出版社 : 小学館
西暦995年京都、藤原道長と安倍晴明の密談により、大江山に棲まう鬼・酒呑童子の討伐を命じられた源頼光。三日月宗近ら刀剣男士の活躍で無事に任務が完了したはずだったが、酒呑童子の最期の呪いを受けた山姥切国広が姿を消してしまうー。西暦2012年東京、高校生・琴音は禍々しい影と戦う、一振りの太刀と出合う。戸惑いながらも、不思議な声に導かれるままに口にした言葉は…「-三日月宗近」1000年の時を越え、届いた念いとは?守るべき歴史とは!?今、刀剣男士の新たな戦いが始まる!!
北朝鮮の市井の人々が描かれた文学を読む 北朝鮮の市井の人々を描いた作品。 1988年に北朝鮮で刊行され、後に韓国で出版。さらにフランス、アメリカでも翻訳出版された。 アメリカの「ライブラリー・ジャーナル」で、2020年のBest Books翻訳文学部門の10冊に選出。 離婚を望む歌手である妻と、寡黙な技術者の夫。そして、その離婚の審議に当たる判事と、野菜の研究者として生きる妻。二組の夫婦の姿を軸に、地方都市の情景や、そこに生きる人々の心情を描く。 「北朝鮮の人が読む北朝鮮の文学とは何か? 1988年に出版されたペク・ナムリョンの小説『友』は、“北朝鮮”という言葉から思い浮かべるロケット弾や軍事パレードではなく、日常を呈している。〈中略〉 小説は、投機的なニュースよりも恒久的な事実を提供するかもしれない」 ーーー New York Times Book Reviewより 目次 第一章 ある夫婦 第二章 二つの生活 第三章 家庭 訳者解説
追放からの、クラノス完堕ちーー? 国外追放を命じられてしまったクラノス。 亡命先のケイト王国では、まさかの誘惑が待っていた。 それはーー可愛い可愛い園児たち。クラノスは保育園の先生になってしまったのだ! 「もう嫌なの。あの騎士団の担任」「担任じゃなくて団長だ!」 このままでは討ち入りどころじゃない。 折しも、帝都ではミナイツェを中心とした新たなキーラ襲撃計画が企てられていた。 キッチュは騎士団のハピライトらと力を合わせ、なんとかクラノスを説得しようと試みるがーー。 痛快討ち入りコメディ、第3幕!「そうだ京都(ケイト)行こう」編、開幕!
最恐教官・風間公親の初陣!新章始動! 第一話 鋼のモデリング 風間公親は、警察学校第九十四期初任科短期課程の教官となった。助教の尾凪尊彦は、気になる生徒として、人命救助で警察に表彰されたことのある矢代桔平の名を挙げた。 第二話 約束の指 実家が町工場を営む笠原敦気は、マル暴刑事を希望している。クラブ活動ではソフトボールに力を入れ、元高校球児の助教・尾凪から手ほどきを受けているが、スローイングに難があった。 第三話 殺意のデスマスク 若槻栄斗は、ブラジリアン柔術の有段者。交番実地研修中に、通り魔を逮捕した若槻に、風間は現場の再現を命じる。 第四話 隻眼の解剖医 警察学校では課外授業として司法解剖を見学する。不快指数が高いと、犯罪が起きやすい。七月に入り、生徒の大半が嘔吐する講習が近づいていた。 第五話 冥い追跡 星谷舞美は性格が明るく、成績もトップクラスである。星谷と大学同窓の石黒亘は、下位から成績を上げてきた。卒配後は成績上位二名が最重要署のA署に仮配属となる。 第六話 カリギュラの犠牲 氏原清純はソリの合わない同期・染谷将寿と、卒業式のスライド上映担当を任された。当日、風間は祝辞の読み上げをやめ、最終講義を始める。 【編集担当からのおすすめ情報】 主演:木村拓哉 月9ドラマ 「風間公親ー教場0-」 フジテレビ系にて2023年4月スタート! 毎週月曜よる9時放送 脚本:君塚良一 シリーズ100万部突破! 既視感ゼロの警察小説 「教場」シリーズ10周年!
早世した天才作家の珠玉の作品集 ミステリアスなショーショートから哲学的な匂いのする短中篇まで、精力的に作品を発表し高い評価を得ていたものの、34歳の若さで亡くなった山川方夫の短篇集。 地方勤務から4年ぶりに本社に戻った妻帯者で事なかれ主義の男が、同期の女性に翻弄される「帰任」。憧れだった団地に入居したものの、その画一性に疲れ果て、極端な行動を取ろうとする「お守り」。相手の顔をまともに見ることができない内気な女性の大胆な行動を描く「箱の中のあなた」。下宿の外から聞こえてくる女性の軍歌に二人の男が惑わされてしまう「軍国歌謡集」など11作品を収録。
「植物学の父」とその糟糠の妻を描く。小学校中退ながら、ほぼ独学で植物の研究に生涯を捧げ、輝かしい業績を残した牧野富太郎と、想像を絶する生活苦にもめげず夫を支えた妻・寿衛子の生涯を、富太郎と同郷の著者が丹念に描く。裕福な商家に生まれた富太郎は、父母を亡くしたにもかかわらず、研究と趣味のため湯水のように金を使ったので、たちまち困窮。なおも高利貸しから借金を重ね、借金取りに追い回されるのが常態となる。そんななかでも、寿衛子は13人の子ども(成長したのは7人)を育て上げ、待合の女将として働き、富太郎の夢を叶えようとした。夫婦の手紙を紐解きながら、「植物学の父」とその糟糠の妻の素顔に迫った名作。
この物語の主人公は沖縄である 沖縄からの風が「真」をはこんでくれるーー 戦後、日本は二つの国に分断されていた。 本土から切り離され、米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始する。 遠く離れた故郷沖縄に思いを馳せる詩人・山之口貘、“アメリカが最も恐れた男”不屈の政治家・瀬長亀次郎、戦後の東京で私費を投じて米軍支配が続く沖縄との連帯を模索する中野好夫……。 実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作歴史長編! 『ジョーカー・ゲーム』シリーズで知られるベストセラー作家が挑む「沖縄が主人公」の物語。
『BLUE GIANT』もうひとつの物語 沢辺雪祈は、言葉を覚えるより先に音を覚えたーー。 幼い頃、音が「色」に見えた少年は、やがてジャズの魅力に取り憑かれ、運命の仲間たちと出逢う。目指すは日本一のジャズクラブ「ソーブルー」での10代トリオ単独公演! ただ真っ直ぐに、ただただ真摯にピアノと向き合い続ける青年は、夢の舞台で磨き上げたソロを響かせ、喝采を博すことができるのか!? 大人気コミックのストーリーディレクターが魂を込めて書き下ろすフルボリューム音楽小説!! 漫画でも映画でも描かれなかった『BLUE GIANT』もうひとつの物語。
十二歳で離れた故郷の島へ、槇屋深津は二十年ぶりに帰ってきた。島の小・中学校の臨時教諭になるためだ。週に二便しかないフェリーで鹿児島港から十二時間。外食する店もない外周十五キロほどの島。同僚や子供たちは深津を歓迎するが、小学四年生の宇良だけ現れない。人の善悪を見抜き、どちらかわからないうちは、姿を見せないという。深津は悪寒を覚えた。二十年前の事件の記憶がよみがえるー
山岳×青春×ミステリ、最大級の感動作 写真家として活動する藤谷緑里はアラスカに向かっていた。シーラと北米最高峰デナリに挑むためだ。 緑里とシーラの旧友、リタ・ウルラクは新鋭の女性登山家として名を馳せていた。リタとシーラの故郷、サウニケは北極海に面した小さな島だが、90年代後半から地球温暖化の影響で海に浸食されている。このままでは島は海に沈むーーそんな故郷の危機を世界に知らしめる。それがリタが登山家として名を上げようとした理由だった。だがリタは冬季デナリ単独行に挑み、下山途中に消息を絶ってしまう。頂上から「完全なる白銀」を見たーーという言葉を残して。 行方不明となったあと、リタの言動を疑ったマスコミは彼女を<冬の女王>ではなく<詐称の女王>と書き立てた。緑里とシーラは、リタが登頂した証を求めるべくデナリに挑むことに。だが世界最難関の山への登攀は、一筋縄にはいかない。ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害……二人の信頼関係も揺らぐ。さまざまな困難を乗り越え、北米大陸で最も高い地へ手を伸ばす緑里。その先に見えたものとは。 極限の高地だけでなく、社会でも闘う女性たちを描きだす、気鋭の著者の新境地。 【編集担当からのおすすめ情報】 発売前から推薦の声、続々! 「山岳小説の新しい傑作がここに出現した。 読者よ、岩井圭也に瞠目せよ!」--夢枕 獏 「タイムリーなのに普遍的。 理知的なのにエモーショナル。」--恩田 陸
昭和の会社員の哀歓悲喜を描く短篇集。女癖が原因で失踪してしまった元同僚と旅先でばったり出会い、相変わらずの暮らしをしていることを知らされる「病気」。空襲で亡くなった同級生の墓参りと、その寺にまつわる悲しい話を綴る「涅槃西風」。借金で首が回らなくなっている男と、そうとは知らない二人の平凡なサラリーマンの“最後のゴルフ”の様子を描く「トラブル」など、17の作品からなる短篇集。昭和のサラリーマンが抱える孤独、不安、悲しみ、ささやかな喜びなどが、短い文章のなかに凝縮されており、懐旧の情が掻き立てられる佳作。
“情念の川柳作家”時実新子の半生記。-どこにも落ち度のない妻と海野は別れなければならない。おなじように新子は夫と別れなければならないところへ追いつめられていた。しかし、それが愛のすがたというものかもしれない。真実は悪の面を被って、とことん美しくあろうとするものだから。-医師を目指していた少女が17歳でやむなく結婚。夫の暴力と愛のない生活に疲れ果てていた新子を救ったのは川柳だった。創作活動を通じていくつかの出会いと別れを経験し、やがて妻子ある編集者・海野に巡り逢う。はたして海野は新子にとって運命の人なのか…。与謝野晶子と並び称される“情念の川柳作家”時実新子が自らを晒した、赤裸々な半生記。
鉄路の下に巨悪は眠る。 警察キャリアの樫山順子は、北海道警捜査二課長に突如、着任することになった。歓楽街ススキノで起きた国交省技官の転落事故と道内の病院を舞台とした贈収賄事件を並行して捜査するなか、「独立王国」とも称される道警の慣習に戸惑う。両事件の背景に、この国の鉄道行政の闇が広がっていることも知り…… 大ベストセラー『震える牛』で食品偽装を、NHKでドラマ化の『ガラパゴス』で非正規労働の闇を暴いた筆者が、ついに鉄道行政のタブーに踏み込んだ! 貴方に追体験してほしい。 彼女が組織で生き延びるための苦悩、真実を貫くためのあがきを。 ーー村木厚子さん(元厚生労働事務次官) 「日本列島改造論」から半世紀、新幹線神話の虚と実ーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 主人公の樫山順子は、「震える牛」シリーズ最新作の『アンダークラス』で田川信一とバディを組んだキャリア警察官です。「震える牛」シリーズのスピンオフとも呼べる本作にあたり、筆者は北海道取材も敢行しました。新聞記者出身の筆者ならではのリアリティは、読者を「これは本当に小説なのか!」と戸惑わせること必至です。 プロローグ 第一章 軌道 第二章 歓呼 第三章 保安 第四章 検知 終章 置石 エピローグ
あなたの、ささやかな生には意味がある。 毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。 <彼女は善い魔法使いとなり、出会ったひとびとを救い、幸福にするための力を手に入れるのですが、それは世界の片隅で起きるひそかな物語、ほんとうに小さな魔法です。地球を救ったり、闇の力と戦ったり、そういう壮大な物語ではありません。時の狭間の中で忘れられてゆくような、忘れられてきたような、小さな祈りや命をひとつひとつ大切にすくい上げてゆく、そんな物語です>--著者あとがきより 人ならぬ身となり、黒猫メロディとともに空飛ぶ車に乗った律子は、旅先でいろんなひとや妖怪と出会ったり、時にはカフェを開いてお客様に料理やお茶をふるまったり…。2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな、小さな魔法の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 『レミーさんのひきだし』『王さまのお菓子』の人気イラストレーター・くらはしれいさんによる装画・挿絵も10点超掲載されています。作家×イラストレーターの豪華コラボを、どうぞお楽しみください。 序章 魔法の始まり 第一章 黄昏のひなまつり 第二章 花のもとにて 第三章 不思議の庭 あとがき
交通事故で傷を負って以来、人目を避け孤独に生きてきた祥司は、行きつけの居酒屋で一人の女性に出会う。祥司には眩しいほどに快活に見えた千尋だったが、実は人に言えないトラウマを抱えていた。
芥川賞受賞作家が描く、満ち足りた晩年 『貝がらと海の音』『せきれい』(いずれも小学館P+D BOOKS)、『ピアノの音』という、子どもが独立し、実家を出ていってしまったあとの、夫婦ふたりの日常を描いた連作の続巻。 「同じようなことばかり書き続けて飽きないかといわれるかも知れないが、飽きない。夫婦の晩年を書きたいという気持ちは、湧き出る泉のようだ」と著者自身が「あとがき」で触れているように、庭に咲く花やご近所さんとの交流、家族旅行、孫の近況など、平凡な日常のなかのちょっとした変化を、さりげない、やさしい文章で記録していく。 読む人が幸せな気分になれ、繰り返しページをめくりたくなる秀作。
1957年に発表された単行本デビュー作品。大学在学中に結婚し、夫の赴任地・北京で生活。子どもにも恵まれたが、帰国後に夫と子を残して家を出たというドラマチックな前半生が、9篇の短編に凝縮されている。佐藤春夫、井伏鱒二、三島由紀夫に絶賛され第3回新潮社同人雑誌賞を受賞した「女子大生・曲愛玲」、お産と子どもに関する記憶をたどる「訶利帝母」(鬼子母神)、教育勅語や結婚という呪縛から抜け出し「基礎工事が不完全であろうとも、乏しい資材を駆使して、わたしはわたしの力を振り絞り、じぶんの文学をうちたてたいと思うのだ。」と、この世界で生きていく意気込みを語る表題作「白い手袋の記憶」など、みずみずしい感性で描かれた作品集。
第1回警察小説新人賞受賞作! 付け火の真相を追ったまま、行方知れずになっている岡っ引きの父・利助を探す娘のおまき。 おまきを手助けする材木問屋の息子・亀吉、目の見えない少年・要、そして臨時廻り同心の飯倉。 手がかりは漆で塗られた謎の蓋のみ。器の身はどこにあるのか? いったいどんな器なのか? もつれた糸がほどけずに四人が焦るある日、大川に若い男の土左衛門が上がったという。 袂から見つかったのは漆塗りの毬香炉。だが、妙なことに蓋と身が取り違えられていた。 身元は薬種問屋相模屋の跡取り息子・藤一郎で、のちに利助の遺した蓋と藤一郎が遺した毬香炉は一対だったと判る。 利助と藤一郎とを繋ぐ毬香炉は果たして誰のものなのか? おまきと三人は新たな手がかりを元に利助を探し出せるのか? 【編集担当からのおすすめ情報】 選考委員満場一致の受賞作だけあって、とても新人とは思えない筆力に驚かされます。捕物を愉しめるのはもちろん、江戸情緒もたっぷり描写されていて、特にヒロインの探索を手助けする、少年ふたりにかかわる人情の機微が読みどころとなっています。 選考委員をしてくださった各先生のコメントもどうぞ。 *** 相場英雄氏 「流れるような文体、各キャラクターの視点、そこから広がる江戸の風景描写が俊逸」 月村了衛氏 「堂に入った書きぶりで、江戸情緒、人物描写ともに立派なものです」 長岡弘樹氏 「この文章はすでにプロ級であり、読み手は安心して作品世界に身を委ねていられる」 東山彰良氏 「細部にまで目端が行き届いていて、登場人物を過不足なく使い切っているところが見事でした」
若き日の逍遙と懊悩を小気味いい文章で綴る --私達は金輪際あきらめなかった。事は夜間学部学生の面目に関する問題だ。かりに、帝国大学を卒業しなくったって、帝国大学の池の鯉はどうしても釣り上げてみたいものである。-- 東京大学の仲間たちと、勝手気ままな共同生活をしていた〈私〉。卒業しても定職に就くのはイヤで、ツテをたどりつつ満州暮らしを続けていた。なんとか生活を安定させようと、彼の地の女性との婚姻を画策するが、うまく事は運ばず……。 著者が世に出るまでの物理的、精神的な放浪を綴った本編と、「書いて、喰って、支払をするより外にはない」と腹をくくった経緯を記す「放浪無慙」(「あとがき」に代えて)を収録。
町の名士と日蔭者の子の愛と葛藤を描く --自分のいう血のこわさとは、日蔭者の子とその父、というこの血の関係のこわさなのだ。この血ゆえに、かつては全力をあげて拒否しようとした存在を、いまはかえってその血ゆえに、“父なるもの”としてわがふところに受容しようとしている。-- 医者であり町の名士である高峰好之と、その愛人のあいだに生まれた伊作。好之の死後、伊作たちは高峰家とは疎遠な状態だったが、85歳になる母が、父のさみしそうな様子を夢に見るというので、父の墓に参り、その足跡を調べることに。その作業は、恨みに思っていた父と、あらためて向き合うことも意味していた……。 第28回読売文学賞に輝いた傑作私小説。