出版社 : 宝島社
フリーの分子生物学者(バイオハッカー)“Q”のもとにかかってきた一本の電話ーバイオソニック社のCEO(最高経営責任者)であり、Qと同じ研究室出身の織原純一郎が行方不明になったらしい。織原には失踪癖があり、今回もどこかでサーフィンにでも興じているのではないかと軽く考えるQであったが、CFO(最高財務責任者)牧村の話によれば、COO(副社長)の河原崎がCEOの解職動議を提出する気でおり、織原が臨時取締役会に出席しなければ解職は免れないという。開催日はちょうど一週間後。友人として、それまでに織原を見つけ出すことを依頼されたQは、手配された探偵兼ドライバーの黒人カカウとともに捜索に乗り出すが…。
アフガニスタンのワハーン回廊と中国・新疆ウイグル自治区のタシュクルガン・タジク自治県を結ぶワフジール峠で、中国の国境警備隊が全滅した。タジキスタン側から登ってきた日本の気象観測隊もまた、猛烈なブリザードのもとで何ものかの襲撃を受ける。果たして極寒の山岳地帯でなにが起きたのか。グリーンランドのギュンビョルン山で同様の現象を目にしたばかりのプロ登山家・甲斐浩一は、連絡の途絶えた気象観測隊の救出に協力するよう政府に求められ、研究者とともにワフジール峠に向かうことになるがー。
貧乏男爵家の令嬢ノーラ・クランツは、夜会でアランという見知らぬ青年貴族から、突然、婚約破棄を言い渡される。「誰?婚約破棄って?そもそも婚約した覚えはないのだけれど」と内心で動揺するも、今度はその貴族と同じ顔をしたエリアスと名乗る青年に、婚約を申し込まれー?街では「紺碧の歌姫」と呼ばれ、ゆくゆくは歌を仕事にして街で暮らそうと思っていたノーラは、本人に秘密にされていた婚約によって、名門貴族カルム侯爵の双子たちとの婚約騒動に巻き込まれていく!第8回ネット小説大賞受賞作。
真っ白なのに汚れている、かわいそうなうさぎ。ぼくになついたかわいいその子を、ぼくは一人で飼うことにした。「かわいそうなうさぎ」武田綾乃。京都市内にある、静かで素敵な喫茶店で、大好きな彼が私に切りたしたのはー。「フレンチプレスといくつかの嘘」岡崎琢磨。人間国宝の陶芸家が焼死体で発見され、妻が自分の犯行だと自供した。寺の和尚が解き明かす、事件の意外な真相とは?「盆帰り」中山七里。3分であっと驚く珠玉のどんでん返し、16作品を収録!
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と三ケ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円ともいわれる遺産の分け前を獲得すべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走するがー。
不結論馬は大学院で建築史を研究している学生である。論馬は高校時代に義兄の秀一と共に旅先で不可思議な事件に遭遇する。それから九年経った今、論馬を訪ねてきた女性歴史学者、由布院蘆花との出会いをきっかけに、再び奇妙な事件に巻き込まれていく。鍾乳洞内で発見された首無し死体、新雪に覆われて密室状態になったログハウス内での大量殺人、誰もいない場所での謎の発火。それらの事件に向き合うことで、「世界七不思議」という歴史的建造物の謎を解明することとなる。
人口20万人の港町オラン。突如として始まったネズミの大量死を不審に思う医師リウーの身の回りで、異常な熱病が相次いで発生する。それは市民を死の恐怖に陥れたペストの嵐の始まりだった!封鎖された街の中で、人々は何を思い、どう振る舞うのかー。突然の不条理がもたらす戸惑い、現実逃避、正義の衝突、政治への不満、互いへの不信感、無力感、心理的分断…。カミュ『ペスト』が教える人間の真の姿。ノーベル賞作家の傑作小説が1時間でわかる!
ある朝、目を覚ますと腕に大きく「神様当番」という文字が!突如目の前に現れた「神様」のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで…?「お当番さん、わしを楽しませて」幸せになる順番を待つのに疲れたOL、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、学生の乱れた日本語に悩まされる外国人教師、部下が気に入らないワンマン社長。小さな不満をやり過ごしていた彼らに起こった、わがままな神様の奇跡は、むちゃぶりなお願いから始まってー。ムフフと笑ってほろりと泣けて、最後は前向きな気持ちになれる。5つのあたたかい物語。
幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯”仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。しかし、取り調べ中に突如意識を失ってしまい、目を覚ましたとき、目の前には仙街の銃殺死体があった。指紋や硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう天生。そんな彼を救うため、あの男が帰還するー!!
スープ屋「しずく」のシェフ・麻野は、ある日、子ども食堂の運営の協力を頼まれる。子ども食堂で麻野たちが出会ったのは、さまざまな傷を抱えた親子たち。ふさぎこむ少女が抱える秘密とは?引き離された父子に何があったのか?少女の家で起こる怪奇現象の真相は?美味しいスープと鋭い推理で、彼らの問題を解決していく麻野。そして麻野自身も、幼い頃に負った傷と向き合うことにー。
狭心症を発症し、突然倒れてしまった珈琲店“タレーラン”のオーナー・藻川又次。すっかり弱気になった彼は、バリスタである又姪の切間美星にとある依頼をする。四年前に亡くなった愛する妻・千恵が、生前一週間も家出するほど激怒した理由を突き止めてほしいと。美星は常連客のアオヤマとともに、大叔父の願いを聞き届けるべく調査を開始したが…。千恵の行動を追い、舞台は天橋立に!
美少女プロゲーマーのリン・ビンビンが目を覚ますと、そこは有名なオンラインゲームの世界が完全に再現された空間だった。リンは“チェイサー”と呼ばれる殺人鬼からの攻撃をかわしながら、脱出を試みるがー。一方、オカルト雑誌「アーバン・レジェンド」がフェアチャイルド家を特集するということで、貧乏ライターの陣内は、彼らが関わっているというゲーム実況動画について調べ始める。
叔父のもとで成長した若き藩士、木島龍吾の目は、生まれながらに色を見る力を持っていなかった。その龍吾に、先代藩主は、実の父、兵庫の捜索を命じる。兵庫は出奔後、京で水墨画の絵師浮島狂花として生きていたが、贋作事件を起こして、行方知れずになっていた。狂花の弟子たちを訪ね歩くうちに、龍吾は事件に隠された真相と、狂花の絵の中にある真実を見抜く。それは、兵庫が龍吾と同じ目を持つ証でもあった。
ヘルペスウイルスの研究者が首なし死体となって発見された。現場には引きずり出された内臓のほか、寒天状の謎の物質と、バイオテロを予告する犯行声明が残されていた。猟奇殺人にいきり立つ捜査陣であったが、彼らを嘲笑うように犯人からの声明文はテレビ局にも届けられる。首都圏全域が生物兵器の脅威に晒されるなか、捜査一課のキレ者変人刑事・鎌木らは犯人の手がかりを追いかけるが…。
黒い噂のつきまとう組織犯罪対策部の秋山は、指定暴力団・舎人組の内通者を疑われ、怒りのあまり上司を殴り飛ばしてしまう。部署内で孤立するなか、出会い系サイトの詐欺について、二課の郷間彩香から相談を持ちかけられてー(「警部補・秋山の場合」)。四人のはぐれ者が捜査の過程で女性刑事と関わり、警察官としての矜持を見つめ直していく。「警視庁捜査二課・郷間彩香」シリーズ短編集!
元科捜研の職員が相次いで死体で発見された。現場の一つから検出されたDNA型は、強制わいせつ事件の元被告人・北村のもの。しかし、捕捉された北村は殺人を認めず「過去のわいせつ事件もDNA鑑定を偽造された冤罪だ」と主張する。彼が提示した証拠は驚くべき事実を示しており、事件は予想外の方向へ向かう。全てを操っていたのは誰なのか。「筋読み」に長けた刑事・飯綱が科学捜査の闇に挑む!