出版社 : 幻戯書房
殻、空、虚、骸…あれは都市の、この世の、崩壊の音。富士が裂けた。電線のカラスが道にボトボト落下した。雨みたいにばらばらと人の死が降った。生き残った者は、ツルツルの肌を持つあのひとたちに奉仕した。パンデミック後の光景、時の層を描く小説7篇。
絶対平和主義を貫き、正しい生き方を求め、最後には自死を選んだ伝記作家の名手ツヴァイクー聖書、聖典を材に、時代の「証人」として第一次大戦中から亡命時代に至る激動の時代に書き残した、人類永遠の主題「戦争と平和」をめぐる四つの物語。本邦初訳を含む新編新訳。
パリの日本人コロニーを舞台にした“ジャポニズム・フィクション”として、20世紀初頭、欧米各地の劇場を席捲、「黄禍論」の議論を呼んだドラマ。「台風」現象としてセンセーションを巻き起こした、ハンガリーの劇作家レンジェルの代表作。
ヌーヴォー・ロマン作家サロートが到達した、伝記でも回想でもない、まったく新しい「反ー自伝小説」。「私」と「あなた」の対話ではじまる、言葉とイマージュと記憶の物語。サロート円熟期の実験作がついに44年ぶりに邦訳刊行!
江戸時代に諸国を行脚し、旅先で歌仙を巻いた実在の女俳諧師・五十嵐浜藻。そして彼女が史上初めて完成させた、すべて女性ばかりの付合(連句)集『八重山吹』。江戸期に比類のない同書の始まりの地・長崎(=崎陽)を舞台に、俳諧小説の第一人者が大胆に描く長篇。
英文学ゼミの研究室で発生した陵辱事件。ばらまかれる怪文書、謎の猥褻画、めまぐるしい議論の応酬ーあの「密室」で、何が本当に起こったのか?恋愛推理の巨匠“最後の未刊長篇”を初書籍化。本文と連動した著者自筆挿画72点完全収録の愛蔵本。
岡本綺堂の『半七』、池波正太郎の『鬼平』も材を取った彌太吉老人の捕物帳など全10篇。兄・鏡花の呪縛からの解放がもたらした、時代ミステリの嚆矢。100年の時を経て甦る、幻の傑作。泉鏡花没後80年記念出版。
1枚の美しい切手をめぐり、すれちがい、めぐりあう人間模様。ささやかでいとおしい一度きりの旅を、だれもが懸命に生きている。『100万回生きたねこ』の佐野洋子が贈る奇跡のラブストーリー。幻の名作、待望の新装復刊。大切な人へのプレゼントにも!
あらゆる小説ジャンルを呑み込み笑い飛ばす強靱な文体。アイヌ文化と「ヤマト」の差別に対する苛烈な問題意識ーおそるべきゲリラ作家の入手困難な代表作を精選し、知られざる傑作長・中・短篇6作を(ほぼ)初書籍化するメガ・コレクション。