出版社 : 幻戯書房
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出すーー『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図【ピクチュアレスク】として描いた大長編の問題作。全二十六の書のうち、イザベル登場によりピェールの反逆の人生の火蓋が切られる〈第十二の書〉までを収録。
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出すーー『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図【ピクチュアレスク】として描いた大長編の問題作。故郷からの旅立ち、作家への道と破天荒な人生行路が待ち受ける〈第十三の書〉から〈第二十六の書〉までを収録。
「明治維新が美化されすぎているような気がしてならない。維新は果してそんなに美しかったのだろうか。わたしはその答えを新選組のなかに求めてみたい。姿勢をできるだけ低くして、歴史の陰画を陽画に変えてみようと思っている。」(雑誌連載開始にあたっての著者予告文より) 司馬遼太郎『燃えよ剣』刊行の十年後、同じ「週刊文春」で連載を始め、編集部の忖度で中断した幻の作品、ついに書籍化。戯作者たらんとした作家の、差別解消への想い。
アガサ・クリスティらと、1920〜30年代の〈探偵小説の黄金期〉を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズーー探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、〈ピーター・ウィムジィ卿〉シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
東京の一部上場企業の社長と富山の介護施設の老人の死が、[nachtflug(夜間飛行)]というドイツ語を媒介に、函館を拠点とした華族、そして、ナチス統治下のウィーンの一企業の「株券」へと繋がってゆく、壮大な歴史ミステリ。
ナポレオンとの政治的対立から追放されながら、個人の自由と寛容を重んじ、政治的リベラリズムを貫き通したスタール夫人ーー奴隷制度廃止宣言の翌年に刊行された、三角貿易の拠点セネガル、アンティル諸島、ル・アーヴルを舞台にした三人のヒロインたちによる「愛と死」の理想を描く中編小説集。本邦初訳。
土地固有のかたちとフランス語の多様性を追求し続けたスイス・ロマンドの国民作家C・F・ラミュ──ラヴォー地域の村落を理想郷として描く詩的小説の表題作、故郷の地勢から発する文学を決意した「存在理由」、「手本としてのセザンヌ」「ベルナール・グラッセへの手紙」を収録。本邦初訳。
20世紀スイスロマンド文学を代表する女性作家アリス・リヴァーー告白体の軽快な「女性の文体」で〈女の生〉を赤裸々に綴った、時代に先駆けたフェミニズム小説の表題作と、名もなき者たちの沈黙に言葉を与える詩的散文『残された日々を指折り数えよ』の2篇を収録。本邦初訳。
『ウンディーネーー水の妖精』の詩人が書いた大ベストセラー小説が、210年の時を超えて蘇る!--『指輪物語』『ナルニア国物語』の先駆となった冒険ファンタジー小説の原像。汎ヨーロッパのヴィジョンを夢幻に繰り広げた、力と美の奔出する中世騎士道絵巻。本邦初訳。原著全3部中、第1部から第2部前半までを収録(全2巻)。
『ウンディーネーー水の妖精』の詩人が書いた大ベストセラー小説が、210年の時を超えて蘇る!--『指輪物語』『ナルニア国物語』の先駆となった冒険ファンタジー小説の原像。汎ヨーロッパのヴィジョンを夢幻に繰り広げた、力と美の奔出する中世騎士道絵巻。本邦初訳。原著全3部のうち、第2部後半から第3部最終章までを収録。
牧野信一を師とし、坂口安吾、中原中也、埴谷雄高を友とした無口な作家。 入手困難な作品を1冊にまとめる。 武田泰淳が褒め、種村季弘が愉しんだ、日本文学史上かくも自由で稀有な、ゆえに孤独な試み。 視覚像がデフォルメし、狂気に近い想像が交ってくるーー 戦中戦後の絶えざる噪音、そして批評の無関心のなか、ひっそりと世間へ向けつづけた目。 平凡な風景の底に、光りかがやく宝石の冷めたさ。 谷丹三の静かな小説 -あわせて・人生は甘美であるという話ー 坂口安吾 ーcolumn- 信一と安吾 遺恨 センチメンタリズム 帰りたい心 星石 死んだ真似 フウインム先生 悪魔の酒 ーcolumn- 西洋私小説論(その一) ヘンリ・ミラーについて 黄色い雪だるま わが身はいとわし ーcolumn- 哄笑論 脱出未遂 動物貴族 闖入者 失行症 脱がし屋 ーcolumn- 共犯者 半助場外へいく アヴェ マリア ーcolumn- 安吾先生とファルス 谷丹三のこと 埴谷雄高 解説 齋藤靖朗 初出一覧
〈メグレ警視〉シリーズの作家が、人間であることの病いをどこまでも灰色に、“イヤミス”以上にほろ苦く描くーーシムノン初期の、「純文学」志向の〈硬い小説〉の傑作2篇がついに本邦初訳で登場! シムノン研究家の顔をもつ小説家・瀬名秀明による、決定版シムノン「解説」を収録。
若くして祖国を離れ、他郷での船乗り体験から作家へと転身、複数の言語と文化を越境しながら、政治小説、海洋小説の名作を世界文学に残した“二重の生を持つ人”コンラッドーーナポレオン戦争期の南仏・地中海の、老練の船乗りの帰郷と静かな戦いを描く、知られざる歴史小説。本邦初訳。
「精神と官能」「男と女」-色鮮やかな生の無限の混沌を、あふれる機知とイロニーでもって、めくるめくアラベスクへと織りあげたマニエリスム小説の傑作『ルツィンデ』のほか、文学と哲学、そして愛をめぐるフリードリヒ・シュレーゲルの初期批評3篇を収録。
挿絵59点+カット8点完全復刻 昭和8年の息吹きが、88年の時を経て、新漢字・新仮名遣いでよみがえるーー。 邦枝の「江戸」を絵で昇華させた〈雪岱調〉の完成形。 朝日へ書いた『おせん』の挿絵の如き特に雪岱氏の代表作ともいふべきものーー邦枝完二 昭和8年(1933)に「東京朝日新聞」および「大阪朝日新聞」で59回にわたり連載された小説『おせん』。 著者・邦枝完二(1892─1956)と挿絵画家・小村雪岱(1887─1940)の才能の結晶。 『小村雪岱随筆集』『小村雪岱挿絵集』につづく、その仕事の軌跡。
活動写真の先駆者(パイオニア)たち。 「そや、喪が明けたときにすぐにでも公開できるよう会場を押さえとかなあかん」 このときの判断が後々、日本映画史に確固たる足跡を残すことになった。 明治29年(1896)、大阪。 本邦初の映画が、難波で上映された。 ヴァイタスコープ、シネマトグラフ……映写機初輸入秘話。 ときおり小雪の舞う寒い日だった。和一はしかし、そんな天候とは逆に早朝から体を火照らせ、夜の実験試写をいまかいまかと待ち遠しく思っていた。……これから日本を支える若い世代に、世紀の発明品をしかと目に焼きつけてもらいたかったからだ。(本文より)
ボルヘスやビオイ・カサーレスに高く評価され、「アルゼンチン文学の秘宝」とも称された短編小説の名手シルビナ・オカンポは、日常生活に隠された不思議から奇想天外な物語を引き出した。幻想的リアリズムの頂点をなす怪奇短編集『復讐の女』と『招かれた女たち』の全78篇を収録。本邦初訳。 日常的儀礼の内側に存在する魔法や、鏡には映らない禁断の顔、秘密の顔をこれほど見事に捉えた作家は、他に誰も思いつかない。 ──イタロ・カルヴィーノ シルビナ・オカンポの詩と短編小説が読者に暴き出す世界は驚異的なほど豊かな光を放つ。 この豊かさは語彙の産物ではなく、繊細で明敏な感受性に由来する。 ──ホルヘ・ルイス・ボルヘス シルビナは必然的とさえ言えるほどの独創性を備えていた。 ──アドルフォ・ビオイ・カサーレス 日常生活の小さなホラーに目を留める作家は少なく、日々の不思議に目を向ける作家はもっと少ない。 これほど知的で優雅なユーモアを添えて両者を記録した作家は、時代や言語を問わず、シルビナ・オカンポ以外に誰も思いつかない。 ──アルベルト・マングエル ボルヘス、ガルシア・マルケスと並び、シルビナ・オカンポはスペイン語圏をリードする作家だ。 ──ジョルジェ・アマード ■復讐の女 金の野兎 続き 病 後裔 砂糖の家 時計の家 ミモソ ノート 巫女 地下室 写真 マグシュ 土地 品々 私たち 復讐の女 引き出しに紛れ込んだ手紙 死刑執行人 黒アサバチエ玉 最後の午後 ビロードのドレス レオポルディーナの夢 周波 結婚式 女性患者と医師 電話の声 罰 お祈り 創造(自伝的物語) 吐き気 快楽と罰 友達同士 天国と地獄の報告 絶滅しない人種 ■招かれた女たち あんな顔つきだった 雄牛の娘 脱走 ベッドの下の手紙 現像 アメリア・シクータ 黒雑貨屋 階段 結婚式 科学の進歩 幻視 寝床 煙の輪 檻の外 イシス 復讐 シビュラの恋人 モーロ エクアドルの不吉な男 魔法の医師 近親相姦 手の平の顔 愛人たち ティルテ温泉 地下生活 鬘 贖罪 亡霊 マルメロの牝鶏 セレスティーナ イセラ 完全犯罪 結び目 愛 致命的罪悪 ラダマンテュス 穀物倉庫 刻印の木 別れの手紙 魔法のペン ポルフィリア・ベルナルの日記 ミス・アントニア・フィールディングの話 招かれた女たち 石 アドラーノ寺院のマスチフ犬 シルビナ・オカンポ(1903–93)年譜