出版社 : 徳間書店
沙代子は夫の暴言に耐えきれず、衝動的に家を出て、車を走らせていた。そこに飛びだしてきたのはキャバクラ嬢の紫苑。彼女は沙代子の車に乗り込んできて、スポーツ公園の体育館の植栽に隠されているボストンバッグの回収を命じた。中に入っていたのは、なんと現金3000万円!紫苑は金の持ち逃げを提案。この金があれば、沙代子の実家・印刷所の倒産はまぬがれる。しかし、その金は実は誘拐事件の身代金で…。暴力団に、闇の犯罪集団、想定外の連中に追われる羽目に陥った二人。異色のバディは窮地を乗り切ることができるのか!?
「ねえ先生、私まだ生きていていいんでしょうか?」「あたし、人の気持ちがわからない子なんです」臨床心理士の藍が出会ったのはある殺人事件をめぐる二つの家族。背後に潜む“闇”に気づいたとき、事件の真相が見えてくる!現役記者が描く、渾身の社会派長篇小説!
長野県警松本署に奇妙な電話があった。知らない男が敷地にいたので声をかけたが一言も喋らないという。道原らが駆け付け、男の身元を調べたところ、七年前、市内の老人ホームで起きた現金窃盗事件の容疑者で元職員の滝谷文高であることが判明する。なぜ彼はそこにいたのか。謎が残ったまま滝谷を解放することになったがー。その数日後、道原は驚愕の連絡を受ける。横浜で起きた殺人事件の容疑者として滝谷が浮上、さらには行方不明だというのだ!横浜、新潟、仙台…逃亡者・滝谷を追う必死の捜査が始まった!
道場剣一筋の真木誠二郎は、裏目付の佐野に見込まれてある御役目を言い渡される。尊王攘夷派の黒幕を誅殺すべく、江戸から京まで刺客の供をせよというのだ。鬼のような刺客と聞いて生来の臆病者である誠二郎は怯えるが、現れたのは年端もいかない少女・美津だったー。時代小説に新風を起こす業火の仇討ち旅が始まる!
マンションの一室で三十八歳の女性が睡眠薬を服用して死亡。遺書らしきプリントも見つかった。警視庁捜査一課の大河内部長刑事は現場の不自然さに気づく。パソコンからはメールが消去され、死の前日にスーパーの宅配サービスに注文をしていることもわかった。そして事件当夜には男女の言う争う声も聞かれていた。女性は、高校時代の同級性が娘のために立ち上げた移植手術のための募金活動に関わっていた。だが、寄付金の管理に不正を指摘する声があり、彼女のまわりには不穏な影が濃さを増していく…(「砂時計」より)
母が殺された。父の手によってー。王マンスは、父・ヨンスクによって母が殺された14歳の夜を忘れない。父は事故だと言い張るが、マンスは信じない。心に誓った。父を許さない、と。決意したマンスは、先輩・井尻の「助言」に従い、父が経営するパチンコ店に見習いとして就職する。父は、姫路市内でチェーンを展開するパチンコ長者になっていた。社長の息子であることを隠しながら下働きをするマンスには、ある計画があった。父を地獄に叩き落とす、凄烈な計画がー。パチンコ店を舞台に、金に魅せられた怪物たちの騙しあいが始まった。
太平洋戦争。農村で起きた悲喜劇。靜と綾。上槇ノ原で生まれた双子の姉妹には不思議な力が宿っていた。天才的な頭脳と統率力を持つ靜。絶対に死なない綾。そんな二人が成長したとき、太平洋戦争が勃発する。食料が枯渇した村は強烈な飢えに襲われ、打開策として靜がとった行動は、長年対立してきた下槇ノ原への襲撃だった。戦火の中、二人が人々を導く先は天国か地獄かー。今、世界で何が起きているのか。数多の文学賞を受賞し、多くの小説家に影響を及ぼす日本文学界の異端児が戦時下の極限状況を活写する。
商品を受け取るも代金を支払わない「取り込み詐欺」。暴力団の懐を肥やす資金源を断ち切れ!管内の伊知田組が取り込み詐欺に関係しているとの情報が。だがガサ入れは空振りに終わった。誰が情報を洩らしたのか!?“ハマの用心棒”諸橋が倉庫街を駆ける!
謎に包まれていた、偉大な映画人・小津の人生の一面。あの名作の原風景は三重県松阪市での青春時代にあった。小津が『坊ちゃん』だった頃ーまるで小津映画のような一年間の教師時代。若き小津と教え子たちの知られざる物語。
旅番組の撮影で見知らぬ町に取り残されてしまったタレントの久保田杏。追い打ちをかけるように雨が降り始め、森の中の小屋へと駆けこんだ。「このままじゃ、風邪ひいちゃう」と呟いた瞬間、ドアを開けて入ってきたのは三人の強盗犯!杏はとっさに隠れるも、クシャミをして密談中の男たちに見つかってしまう。「二つに一つだ。ここで死ぬか仲間になるか」-。彼女は必死の演技で強盗犯の手助けをすることに!?大人気シリーズ「夫は泥棒、妻は刑事」第二十四弾は、淳一と真弓が一億円強盗事件に立ち向かう!
名門学園の裏手には、大きな大きなクスノキがある。縁結びの木と親しまれるその傍に、生徒の遺体が三つ…。学園の事件あるところ、化石オタクのお嬢様まりああり。まりあ率いる零細古生物部に加わった怪しい一年生。お嬢様探偵のお供にされつづけた男子部員の禁断の秘密。はたまた、いかがわしい新入生探偵まで登場。怪しさ倍増の果てに、予測不能の結末が!
1970年代の川崎ー。工業地帯として発展する裏で、漁師たちは立ち退きを迫られ、漁業権を巡って分断が生じていた。また朝鮮からの流入者との間で住民感情は複雑化していた。そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。遺体は元漁師の矢代太一。彼は漁業権問題で漁民をまとめる折衝役だった。遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性を窺わせた。そして遺品にはキーホルダーがふたつ。自宅以外にも家の鍵を所持しているようだった。川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、捜査に乗り出す。不審死事件の背後には予想外に深い闇が広がっていた…。
転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは嘘つきばかりだった。なぜ彼らは嘘をつくのか。友達に嫌われてもかまわないと少女がつく嘘。海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の嘘。五人のクラスメイトが集まってついた嘘。お母さんのことが大好きな少年がつかれた嘘。主人公になりたくない女の子がついた嘘。さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。やがて礼恩は、バールを手にとるー。僕はバールを正しく使えたのだろうかー。小学四年生からの三年間で、少年は現実の残酷さと優しさを知る。
申し込めば半年待ち。評判のお梅の揉み治療だが一刻の猶予もない患者が現れた!頭風に苦しむお清を訪ねたお梅はギリギリのところまできていると感じ取る。揉みはじめると、お清の身体に潜む「淀み」を感じー。彼女を悩ませるその原因とは?読むと身も心もすぅっと軽くなる、連作時代小説。
観光で松本を訪れていた男が、泊まっている宿の名前も場所もわからないと、交番に保護された。自分の名前すら思い出せないという。その男に放火の容疑がかかった。市内の住宅街で白昼起こった火災現場近くの防犯カメラによく似た男が映っていたのだ。松本署・道原伝吉の捜査の結果、静岡市清水区に住む味川星之助と判明するが、味川は認知症を発症しており何も覚えていないという。やがて、日本平で味川の刺殺体が発見され、事件は予想外の展開を見せ始めた…。会心の書下し長篇旅情推理!