出版社 : 徳間書店
何が何だかわからないまま、広島駅でかあちゃんに汽車に押し込まれ、着いたところが佐賀のばあちゃんの家。小学2年生の昭広少年を待っていたのは、がばい(すごい)ばあちゃんとの貧乏だが楽しい毎日だった……! シリーズ総計550万部の国民的大ベストセラー、待望の新作登場! 抱腹絶倒の新たなエピソードも加え、生きる勇気と知恵がわいてくる現代人必読の一冊。(文庫オリジナル)
男と女が鉄道に飛びこんだ。心中かー新聞記者の広瀬為次郎は特ダネのにおいを嗅ぎつけ現場に向かった。由緒正しき芳村伯爵家の若夫人とお抱え運転手の情死行に新聞のスクープ合戦は過熱。一方、広瀬は取材を重ねるうちに華やかに見える伯爵家の実情と華族社会の頽廃を目の当たりにする…。大正時代、実際に起こったスキャンダルをもとに、運命に翻弄された悲恋の行方を描いた名作。
奉公してから十五年、ようやく自分の店を持つことになった料理人の伴次。店を持ったら女手が必要になる。そろそろ女房を持ってもいいのではーその時、伴次に苦い思いが湧いた。七年前、一緒になるという約束を破り、他の男と所帯を持ったおつな。だが男に騙され、女郎屋に売られたあげく体をこわして死んだのだ…。己の腕を頼りに懸命に生きる職人の姿を描いた傑作時代小説集。
砂鉄を探しに入った山中で、歩き踏鞴衆の娘・多霧は大量の惨殺死体に遭遇する。唯一の生き残りらしい瀕死の若者を発見、手当の後、目を離したすきに彼は消えた。「逃げろ、俺に関わるな」という一言を残して…。一方、多霧の属する橘衆は覆面武家集団の襲撃を受けていた。彼らの目的は「不死の者」を探すことだった。鉄の民の誇りをかけた死闘のゆくえは?そして謎の若者の正体とは?
アメリカの学校で学んでいた三橋和樹は、“スクールカースト”の対立によって起きた銃乱射事件に巻き込まれてしまう。傷心のまま日本へと帰国する和樹。しかし日本の学校にもアメリカと同様、スポーツ組とオタクなどによる対立構造が存在していた。ある日、エアガンの無差別発砲事件が和樹の町で起こる。立場の弱い者たちの仕業ではないかとの噂に、和樹は真相を探ろうとするが…。
やはり、潮時なのかもしれぬな…。奥州白河藩主松平定信の隠し子にして、その密命で暗殺を行う刺客として生きてきた蒼二郎。しかし今は、辰次、澄江、丈之介ら仲間たちと共にする、市井の民のための闇仕置にこそ、真に一命を賭して戦う価値があるーそう思い始めていた。父と決別した蒼二郎であったが、新たな戦いが待ち受けていた。そして母の峰姫を惨殺した仇敵の正体とは…!?
「ミサイルに核弾頭を装着させるその日まで」-犠牲となった長閑な山村、原子力研究所の核科学者たち、金一族が核実験にかけた野望。豊渓里で暮らした脱北作家が暴く衝撃のドキュメンタリー小説!
ようやく築いた生活とジャズの夢を奪われるマーキス/アメリカ。大切な人生の仲間と自負を失うワイン農家のホセ/スペイン。銃をとり、人買いの手から娼婦の妹を守るマルコ/フィリピン。北米、ヨーロッパ、アジアの国々の参戦、そして日本。地球規模のパワーゲームが私たちに強いるであろう決断と残懐。小説には力があると信じられる12篇!
姉である後桜町帝の密命を受け、朝廷と幕府の共存の道を探ってきた京ノ介だったが、その思惑とは裏腹に朝幕の対立はますます深まっていた。さらに南朝勢力も不穏な動きを深め三つ巴の様相に。各勢力が新帝擁立を画策する中、京ノ介は南朝方に囚われている母麻衣の救出に向かう。先帝の落胤である京ノ介を新帝にとの機運が高まり、京ノ介はついに決断を迫られるがー。シリーズ完結篇!
稲妻の異名で幕閣からも恐れられる前の老中首座で近江国湖東藩十二万石の藩主・大津河安芸守。幼君・家継を亡き者にして大坂に新幕府を創ろうと画策する一派の首領だ。側用人・間部詮房や新井白石と対立しながらも大奥の派閥争いを利用してのし上がってきた。旗本・御家人、そして全国の松平報徳会の面々が次々と大坂に集結する中、遂に銀次郎も江戸を出立した!新読者急増シリーズ第四弾。
江戸・深川にある十六夜長屋に幼い娘と暮らす泥鰌獲りの甚六は、ある日大川で、傷つき倒れていた大男を助ける。男は記憶を無くし、素性がわからない。とんでもない怪力の持ち主で俊敏。でも臆病。そんな奇妙な男と長屋のみんなが馴染んできた頃、甚六たちは大家から善光寺参りに行かないかと誘われた。そこには正体不明の男をめぐる密かな企みが…。
十八歳、小柄、子猫のようにしなやかな肉体と愛らしい顔ー共通する特徴の女性が長崎と東京で殺され、犯人は“子猫コレクター”と呼ばれることになった。そんなおり、十津川は鳥取県境港市で“猫娘コンテスト”が開催されることを知り、境港へ飛んだ。厳戒態勢のなか猫娘コンテスト優勝者が誘拐され、さらに犯人から「次は鎌倉で、可愛い子猫を誘拐する」との予告電話が!?長篇推理。
五ツ木守男は自殺しようと準備万端、毒入りステーキを用意した。いざ!その前にトイレ…戻ると、なんと食いしん坊の国務大臣がステーキを頬張っているではないか!慌てた守男は四階から転落死。現場に駆け付けた四道警部は、真赤な犬を見たという女中の証言が気になっていた。そんな犬、存在する?さらに雪山で扼殺死体まで見つかってさあ大変!ハイカラで流麗な本格ミステリ復刊。
瀬戸内海を望む香川県丸亀市。野球をこよなく愛する桂子は、クラスメイトのざっきゃんに誘われ、野球部の女子マネになる。目指すはもちろん甲子園!夏の県予選は準決勝で負けたけど、秋の大会に向けて再び練習に励む。そんな時、野球と同じくらい大好きなレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジ似の河崎くんに出会った桂子は…。甘酸っぱくてちょっとほろ苦い青春物語。
とある密命のもと、巨悪を葬る人斬りを業とする松平蒼二郎。辰次、澄江、丈之介ら、一癖も二癖もある仲間と共に、人知れず悪を斬る。その存在を知る者は極めて少ない。だがその正体が、火付盗賊改方、荒尾但馬守成章に気づかれてしまう。成章としては、好き勝手に見える彼らの闇仕置を断じて容認するわけにはいかぬ。追いつめられた蒼二郎たちは…。剣豪小説、圧巻の第四弾!
十文字扉、職業「電球交換士」。節電が叫ばれLEDライトへの交換が進む昨今、仕事は多くない。それでも古き良きものにこだわる人の求めに応じ電球を交換して生計を立てていた。人々の未来を明るく灯すはずなのに…行く先々で巻き込まれる厄介ごとの数々。自分そっくりの男が巷で電球を交換してる?最近俺を尾行してる黒い影はなんだ?謎と愉快が絶妙にブレンドされた魅惑の連作集!
宝暦十一年(一七六一)、主君を誑かす不届き者・丸屋を闇討ちせよとの密命が遠山弥吉郎に下る。弥吉郎は正義のため、そして家禄の引き上げのためにこれを受諾。しかし謀略に巻き込まれ、妻子とともに江戸へ逃げることになってしまう。並ならぬ貧苦により、武士とは何か、命とは何であるかを見つめなおす弥吉郎とその家族。そして彼らはひとつの真理に辿りつくが…。魂震える時代小説。
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。大藪春彦賞受賞第一作!
紀州雑賀崎を発祥の地とする一本釣り漁師船団。かつては「海の雑賀衆」との勇名を轟かせた彼らも、時代の波に呑まれ、終の棲家と定めたのは日本海に浮かぶ孤島だった。日銭を稼ぎ、場末の居酒屋で管を巻く、そんな彼らの生を照らす一筋の光明。しかしそれは破滅への序曲にすぎなかったー。第1回大藪春彦新人賞受賞者、捨身の初長編。