出版社 : 徳間書店
新江戸市は東京湾の広大な埋立て地に建設された電脳都市だ。ハイテクノロジーを駆使した、SHOGUNと呼ばれるバイオ・スーパーコンピュータにより、都市機能の全てが統御されている。が、市の数ブロックがシステム統制不能に陥り、その区域が拡大し始めた。霊囿空間が出現したのだ。突然のコンピュータの反乱に、秘密組織TAJIHIは破極拳の遣い手・川神乱武郎を派遣する。ブロックの住民は憑きものに侵され、殺し合いを始めた。SHOGUNの目的は何なのか!?その人工頭脳に秘められた、恐るべき過去とは?
11月5日、JR東部日本の新清水トンネル内にある土合駅で、中年男性が階段から転落死した。現場にいたのは旅と鉄道の好きな植宮隆生。19日、北陸本線の筒石駅で男性が〈北陸5号〉にはねられて即死。目撃者は上田孝とカメラマンの樋口清美。12月10日、野岩鉄道の湯西川温泉で高校生の刺殺事件。何れも日曜日に起きたトンネル内での変死事故である。鉄道警察の高杉春雄警視は、この3件には繋がりがあると確信し、3人の行方を追った。一方JR北海に「今度は青函トンネルを爆破する」との脅迫状が届いて…。トンネル駅で次々におこる怪事件の恐るべき真相とは。
運命に導かれ“知る者”ヤケィと戦士マシューは、途中知り合った盗賊のヌーラ、ダールと伴に、リクラノームへ向かった。総督ガゼルが治め、栄華を極めたが、百年前忽然と消えたという伝説の都へ。しかしそこには、魔法に溢れた漆黒の水が横たわり、水辺に少年が一人暮すだけであった。この水が都?突如として津波が彼らを襲い、ダールは攫われた。ヤケィらは水に潜るのだが…。全ての感覚を狂わす魔の水。その中に広がる驚愕の世界。神・アゾース、黒い甲胄の騎士の襲撃!永遠とは?宝石とは?著者渾身の魔界都市物語。
昭和20年11月、中内功は地獄のフィリピン戦線から帰還した。全国に闇市が乱立する戦後の混乱期、功は神戸で薬局を営む父を伝い、次第に商売の魅力につかれてゆく。独立して店を持ちたいと思いたった功は、当時アメリカで流行していたスーパーマーケットに目をつけ、念願のダイエー1号店を大阪・千林に開店。型破りの商法で、次々と店舗をふやしてゆく…。中内功の半生をダイナミックに描いた異色長篇。
イベント屋久慈克彦は、孤高の陶芸家篠原笙山に南武デパートの秘蔵展へ出品を依頼するため飛騨高山へ向った。だが、高山のホテルのベッドで彼を待っていたのは、東京駅で別れたはずの恋人・片山慶子の変死体であった。なぜ?どうして一番早い列車に乗った克彦よりも早く?謎を追い陶芸界の内実に迫る克彦に第2、第3の事件がー。全国の小京都を舞台に展開する長篇トラベル・ミステリー傑作。
昭和60年、低迷を続ける王巨人軍に彗星のように現れた球世主2人ー投手・嘉手納宗七と代打・飯村勇司。それぞれ古琉拳と剣道の達人で、嘉手納は相手バッターを思い通りの場所に打たせ、一方、飯村は必ず狙った所へ打ち返せるという。2人の大活躍で王巨人軍にペナントの光が射しかけたある日、嘉手納は投球動作のさなか、原因不明の目まいを感じた。ハイテク野球ミステリー快作。
1588年、スペイン無敵艦隊に奇跡的大勝利を収めた英国のフランシス・ドレイク。その操舵手であったマシュー・ローはスコットランドの魔女から「あらゆる海の水が干上がるまで生きる」と宣告された。時は移り1610年、彼は北西航路を求めて極寒の海をゆくハドソン船長の船にいた…。ドレイク、モーガン、ネルソンなど七つの海の支配に命を賭けた英雄たちを描く、巨匠モンサラットの遺作。3部作の第1作。
回峯修験道の新行満行を目前にした修行僧・昇運を襲った、信長の叡山焼討ち。阿闍梨への道を閉ざされた昇運の呪言が、焦土のなかに響いた…。彗星の如く時代小説界を駆けた隆慶一郎が描く壮烈な戦国絵巻。
結婚2年半の平井めぐみは、エース化粧品宣伝マンの夫、豊と、出張先の蔵王ホテルで落ち合うことになっていた。ところが一日遅れてくる筈の夫がその日、ゲレンデのスキー客の中にいた。待っていた温泉での一夜をスッポカされた彼女は、夫婦間に溝ができたことを自覚した。そんなある日、室に押し入った青木という男にレイプされためぐみは、心ならずも性の深奥を覗いてしまった。そのことを知った豊が家出して間もなく、青木は殺され、「あなたの夫は人殺しよ。あなたも殺されないようにね」と女の声で怪電話がかかり…。
京都3大祭りのひとつ、時代祭りの行列の中にヒロインの巴御前に扮した広川雪江がいた。雪江は東京・調布にある音楽大の学生で、3人の学友と家族、それに大学の講師で推理作家でもある朝見大介の目前にきて、ハンケチをふった。ところがその直後に落馬してしまった。30分後、「ハハガ…ハラガ…」の謎のメッセージを残したまま雪江は死んだ。大観衆とカメラの放列の見守るなかで、なぜどうやって雪江は殺されたのか?教え子の死の謎に敢然と立ちあがった朝見大介だったが…。書下し本格推理シリーズ第3弾。
ルポライターの実相寺貴之は、国労本部組織部長・木田島の書いた、元総理・角田力衛の上越新幹線私物化を告発する文章のリライトを手がけた。記事が週刊誌に発表されて1カ月後、木田島の娘・はるみが新潟で乗用車ごと転落死する。当の木田島は、娘は殺されたとの言葉を残し失踪。実相寺は、木田島の部下でありはるみの婚約者でもあった岩木とともに、木田島捜索と事件の真相究明に乗り出す。長篇サスペンス。
「よう、外池の旦那、君の屍体が赤坂の十番ホテルで発見されたよ」-警視庁の部長刑事戸田老人から外池洋祐に奇妙な電話がかかってきた。自分の名前をかたってホテルで消された男の謎を追う洋祐。細菌兵器の機密をさぐる秘密工作員。彼らをめぐる女たち。そして事件の陰には、いつも青いサングラスの男がいた…。洋祐は、彼の名前をかたった男に化け、謎の連続殺人とスパイ網の秘密を暴く。長篇推理。
独身OLの阿部純子は、3日続きの悪夢に悩まされていた。琴の音に始まり、法螺貝の響き、人馬ぶつかる合戦の轟き、そして首なしの鎧武者…。見かねた友人の勧めで手かざしを受けた結果、純子には戦国武将の怨霊が憑いているという。真相を突き止めようと探偵の尾高一幸らとともに、怨霊の武将の末裔にあたる九鬼家を訪れた純子の前で、次々と惨劇が始まった。長篇ホラー・ミステリー。
平凡なサラリーマンである辰巳吾郎は3年前に行きつきけのスナックの娘・香織と結婚した。彼女は私生児だった。実父は岸森良介といい、立志伝中の財界人。辰巳は義父の良介に会いに奥飛騨の山荘へ行った帰り、人を轢き殺してしまう。が、現場へ警官と戻った時、死体は忽然と消えていた。真相を追及する辰巳の前に岸森の影がちらつく。5千年をさかのべる伝説とともに物語は意外な展開を…。官能サスペンス。
裏店の先生月瀬右馬丞、実は老中の密命で浪人に身を窶し、諸大名・旗本の動静を探る、歴とした松平家の次男坊。その先生がある日、お衿と五郎太に命じた。老中の書簡を携えた無刻飛脚として、将軍家献上の御茶壷の道中奉行石尾阿波守に喧嘩を売れという。斬首覚悟、何故先生は?市井には石尾阿波守、奥女中を相手の淫靡な嗜癖ありとの噂が流れていた(「壷涙かせ」)。色道に武士道を見る痛快時代小説連作。
切なく響くフイドルの音色。スチールギターがむせび泣く。カントリーの聖地ナッシュビルの日本人私立探偵は走る。見果てぬ夢とこわれた心のかけらを集め、物語が始まる。長篇ハード・ボイルド。
ホーン岬。南米大陸最南端に位置し、岬を流れるドレーク海峡は、パナマ運河開設まで航海者達の命を累々と呑み込み、魔の海域と怖れられていた。大前信一郎をスキッパーとするアンズ号は、厳寒期、クルーザーでホーン越えに挑む。大前を兄と慕う山野井凛は、この航海を我がことのように見守っていた。しかし連絡が途絶えた後、凛のもとに届いたのはアンズ号遭難の報であった。絶望に打ち拉しがれる凛。しかも事故には不可解な点が幾つかあった。大前のフィアンセ・啓子の熱い勧めに、凛はホーン越え挑戦の決意を固める。