出版社 : 小学館
人間の奥深い内部で不気味に蠢き、内側から揺さぶり崩そうとする見えざる“暗黒意識”を主題に書かれた『冥府』『深淵』『夜の時間』からなる三部作。特に「僕は既に死んだ人間だ。これは比喩的にいうのでも、寓意的にいうのでもない。僕は既に死んだ」と始まる『冥府』は、死後の世界を舞台にした幻想的な作品で、いずれも福永武彦の死生観が滲み出た作品群であるが、ストーリー展開に直接のつながりはない。
“罪喰い”という魔の言葉に取り憑かれた新進建築家の彷徨を描く表題作に、一年中、花の香りが絶えることのない妖かしの庭に魅せられた若い庭師を描く「花夜叉殺し」他、著者初期の代表的短編「獣林寺妖変」、「ライオンの中庭」、「赤姫」、「サーカスの花鎮」を収録。芸能や工芸の世界を舞台とし、耽美的かつ伝奇的な作風で知られる赤江瀑の幻想の世界が広がっていく…。解説は幻想文学研究の第一人者・東雅夫氏。
英国ミステリの女王が挑む霊脳スリラー! 流し込んだばかりのセメントに小さな5つの足跡を残し、息子が失踪してから4か月。母アナは毎日その足跡が消えないように磨きながら、息子の帰りを待ちわびている。日に日に思い詰め、やがて藁をもつかむ思いで霊能者にすがるようになるアナ。一方、もう一つの子どもの失踪事件を追っていた刑事マーヴェルは、万策尽きて霊能者に協力を頼むが成果は得られなかった。霊能者を疑う刑事と、霊能者にすがる母。それぞれの思いが交錯し、やがて意外な結末へと辿り着くーー。 デビュー作でいきなり英国推理作家協会(CWA)ゴールド・ダガー賞を受賞し、長編6作目にして本作ですでに3度目のノミネートを果たした英国ミステリの女王が挑んだ、オカルト・スリラー!
めくるめくクライマックスまで一気読み確実 大英博物館東洋美術部の責任者(ゲートキーパー)である矢島剛は、オックスフォード大学の同級生ジミーから「龍」の像の鑑定を依頼される。像は清朝時代につくられた壮大な庭園「円明園」から失われた十二支像でのひとつではないかと見られていた。矢島は像のある貴族の邸宅に赴き、データを収集して帰るが、直後に像は屋敷から忽然と消え去る。 残されたデータを携え、矢島はかつての教え子で美術品を見抜く特別な才能を持つ段燕霞をパリに訪ねる。かねてから段に好意を寄せていた矢島だったが、二人の身に姿無き脅迫者の影が忍び寄る。一方、中国では政権内部の権力闘争に端を発する巨大な陰謀が進行していた。龍の像の真贋を確かめるべく香港に渡った矢島と段だったが……。 <クライマックスを迎えたあとも、気を抜いてはいけない。最後の最後にもうひとつ、意外な仕掛けが用意されている> 巻末解説はジャーナリスト&作家の松原耕二さん。 【編集担当からのおすすめ情報】 中原清一郎氏は、かつて「外岡秀俊」の名前で、東京大学法学部在学中に「北帰行」で文藝賞を受賞しました。その後、作家活動を封印して、朝日新聞社に入社、ニューヨーク特派員、ヨーロッパ総局長、東京本社編集局長、香港駐在編集委員を経て、2011年に退社しました。 在職中の1986年に「未だ王化に染はず」(いまだおうかにしたがはず)という作品を覆面作家として発表してはいますが、本格的作家活動に入ったのは退職後。2014年に「カノン」を発表、2015年に著者初めてのエンターテインメント小説である本作品「ドラゴン・オプション」を刊行しました。 本作品には、世界を舞台に活躍した著者の、ジャーナリスト時代の知識や経験が豊富に詰め込まれており、ロンドン、パリ、香港などの都市の生き生きとした描写、登場人物たちのリアリティ溢れる会話、絵画を媒介としたマネーロンダリングの詳細な仕組みなど読みどころ満載、他に追随を許さない国際エスピオナージ小説となっています。 手にとっていただければ、あとは一気呵成にめくるめくクライマックスへと導いてくれること必至です。
累計百二十万部突破の大人気コミックス「せいせいするほど、愛してる」をノベライズ!化粧品会社ロワール広報部で働くバリバリのキャリア栗原未亜がたまたま出会ってしまった男・三好海里は、自分の勤める会社の副社長だった。そして彼に惹かれ、思いを寄せたときに知った、彼が結婚しているという事実。諦めなければいけない恋に未亜は、もがき苦しむ。純愛のままでいたい、だけど一歩踏み出したい。揺れ動く心をもてあました未亜は、とうとう海里に「愛人にしてください」と告白するが…。TBS系火曜夜十時より出演・武井咲、滝沢秀明でテレビドラマ化。
『きみに読む物語』の著者、最高傑作! 今日も妻の眠る病室を訪れ、手を握って語り続ける夫トラヴィス。11年前に運命の出会いをし結ばれた二人に待ち受けていたのは、あまりにも残酷な運命だった。これ以上ないほど過酷な選択を迫られたトラヴィスは、「ここ」に戻ってこない妻のためにどこまでできるのだろうかーー。 『きみに読む物語』の著者であり、累計1億部といま世界で最も読まれている恋愛小説家ニコラス・スパークス。彼が「自身の最高傑作」と謳う、全米500万人が泣いた奇跡の恋愛小説がいよいよ文庫化します。2016年8月13日公開の映画『きみがくれた物語』の原作! 【編集担当からのおすすめ情報】 映画『きみがくれた物語』の監督は、ゴールデン・グローブ賞受賞作『ロスト・イン・トランスレーション』(ソフィア・コッポラ監督)のプロデューサー、ロス・カッツ。ノースカロライナ州の美しい海辺の町を舞台に、ベンジャミン・ウォーカー(『リンカーン/秘密の書』)とテリーサ・パーマー(『ウォーム・ボディーズ』)というチャーミングな俳優がキラキラと輝くカップルを演じます。 原作と合わせてぜひお楽しみください!
戦国時代、山陰地方を治めていた尼子氏には、「楠木正成にも勝る」と謳われた武将がいた。その勇猛さと才智を頼山陽や勝海舟にも激賞された山中鹿之助幸盛は、天文十四年(一五四五年)、出雲国富田に生まれた。幼少期を山野で過ごした鹿之助は、三日月の前立てと鹿の双角を備えた兜を被り、一騎打ちに抜群の強さを発揮した。しかし尼子氏は幾多の戦いを繰り返した後、強敵毛利元就の軍門に下ってしまう。それでも鹿之助だけは、百回打ちのめされても千回挫折を味わっても、尼子家再興を諦めなかった。清張歴史文学の頂点を極めた伝説の名作、ついに文庫化!
親しかった友人の謎の死。そして、恩師とも言える神父の失踪。若き日の二つの喪失を抱えて生きるわたしの前に現れたのが、女子大生・真琴だった。真琴に勧められるままに、神社を巡る旅に二人で行くことになりー。静かに暮らすわたしに大きな転機が訪れる。
あっと驚く希代未聞のショートショート小説 「王様のブランチ」で紹介された『家族スクランブル』がたちまち重版、さらには「海酒」が又吉直樹主演で映画化されるなど、今最も注目されているショートショート作家。今回刊行される『ショートショート千夜一夜』でも、多魔坂神社の祭りを舞台に珠玉のショートストーリーを紡ぎ出す。 <<内容>> 欲しいと念じたものが出てくるヒモくじ屋、そこに現れたゴロツキどもが引いたヒモの先には……?(「ヒモくじ屋」)、夜店ですくった人魚がどんどん成長して(「人魚すくい」)、モデルにスカウトされたエリカが行方不明に(「ラムネーゼ」)、降り注ぐ優しい雨を、自分のものにする方法(「雨ドーム」)他、全20編。 読み出したら止まらない! たった5分であなたを魅惑と幻想の世界へと誘います。
北海道絶景の地の実話も元にした奇跡の物語 大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。 北海道を舞台に数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話を元にした渾身の作品。
広告企画会社を経営している僕は、東京オリンピックに沸く池袋に育った。19歳のとき実業家の父が事業の失敗から5億円の負債を残し失踪してしまう。苦学しながら大学を卒業し、バブルまっただ中の大手広告代理店に就職する。百鬼夜行の業界を生き抜いていく僕。仕事は成功し賞も多数獲得する。しかし心の奥に暗くまとわりつくのが父親の影だった。失踪から30年が経った時、僕は父親の行方を捜すことを決意した…。多感な青年の成長を縦軸に、生々しいCM制作現場での戦いを横軸に、広告界トップクリエーター岡康道が描く鮮烈な自伝的小説。
関ヶ原合戦から十四年ー。世に天下の智将と謳われた真田幸村は、かつての名望とは裏腹に素顔は凡庸で、豊臣家からの挙兵の誘いも重荷でしかない。そんな偽りの名将に、抜け忍の猿飛佐助がとんでもない企てを持ちかけた。「おいらが策を授けて、あんたをホンモノにしてやる。真田幸村の名と命、おいらに担がせちゃあくれねえかい?」“幸村に仕える無双の家来衆、真田十勇士”の評判は広まり、いよいよ真田丸の死闘の火ぶたが切られる。-狙うは家康の首!戦国気風が残る世を、十人の勇士が暴れまわる大興奮エンタテインメント。“新・真田小説”の決定版!
累計180万部大人気コミックスノベライズ 累計180万部を誇る大人気ウエディングストーリー『はぴまり』(原作・円城寺マキ 全10巻)。主演・ディーン・フジオカ、ヒロイン・清野菜名によるドラマも決定、今一番ホットな作品がノベライズで登場。 OL・小鳥遊千和と間宮商事社長・間宮北斗は、利害関係の一致から形だけの夫婦として入籍、一緒に暮らすことに。最初は反発しあっていた二人だったが、お互いの良さを少しずつ知るうちに、惹かれあうようになる。 張り巡らされた間宮家の謎や闇、北斗の野望、引き裂かれる二人・・・・・・波乱の展開に、読み始めたら止まらない面白さ!千和と北斗は、はたして本物の夫婦になれるのか?感動のラストは必読!
太平洋を南下する潜水空母アークを目がけて一本のミサイルが飛来した。それは、月面に基地を構え地球の覇権を狙うWWSA『ネオ・テラ帝国』からの威嚇だった。クトゥルーらの“ダーク・パワー”と、WWSAの両者からの脅威に挟まれた「地球軍」は隷属か反攻かの決断を迫られる。結成以来の危機にさらされるなか、知将・加賀四郎は“敵は月面にあり”と、宇宙への進軍の決断を下し、北斗多一郎たちを月面攻撃特別コマンドとして、急遽送り込むのだが…。
関東大震災と第二次世界大戦という二つの歴史的大事件に挟まれた16年間ー画家・桂が片時も忘れえなかった昔の恋人・三枝夫人との再会と、すれ違った愛の行方を追い求め描いた作品。世界が激しく揺れ動いた時代、日本という風土に生まれ育った芸術家の思索、苦悩、そして愛の悲劇を通して人生の深淵に迫った力作である。完成までに十年の歳月を費やした福永武彦の文学的出発点ともいえる。解説は芥川賞作家であり、福永武彦の長男でもある池澤夏樹氏。
5つのテーマでめぐるロンドン旅ガイド 『ハリー・ポッター』『くまのパディントン』『ピーター・パン』『風にのってきたメアリー・ポピンズ』『クリスマス・キャロル』『不思議の国のアリス』『ピーターラビット』──時代を越えて、世界中の人々から愛され続けるイギリスのファンタジー文学や児童文学作品。 本書では、その中から30作品を選び、ロンドンの街に点在する物語の舞台やゆかりの地を、「駅」「テムズ川」「公園」「英国王室」「観光地」という5つのテーマに沿って訪ね歩くとともに、ロンドン郊外へも足を伸ばします。子どものころから幾度となくページをめくってきた物語が、不思議と魔法の世界へ続く扉を開く鍵になる──そんな新しい旅へと皆さまをご案内します。二度目からのロンドンは、ぜひテーマのある旅を! 旅の予定がある方にはもちろんのこと、予定がない方にもページをめくるだけでも楽しんでいただけるオールカラーのビジュアルガイドブック。テーマ別の歩いてたどれる散策マップ付きです。 【編集担当からのおすすめ情報】 ロンドンは不思議と魔法に包まれた魅力あふれる街です。ロンドンの街はひととおり観光したことがあるいうリピーターの方にも、本書でご紹介したテーマで街を歩いていただくと、きっと新たな発見と驚きがあることでしょう。 第1章 物語とともに歩くロンドン ◆物語がはじまる憧れの駅へ 〜ハリー・ポッターと賢者の石/くまのパディントン ◆テムズ川沿いにひそむ物語へと続く扉 〜ハリー・ポッターと賢者の石/ピーター・パン/クリスマス・キャロル/オリバー・ツイスト/ドリトル先 生アフリカ行き/風にのってきたメアリー・ポピンズ ◆公園は子供たちと妖精の遊び場 〜ピーター・パン/シャーロック・ホームズの冒険/フラワー・フェアリーズ/くまのパディントン/風に のってきたメアリーポピンズ/ハリー・ポッターと賢者の石/ドリトル先生アフリカ行き/クマのプーさん /おばけ桃が行く/ダルメシアンー100と1ぴきの犬の物語 ◆現実と想像が交差する英国王室史 〜小公女/秘密の花園/幸福の王子/オリバー・ツイスト/小公女/アーサー王と円卓の騎士/時 の旅人/王子と乞食/ドリトル先生アフリカ行き ◆ロンドンのそこかしこで見つかる物語のかけら 〜ハリー・ポッターと賢者の石/シャーロック・ホームズの冒険/オリバー・ツイスト/不思議の国のア リス/フラワー・フェアリーズ/クマのプーさん/くまのパディントン/ピーターラビットのおはなし 第2章 物語とともにロンドンからの小旅行 ◆ハートフィールドに広がるクマのプーさんの森 ◆ピーターラビットの故郷・湖水地方 ◆古い屋敷で夢を見るコッツウォルズ ◆英国ファンタジーの聖地オクスフォード 【物語と散策をより楽しむためのコラム】 その1 イギリスはほんとうにおいしい その2 甘くおいしいお茶の時間 その3 花とともにあるイギリス人の暮らし その4 建物の時代で物語の背景を知る その5 気まぐれに降るロンドンの雨
その「偶然」は仕組まれたものかもしれない 出会いと別れ、栄光と挫折、幸福と不幸、そして生と死・・・・・・。 運命だと思っていたことは、実はすべて仕組まれていたのかもしれない!? 弁護士試験に挫折して就職活動中の水氷里美は、ある日、電信柱に貼られた「オフィス油炭」という錦糸町にある会社の求人広告を見つける。藁にもすがる思いで連絡を入れると、面接場所に指定されたのは、なんとパチンコ屋!? 数々のミッションをなんとかクリアした里美に与えられたのは「アクシデントディレクター」という聞き慣れないお仕事だったーー。 確率に異常にこだわる社長の油炭、かわいいけれど戦闘能力の超高い女子中学生・クロエとともに、里美はクライアントからの依頼を遂行していくが、あるとき「偶然屋」たちの前に、悪魔のような男の存在が浮かび上がる・・・・・・。 ブラックユーモアミステリーの名手、本領発揮! 『ドS刑事』シリーズなどで人気の著者の新たなる代表作!!
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年発生した女性殺害事件を解決するカギが隠されていた!?(表題作「希望荘」)。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」…私立探偵・杉村三郎が4つの難事件に挑む!!
198X年、クトゥルーの侵略によって壊滅してしまった地球=人類文明。その年より1年の月日が流れた。営々と築きあげた人類文明は一朝の内に灰に帰り、回復不能な被害を受け、もはや、人類による地球支配の歴史は終わったかに見えた。だが、太平洋上の潜水空母アーク号には加賀四郎率いる「地球軍」が、豪州には「人類戦線」が、そして月面にはWWSAが、人類最後の砦として残っていたのだ…。大河小説の第12弾。そして、第二部「地球聖戦編」堂々の開幕。