出版社 : 岩波書店
ドナルド・キーンによって英訳され、さらにラジオドラマとして英国BBC放送で全世界に向けて発信された小田実の「玉砕」は、9・11事件をはじめとする自爆攻撃の出現とともに世界的に注目を集めるに至っている。原作とラジオドラマ・シナリオを含めて、日米英の作家・文学者の発言を収録し、普遍的テーマとしての「玉砕」の意味を問う。 1 全体の序文として 私の「玉砕」へのかかわり,思い……小田 実 2 玉 砕/Gyokusai 玉 砕……小田 実 ラジオ・ドラマGyokusai--玉 砕……ティナ・ペプラー〔金井和子訳〕 3 「玉砕」によせて 英訳版『玉砕』のための「まえがき」……ドナルド・キーン〔金井和子訳〕 崇高にしておぞましき戦争……ドナルド・キーン/小田 実 変革すべき世界はまだまだ若い……ティナ・ペプラー〔金井和子訳〕 あとがき……小田 実 初出一覧
敵軍,モスクワ侵攻! 退去勧告のビラが撒かれる。引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、ゆるしを乞い、死の日まで付添う。一方、ナポレオン暗殺を誓い大火の首都をさまようピエールは、放火の嫌疑でフランス軍の捕虜となり農民プラトンと出会う。その邂逅にロシア的生命の光を垣間見るのだが・・・ 新訳(全六冊) 第 三 部(続き) 第 三 篇 コラム30 アレクサンドル一世 コラム31 馬車と橇 コラム32 モスクワのパノラマ 第 四 部 第 一 篇 コラム33 モスクワ大火 第 二 篇 コラム34 トルストイと老子 コラム35 ロシアの冬 『戦争と平和』年表
新しい思想を持ち、人間主義の教育によって不合理な社会を変えて行こうとする被差別部落出身の小学校教師瀬川丑松は、ついに父の戒めを破って自らの出自を告白する。丑松の烈しい苦悩を通して、藤村は四民平等は名目だけの明治文明に鋭く迫る。
第 三 部 第 一 篇 コラム21 歴史哲学 コラム22 ダンス コラム23 ナポレオン軍の将軍たち コラム24 ロシア軍の将軍たち コラム25 一八一一年の彗星と神秘の数字 第 二 篇 コラム26 貴族の荘園 コラム27 ロシアの農民 コラム28 平均寿命 コラム29 村落共同体 『戦争と平和』年表
学生小町田粲爾と芸妓田の次とのロマンス、吉原の遊廓、牛鍋屋ー明治10年代の東京の学生生活と社会風俗を描いた日本近代文学の先駆的作品。坪内逍遙(1859-1935)は勧善懲悪を排して写実主義を提唱した文学理論書『小説神髄』とその具体化としての本書を著し、明治新文学に多大な影響を与えた。
均整と統一という明確な方法意識を持っていたポオ(1809-1849)は、短篇小説に絶妙な手腕を発揮した“スタイリスト”であった。胸躍る痛快な暗号解読の物語『黄金虫』、夢幻的雰囲気と緊迫感にひたされた『アッシャー家の崩壊』-。『ボン=ボン』『息の紛失』等、ノンセンス物も収録した、ヴァラエティゆたかなアンソロジー。
第 二 部(続き) 第 三 篇 コラム15 行政改革 第 四 篇 コラム16 借金生活 コラム17 狩 猟 第 五 篇 コラム18 モスクワとペテルブルグ コラム19 ファッション コラム20 劇 場 『戦争と平和』年表
時代は昭和へと移る。金五郎は若松市会議員となり、すでに押しも押されもしない貫禄の親分である。しかし波止場の近代化の陰に、吉田親分との因縁の対立は徐々に深まる。マンと彫青師お京、金五郎をめぐる女たちもしのぎを削る。明治から昭和戦前に至る北九州若松を舞台に展開するロマンティシズム溢れる波乱万丈の物語。完結。
「ボヴァリー夫人」の後日譚ともいうべき興味あるテーマが、この作品では裏側から眺められて、ひとつの喜劇として辛辣にパロディー化されたが、それとともに人間の愛憎の二重性は、それ自体が1篇の正主題となって、ほとんどモノグラフィー的な探求の対象をなすばかりか、さらにその内部において二重にも三重にも分裂して複雑な様相を示す。
初期の作品一八篇を収めた国木田独歩(一八七一ー一九〇八)自選の短篇集。ワーズワースに心酔した若き独歩が、郊外の落葉林や田畑をめぐる小道を散策して、その情景や出会った人々を描いた表題作「武蔵野」は、近代日本の自然文学の白眉である作者の代表作。
ある日、鼻が顔から抜け出してひとり歩きを始めた…写実主義的筆致で描かれる奇妙きてれつなナンセンス譚『鼻』。運命と人に辱められる一人の貧しき下級官吏への限りなき憐憫の情に満ちた『外套』。ゴーゴリ(1809-1852)の名翻訳者として知られる平井肇(1896-1946)の訳文は、ゴーゴリの魅力を伝えてやまない。
ロシアはナポレオンとの決戦に突入。アウステルリッツ戦で生死不明だったアンドレイが帰還した夜, 妻は男児を出産し死亡する。遺産相続したピエールははめられて結婚、妻の不倫から決闘する。 一方ロストフ家の若者たちは恋する年頃. それぞれの人生が続く中、歴史はロシアをティルジット条約の屈辱へと導いていく。(全6冊) 第 一 部(続き) 第 三 篇 コラム8 ロシアとイギリス 第 二 部 第 一 篇 コラム9 ロシア人の食事 コラム10 決 闘 コラム11 ギャンブル コラム12 ロシアの学校 第 二 篇 コラム13 フリーメーソン コラム14 ユロージヴイ 『戦争と平和』年表
明治の終り、故郷を追われ北九州若松港に流れてきた男と女。二人は最下層の荷役労働者となり、度胸と義侠心で荒くれ男を束ね、波止場の暴力と闘う。男は玉井金五郎、女はマン。男の胸の彫青は昇り龍に菊の花。港湾労働の近代化を背景に展開する波乱万丈の物語。著者は本名玉井勝則、金五郎・マンの長男、実名で登場する。
1805年夏、ペテルブルグ。英雄か恐怖の征服者か、ナポレオンの影迫るロシア上流社会の夜会に現れた外国帰りのピエール。モスクワでは伯爵家の少女ナターシャが平和を満喫。だが青年の親友や少女の兄等は戦争への序走に就いていた。愛・嫉妬・野心・虚栄・生死ーー破格のスケールと人間の洞察。世界文学不朽の名作! 新訳。 第 一 部 第 一 篇 コラム1 ロシア人とフランス語 コラム2 ロシアの暦 コラム3 名の日とロシア人の姓名 コラム4 貨幣価値 コラム5 兵役・貴族の勤務義務 コラム6 遺産相続、持参金 第 二 篇 コラム7 軍の組織と部隊の種類 『戦争と平和』年表
早朝、汽車に乗り込んだ「きみ」はローマに住む愛人とパリで同棲する決意をしていた。「きみ」の内面はローマを背景とした愛の歓びに彩られていたが、旅の疲労とともに…。一九五〇年代の文壇に二人称の語りで颯爽と登場したフランス小説。ルノードー賞受賞作。