出版社 : 幻戯書房
悪党どもに正義の鉄槌を下さんとして、神出鬼没の謎多き医師アンテキルト博士とその仲間たちが地中海を舞台に躍動するー『海底二万里』『八十日間世界一周』の作者ジュール・ヴェルヌが描く、狂瀾怒涛の海洋冒険物語。第三部第五章から第五部最終章までを収録。エッツェル版挿絵全点掲載の新訳決定版。
斬新な構成、独特な心理描写で、彫刻家である主人公の、三代にわたる女性への愛情が赤裸に描かれるー唯美主義、ダーウィニズムの思想を取り込み、“性愛と芸術”の関係を探究し続けた英国ヴィクトリア朝の小説家トマス・ハーディが最後に著したロマンス・ファンタジー。
小説か、詩か、暗号か。ギムゲミスト、シュルレアリスム。100年前の前衛から届いた言葉。単行本未収録作品集。自筆イラスト12点、註釈198項。
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出すー『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図として描いた大長編の問題作。全二十六の書のうち、イザベル登場によりピェールの反逆の人生の火蓋が切られる“第十二の書”までを収録。
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出すー『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図として描いた大長編の問題作。故郷からの旅立ち、作家への道と破天荒な人生行路が待ち受ける“第十三の書”から“第二十六の書”までを収録。
アガサ・クリスティらと、1920〜30年代の“探偵小説の黄金期”を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズー探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、“ピーター・ウィムジィ卿”シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
東京の大企業社長が死に際に残したドイツ語「nachtflug(夜間飛行)」。この一語が、富山の老人の死、そしてナチス統治下のウィーンへ繋がった。若き市来男爵とローラが守ろうとしたものとはー消えた「株券」に迫る、壮大な歴史ミステリー。
ナポレオンとの政治的対立から追放されながら、個人の自由と寛容を重んじ、政治的リベラリズムを貫き通したスタール夫人ー奴隷制度廃止宣言の翌年に刊行された、三角貿易の拠点セネガル、アンティル諸島、ル・アーヴルを舞台にした3人のヒロインたちによる「愛と死」の理想を描く中編小説集。本邦初訳。
土地固有のかたちとフランス語の多様性を追求し続けたスイス・ロマンドの国民作家C・F・ラミューラヴォー地域の村落を理想郷として描く詩的小説の表題作、故郷の地勢から発する文学を決意した「存在理由」、「手本としてのセザンヌ」「ベルナール・グラッセへの手紙」を収録。本邦初訳。
20世紀スイス・ロマンド文学を代表する女性作家アリス・リヴァー告白体の軽快な「女性の文体」で“女の生”を赤裸々に綴った、時代に先駆けたフェミニズム小説の表題作と、名もなき者たちの沈黙に言葉を与える詩的散文『残された日々を指折り数えよ』を収録。本邦初訳。
“メグレ警視”シリーズの作家が、人間であることの病いをどこまでも灰色に、“イヤミス”以上にほろ苦く描くーシムノン初期の、「純文学」志向の“硬い小説”の傑作2篇がついに本邦初訳で登場!シムノン研究家の顔をもつ小説家・瀬名秀明による、決定版シムノン「解説」を収録。
憂鬱は、ペロルには馴染みのない感情だった。というのも、そんなものは海賊、つまり「沿岸の兄弟」の一員の人生には関係がないからだ。…陰気な憤怒や狂ったようなお祭り気分が外からやって来て一時的に爆発したことならあった。しかし、すべては空しいというこの深い内なる感覚、自らの内なる力を疑うあの気持ちを味わったことは彼には一度もなかった。若くして祖国を離れ、他郷での船乗り体験から作家へと転身、複数の言語と文化を越境しながら、政治小説、海洋小説の名作を世界文学に残した“二重の生を持つ人”コンラッドーナポレオン戦争期の南仏・地中海の、老練の船乗りの帰郷と静かな戦いを描く、知られざる歴史小説。本邦初訳。