出版社 : 岩波書店
渋江抽斎(1805-58)は弘前の医官で考証学者であった。「武鑑」収集の途上で抽斎の名に遭遇し、心を惹かれた鴎外は、その事跡から交友関係、趣味、性格、家庭生活、子孫、親戚にいたるまでを克明に調べ、生きいきと描きだす。抽斎への熱い思いを淡々と記す鴎外の文章は見事というほかない。鴎外史伝ものの代表作。改版。
ササーン朝ペルシャがアラブの侵攻で倒れて三百数十年、11世紀初めにアラブ中央政権に対抗して書かれたペルシャ民族高揚の叙事詩ー神話・伝説・歴史時代の三部構成からなるペルシャ建国の物語。今も、誰でもその一節を暗誦することができる、と言われるほどイランの人々に愛されている『王書』からその名場面を抄訳。
暢気眼鏡 芳 兵 衛 燈火管制 玄関風呂 父祖の地 落 梅 虫のいろいろ 美しい墓地からの眺め 瘦せた雄雞 山口剛先生 石 松 風 蜜蜂が降る 蜂と老人 日の沈む場所 解 説(高橋英夫) 初出一覧
焦土と化した戦後ポーランドの混沌とした状況を四日間の出来事に凝縮して描く長篇小説。ヨーロッパ戦線が実質上終結していた1945年5月5日、ワルシャワ南部の地方都市で党幹部と誤認された労働者が反革命テロ団により射殺される事件がおこった。
その三日後の5月8日、テロ団の一員マーチェクは、党の大物シチューカの暗殺を決行するが、街頭で保安隊のパトロールに出会い、射殺された。この日は、ドイツ軍司令部代表が無条件降伏の正式文書に調印した日であった…。ワイダの同名の映画の原作。
皇帝の使者 ジャッカルとアラビア人 ある学会報告 ロビンソン・クルーソー サンチョ・パンサをめぐる真実 アレクサンドロス大王 新しい弁護士 ポセイドン アブラハム メシアの到来 こうのとり 貂 使 者 小さな寓話 獣 だだっ子 柩 掟の問題 一枚の古文書 走り過ぎる者たち よくある事故 十一人の息子 兄弟殺し 中庭の門 隣 人 巣 穴 最初の悩み ちいさな女 断食芸人 歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族 解 説
南国の宏大な屋敷で生れ育ったセントバーナードとシェパードとの混血の子バックは、突然、鞭と棍棒に追われ、アラスカの氷原で屈辱的な労働を強いられることになる。苛酷な労働と生死をかけた闘いの中で、バックは次第に野性に目覚めてゆく。全篇を貫く強烈な反抗精神と自由への憧れが読者を魅了する、ロンドン(1876-1916)の出世作。