出版社 : 小学館
西郷隆盛を生涯愛した“島妻”の物語 薩摩藩から奄美大島へ送られてきた西郷隆盛。不遇な身の上の西郷を世話することになった愛加那。お互いの文化の違いから当初は反発し合うが、やがて愛し合うようになり、愛加那は西郷の“島妻”となる。二人の子供にも恵まれるが、愛加那は国のために活躍する人物だと信じて、再び藩から呼び出しを受けた西郷を見送った。そして、島にいるだけの人生を送って欲しくないという思いから、子供たちも鹿児島の西郷の元へと送り出した。 しかし、時代の激動が西郷と子供を襲う。西南戦争で、西郷は首謀者として先頭に立ち、最後は自決。参戦した息子の菊次郎は右足を切断して、愛加那のところへ帰ってきた。そして、鹿児島へ陳情に行った奄美の男たちの多くが戦争に参加して亡くなっていた。一転して、奄美の人から後ろ指をさされることになった愛加那だったが……。 生涯奄美大島を離れず西郷を信じた、愛加那を描いた恋愛歴史小説。 待望の文庫化。 【編集担当からのおすすめ情報】 解説は、作家の西條奈加さんです。
一九三〇年代の大不況時代を生きる、タクシー運転手や若い夫婦、保安官助手やフットボール選手などの不安と恍惚と激情のドラマから、第二次大戦下の倦怠し惑乱している兵士たちの人生へ、そして、無残でグロテスクな戦後の幻滅を描く現代の物語までー。ショーの全作品を愛しぬいた名訳者が、厳選した短篇を時代順に配列し、まるで長篇小説のように編集した傑作集。“「時代」の歩みが、この作家の鋭敏なレンズを透過して屈折し、現実の情報よりもはるかに現実的なかたちで、あなたの胸に像を結ぶだろう。”劇的な構成と無類に面白い筋の展開を堪能できる十六篇。
殺そうとした妻・真理亜が、誰かに誘拐されていた…愛人と共謀して妻を殺そうと決意した夫・幸平。しかし帰宅してみると自宅には大量の血痕と莫大な身代金を要求するメッセージが残されていた。内心ほくそ笑む夫。だが、警察の捜査で浮かび上がる証拠は全て犯人が夫だと物語っていた。一方、次々と明らかになる夫の知らなかった妻の本性。前代未聞の誘拐劇はいつしか様々な人間を巻き込み、身代金を巡る裏切りの連鎖へと発展していく。不倫夫と狂おしくも美しい妻の巧妙かつ予測不能な心理戦を描いた話題のサスペンスドラマ完全小説版。最後に笑うのは誰だ?
演奏している津島君は、最高にきれいですー。新生学園大学音楽科の創設者を祖父に持つ津島サトルは、プロのチェリストを目指し、一家の敷いたレールに乗っていたはずだった。しかし芸高に落ち、失意のまま新生学園大学附属高校に入学する。サトルはそこで一流の音楽を演奏するため奮闘する同級生たちに出会う。フルートを奏でる美少年・伊藤慧とポニーテールの鮎川千佳。そして、見たこともない澄みきった目をしたヴァイオリン奏者、南枝里子。本屋大賞ノミネートの傑作青春音楽小説が、人気漫画家・穂積さんの描き下ろしカバーイラストで新装文庫化!!
二人で芸大に行ったら、デュオを組まない?-津島サトルは、南枝里子の影響を受け、芸大を目指すようになる。南との美しい合奏もずっと続けていきたかった。高校二年の夏、同級生たちが優秀な新一年生たちに焦りを覚えるなか、サトルは音楽家である祖父から言われ、ドイツ・ハイデルベルクで二か月間チェロを学ぶ機会を得る。留学先から南に宛てた手紙を送り続けるサトルだったが、帰国した彼には、予期せぬ出来事が待ち受けていたー。若さゆえの自我の暴走が、オペラやオーケストラの美しい名曲と共に切なく描かれる。一気読み必至、衝撃の第二巻!!
チェロを辞めようと思うんですー。高校三年になり、津島サトルは音楽家としての自分の才能に見切りをつけようとしていた。その頃、南枝里子は人生をかけた決断を下す。自らの人生を背負い、それぞれの想いを楽器に込めて演奏する合奏協奏曲。本当にこれが最後の演奏となってしまうのか?あの夜僕は、人間の力ではどうにもならないものに向かって泣いたーサトルの船は、青春を彩るニーチェの言葉とともに、大海へと漕ぎ出る。全てを飲み込み切なく響く音楽のように、著者が奏でる傑作青春音楽小説、ついに最終章。
子どもは言うことを聞かず、夫は理解してくれず、姑は口出ししてくるし、職場では上司に嫌みを言われ…それでも悲しみも苦しみも怒りも胸に隠して、今日も家族のために奮闘する「奥さま」たち。主婦なら誰でも身に覚えのある描写に頷き、読み終える頃には明日を生きる勇気をもらえる8つの共感ストーリーが、「超濃厚あとがき」を加えてついに文庫になりました。
二十三歳の松尾勇は、デパート業界の新聞や雑誌を発行している小さな会社の新米編集者。会社創業以来の人事異動によって配属された編集部で、『店舗経営月報』という、三十二頁、発行部数八百部という地味な雑誌を作っている。勤め始めて約一年、会社が新橋から銀座のビルへと引っ越した直後、松尾に大きな転機が訪れる。前任者の突然の退社により、なんといきなり編集長になってしまったのだ!といっても部員は自分ひとりだけ。経験もなければ部下もいない松尾の悪戦苦闘の日々が始まった。椎名誠初めての新聞連載小説として話題を集めた傑作長編がついに復刊。
大好きだった彼女に会いに、過去の世界に飛んでいく。インタビューで出会った老作家の話はとんでもない話、のはずだったー早くも大反響の嵐!大人切ないタイムスリップ号泣ラブストーリー。
大石静が描く,究極の「禁断の愛」とは!? 6年前、不幸な無差別殺人に巻き込まれ夫を失った青木文(あおきあや・45歳)は、幸せを諦めきった乾いた日々を送っていた。亡き夫と一緒に営んでいた海沿いのカレー食堂「ドライブイン・コントレール」を、忘れ形見の友樹(5歳)と生きるために営んでいる。亡き夫の母である姑と中学時代からの親友、殺人事件の担当刑事・佐々岡らに助けられほそぼそと暮らしている。店名は飛行機雲の英訳。夫との幸せな思い出でもあり、夫から最後のメールで送られてきた写真も飛行機雲、という不幸の象徴でもある。 そんなある日、ハプニングにより、長部瞭司という暗い影を抱えた失声症のトラックドライバーと出会う。会った瞬間から、どうしようもなく惹かれ合う二人。それまで無彩色だった文の毎日は、彼と会い、恋に堕ちることで彩りを取り戻していく。瞭司もこの出逢いから生きる希望を取り戻し、声も取り戻していく。炎のように愛し合う二人。 しかし、その幸せも長くは続かない。瞭司が衝撃のあまり声まで失ってしまった原因とは・・・・。そして、文が抱えている夫の隠された真実とは・・・。 物語は、ある女性の出現により,思わぬ方向に展開していく・・・・・。 【編集担当からのおすすめ情報】 世の中の多くの女性が待ち望んでいた、大人のための本格的な濃密恋愛ドラマを完全小説化。 「人生で起きたことは、すべて宙ぶらりん・・・・どうしていいか、わからない。だから,明日は恐ろしく不安で、わたしはひとり・・・・」 「あなたじゃない、あたしが欲しいのは・・・・」 「・・・・・今でもわたしのこと、好きよね・・・・・・好きよね・・・・・・好きよね・・・・・」 「・・・・・・女として,希望を持ったのが間違いだったの・・・・・・」 などなど、大石静さんならではの心に刺さる台詞が溢れています。 狂おしいほど切ない、大石静ワールド。ドラマはもちろん見逃せませんが、台詞すべてを収録したこの文庫は、まさに極上の大人の恋愛小説です。
織物工芸に打ち込み、一枚のタピスリに魅惑されてヨーロッパに留学した支倉冬子は、ある夏の日、北欧の孤島に、ヨット旅行に出かけたまま突然消息を絶ってしまう。彼女が残した手記を辿りながら、荒涼たる孤独の中、日本と西欧、過去と現在、過酷な現実と美的世界を行きつ戻りつ、生と死と愛の不安を極限まで掘り下げた清冽な作品。辻邦生の“死生観”が見事に結実した、著者の原点ともいえる金字塔的作品。創作ノート抄を併録。
第一次大戦に従軍し、心に傷を負った父親は、妻の死後、二人の娘に背を向けた。姉のヴィアンヌは当時十四歳、妹のイザベルは四歳だった。ヴィアンヌは十六で妊娠、翌年結婚するが流産。持て余された妹は寄宿学校に入れられる。やがて第二次大戦が勃発、フランスはナチに屈服する。出征した夫を待つヴィアンヌの家には、ドイツ軍大尉が住み始める。一方、イザベルはパリで対独抵抗運動に参加、連合軍航空兵の逃亡を助ける秘密活動を始める。暗号名は、ナイチンゲールだった。NYタイムズ・ベストセラーに一年以上ランクイン。全米を感動でつつんだ傑作長編。
イザベルは航空兵たちを引き連れ、最初のピレネー山脈越えを敢行する。悪天に見舞われた山路は、困難を極めた。同じころ、ナチスのユダヤ人狩りがヴィアンヌの親友を襲う。幼子を託されたヴィアンヌは、やがて町のユダヤ人の子を匿う行動に出る。ドイツ軍大尉がヴィアンヌの家から姿を消す。かわりに住み始めたのは、狡猾な親衛隊少佐だった。親友の子を救うためヴィアンヌは少佐に体をさし出す。イザベルも遂に逮捕され、秘密国家警察の激しい拷問が始まるのだが…。戦争が与える試練を懸命に生き抜く姉妹の姿は圧倒的だ。感動のラストを迎える下巻!
どうやら世界は本当に終わりを迎えるらしいー。突然、世界が鉛色の厚い雲に覆われた。空から青い光が注がれた町は、人も獣も鳥も木も、なにもかもが動きを止めてしまう。ぼくは、離れ離れになってしまった雪乃に会うため、危険な旅に出る。十年前、鉄塔の下で出会った彼女と初めて見た夕焼けを思い出しながら…。『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『そのときは彼によろしく』と、立て続けに爆発的ベストセラーを発表してきた市川拓司が、震災後久々に書き下ろした傑作恋愛小説、待望の文庫版!
東武浅草駅のコインロッカーから、位牌の入った木箱が発見された。位牌には名前と十日先の日付が入っており、箱の底には特急スペーシアの写真もあった。予告殺人を警戒した十津川警部と亀井だったが、その期日に特急「きぬ135号」の車内で男の死体が発見された。男は位牌に名前のある梅原誠だった。そして、今度は上野駅で位牌が見つかる。さらなる警戒も空しく、位牌に記載された坂西洋一郎が予告通りにカシオペア車内で殺害されてしまった。捜査は難航したが、十津川のひらめきにより容疑者が浮上。犯人の狙いは!?次の標的を防ぐことができるのか。
脚本家を夢見るOLのドラマな日常を描いたお仕事小説。丸の内総研に勤める仁藤茉由子の仕事はデータ入力。かわり映えのしない退屈な毎日を送るなかでシナリオコンクール入賞の朗報が届く。「これで脚本家に!」と期待に胸躍らせる茉由子だったが、待っていたのは厳しい現実…。原稿料の出ない仕事、プロデューサーのセクハラ…。それでも「いつか君が脚本を書いて僕が主演する」-新人俳優、秋月愁の言葉を胸に脚本家デビューを目指す茉由子。迷い傷ついた先に見つけた本当に書きたいドラマとは。巻末に、人気脚本家後藤法子さんとのスペシャル対談を掲載。
新選組最後の隊長・相馬主計と元隊士・安富才助。箱館で土方歳三の最期を看取ったふたりは、明治の世へと生き残った。流刑での島暮らしの中、思わぬ邂逅と確執を経たふたりの人生は「御一新」の荒波に翻弄されていく。そして、物語は痛切のラストへー
時は一九七〇年代。田舎町に住むヤンチャで無茶な男子高校生と町の駐在さんが繰り広げるイタズラ合戦、第二十五弾は、中学校時代のママチャリが登場する「ラフマニノフの憂鬱」を収録。ママチャリは、隣の小学校にも名をとどろかせる神童の息子として有名だった。入学後、すぐに学級委員長に就任。策士の才能は早くも発揮され、同級生からのいやがらせも撃退してしまう。そんなママチャリが仕掛けた奇跡のようないたずらとは?「ぼくたちと駐在所の12ヶ月戦争」「オハヨー!カーちゃん」マンガ入りショート「おおらか!千葉くん!」も収録した、笑いと感動の物語。