出版社 : 幻戯書房
平安京の朱雀門には鬼が住むという。 平安初期実在の中納言・紀長谷雄が朱雀門の楼閣で謎めいた男と賭け盤双六の勝負。その顛末を描く絵巻「長谷雄草紙」をもとにした物語。 人間界と異界の狭間の怪奇幻想譚
作家シムノンが生涯を通じて書き続けた〈メグレ警視〉シリーズの最初期の傑作二篇を合本。早晩、結実する〈硬い小説(ロマン・デュール)〉を彷彿とさせる舞台で、偏見持ちで情の深いメグレ警視ならではの人間観察が冴える、じっくり味読したい探偵小説が新訳で復活!
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戦場、野戦病院、兵舎、総司令部などにおける「現実」を直視し、戦時下の軍人や女たちの生を鮮明に描き出すことによって、戦争美化の言説に抗議の声をあげるーーパリ郊外のメダンにあるゾラ宅に集った、モーパッサン、ユイスマンスら6人のフランス自然主義作家が普仏戦争(1870-71)を記録、諷刺した短編小説集。本邦初完訳。 序文 水車小屋の攻防 エミール・ゾラ 脂肪の塊 ギ・ド・モーパッサン 背囊を背負って ジョリス゠カルル・ユイスマンス 瀉血 アンリ・セアール 大七事件 レオン・エニック 戦闘のあと ポール・アレクシ 補遺一 (五十周年記念の再刊に寄せた)レオン・エニックによる序文 補遺二 メダンの夕べーどのようにしてこの書が作られたか 註 『メダンの夕べ』年譜 訳者解題
海に憧れながら元の生活から離れぬエレーダを描く『海の夫人』。他人との関係を疎むヘッダの退屈な生を描く『ヘッダ・ガーブレル』。「自己亡命」の終焉間際に書かれた、祖国への愛憎と望郷の狭間のイプセンの葛藤が〈居場所探し〉として結晶化した、リアリズム期の傑作戯曲2篇。
デンマーク辺境の荒地を描いてアンデルセンやキェルケゴールを魅了し、19世紀前半の〈デンマーク黄金時代〉に詩的リアリズム文学を大成したスティーン・スティーンセン・ブリカー。表題作はじめ『ある教会書記の日記』など、人間の避けられぬ悲運や孤独を描いた全7篇の傑作短編集。
えらいこってすなぁ。オリンピックと阪神の優勝。 盆と正月が一緒に来たようでーー 忍者ごっこに銀玉鉄砲、駄菓子屋の氷饅頭、生國魂神社の夏祭り、日生球場のカクテル光線、上町筋の聖火リレー……大阪人の闊達に揉まれ、路地を走りまわった昭和39(1964)年、“ガキ大将”の躍動の日々。 家出した親友、逝きし同級生、初恋と失恋、小説・昭和の大阪。
せや、爆発させたかったんや。 対象はなんでもよかったんや。 屋上でふかしたタバコ、ビートルズ解散、教室で炸裂するロック、今里新地の部屋のシミ、赤目渓谷の飯盒炊爨、御堂筋の10・21国際反戦デー……昭和46(1971)年、“遅れた世代”の逡巡の日々。 仲間のすれ違い、親友との再会、恋の裏切り、小説・昭和の大阪。
『ドン・キホーテ』のパロディーたるスペイン自然主義文学にして、マリオ・バルガス゠リョサに「20世紀初頭の前衛小説に先んじた手法」と称された《非現実の夢》を用い、首都マドリードの都市空間の綾を読み解くベニート・ペレス゠ガルドスの都市小説の傑作長編。本邦初訳。
1993年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。パリ第四大学フランス文学科修士課程修了。現在、フランスの食品関連企業にて通訳および渉外業務に従事している。
画家になることの断念から「新しい小説」を書く作家へとみずからを変貌させた小説家クロード・シモンーー作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳。
対独抵抗運動に挺身した「闘士」の作家ピエール・エルバールーー無人島で営まれる少年同士の同性愛的な友情を活写するBL小説『アルキュオネ』、スターリニズム下の若き反抗者たちの同性愛と政治参加を巧みに描いた、エルバールの私小説的作品『力線』の2篇を収録。本邦初訳。
文学が荒廃した戦時下も、太宰は太宰であった。 人間の、もっと根深いところから滲み出た資質。 戦前、戦中、戦後の18篇。 「僕は本能的に、或いは肉体的に兵隊がきらいであった。」 1 戦 前 温泉 大正12年(1923) 列車 昭和8年(1933) 葉 昭和9年(1934) 二十世紀旗手 昭和12年(1937) 黄金風景 昭和14年(1939) 新郎 昭和17年(1942) 2 戦 中 十二月八日 昭和17年(1942) 律子と貞子 昭和17年(1942) 待つ 昭和17年(1942) 佳日 昭和19年(1944) 散華 昭和19年(1944) 瘤取り -お伽草紙 昭和20年(1945) 舌切雀 -お伽草紙 昭和20年(1945) 3 戦 後 未帰還の友に 昭和21年(1946) 冬の花火 -三幕 昭和21年(1946) メリイクリスマス 昭和22年(1947) 桜桃 昭和23年(1948) 家庭の幸福 昭和23年(1948) 解説 太宰治の非戦的姿勢 村上玄一
ヨーロッパにおける、アメリカ人女性の無垢で奔放な生を描き、〈国際テーマ〉の名作として文名を高めた短編「デイジー・ミラー」。画家とモデルと絵画の関係を寓話的に描き出す〈芸術もの〉の短編「ほんもの」。ヘンリー・ジェイムズの小説的リアリティの特性が浮かび上がる珠玉の2篇。
幻想的短編小説の名手シルビナ・オカンポと、名作『モレルの発明』の著者にして夫のアドルフォ・ビオイ・カサーレスが共作した唯一の長編小説。スペイン語圏に推理小説ブームを巻き起こすボルヘス監修の伝説的コレクション〈第七圏〉から刊行された名作の探偵小説が本邦初訳で登場。
文豪ばかりが作家じゃないことを、いつか教えてもらっていた。 西村賢太が耽読した作品をめぐる文章や発言をもとに編んだ、明治・大正・昭和の10篇。 西村賢太の文学の軌跡を追体験する。 収録作 村山槐多「悪魔の舌」 倉田啓明「謀反」 大坪砂男「天狗」 松永延造「アリア人の孤独」 葛西善蔵「哀しき父」 嘉村礒多「足相撲」 田中英光「N機関区」「少女」 北條民雄「いのちの初夜 山本周五郎「須磨寺附近」
文学の徒にして親友だったフランツ・カフカの遺言に逆らい、遺稿を守って亡命、カフカ全集を編纂して世界文学に貢献した作家・翻訳家マックス・ブロートーー1910年代チェコのギムナジウムに通うドイツ系ユダヤ人青年の恋愛と蹉跌を赤裸に描く、ブロートの自伝的小説。本邦初訳。
“ポスト・ギャディス”と目され、リチャード・パワーズが正体とも噂された、トマス・ピンチョン以上に謎めく、ポスト・ポストモダン作家エヴァン・ダーラーー“読まれざる傑作”として話題となった、ピリオドなしの、無数にして無名の語りで綴られる大長編の奇書がついに本邦初訳で登場!
B・S・ジョンソンらと並び、1960年代イギリスで実験小説を発表し、女性であることの困難にも向き合った前衛作家アン・クイン。行方不明の少女が遺したテープと日記帳が夫婦二人の日常を軋ませ、次第に蝕んでいくーー作者の自伝的要素も組み込まれた奇妙な長編小説。本邦初訳。
手書きの文字と線画を組み合わせ、コマ割マンガの創始者となったジュネーヴの作家ロドルフ・テプフェールーー諧謔精神あふれる半自伝的小説「伯父の書斎」、アルプスの風土をスイスことばで描いた冒険譚「アンテルヌ峠」など珠玉の全8篇をテプフェール自身の挿絵つきで収録。本邦初訳。