出版社 : 小学館
小悪魔的女学生と、理知的な女教師の間で 「私は男を知りたい。その男を通して私の父を感じたい」--。容姿端麗、頭脳明晰だが、たびたび問題を起こす女学生・江波恵子。理知的で美しい女教師・橋本スミ。北国のミッション系女子校で国語教師をしている間崎慎太郎は、橋本に惹かれながらも、早熟で危うい魅力を放つ江波からも目が離せない。 江波たちの学年の修学旅行に同行することになった間崎は、旅先で橋本の義母に会うことになり……。 何度も映画化、テレビドラマ化された青春文学の金字塔にして、第1回三田文学賞に輝いた石坂洋次郎の出世作・前篇。
2万人以上の日本兵が亡くなった硫黄島で辛くも生き残り、終戦後も3年以上穴居生活を続けた片桐正俊。「投降時に岩穴に隠した日記を取りに行けることになったので、そのことを記事にしてほしい」と新聞記者である“私”に依頼する。だが、片桐はせっかく再上陸できた硫黄島で、自死してしまう。その原因を探るべく奔走する“私”は、やがて戦争が片桐の心に刻みつけた傷の深さを知ることになるー。第37回芥川賞を受賞した「硫黄島」のほか、海軍兵学校に通う若者の葛藤を描き、映画化もされた青春群像「あゝ江田島」など、戦争文学の名作短編6篇を収録。
騙して脅してしらを切る、日本一やばい女 この小説は、今、この時代に読んでこそのエンターテインメント! 現実と物語が頭の中で撹乱され、とてもエキサイティングな読書 時間を過ごしました。 きれいな爆弾は恐ろしくて美しい。 小泉今日子 初の内閣入りを果たした福永乙子は、就任会見の場で一席ぶった男社会への歯に衣着せぬ発言が話題になり、一躍時のひととなる。 総理経験のある政治家の養女として、3回目の当選での初入閣。メディアからは「美しすぎる奇跡の46歳」として大きくクローズアップされた。 しかし、彼女は、様々な後ろ暗い部分を抱えていた。高級コールガールや新興宗教の謎の教祖だった過去、構成員7000人といわれる反社会勢力トップとの接点。永田町に跋扈する政敵を前に、しかし、彼女は冷然とこの国の頂へ向けて、階段を昇っていく。 戦慄と衝撃の悪女エンターテインメント。
小泉今日子さん推薦!心温まる家族の物語 人生の旅を豊かにするのは、大切な記憶。 人生の旅を愉快にするのは、大切な仲間。 旅はいつか終わっても仲間が記憶を繋いでくれる。 心が温かくなる一冊です。 ー小泉今日子 10歳の「僕」の親友は、元ボクサーで85歳の祖父、ナポレオン。ふたりは「皇帝」と「副官」としていつも行動を共にする。スーパー高齢者の祖父はボウリングでストライクを連発し、失礼なチンピラを殴り倒し、エスペラント語で会話し、ディスコミュージックに合わせノリノリで踊る。だがこの頃様子がおかしい。長年連れ添った妻ジョゼフィーヌとの離婚を一方的に決めたり、ボクサー時代のライバルのことで隠し事もあるようだ。もともと折り合いの悪い息子(「僕」の父親)への態度も、どんどん悪くなっている。やがて、そんなナポレオンに「最後の戦い」の時がやってくる……。 破天荒な最強祖父と家族の秘密、老いを、相棒である10歳の孫目線で綴る、笑って泣けるフランス発家族小説。
料理は、作られなくなったら死んでしまう。 フリーのSE兼料理研究家として働く留希子の実家は、江戸時代から続く古い家柄で、老舗料理学校「品川料理学園」を経営している。大学こそ親の希望があって栄養学を専攻したが、幼い頃から後継者の道が決まっている雰囲気や、昔からの教則本を使う学園の方針への抵抗が留希子にはあった。卒業後は、製品開発会社にSEとして就職した。しかし、料理をすることは好きだった。SNSでの発信をきっかけに雑誌からも仕事の依頼が来るようになり、料理研究家としての認知度を上げていた。 忙しい女たちを助けたいと、留希子は令和元年になるゴールデンウィークに向けた簡単で美味しい献立レシピの企画を立ち上げた。しかし、あるレシピをめぐり、問題が起きる。留希子にとってはすっかり身についた我が家の味だったが、そこには品川家の大切な歴史が刻まれていた。 一方、昭和二年、品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜のセロリーと格闘していた。 料理学校の歴史をつなぐレシピを巡る、胃も心も温まる家族小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 『三人屋』『ランチ酒』『まずはこれ食べて』--旬のおいしい小説作家が、家庭料理のレシピの歴史に挑む意欲作です。
はた迷惑な駄女神、リターンズ!? 30歳無職、山田田助。 駄女神によって人生をめちゃくちゃにされるも、救済措置でチートスキルをもらい、さらには大事な家族もできました。 今日もダンジョンライフを満喫する田助だが、ふと思い立つ。 「異世界みたいな魔法を使ってみたい!」だが、魔法の使い方なんて分かるわけもない。 だったら教えてもらおう、異世界の魔法使いに! 異世界ストアで購入したのは、緑髪が特徴的な奴隷のウェネフ。 そして、諸悪の根源である駄女神シャルハラートが神の世界から落ちてきて!? 一発逆転自由気ままな現代ダンジョンライフ、第二弾!
東京・根津の元団扇屋の主人・山中信介は戦時中、無実の罪で特高に捕らえられ、刑務所で終戦を迎えた。久々に自宅に戻ってみると、同居していた5人の女性に加えて2人の娘までも、GHQの将校たちに囲われてしまっていた。さらに、GHQによる「日本語のローマ字化計画」を知った信介は怒り心頭に発し、なんとか阻止しようとするが、逆に捕まってしまって…。「それでも日本人から漢字や假名を取り上げようだなんてあんまりぢゃないかしら」-。家族や家を失い、プライドもズタズタにされた日本人のなかから、七人の名花・東京セブンローズが立ち上がる。第47回菊池寛賞を受賞した名作長編の完結編。
真珠湾攻撃をテーマにした青春小説 薩摩人・谷真人と牟田口隆夫は、同い年で幼なじみ。ふたりは旧制中学に入ると、ともに海軍に強いあこがれを抱く。真人は首尾よく兵学校に合格し、どん亀と呼ばれながらも着実に力をつけていく。しかし、隆夫は軍人になれず、やがて画家の弟子に。 別々の道に進んだかと思われたふたりだったが、何かに導かれたように再会し、真人の口利きで隆夫は軍属として軍艦を描く仕事を得る。そして昭和16年12月8日、真人たちは真珠湾で勝利を収め、隆夫はその光景を描くがーー。 モデルは真珠湾攻撃で殉死した横山正治少佐。戦時中の1942年に「朝日新聞」に連載され、第14回朝日文化賞を受賞した、“青春小説”というべき傑作に、単行本未収録の「戦時随筆」9篇と、『海軍』の後日談「軍神」を収録。
江戸深川に建つ、小さな船宿山谷屋の女王・志津は、亡き父の跡を継ぎ、大叔父の捨蔵と宿を営んでいる。ある日、船頭の百助が、川面に浮かんでいた若い女を担ぎ込んできた。生気を取り戻した女は小声で呟く。復讐してやるー。おみねと名乗る女に何があったのか?志津と捨蔵、百助は、手をかけた料理と絞った知恵で、おみねを絶望の淵から救おうと奔走する。三人をよく知る同心の後藤多一郎からの助太刀も得たが、予期せぬ困難が訪れてしまい…。辛い過去を持つ客を癒し、新しい人生への旅立ちを手伝う、温かい船宿の人々を描く、ぬくもりと感動の連作時代小説。
若い夫婦は、なぜ殺し合ったのか? 国際指名手配のテロリストを追い詰め、ルワンダ政府から一億円の報奨金を手に入れた藪下、淳太郎、一花の3人は、日本初の刑事事件専門調査会社「チーム・トラッカー」を立ち上げた。警察庁による捜査特別報奨金制度が適用された事件を独自に調査する。 早速噂を聞きつけ扉を叩いたのは、2年半前に起きたとある事件の遺族だ。吉祥寺のアパートで若い夫婦が死亡したという。死亡した男は警察官僚一族の息子で、事件は「殺し合い」ということで決着している。 仲が良かった夫婦が、なぜ殺し合わなくてはいけなかったのか? 現場に残された、おびただしい血痕と署名済みの離婚届。司法解剖鑑定書を決して開示しようとしない夫の遺族。警察が何かを隠している可能性もある。3人は現場へ向かった──。 江戸川乱歩賞作家・川瀬七緒の凸凹トリオシリーズ第2弾! 【編集担当からのおすすめ情報】 TBS系「王様のブランチ」で特集が組まれ、話題をよんだ『賞金稼ぎスリーサム!』。シリーズ第2弾となる今作では、警察官僚一族の息子の「相討ち事件」の謎に、相性抜群!?の3人が挑みます。 番組内で『賞金稼ぎスリーサム!』を絶賛してくださっていたニッチェの近藤くみこさんが、今作の帯にも素敵な推薦コメントをお寄せくださいました。
驚嘆のち落涙。新二度読みミステリー誕生! 凜太郎は、中学生と高校生の時に、つきあっていた女性に触れた瞬間、未来を見てしまっていた。しかもバッドエンディングばかりのだ。そんな体質故、恋愛とは無縁の大学生活を貫いていた。大学二年の大晦日の夜、花火を見に出かけた同級生にキスされた瞬間、凜太郎はとんでもない未来を見てしまう。その結末を変えるべく、凜太郎は奔走するのだが……。 「やられました」「とにかく読んで」「面白さ、保証します」などなど、先読み書店員さん大興奮の一気読み必至、新・二度読みミステリーの誕生です! 驚きのあとにやってくる感動を、是非とも体験してください!
東京の下町で団扇屋を営んでいた山中信介は、戦時中でも体制べったりではない、ちょっと気骨のある一市民。戦火に焼かれて変わりゆく町の姿や、それでもめげずに生きている市井の人たちの様子を、ときにはユーモラスに、ときにはシニカルに日記に記していく。終戦直前、特高警察に捕まった信介が、敗戦で出所してきたところから物語は大きく動き始めるー。「別冊文藝春秋」に足かけ15年間にわたって連載され、第47回菊池寛賞を受賞した名作長編の上巻。あえて旧仮名遣いで書かれているが、読みやすさを損なうことは一切なく、“これぞ井上ひさし”という世界に没頭できる。
「天上の花」は、詩人・三好達治を、幼いころから三好にかわいがられていた著者ならではの目線で切り取ったもの。三好は前妻(佐藤春夫の姪)と別れ、朔太郎の妹・慶子と付き合うようになるが、きらびやかな生活を好む慶子と、貧しくても平和な暮らしを望む三好の愛の生活は、やがて破滅的な最後を迎えるー。第55回芥川賞候補作。「蕁麻の家」は母親が他の男のもとに走ったことが原因で、幼少期から祖父、叔母など家族みんなに疎まれ、頼みの父親からも避けられてしまう主人公の、まさに棘に囲まれているような生活を描いた秀作。第15回女流文学賞を受賞。
人類を救うため、どん底令嬢が立ちあがる! 「ロメリア伯爵令嬢。君との婚約を破棄する」 アンリ王子がそう宣言したのは、魔王を倒した直後だった。 王子の側には聖女エリザベート、帰らずの森の賢者エカテリーナ、東方の女剣士呂姫が並び立ち、「役立たず」と弾劾の指を向ける。 だが王子達は知らなかった。 ロメリアには幸運を授ける『恩寵』と呼ばれる奇跡の力があることを。 婚約者を失い、仲間からも見捨てられたロメリアだが、彼女はくじけなかった。 祖国にはいまだ魔王軍がはびこり、魔族に囚われ奴隷となった人たちがいたからだ。彼らを救うため、行動を開始したロメリアの前に数々の困難が立ちはだかる。 まず軍隊が手元にない。傷を治す癒し手もいない。資金が無い。 しかしロメリアは、全ての問題をアグレッシブに解決していく。 「軍隊がない? 地方領主を脅して砦を乗っ取りましょう」 「傷を治す癒し手がいない? 教会と話をつけて融通してもらいましょう」 「お金がない? 商人たちと商談して、資金を出させましょう」 「手に入れた兵隊が新兵ばかりで使い物にならない? 魔物を退治して経験を積ませましょう」 そしてーーロメリアは忠誠を誓う者たちとともに、いま出陣する!
刺客は、思わぬところからやって来た。 1840年、気仙沼から出航した五百石船・観音丸は荒天の果てに、ある島に漂着する。そこには、青い目をした先住者たちがいた。彼らは、その地を「ボニン・アイランド」と告げた。 時を隔てた現在。すべてを失った中年男は、幼少期、祖父が大切にしていた木製の置物をふとしたことで手に入れる。それを契機に記憶が蘇り、彼は、小笠原行のフェリーに足を向けた。物語は、ゆっくりと自転を始める。
戦争ですべてを失った母の絶望と孤独 昭和20年、すでに夫を喪い、家も戦火に焼かれてしまった母子が、遠縁を頼って東北の寒村に身を寄せる。だが、そこは安住の地ではなかった。 頼るべき知己もおらず、終戦後は都会に戻るという希望も断ち切られ、迫りくる厳しい冬を前に、母は自ら死を選ぶ……。ノンフィクション作品のような感情を抑えた筆致が、かえって読む人の想像を掻き立てる。 第54回芥川賞に輝いた表題作のほか、やはり身近な人の死をテーマにした「夏の日の影」「霧の湧く谷」、大学の二部に通う学生たちの葛藤を描いた「浅い眠りの夜」の三篇を収録。
豊臣秀次の剣の師で「夢想剣」を名乗る瀬名波幻雲齋とその娘・ゆき、そして幻雲齋が父の仇でありながら、門下生となって修行を積む松前哲郎太重春。奇妙な3人の絆は、やがて哲郎太とゆきが契りを結ぶまでに深まっていく。そんななか、哲郎太は身重のゆきを残して武者修行の旅に出ようとするがー。第28回芥川賞に輝いた出世作「喪神」のほか、柳生流新陰流正統を継いだ連也斎とライバルとの決闘を描く「柳生連也齋」、剣豪が巨人軍の強打者として大活躍する異色作「一刀齋は背番號6」など、剣を題材にした珠玉の11篇。
人間は闘争を欲す。それは平和のためでなく 王都を陥落し、魔王としての脅威をしめしたドワイト。だがその侵略戦争の勢いをとめることはない。すべては世界に平和をもたらすため。そんななか、エルフの里より人間の進攻からの守護依頼がとどく。そしてその先で出会う生前の因縁。順調に勢力を広げるドワイトたち新魔王軍だったが、しかし世界はその最強を許さず次なる刺客を送り出す。世界は魔王の存在をゆるさず、勇者という力をひとつの人間に宿す。では、それを迎え撃つドワイトの信念ははたして正義なのか悪なのか。 その答えは正義と悪が交わした剣の先に委ねられた。
最強の魔王、交換留学生として西方へーー 帝国で起きた陰惨な事件を解決へと導いた最強の魔王。 テオドールという名の人間に化けて街の復興作業に勤しむ彼は早くも退屈を覚えていた。 自らの心に潜む破壊衝動に駆られる最中、彼が滞在する帝国の南方ミルディアナの地に色欲の魔王アスモデウスが現れる。 彼女は、帝国の西方グランデン領で相次いで起きているという神殿襲撃事件の情報をもたらす。 事件に興味はあるものの、南方で軍学校の一生徒として振る舞っている以上、縁はないだろう。 そう思っていた矢先、なんの偶然か、テオドールの西方領への留学が決定する。 他の特待生らと共に西方へと赴く彼を、赤く煌めく星々が不気味に照らしていた。 グランデンに辿り着いたテオドールらは、この地の守護者であり先の戦で最高の武勲を立て大英雄と称されるクロード・デュラス将軍と出会う。 魔神をも超える圧倒的な威圧を放つデュラス将軍を前に、彼と戦ってみたい衝動を抑えるテオドール。 この地の特待生で現役軍人のクラリスを交えて、留学生として平穏な日々送るテオドールたちだったが、裏では奇怪な事件が蠢いていた。その魔手は着々とグランデン領を侵食していくーー。