵本故事談』『大東世語』『扶桑蒙求』等の影響を与えた後続書にも触れる。 〔各話の典拠〕国書『日本書紀』『続日本紀』『三代実録』『元亨釈書』『江談抄』『今昔物語集』『古今著聞集』『十訓抄』『平家物語』『源平盛衰記』『太平記』『本朝神社考』『和論語』『日本古今人物史』『本朝蒙求』『本朝故事因縁集』『本朝語園』他。中国書『左氏伝』『史記』『漢書』『後漢書』『六臣注文選』『古文真宝諺解大成』『蒙求』『五車韻瑞』『事文類聚』『円機活法』『氏族大全』『潜確居類書』他。 『桑華蒙求』についてー編纂素材と後続書への影響の一斑からー 『桑華蒙求』本文翻字篇 はじめに/上巻/中巻/下巻 『桑華蒙求』概略・出典・参考 はじめに/上巻/中巻/下巻 人名索引 あとがき
平安朝漢文学は、中・晩唐期の幅広い中国文学を吸収した上で高度な仮名文学と併存するという複雑な状況の下で展開を遂げた。その作品解読も含め面白さを追究した研究論文集。事項・書名・作品名・和歌・人名索引付。
中世禅僧が詩を作るに至った理由を、仏教の言語理論に基づいて分析。併せて、歌論・能楽論との交叉関係を視野に入れ、中世の文藝理論及び古典論一般へと展開し、古典リテラシーが主体を公共化させる文化装置として働いていたことを指摘する。また、古典文学研究者という主体の歴史的構築性を問い糾すと共に、古典を学ぶ意義について再考することの必要性を説く。
大学・短期大学における漢文講読用テキストとして役立つように編集。六朝志怪篇と唐代伝奇篇から成り、いずれも肩のこらない面白い話を精選。付録には、中国古小説に親しんでもらうための、学習案内・解説約三〇頁付。
『こゝろ』は漱石作品の中でも最も研究され、語られつづけている。それはつまり、『こゝろ』論が近代文学研究の縮図であり、代表であるとも言えるだろう。その数多くの言説の中から、すぐれた論の最もすぐれたところ、問題となる箇所を引用し、主題・構造・語り・視点・人物像などの核心を浮き上がらせる。『こゝろ』像の変遷がわかる、『こゝろ』を研究しようとする人の必携の書。『こゝろ』文献目録を付す。
第一章では、公任が典拠とした古今集の四季観、を取り上げる。第二章は、源氏物語を中心とした受容に関する論を集めたもの。第三章では、「新撰朗詠集」が「和漢朗詠集」から多くのことを学びながら、成立して行く過程を「多賀切」詩題注から立証する。
様々な方面に手を伸ばし、結局大成しなかった山田美妙は、歴史小説にその本領を発揮したと言ってよい。本書では、初期の『武蔵野』『蝴蝶』及び後期の『四郎高綱』『二郎経高』を採り上げた。いずれも初出により、『武蔵野』以外は初の注釈の試みである。付録として、「山田美妙歴史小説一覧」を掲載。50作品の初出が一覧できる。
尾崎紅葉と幸田露伴の初期作品各一編「二人比丘尼色懴悔」「対髑髏」について簡潔明解な頭注を付け、ハンディーなテキストとして編集。補注並びに同時代評を付け、巻末には略年譜を添えて読解の便をはかった。