出版社 : 小学館
オープンしたばかりの紅茶専門カフェ。美人オーナー・美和にはある黒歴史があった(『富良野線・美馬牛駅』)。行方不明になった祖母を探す大学生の康生は、いわれのないトラブルに巻き込まれて…(『釧網本線・北浜駅』)。社長命令で横領事件の犯人を追う尾崎のもとに目撃情報が。犯人は蕎麦屋にいる?(『宗谷本線・音威子府駅』)。偽装自殺を企て、落石岬の崖っぷちをさまよう荒川。だが次々と邪魔が入り…(『根室本線・落石駅』)。ライラック36号、スーパーおおぞら8号、地下鉄南北線が乗り入れる札幌駅のコンコース人々の一瞬の交錯が、奇跡を呼び起こす!(『函館本線・札幌駅』)。北海道の五つの駅をめぐる、出会いと別れと謎解きと。
学生時代に恋に落ち結婚した研究者の妻レイチェルと、幸せな日々を送っていたエイダン。アンドロイド開発に携わる妻は多忙ながらも、夫と一人娘クロエを愛し家族を大切にしてきた。しかし彼女はある日突然病に倒れ亡くなってしまう。喪失感から立ち直れずにいる二人の前に現れたのは、生前のレイチェルが持てる力の全てを投じて開発した自分に瓜二つの人間型ロボット「iレイチェル」だった。死を予感した者が伝えたかった家族への思い。それを託されたアンドロイドは、遺された者との「対話的交流」を試みる。心を静かに揺さぶられるAIと人間の愛の物語。
江戸町奉行所が飼っていた元隠密廻り同心「南町の虎」こと、伊坂八郎兵衛は、廻国中に行き着いた加賀金沢で、武家の妻女から、「夫の利き腕を折ってほしい」と頼まれた。冨田流小太刀を遣う夫の上川兵馬を、御前試合に勝たせるわけにはいかないという。涙ながらに訴える志乃に、心ならずも兵馬の右肘を外してやった八郎兵衛だったが、なんと戻り道で闇討ちされー。半死半生で真相を探ってみれば、兵馬の妻はすでに死んでいるうえ、御前試合には莫大な金が動いており、腐れ藩士が謀略まで企てていると知れて…。立身流の剛剣が唸りを上げる、剣豪放浪記第二弾。
映画の脚本家になることを夢見ていたぼくは、駅前通りの本屋さんで『ハリウッドで脚本家になるための近道マップ』を立ち読みしていた。本に没頭していると、急に肩を叩かれ、ぼくは飛び上がった。恐る恐る振り返ると、そこにいたのは同じクラスなのに一度も口をきいたことのない女の子だった。女子のヒエラルキーでも頂点にいるその子がぼくに頼んできたのは、伝記を書くことだった。「伝記?誰の?」「わたしの」と彼女は言った。『いま、会いにゆきます』以来、4作累計255万部を超える市川拓司×小学館作品に新たに加わる清新な青春長編。
神戸の老舗、富久丸百貨店芦屋川店で外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅地・芦屋をふくむ阪神間のセレブたちに、お買い物をしていただくのが彼女の仕事だ。ノルマは月1500万円!パティスリーでの経験と人脈を活かして奔走する静緒だったが、外商部はいずれも一筋縄ではいかないお客様がたばかり。その上、本物のセレブ出身男子が同僚として配属されてきてー。竹内結子主演でドラマ化された話題作。『トッカン 特別国税徴収官』など、大ヒット作を次々生み出す神戸在住の著者による究極のハイクラスエンタメ、待望の文庫化!
結婚予定の彼氏と大好きな仕事を同時に失った藤堂朱音は、傷心を抱えて地元・仙台へ戻ってきた。ところが実家はもぬけの殻。両親は揃って長期の海外旅行に出かけたと知り、朱音は途方に暮れる。そこへ救いの手を差しのべたのは、幼なじみで少し意地悪な金ケ崎玲二。朱音の祖父母宅をリフォームしてカフェを始めるそうで、彼自身、不可思議な現象に悩む人を救う「拝み屋」でもあるという。カフェ巡縁堂は「憑かれた」者のための駆け込み寺だと玲二は豪語する。その胡散臭さに内心どん引きの朱音だが、なぜか助手として彼の仕事を手伝うことに…?
休暇を過ごすために現世にやってきた地獄の大王閻魔様。大央炎真と名乗り、秘書の小野篁と吉祥寺で暮らしはじめるが、迷える死者を成仏させたり、悪い生者を成敗したり、大家の地蔵菩薩にこき使われたりと、ちっとも癒されない毎日を送っている。ある日、知り合いの少年から「幽霊のような黒い犬」を見たと教えられた炎真。さらに遺体に噛み傷がある殺人事件が起きてー?思い出の味を再現できずに嘆く漫画家の話、奇妙な屋敷に入り込んでしまった図書館の読み聞かせ係の一夜など五話を収録した、地獄行き事件解決録。シリーズ第三弾登場!
100人の英雄を育成し、邪神との戦争を終わらせた預言者アイゼン。彼が育てた英雄たちは、各地で重役を務めながら世界を発展させ、その結果を自分達が慕う師匠へ逐一手紙で報告していた。そんなアイゼンは、ある日決断する。「旅をしながら、弟子達が盛り立てている世界を見て回ろう」こうして、英雄たちの師匠であるアイゼンとその末弟子であるリンネの、楽しいお忍びの旅がはじまった。しかし、お忍び旅行のはずが行く先々で預言者の偉大なる力は頼りにされてしまい?世界中の弟子達から慕われまくる、最強師匠ファンタジー開幕!
“天才”太宰と駆けぬけた著者の青春回想録 作家・檀一雄は太宰治の自死を分析して、「彼の文芸の抽象的な完遂の為であると思った。文芸の壮図の成就である」と冒頭から述懐している。「太宰の完遂しなければならない文芸が、太宰の身を喰うたのである」とまで踏み込んでいる。 昭和八(1933)年に太宰治と出会ったときに「天才」と直感し、それを宣言までしてしまった作家・檀一雄。天才・太宰を描きながら、同時に自らをも徹底的に描いた狂躁的青春の回想録。作家同士ならではの視線で、太宰治という天才作家の本質を赤裸々に描いた珠玉の一編である。
旧家に生まれた者の“暗い宿命”を描いた太宰治「私小説集」。明治四十二(1909)年六月、太宰治こと津島修治は青森県北津軽郡に誕生、のちに遠く東京にあって望郷の念を募らせていた。太宰は、津軽での幼・少年期を“遺書”のつもりで書き綴った処女作「思い出」で文壇デビュー。その後、兄との不和から十年ぶりとなった帰郷を描いた「帰去来」、母危篤の報を受けての帰郷を描く「故郷」、そして、時局差し迫る中での津軽旅行をまとめた「津軽」と、旧家に生まれた者の暗い宿命を描いている。前四作品に加え、名作「富嶽百景」を含む太宰の私小説で構成したアンソロジー集。解説を同じ東北出身の作家・佐伯一麦氏が特別寄稿。
浜名湖の湖岸にあるビルが炎上し、男の焼死体が発見された。男の名は藤田武。戦争前に、武の祖父徳之助は「フジタ浜名湖地震津波研究所」をつくり、父の健太郎とともに研究をしていた。太平洋戦争の敗色濃い戦時下、一九四四年十二月七日に、大地震が東海地方を襲った。昭和東南海地震である。これが次の大地震を誘発すると警告する藤田親子。そして、翌年一月十三日には三河地震が起こった。しかし徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に送られ、その後徳之助は行方不明に。それを命令したのが、川崎憲兵隊長だったー。親子三代にわたる怨念が戦争の闇を暴く。
さる由縁で旅に出た伊坂八郎兵衛は、京の都で命尽きかけていた。「南町の虎」と恐れられた元隠密廻り同心も、さすがに空腹と風雪には耐え切れず、ついに破れ寺を頼り、草鞋を脱いだ。冷えた粗菜にありついたまではよかったが、胡散臭い住職に恩を着せられ、盗まれた本尊を奪い返さねばならぬ羽目に。自棄になって島原の廓に繰り出すと、なんと江戸で別れた許嫁と瓜二つの、葛葉なる端女郎が。一夜の情を交わした翌朝、盗人どもを両断すべく、一条戻橋へ向かった八郎兵衛を待ち受けていたのは…。立身流の秘剣・豪撃が悪党を乱れ斬る、剣豪放浪記第一弾!
突きの鬼一こと百目鬼一郎太と供侍・神酒藍蔵の江戸暮らしは風雲急を告げていた。実母桜香院とその腹心の国家老・黒岩監物が放った羽摺り四天王の生き残りが虎視眈々と一郎太の命を狙っている。そんな最中、草創名主・槐屋徳兵衛の一人娘・志乃の幼馴染みで、女郎屋から逃げ出してきたお竹が助けを求めてくる。さらに旗本屋敷の賭場帰り、一郎太の乗った船に武家娘が悲鳴を上げて飛び込んできた。じりじりと包囲網を狭めてくる羽摺りの者との激闘!秘剣滝止が快刀乱麻を断つと思われたのだが…。大好評!突きの鬼一2ケ月連続刊行、シリーズ第4弾。
話題のアニメーション映画ノベライズ! サーフィンが大好きな大学生・向水ひな子は、マンションで起きた火事の消火に来ていた消防士の雛罌粟港と出会い、恋に落ちる。幸せな日々を過ごす二人だったが、あるとき港が海の事故に巻き込まれ、命を落としてしまう。大好きな海を見られなくなるほど憔悴するひな子が、ある日ふと二人の思い出の歌を口ずさむと、なんと水の中に港の姿が……。 世界が注目するアニメーション監督・湯浅政明による待望のオリジナル最新映画「きみと、波にのれたら」(2019年6月公開)をノベライズ! 巻頭カラー全16ページで、映画の見所となるシーンとその原画も掲載。小説でしか読めないオリジナルエピソードも楽しめる、贅沢な1冊になっています。 ひな子と港の世界を、小説版文庫「きみなみ」でも、とことんお楽しみください。
私のご先祖様・静助は、江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた。静助が幼少の頃、世が一変する明治維新を迎えたが、何不自由のない暮らしを送っていた。ある日、静助は両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、一目で心奪われる。より鮮やかな花火を上げるため、花火屋達は競い合っているという。村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時の流れが、静助一族を飲み込んでいくー。一族誰もが語り継ぐ、花火に生きたご先祖様に思いを馳せるファミリーヒストリー。
この世には“蠱毒”というものがある。壺に百の毒蟲を入れて殺し合わせ、最後の一匹が猛毒の“蠱”となる。それを古来“蠱術”といい、操る術者を“蠱師”と呼ぶ。大陸でもっとも強大な斎帝国の第十七皇女・李玲琳は、周囲からひそかに「毒の姫」とあだ名される風変わりな姫だ。最愛の姉である女帝・彩蘭の指示で、隣国魁の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐが、結婚生活は前途多難。まず玲琳が蟲を偏愛する蠱師と判明し、魁国の者たちはドン引き。さらに鍠牙の命が何者かに狙われているーという噂が立つと、毒殺犯容疑をかけられた玲琳の立場は危ういものに…。
1793年、秋。湖で発見された男の死体は四肢と両眼、舌と歯を奪われ、美しい金髪だけが残っていた。フランス革命から4年。前年に国王グスタフ3世が暗殺されたここスウェーデンにも、その風は吹きつつあった。無意味な戦争、貧困や病にあえぐ民衆の不満と怒りはマグマのように煮えたぎり、王室と警察は反逆や暴動を恐れ疑心暗鬼となっていた。そんな中で見つかった無残な死体。警視庁から依頼を受けた法律家ヴィンゲは、風紀取締官カルデルと共に捜査に乗り出す。重い結核に冒されたヴィンゲの捜査は、時間との闘いでもあったー。野心的北欧ミステリー。革命の風吹く都を描く超弩級の歴史小説!
圧倒的な力で魔族を支配する世界最強の魔王ルシファー。討伐に来た天使や女勇者を手籠めにして妻とし、食う・ヤる・寝るだけの怠惰な生活を続けていた。最後に勇者がやってきてから五百年が経過したある日、魔王の血の中に眠る破壊衝動が強敵を求めてうずきだす。「なぜ勇者は私を討伐しにこないのか、実にけしからん!」人間の少年に姿を変えたルシファーは、勇者育成機関の現状を探るためエルベリア帝国へ。入学試験における“剣術・体術・魔術”の三科目をあっさりと主席で突破したルシファーは、早々に学園中の注目を集めてしまう…。世界最強の魔王の学園ライフ、始まる。