出版社 : 小学館
作者と主人公が哲学問答!?融通無碍な小島信夫の奇想天外ワールド。前巻で描かれた、アキレスとアキレスの馬による「トロイ戦争の原因」に関する考察は本巻でも延々と続き、一向に出口が見えない。と、そこに白い馬が現れ、ようやく物語は動き出すーかと思いきや、突然「作者特別回」が始まり、『別れる理由』という小説そのものについての考察がなされる。しかし、主人公である前田永造が作者に「ねえ、小説家」と電話で語りかけ哲学問答を始めるなど、物語は再び混沌の世界にー。文芸誌「群像」に150回にわたって連載された、小島信夫“執念の大作”の第5巻。当巻には第101話から第125話までを収録。
聖地巡礼スポット・台南を舞台にした表題作ほか、珠玉の短編5編。明治、大正、昭和の3つの時代にわたって、詩歌や小説、文芸評論など幅広い分野で足跡を残した佐藤春夫の、珠玉の小説アンソロジー。表題の『女誡扇綺譚』は、日本時代の台南を舞台に、鄙びた町の姿や、没落豪族の娘の霊との出会いを描いた作品で、作者自ら「五指に入るであろう」と評した幻想的な傑作。改稿を重ねた渾身の一作『田園の憂鬱』は、田舎に移り住んだものの周囲と溶け込めず、次第に病んでいく文学志望の青年を描く。他に処女作品『西班牙犬の家』のほか、『のんしゃらん記録』『美しき町』を収録。『大正幻影』で佐藤春夫を掘り下げた評論家の川本三郎氏が解説。
あの眞家早馬が「駅伝」の世界に戻ってきた!大学卒業後、いったんは就職した早馬は、弱小・紫峰大学駅伝部のアシスタントコーチとして、部員たちと箱根駅伝初出場を目指すことになる。学生時代、長距離走選手として夢を果たせなかった早馬。数々の挫折を経験した者として部員たちに寄り添う。「箱根駅伝に出たい」「箱根を走らせてやりたい」。徐々にひとつになっていく部員たちの熱い願い、そして早馬が見つけた新たな夢は、果たして叶うのか…?熱涙間違いなしの傑作スポーツ小説!
軍学者の沢村翔馬は、さる事情により、美しい公家の姫・由布を守るべく、日本橋の二階家でともに暮らしている。口うるさい老侍女・お滝も一緒だ。気分転換に歌舞伎を観に行ったある日、翔馬は一瞬の隙をつかれ、由布を何者かに攫われてしまう。最近、唐土からやって来た清国人が江戸を荒らしているらしいが、なにか関わりがあるのか?それとも、以前勃発した百姓一揆で翔馬と敵対、大敗を喫し、恨みを抱く幕府老中・松平信綱の策謀なのか?信綱の腹臣は、高名な儒学者・林羅山の許で隣に旗を並べていた、好敵手・朽木誠一郎なのだが…。シリーズ第一弾!
「謀反を企んで出奔した義弟を斬れ」。密命を受けた浜岡藩士・香坂又十郎は義弟の兵藤数馬を江戸で上意討ちにしたが、藩の身勝手な事情で脱藩扱いに。さらに目付の嶋尾久作が非情な裏仕事まで押し付けてくる。一体藩に何が起こっているのか?数馬が最期に残した言葉を頼りに真相を探る又十郎は、ついに鍵を握る下屋敷お蔵方の筧道三郎と対面する。抜け荷を疑われ、公儀と抗争を続ける藩は本当に潔白なのか?見張りの目を盗み、妻の万寿栄へ送った抜け文が事態を大きく変えるが…。再び最愛の妻と抱き合うために剣を振るう!大河時代小説シリーズ第三弾。
T県警が誇る「風間教場」は、キャリアの浅い刑事が突然送り込まれる育成システム。捜査一課強行犯係の現役刑事・風間公親と事件現場をともにする、マンツーマンのスパルタ指導が待っている。三か月間みっちり学んだ卒業生は例外なくエース級の刑事として活躍しているが、落第すれば交番勤務に逆戻り。風間からのプレッシャーに耐えながら捜査にあたる新米刑事と、完全犯罪を目論む狡猾な犯罪者たちとのスリリングな攻防戦の行方は!?テレビドラマ化も話題の「教場」シリーズ、警察学校の鬼教官誕生の秘密に迫る第三弾。
明治時代に、北海道・大沼を開拓した者たちの後裔として、大沼の地で自分たちらしく根を張ろうとした小さな母と、魅力的な長身の三兄弟。また、この地を自分たちの新天地と考えて、第二次世界大戦後、山梨より順に嫁いでいくことになる、それぞれに個性溢れる三姉妹。この「奇跡の三夫婦」たち大家族は、様様な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく…。そして、母の死に際に、三夫婦に明かされた謎とは?北海道を舞台に、数々の小説を発表してきた著者が、五年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話をもとにした、大恋愛と大家族を描く感動長篇。
さつきたちの前から突然姿を消した駒三が一年ぶりに万葉堂に帰ってきた。駒三は自分がかつて「蛇の目」の一味であったこと、また、蛇の目が平野屋から盗み出したある重大な書物についてさつきたちに話をする。ちょうどその頃、その肉が万病に効くという「人魚」の噂が江戸に広まる。体調を崩したおよねの身を案じる両親は喜重郎たちにその探索を依頼するのだがー。書物に記された暗号を読み解くことで、自分の人生を翻弄したある重大な陰謀を明らかにしたさつきは、己れの信じる道を読売で貫こうと決意する。そして物語は感動の終幕を迎える!
竹宮惠子の大ヒット自伝が、ついに文庫化! 石ノ森章太郎先生に憧れた郷里・徳島での少女時代。 高校時代にマンガ家デビューし、 上京した時に待っていた、出版社からの「缶詰」という極限状況。 のちに「大泉サロン」と呼ばれる東京都練馬区大泉のアパートで 「少女マンガで革命を起こす!」と仲間と語り合った日々。 当時、まだタブー視されていた少年同士の恋愛を見事に描ききり、 現在のBL(ボーイズ・ラブ)の礎を築く大ヒット作品『風と木の詩』執筆秘話。 そして現在、教育者として、 学生たちに教えている、クリエイターが大切にすべきこととは。 1970年代に『ファラオの墓』『地球(テラ)へ…』など ベストセラーを連発して、 少女マンガの黎明期を第一線のマンガ家として駆け抜けた竹宮惠子が、 「創作するということ」を余すことなく語った必読自伝。 漫画ファンはもちろん、そうではない読者からも 感動の声が続々と寄せられ、 朝日、読売、毎日など各紙書評や 各種SNSで大反響だった単行本が、ついに文庫化。 カラーイラスト増ページ、「文庫刊行によせて」を収録。
陸上名門高校の長距離選手、眞家早馬(高3)は大けがを負いリハビリ中。そんな折、調理実習部の都と出会い料理に没頭する。一学年下で同じ陸上部員の弟・春馬、陸上部部長の親友助川、ライバル校の藤宮らは早馬の復帰を切実に待っている。しかし、早馬は競技からの引退を宣言。それぞれの熱い思いが交錯する駅伝大会がスタートする。そのゴールの先に待っているものとは。高校駅伝、箱根駅伝の臨場感溢れる描写と共に、長距離走に青春を捧げる陸上青年の思いと生き様が熱く描かれる。
大好評シリーズ第3弾!ぽんこつロボ学校へ 30代のダメ男ベンが幼児のようなぽんこつロボット・タングと出会い、世界半周の旅に出る姿を描いた「ロボット・イン・ザ・ガーデン」。ベンと元妻エイミー、娘のボニーの3人と、タング、突然やってきたジャスミンのロボット2体という風変わりな家族を描いた「ロボット・イン・ザ・ハウス」。そんな大好評シリーズの第3弾が、いよいよ日本上陸!4歳になり、プレスクールに通い始めたボニー。ある日、突然タングが言い出した。「何で僕には学校がないの?僕も学校に行きたい」。果たしてタングは人間の学校に入学できるのか…?ケンカ、別れ、新たな出会い。毎日がてんやわんや、でもあったかくて愛おしい家族の日々に笑って泣ける、ハートフル小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 前作から約2年、お待たせしました、第3弾「ロボット・イン・ザ・スクール」がいよいよお目見えです。装画は本作も引き続き、酒井駒子さんの書き下ろしです。 そして、本シリーズの読者の皆さまに感謝を込め、このたび酒井駒子さんの「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の装画をあしらった「タング・オリジナルトートバッグ」を抽選で50名様にプレゼントすることになりました!詳細は「ロボット・イン・ザ・スクール」オビをご覧下さい。たくさんのご応募をお待ちしています。
南部照一は、孤独な自営業者だった。茨城県取手市在住。猫と車を愛する27歳の平坦な人生は、保守系言論人の勉強会に参加したことで狂っていく。警備会社「シュトケイ」の懸賞論文に応募し、入選。一躍、保守論壇の新星に祭り上げられ、右派系テレビ局「よもぎチャンネル」レギュラー出演者への道が拓けていった。順風満帆に見えたが、彼が足を踏み入れたのは野心と嫉妬が渦巻き、裏切りが横行する下劣な世界だった。論客同士のパイの奪い合いから思わぬ事件も発生するー。保守論壇からデビューした著者の実体験を基にした小説。
この世には“蠱毒”というものがある。毒蟲を殺し合わせて最後の一匹が猛毒の“蠱”となるのだ。それを操る術者のことを古来“蠱師”と呼ぶ。さて、斎帝国の皇女にして蠱師の李玲琳が、新興魁国の若き王・楊鍠牙のもとに嫁いでいくらかの月日が過ぎた。夫の困惑や周囲のドン引きをものともせず、玲琳は今日も大好きな蟲に囲まれ、蠱毒の研究に余念がない。ところが反王妃派の大臣が鍠牙に側室を持つよう迫り、王宮には不穏な空気が漂い始めて…。変わり者の最強王妃と、その才覚や美貌に反して苦労性の国王による、波瀾万丈な新婚生活の明日はどっちだ!?
警察マニアのイケメン、コミュ障な凄腕ハンター、母親想いのくたびれた元刑事、前代未聞の凸凹トリオ!!報奨金の懸かった放火事件、何者かが執拗に攻撃。犯人はとんでもない凶悪犯!?サスペンス&ユーモアミステリー。
フェリクスを倒した功績を認められ、騎士団への入団を推薦されたエリックとティナは王都へと向かう。騎士団の寮生活が始まるなか、ふたりは新たな出会いを重ねていく。騎士団の中でもその実力を認められていくエリックとティナ。特にエリックは、騎士団最強とも謳われる副団長にすら、その実力を認められるほどだった。そして騎士団での生活に馴染みはじめるなか、エリックが心の底から願う出会いー前世での親友クリストとの再会が思いも寄らない形で成就する。だが、親友との再会を喜ぶのも束の間、さらに驚く再会が待っていた。
学園からリズが消えたー。エルフ連続失踪事件との関連性から彼女の行方を探るテオドール。そんな彼の周囲をつきまとう謎めいたエルフの少女。ビアナと名乗るその少女は、軍学校の入学試験を楽々突破したテオドールに憧れを抱いたのだという。魔族とは真逆なビアナの純真さに興味を覚えるテオドール。だが、事態は急変する。エルフの国の女王が、ミルディアナの街に極秘裏に来訪することになったのだ。女王の身に何かあれば、帝国とエルフの同盟関係は崩壊する。学長の依頼から事件解決に乗り出すテオドール。すべては一時の余興のためにー!
寂しい?太陽は、いつもひとりぼっちだ…デビュー作『さよなら、田中さん』の田中花実母娘が帰ってきた!新高校生作家となって初の新作書き下ろし。笑って笑ってホロッと泣ける本格小説・全3編。
日本の女子教育の近代化に生涯を捧げ、新五千円札の肖像画に選定された津田梅子(1864〜1929)。満六歳だった梅子は、日本最初の女子留学生として岩倉使節団に随行して渡米、十一年間米国に暮らす。後年、梅子が創設した津田塾大学(女子英学塾)の倉庫から、おびただしい数の手紙が発見される。それは梅子と、留学先の里親アデリン・ランマンとの往復書簡の束であった。完全にアメリカナイズされた自身と日本文化とのギャップ、開明的な政治家・伊藤博文一家との交流などが生々しく記された手紙の真意を、津田塾大学出身の著者が自らの渡米経験も踏まえて読み解いていく。第42回読売文学賞(評論・伝記賞)を受賞した傑作評伝。