出版社 : 彩流社
世界遺産都市アビラとバルセロナを舞台に、幼年時代への回想と、死へのこだわりを糸杉の影に託して描く心理劇。スペインの国民的作家としての評価を決定づけた文壇へのデビュー作。一九四八年に日本の芥川賞とも言うべきナダル賞を受賞。
人間にとって“お金”とは何か!貧困から来る孤独感、挫折と屈辱、そして鉢植えの「葉蘭」へ…。不況下のロンドンを舞台にした“現代的な”作品!書店員として働いた体験をもとに書かれた作品が今、新訳で甦る。
降霊術師を母にもったジャック・ロンドン…極北の自然を舞台にした『荒野の呼び声』『白い牙』の作家が、死の直前に描いた幻想に満ちた四編の初訳を含む五編で編む。
19世紀半ばのインドー英国は東インド会社と総督府を通じて植民地支配を強化し、インドの直接統治を進めていた。マラーター王国の高官の娘として生まれたラクシュミーは、インド北部ジャンシー王国のマハラジャと結婚し、王宮内に女性騎馬隊を組織して、政治手腕を発揮していた。夫の死後は幼い養子の摂政として国民の信望を集めていたが、マハラジャ不在のジャンシー王国を接収しようとする英国の圧力に次第に追いつめられていく。そして1857年、インド北部で起きた「インド大反乱(セポイの乱)」の波に、王妃ラクシュミーも巻き込まれていく…。
人間はなぜ天から堕ちたのか。なぜこの地上で、苦しみの日々を送らねばならないのか。その謎を解くために詩人は魂に導かれ、宇宙へ、天国へと旅立つ。水晶の岸辺に神の御使の出迎えを受けた詩人は、天上の原と神の御座の偉観に心を奪われる。勧められるままに「記憶の泉」の水を飲む。そこで詩人のみたものは…。
極上のワインを求めて!フランス・ブルゴーニュから、隠れキリシタンが密かにワインを醸造する、トルコ・カッパドキア「月の谷間」へー。十字軍時代のひと味ちがった聖杯探求物語。
従兄である昔の恋人との運命的な出会いによって過ちを犯した美しい人妻の運命は…。人間は愚かで罪深いものである…!『アマーロ神父の罪』の作者がドタバタ劇として描いたポルトガル文学の古典的名著。
舞台は極寒の広大なツンドラ。変容する伝統的コミューニティから離れた主人公アガグック。妻と二人で狩猟生活を続ける。周囲の色と見分けのつかない白いオオカミ相手の死闘、カリブーなどの陸獣、アザラシなどの海獣とのサバイバル合戦、イヌイットと白人密売業者、殺人をめぐるイヌイットとカナダ官憲とのつば迫り合い…。男尊女卑の社会におけるアガグックの妻イリオークの対等を求める“女の闘い”。イヴ・テリオーが活写する数々のドラマに、白人の文明に脅かされるイヌイット社会の変容がもたらす「正と負の」姿が浮かび上がる。