出版社 : 小学館
レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に食べられるイベリコ豚。希少な高級食材のはずが日本のどこでも手に入るのはなぜなのか?そんな素朴な疑問を抱き取材を始めた著者。真実を明らかにすべくスペインを目指すが壁は厚かった。そして幾多の困難を乗り越え現地に辿り着いた著者を待っていたのは驚きの事実の数々だった…。ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たちと生ハム作りに命を捧げる職人たち。スペインと日本を舞台に描く傑作食ノンフィクション。
飼い主が留守のあいだ、ペットたちはいったい何をしているのだろうー。アメリカ・ニューヨーク市に住む犬のマックスは、飼い主のケイティと楽しい毎日をすごしていた。お互いがお互いを思いやる、完璧な関係。でも、ある日ケイティが茶色い大きな犬・デュークを連れてきてから、マックスの生活は一変!マックスはイライラするけれど、ケイティには伝わらない。翌日、散歩の途中でマックスはデュークに公園の外に連れ出されてしまい、路地裏へ。マックスの長〜い一日がはじまる!初ノベライズの『ミニオンズアルバイト大作戦』も収録。
小倉ひかりは、父について知りたい、もしかしたらどこかで再会できるかもしれないという思いから、父が勤めていた“株式会社ツブラヤ絞”に転職した。ひかりの父・安太郎は、天才的なヘラ絞り職人だった。ヘラ絞りに夢中になったひかりはめざましい上達を遂げ、数年後にはテレビに出演。さらには、宇宙の謎の解明につながる最先端プロジェクトへの参加の依頼までが舞い込んだー。父親との再会は果たせるのか?思いもよらない衝撃の真実が、ひかりを待ち受ける!
葛飾区で発生した女子高生誘拐事件。不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が“いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった。マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産するセイレーンなのか。
ママの地位は子どもの成績で決まる?! 「お受験」という名の、母親たちの代理戦争。この前まで自分が誰かの子どもだった母親たちが、突如として一人の人間を育てることを課される。とまどいを周囲に悟られないように、孤独な子育てと戦う母達の下剋上の物語。 大手下着メーカーで広報として働いていた香織は、妊活に励むために慣れ親しんだ会社を退社することに。家でゆっくりしながら、夫との時間を作ろうと考えていたのだが、母校「聖アンジェラ学園初等部」の広報を手伝って欲しいと校長からお願いされる。 広報の仕事だったらお手のものと軽く考えていたのだが、子どもの受験に挑む母親たちの思いは、下着を購入するお客さんとは全く違っていた。母親同士の駆け引きや足の引っ張り合い、その一方で子を愛するという一筋縄でいかない母たちの思いに飲み込まれていく。子どもを持つことは幸せ?それとも地獄?悩んだ母親たちが出したそれぞれの結論は? 【編集担当からのおすすめ情報】 子どものお受験を経験していなくても、この物語には母親だったら思い当たることがたくさん出てきます。母親の優しさと、残酷さ。一番大切なことを見失わないように、子育て中のお母さんに是非読んで欲しい一冊です。
映画化もされた不朽の名作がここに甦る! 昭和20年代半ば、京都で遊郭の娼妓となった片桐夕子、19歳。貧しい寒村生まれが故、家族のための決心であった。哀れに思った女主人・かつ枝の配慮により、西陣の大旦那に水揚げされそのまま囲われる道もあったが、夕子は自ら客を取り始める。最初の客で頻繁に通ってくる修行僧・櫟田正順、夕子との仲を疑われている彼が前代未聞の大事件を起こしたーー。 二人の関係が明白となる結末が切なく心に沁みる。実際に起きた事件と対峙した著者が、それぞれの人物像を丹念に描いた渾身の作である。
突如、人界と魔界が遊離し始め、神州の「会」ポイントも虚無に堕ちる。魔都破里も地殻変動に呑まれ朽ちていった。一方、仇敵クトゥルーの本殿ルルイエへ到達した安西と加賀は、変わり果てた多一郎に衝撃を受ける。だが、加賀の弁舌に感応した多一郎と安西は、自らの姿を超エネルギー体へと変貌させていく。大河小説の第17弾。第二部「地球聖戦編」の第6作目。
勤務先の社長令息と心中するはずだった姉が忽然と現場から姿を消した。相手の男が死んだことで「偽装殺人」の容疑までかかる。遺書を残された妹は、姉の行方を追って東奔西走するが、そこには思わぬ結末が。卓抜したトリックに、人間の底知れぬ業を描いた笹沢左保、会心のミステリー。第14回日本推理作家協会賞受賞作品。
ベストセラー地域活性エンタメ、待望の続編 東京からきた多岐川優の活躍で、存続すら危ぶまれていた止村は窮地を脱した。あれから四年。麓にはモールができ、止村も活況が続いている。そこへ麓の町の駅前開発計画がもちあがり、世論は二分される。その争いは多岐川家の夫婦間にもおよび、美穂は家を飛び出し、住民投票の劣勢が予想される側である駅前商店街保存に奮闘する。現状維持か、都市開発なのか。日本のそこかしこで直面している問題に切り込む、地域活性エンタテインメント!! 【編集担当からのおすすめ情報】 解説は藻谷浩介氏(『里山資本主義』共著者)です!
杏主演原作「オケ老人!」まさかの姉妹作! 梅が岡高校時代にヘヴィメタルバンド・ブラッククローを組んでいたメンバー四人は、三十余年の時を経てバンドを再結成する。当時と比べて、みな外見に変化はあるものの、ヘビメタを愛する気持ちにまったく変わりはないのだ。今は市民病院の医者であるボーカルの江並は、ある日、手術予定の患者・山口から手術を拒まれる。聞けば、ライブハウスで完全ヘビメタ仕様で絶叫する彼のライブ映像を目にしたようだ。代わりに近隣の病院で手術を受けるという山口だったが、その担当医を調べていくうちに、江並はあることに気づく。話は思わぬところまで波及していくーー。
付添い屋で身を立てる浪人秋月六平太は、旧知の北町奉行所同心・矢島新九郎から、「打ち首獄門にかけられる罪人の、市中引き廻しに同道していただきたい」と依頼される。引き廻しにされるのは、兇盗で知られる犬神の五郎兵衛。半年前、四谷の塩問屋に押し入って五百両を盗み、殺しも働いていた。三月前、隠れ家を密告する投げ文があり、捕縛されたという。だが隠し金の在処は白状していない。五郎兵衛は死を前に六平太へ不思議な言葉を残す。五郎兵衛一味の残党たちが、六平太の身辺をうろつきはじめるのに、時間はかからなかった。日本一の王道時代劇第九弾!
心に突き刺さる、200%ピュアな恋愛小説 夏休み中交通事故に遭い自転車ごと湖に転落した古谷野真樹(高2)。命に別状はなかったが後遺症ですべての記憶を失った。新学期が始まり、現在では見知らぬ人ばかりになってしまったクラス、写真部に復帰する真樹。友人達は温かく迎えてくれるが妙な孤独感は否めない。 同じクラスであり、同じ写真部でもある生駒桂佑と春日まどかとの友情を支えに、真樹の日常は戻りつつあった。そんなある日、文化祭の準備に明け暮れる高校で謎の落書き事件が勃発。最初は他愛ないいたずらかと思われていた落書きだったが、体育館の壁→クラス日誌→クラスの黒板→文化祭の公式Twitter、とどんどんエスカレートしていく。そして、その落書きはあたかも真樹に向けられたメッセージのようだった。 当初、まったく理由がわからずとまどっていたが、自分を取り戻す大切な秘密が隠されているのでは、と気づき、落書きの謎を追い始めた真樹。その謎を追っていくうちに次々に見えてきてしまった親友の秘密。そして、最後の最後に見えてきた真相とは・・・・・・・。 【編集担当からのおすすめ情報】 青春小説の旗手として、新進作家の筆頭として、確実にファンを増やし続ける額賀澪さんが今回挑んだのは、学園ミステリーをスパイスに効かせた青春片恋小説。「切ない恋愛小説を書いてください」とのリクエストに上がってきた原稿。読み進む手が止まりませんでした。最後の最後、思わず叫んでしまうほどの驚きの結末。そして、青春ならではの熱と心を打つ純粋さ。 最後まで読んだら、またもう一度、読み返したくなるはずです。 ラストは決して人に言わないでください。 君はレフティ 目次 1 男子高校生が軽乗用車にはねられる事故がありました。 2 あんた、何か悪いこと考えてない? 3 この女たらし 4 誰だって、秘密にしておきたいことがあるもの 5 彼は、どんな気持ちで黒板をみていたのだろう 6 好きに使えば 7 死ねばいいのに 8 それを覚えてたらそもそもこんなことにはならなかっただろ 9 俺の誇りなんだと思うことにする
つぶやき芸の作者によるサバイバル人生劇場 人間のおかしみを抽出した小説。ひねりのきいた真相。泣いたーー乙一氏。 はじめて、小説で声に出して笑った。そしてラストに向かっての切なさと感動。凄い!つぶやき!--三村マサカズ氏 細部で笑わせながらも、ドラマとしてダイナミックなうねりもある、理想的な小説。中盤で必ず「おおっ」となりますーー和田竜氏 家に遊びに来た長女の彼氏にいいところを見せるために考えたヘネシー作戦とは? 息子を野球とサッカーの史上初の二刀流に育てるための前代未聞の秘策とは? そして、念願のスーパー店長への長く険しい道の果てに待っていた、予想外の結末とは? 伊澤春男、45歳。スーパー勤務。一見平凡な日常は、きょうも彼の脳内で戦場と化すーー。 Twitterフォロワー約70万人の作者が、卓越した観察眼で描きつくした、七転八倒中年男の笑いと涙のサバイバル人生劇場。 カバーイラスト・西加奈子氏。
僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。 私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。 旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作! 「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」 【編集担当からのおすすめ情報】 春風の花を散らすと見る夢は さめても胸の騒ぐなりけり ーー西行法師
異界の地平に七人の勇士が見た“暗黒都市”。魔都・破里の中枢、魔界王宮は次元回廊への扉だった。加賀四郎ら七人の勇士たちは、クトゥルー次元に幽閉された北斗多一郎と美少女セイヤを救出すべく、ダークテリトリーの異空を飛び続ける。そこに広がるのは延々と果てることのないゼリーの海、虚無の時空間ー。そして、彼らが異界の地平に目撃したのは、“暗黒都市”という名のカオスそのものだった。大河小説の第16弾。第二部「地球聖戦編」の第5作目。
若き仏教僧の懊悩を描いた筆者の自伝的巨編。恥ずかしがりのくせに強がりな十九歳の仏教僧・柳。大東亜戦争へと向かう昭和10年頃の騒然とした時代を背景に、性と政治と宗教という相容れないテーマに心と身体を悩ます若き仏教僧の悲喜こもごもを描いた長編小説の上巻。寺の子として生まれ育った武田泰淳の自伝的な大作であり、筆者の病気により未完にも拘わらず第5回日本文学大賞を受賞した“第一次戦後派作家の巨人”の代表作の一つでもある。
厳しい戒律の中でさまざまな煩悩に身を焦がす仏教僧・柳。若き僧侶・柳は布団の中でひとり思う。「宝屋夫人がしまいこんでいる快楽の要素を、すべて引き出してしまわないうちは、人生の味は感得できないのでは」-と。やがて教団活動と左翼運動の境界に身をおく柳は革命団体の分裂抗争にも巻き込まれていく。模索する人間の業、そして集団悪ー。柳の精神は千々に乱れる。中央公論社で最後の武田泰淳の担当編集者であった作家・村松友視氏があとがき解説を特別寄稿。
吉行文学の真骨頂、繊細な男の心模様を描く 戦後の混沌とした時代、男は安定を求めて大会社のサラリーマンとなった。 だが、人員整理でクビとなり退職金を受け取った日、ヌードモデル志望の少女と出会う。丸顔に濃い化粧、大きな頭でアンバランスな躰の彼女にやがて愛憐の情が湧きはじめるーー。 空虚感を纏いながらこの時代を生きていく男と雑誌編集者の友人との交流、戦禍に散った友人への回顧など、卓越した心理描写で綴られた珠玉の作。 他に「水族館にて」「白い神経毬」「人形を焼く」の短編3作品を収録。
真野朱音は、勝裕と夫の連れ子・裕也との3人家族。朱音が南郷不二美を訪ねたのは、近所の公園に面した南郷宅の金網フェンスを覆ったイバラの棘で、子どもの怪我が続いたためだった。南郷は50代後半の一人暮らしで、愛犬はドーベルマン。イバラの剪定をお願いすると、けんもほろろに断られた。市役所が、公園にロープを張って注意喚起のプレートをかけてくれたが、その夜寿司屋から特上にぎり8人前が届く。翌日には、ケーブルテレビが契約の確認をしたいと訪ねてきた。どちらも身に覚えがなかった。やったのは南郷だー。同じ頃、いじめられている息子の裕也と話したところ、いじめられても平気な強い人間になる、という。朱音は、やられたらやり返せということを、身をもって裕也に教えようと決心した。
小説界のカリスマ、不朽不滅のデビュー作! どんな小説家にも、一つだけ、アマチュアとして書いた小説がある。 ないと始まらない。 その小説が人目に触れ、本になるとデビュー作と呼ばれ、書いた人は小説家と呼ばれるようになる。--「あとがき」より 現代作家の中でも群を抜く小説の名手ーー佐藤正午の不朽のデビュー作を、新たな装いで文庫化! 【物語】 失業したとたんにツキがまわってきた。 婚約相手との関係も年末のたった二時間で清算できたし、年が明けると競輪は負け知らず、失業保険も手つかずのままで、懐の心配はこれっぽっちもなかった。 おまけに、色白で脚の長い女をモノにしたのだから、ツイてるとしか言いようがない。いってみれば笑いが止まらぬというところだった。 「西海市」にすむ主人公・田村宏は、27歳の年の暮れに退職届を出して以降、ツキを頼りに何もかもうまく行くかに思われた。 ところがその頃から、たびたび街で別人と間違われ、厄介な相手にからまれ、ついには不可解な事件に巻き込まれてしまう。どうやら自分と瓜二つの男がこの街にはいるらしい‥‥。 【山田風太郎賞受賞の最近作『鳩の撃退法』への選評から】 ●文句なしの最高得点を入れた。真似したくても真似できない。(夢枕獏さん) ●試みが図抜けていたことは、疑いようがない。(京極夏彦さん) ●自分もこの作品を一番に推した。(奥泉光さん) ●こんな優れた作家の存在を今まで知らなかった。受賞は当然であろう。(筒井康隆さん)