出版社 : 小学館
「わたし、ちっとも、後悔はしておりません。…じっと耐えて、先生との恋のために、どこまでも、戦い抜いて行きます。もし、この恋が実をむすばなかったとしても…」大阪・堺で和菓子店を営む家に生まれた鳳晶子。幼い頃から文学に親しんでいた少女は、やがて短歌の世界にのめり込み、入会した関西青年文学会でみずみずしい歌を披露するようになる。与謝野鉄幹が主宰する「明星」にも投稿していた晶子は、ある宴席で初めて鉄幹と会い、その人間的魅力の虜に。そして妻子のある身だとは知りながら、鉄幹の元に押しかけてゆきー。恋に生き、歌に生きた“情熱の歌人”与謝野晶子の生涯を、“伝記の名手”和田芳恵が生き生きと描く。
「なりたい自分だって気がするんだよね、あんたといる時だけ」SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは、木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをする。流木が折り重なる“木の墓場”で会うようになった二人は、心を通わせていくー奇跡のような一夏を瑞々しい筆致で描く新時代のガールミーツガール小説、誕生!
いじめをきっかけに不登校となっていた中学生の進。親の勧めで夏の二ヶ月を沖縄の離島で過ごすことになるが、美しい海の前に建つ家で、進は大人たちの恐ろしい素顔を目の当たりにする。命がけの脱走を図るが…。
宇都宮市大谷町の旧家に独り住む石庭大輔。ある日、家に見知らぬ若い女性が現れた。彼女はアヤと名乗り、明治の生まれで大輔の祖父のもと働いていたと言う。友人の紫は「タイムスリップだ!」と騒ぐが、大輔は信じない。だがアヤが作った冷やしコーヒーに驚く。祖父が生前「もう一度飲みたい」と語っていた通りの味わいだったのだ。天涯孤独で食にも興味なく生きてきた大輔だったが、アヤの作る百年前の料理に食卓を楽しむ気持ちが湧き上がる。しかしある日、新たなタイムスリップが起きて…。世紀を超えた“家族”の秘密。運命の鍵は、大正時代のカフェレシピ!?奇蹟の感涙ファンタジー。第3回日本おいしい小説大賞大賞受賞作!
血風舞い散るガンガルガ要塞攻防戦。六つの列強国からなる連合軍と共に魔王軍と戦っていたロメリアだったが、魔王軍の苛烈な反撃により連合軍は敗北。撤退を余儀なくされた。しかし、唯一の退路であった橋を味方の手によって爆破され、多くの兵士が逃げ道を失い敵地に取り残されてしまった。そこへ押し寄せる魔王軍。ロメリアの活躍により一時撃退することに成功したが、彼女は負傷し意識を失うー。一方、魔王軍の本拠地ローバーンでは、書庫に籠っていたガリオスがついに動き始める。風雲急を告げるガンガルガ要塞攻防戦。連合軍とロメリアの運命やいかに?
昭和10年代から戦後までの文壇の舞台裏を描く。-個々の作品が独立した短篇であることはいうまでもないが、連続性を意図して執筆したことも事実であった。いわゆる連作であるが、変則的な長篇といえるかもしれない。文芸雑誌「行動」の編集者だった時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「その日私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」、戦後の雑誌界や日本文藝家協会について触れる「真暗な朝」など、年代ごとの文壇の様子や作家の生の姿が垣間見える秀作短篇集。他に「ほとりの私」「深い海の底で」「彼と」の計7篇を収録。
アメリカ最北端の町で繰り広げられる人間ドラマ。-彼等はみんなその祖先に流れ者の血を持っているので、流れ者に対して寛容であり、理解もあった。-命からがらの逃避行でロシアから逃れ、中国、そしてアメリカ最北端へと流れ着いたマリヤ。マリヤの飼う4頭のシベリア犬に飼い猫を殺されたにもかかわらず、友人づきあいをするアヤ。そのアヤは、前夫との子を連れ日本に一時帰国するが、元夫とはやはり心を通わせることができず、親子ともどもさみしい思いを抱いてアメリカに戻る。アヤとも知り合いのカルロスはスペイン、中米から自作のヨットで漂着し、そのまま居着いてしまった印刷屋の主人。ある日フェリーでやってきた東洋系の女性と知り合うが、彼女もまた、韓国系の母親と日本人の父親を持つ“漂流者”の一人だったー。第14回女流文学賞を受賞した名作長編。
この世界の理不尽さに深く傷つく中学生、実直に堅実に生きてきたのに報われない中年女性、定年後の不安と不満が募る元サラリーマン、薄れゆく記憶の中を生きる老人、“家”を守りながら囚われてきた専業主婦、強い悔恨の念を抱えて念願の舞台に立つ老優…。中高年限定の劇団を取り巻く人々の人生を丁寧に掬い取る。
17歳の美少女オ・イェスルは、ある日突然10年後にタイムスリップし、27歳の自分に出会う。しかし、夢に描いた自分とはかけ離れた、情けない姿になっていて…。この10年に何があった?その10年は取り戻せる?NETFLIX韓国ドラマ原作。
魔族たちが企む“神”の召喚に対抗するため、レインたちは戦闘の準備を整える。さすがに今回ばかりは、エレノアたちと遊ぶ暇はないだろう…。と思われたが、さすがは万全なホワイト体制の魔王軍。リフレッシュのため、レインたちには十分な休養の時間を与えられた。七人組の計らいもあり、雪遊びに温泉、パーティー、カジノなどを楽しむレイン。さらに、人類の危機のため英雄たちとも協力関係を結ぶことに。すると、賢者、魔弾、聖女が突然押し掛けてきてー!?
仁鍋島ー通称「人面島」。島には隠れキリシタンの財宝が眠っているという。村長であり大地主の鴇川行平が急死し、島の多くを占める土地が相続されることに。相続人兄弟は、島を統べる神社の宮司と、一大産業である漁業組合長をそれぞれバックに持っている。さらに二人には過去に因縁が。そんななか、長男の匠太郎が密室で不可解な死を遂げた。嵐のなか、電気も通信も断たれた絶海の孤島。犯人は、そして驚くべき真相とは!?三度の飯よりトラブルが好き!?毒舌“人面瘡”探偵×ポンコツ相続鑑定士、隠れキリシタンの島で密室殺人の謎に挑む!
東洋の化粧品王は、いかにして誕生したか 「ほんまに、きみが愛おし!」 時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は? 産経新聞連載時から大反響! 明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!
『桜の花びら集めてみませんか?』不思議なバイトの依頼主・雫に恋をした日向。彼女に振り向いてもらいたい。そう願う彼だったが、あるとき、雫の“秘密”を知ってしまう。なんと彼女は一年でたった一週間しか起きていられないという不思議な体質の持ち主だった。思い悩む日向。どれだけ逢いたくても、夢の中には逢いにゆけない。夢と現実に引き離された、究極の遠距離恋愛が今はじまるー。ベストセラー作家が紡ぐ究極のラブストーリー。
柴山芳三が事業に失敗して困窮しているとき、管財人として現れ、救いの手を差しのべた小田村大介は、じつは芳三が没落するきっかけを作った人物だった。豪腕の実業家であり、気鋭の政治家でもあった小田村は、あるとき芳三の娘・月子を強引にさらい、自分のものにしてしまう。月子は一男一女をもうけ、愛人として空しい日々を送っていたが、短歌に生きる希望を見いだし、小田村の死後もたくましく生きていこうとするのだったー。作者の父・堤康次郎をモデルとした『父の肖像』と対をなす作品で、歌人でもあった作者の母・青山操とそのきょうだい、そして作者自身と思われる人物が登場する自伝的長編。
表題作「夜風の縺れ」は、1955年9月に発行された同人誌「運河」第1号に収められていたもので、従来、色川作品最古といわれていた「小さな部屋」(1956年9月「文学生活」初出、『色川武大・阿佐田哲也 電子全集7』所収)よりも古く、『怪しい来客簿』(『色川武大・阿佐田哲也 電子全集1』所収)の「門の前の青春」にもつながる貴重な作品。さらに、杉民也名義で書かれた「寝心地よいアスファルト」、歴史小説「影にされた男」「覇城の人柱」などの新規発掘作品8篇を収録。加えて、『色川武大・阿佐田哲也 電子全集23』より、30篇の単行本未収録小説・エッセイと、1985年に記されたまま公表されていなかった「日記」を網羅した決定版。
現役新聞記者だから描けたリアル検察小説。見習い女性検事が異動先の鹿児島で一悶着を起こす「ジャンブルズ」、小倉支部の万年窓際検事が組織から孤立しながら凶悪暴力団に立ち向かう「海と殺意」ほか、全四話+αの連作短編集。
ーーこの仇討ちは、伝説となる。 聖塩に護られし地、レディア王国。 だが悪臣キーラによって王は殺され、国家存亡の危機に立たされる。 列国最強と謳われたレディア騎士団も、護国派と仇討ち派で分裂の危機ーー。 現代人の寺坂喜一がやってきたのは、そんなときだった。 美少女団長クラノスの信頼を得て、仇討ち派の女騎士アンスヴェイを説得にかかる! 「黙れ乳騎士!」「何よ尻騎士!」 「やめろ! 過度な個人攻撃は、俺の世界でも問題になってるぞ!」 ……おのおの方、頼むから仲良くしよ? 再現せよ忠臣蔵! 痛快“討ち入り”ファンタジー活劇、ここに開宴!!