出版社 : 徳間書店
樫間高之との結婚を控えた森崎朋美は、式場での打合せの帰途、不慮の事故死をとげた。三カ月後、高之は朋美の父で製薬会社社長の伸彦から別荘に招待される。そこには8人の男女が集まった。楽しい避暑の日々となるはずだったが、朋美の親友・阿川桂子は事故死に疑問を投げかける。他殺ではないかというのだ。重苦しい雰囲気につつまれた夜、思わぬ侵入者が現われた。ジンとタグと名乗る銀行強盗二人組に軟禁された高之らは、何度か脱出を試みるが悉く失敗に終る。裏切者がいるのか?そして、遂に殺人が…。
東京から大阪支社へ転勤した広告代理店栄光社の営業マン・結城竜介は、早速アパートの隣室に住む未亡人とねんごろになった。続いて三星製薬に勤める京塚冴子ともデキたが、たまたま冴子の不倫の相手が三星製薬の宣伝広告部長だったため、難攻不落だった三星の広告予算が栄光社に下りることになった。お手柄の竜介は、会社からヨーロッパ・ツアーに招待され、ここでもまた女たちに揉まれる…。長篇エロチカ。
ユノキプロの“イベントキャスター”葉月麻子は、ともかく鹿児島へ飛ぶことにした。マネージャーの堀喜平が殺人容疑で逮捕されたというのだ。休暇を利用し、余命いくばくもない父親と後妻の三人で指宿へ来た堀は、砂むし風呂で死体を発見。被害者はなんと堀のかつての恋人で、彼女は堀に会いに行く、と妹に手紙を出していた…。桜島の噴煙の下でくり広げられるテンヤワンヤの結末は?書下し長篇ミステリ。
あたし、女子体育短大を出たばかりの、新任教師なんです。腕も腿もピチピチした、二十歳なんです。悩みといえばお乳が大きすぎることくらい。でも体育ひとすじだったので、男性経験、ぜんぜん、ないんです。あたしが体操着に着がえると、体育主任の安田先生や、同僚の中村先生の、熱い視線が痛いくらい。それに、校長先生だって。今日は、性教育の日。すごい質問されたらって考えただけで、ドキドキしちゃう。
京都東山、三十三間堂。後白河法皇が創建した名刹も、応仁の大乱後まもない頃なので朽ち果てるにまかせていた。その堂の前で、一人の娘が凌辱されまいと、二人の無頼者を相手にけなげに闘っていたが、力尽きて犯されてしまった。娘の死の寸前、来あわせた堀辺牙王丸は「姉の由布美に」と彼女から錦の袋を手渡された。牙王丸は、諸国流浪の旅に出ている古式拳法・骨法の達人である。洛北の大雲寺に監禁されている由布美を助けた牙王丸は、錦袋の中身の謎を解くため、勇躍、琉球に向う…。長編アクション&エロス。
雷鳴とどろくハミール山脈の奥深く苦難の旅をつづける一行がいた。〈昼の国〉ファリソンの王女ファリナと弩の名手の黒龍、青い髪の青龍、朱鷺色の羽の鳥に変身する緋龍の屈強の三戦士たちだった。険しい峰、人跡をはばむ黒い黒…めざすは霊山ダ・ムーの宮殿。そこには、伝説の英雄“銀色のシャヌーン”がいます。銀のマントに鎖帷子、銀の剣ソルリークを持つ無双の美剣士。だが、行く手には巨大な闇の敵とあらがえぬ運命が待ちかまえていた…。ピュア・ファンタジーの新星が放つ、待望の書下し傑作。
12月20日、JR東部日本は、上越新幹線にガーラ湯沢駅を新設し、ゴンドラで結んだGALA湯沢スキー場をオープンした。その記念に来年1月「ミス・ミスターGALA湯沢コンテスト」が開かれる。予選を通った江森敦子と倉沢和美は久しぶりの滑降を楽しんだ。敦子が忘れ物をとりにロッカーに行き、暗証番号を押して開けると、転がり出たのは女性の死体だった。先程まで華麗なフォームで滑っていたコンテストの優勝候補、梶佐江子である。視察方々、初滑りに来ていた鉄道警祭の高杉春雄警視が駆けつけてみると…。
紀州一の大富豪柳川家。その門前を今、鋭く見つめる三対の眼があった。健次、正義、平太。後に「虹の童子」の名で世界中を騒がせる誘拐団の若者達である。標的は女当主とし子刀自。慈愛溢れる人柄で、地元では生き神様と慕われる82歳のおばあちゃんだ。風雨にもめげず監視に励んだ3人は、持ち山の見回りに出た刀自の拉致に遂に成功。が、このおばあちゃん、タダ者じゃなかった。自分で身代金を決めた上に、その受渡し方法まで滔々と語り始めたのだ。かくして要求総額百億円、授受は全てテレビ中継という史上空前の誘拐劇が始まった。
アフリカ・モザンヴィックの港に碇泊中の南ア定期航路貨物船・白雲丸に突然、次港に寄らずケープタウンへ直行せよとの航路変更指令が届いた。しかも、そこで積み込みまれた大きな木箱の中身が何者かに持ち去られたのだ。稲村一等航海士は行手に不吉な予感を覚えた。ケープタウン入港後、稲村はリンと名のる美貌の娼婦から密航を依頼される…。大暴風雨荒れくるう喜望峰沖を舞台に描く記念碑的傑作。
産業スパイが射たれ、狙撃犯はその場で逮捕された。五十嵐丈吉、59歳。中国戦線を転戦。のち自衛隊で射撃の腕を磨く。渡米後、暗黒街のヒットマンとなる。かつて依頼主を明かしたことのない男が、なぜ今回の依頼主を匂わせた。ヒントは「風呂敷」と「キング・コング」だという。警視庁捜査一課に勤める私は、退職刑事の父に連想ゲームをもちかけた…(「連想試験」)。好評シリーズ八篇を収録。
教育ブームにのって急成長した進学塾の女子生従が帰宅途中に惨殺された。その直後、塾経営者・木暮彰の自宅にはそのあくどい経営と管理態勢を難詰する電話がかかった。数日後、木暮の娘・由香が誘拐され犯人は身代金3千万円を要求してきた。万全な警備態勢の中、身代金受け渡しに臨む警察。一方,身代金の他にもう一つの要求をつきつけられた木暮は、独自に犯人を追った…。長篇本格推理。
逓信省として発足した郵政省はかつては現在の運輸省・通産省の一部をも所管範囲とする有力な官庁であった。しかし、昭和18年の機構改革、24年の分割で、3つの現業、電波監理部門のみと弱体化してした。情報化へと動く時代状況の中、霞が関、郵政省官僚は総力を上げ、電気通信政策局の設置、NTTの誕生、郵便貯金を梃子にした大蔵省との力関係の改善をはかった…。長篇ドキュメンタリー・ノベル。
スコットランドの魔女から「あらゆる海の水が干上がるまで生きる」と宣告された船乗りマシュー・ロー。彼はドレイク、ハドソン、モーガンといった海の勇者たちに仕え、いま1682年、海軍大臣サミュエル・ピープスのもとで名誉革命の波にのまれようとしていた…。英国の海の英雄たちの冒険と、その惨酷な運命を描いた傑作海洋ロマン。本書は「非情の海」で知られる巨匠モンサラットの遺作。3部作の第2弾。
殺されたのは有名宝石店の美人社長。しかも別れた元女房。探偵コンビの相手はポニーテールの女子大生。事件を彩る華やかな女性たち…。ぼんやり佇んで、人生をやり過してきた中年男が、やむなく少し前向きに歩き出した街は、花の盛りの青山・渋谷・銀座界隈。事件の終りはいつも哀しい。粋な会話の都市物語。
盗賊団の親分たちだった祖父が組織した抗日ゲリラ隊。その祖父に連れられて数奇な運命をたどる「わたし」の父。共産党軍と国民党軍、日本軍とその手先の傀儡軍、さらにあやしげな秘密結社「鉄板会」などがからんで展開する壮大な欲望と血と愛のロマン。