出版社 : 徳間書店
九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は近習の船曳栄之進に嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。現藩主の小竹頼近と家老三家の間に、藩政の主導権争いの暗闘が火を噴きつつある近頃、藩士の不審死が続いていた。ある日、隣家に大刀の鍔と栗形を浅黄の紐で結んで“抜かずの半五郎”と呼ばれている藩士が越してきた。庭の辛夷の花に託した歌の意味とは…。爽快、痛快、迫真の長篇時代小説!
公家を監察する禁裏付として急遽、京に赴任した東城鷹矢。将軍家斉の父治済の大御所号勅許を得るため朝廷の弱みを探れー。それが老中松平定信から課せられた密命だった。一方で今上帝は父典仁親王の太上天皇号を求める内意を幕府に示していた。定信の狙いを見破った二条治孝は鷹矢を取り込み、今上帝の意のままに幕府を操ろうと企む。朝幕の狭間で立ちすくむ鷹矢。巧妙な罠が忍び寄る。
もういっそ猫として暮らしたほうが幸せかも…。雷獣クロスケは心機一転、猫の友達を作ることにした!けれども猫たちはまったく仲間に入れてくれない。しょんぼりしているクロスケの前に突然現れたのは二匹の猫幽霊。おまえは猫の気持ちがわかってないから、仲間に入れてもらえないのだという。「だから弟子にしてやるにゃ!」さてさて、クロスケの奇妙な猫修業、はじまりはじまり〜。
東京の病院で監禁されているので助けて欲しいー奇妙な手紙が結ばれた風船が、京都府宮津にある建設会社の屋上で発見された。不審を抱いた社長の中西は、東京の探偵事務所に調査を頼むが、進展のないまま第二の風船が天橋立の展望台で拾われる。やがて、監禁に関わっていたと思われる家が焼失し、殺人事件も…!?十津川警部は、事件解明のために宮津へ飛んだ!傑作長篇ミステリー。
お嫁さんになったら自然と家事ができるようになるんじゃないの? 思っていたのとぜんぜん違うんだけどーー(「だれかの奥さん」)。借金して、地元に帰って、初体験の相手と不倫する。この先、どうやって生きていったらいいのか途方に暮れるーー(「ずくもない」)。あのころ思い描いていた未来に立ってない、ぜんぜん立ってない! いつのまにか遠くまできてしまった、私たちのための作品集です。
本好きの女の子チャーメインは、魔法使いの家の留守番を頼まれた。家の扉は王宮や過去の世界など、さまざまなところに通じているらしい。魔法の本をのぞいたせいで恐ろしい魔物に出会ってしまったり、魔法使いの弟子を名乗る少年がころがりこんできたり…。やがてチャーメインは、王宮で進行している陰謀を食いとめるため、遠国の魔女ソフィーと協力することに…? ソフィーの夫ハウルも、意外な姿で登場!「ハウルの動く城」シリーズ第三弾・完結編。
群馬県の山間にある人造湖で県会議員の絞殺死体が発見された。自殺・他殺両方の線で捜査が進められるが、被害者が議員になる前に教師をしていた高校の教え子で同級生だった三人に嫌疑がかかる。だが捜査は難航した。十年前の台風の夜におこった、ある凄惨な出来事が事件の奥に深く根をはっていたとは…。 群馬県警のベテラン刑事・財津善一が、新米エリート刑事・塩野忠を叱咤しながら地を這う捜査で真相を暴きだす! 書下し長篇警察小説。
白昼、新宿都庁前で殺人が発生。被害者は頚部のほとんどが損傷、無惨な姿と化していた。殺しの手口を遠距離からの狙撃と断じた警察は、半径四百メートル圏内にあるはずの現場を捜索。が、まったく痕跡が得られない。想定外の事態に焦る捜査本部に派遣されてきたのは、機動隊随一の若き狙撃手清水。猟犬と呼ばれるベテラン刑事の梶原と組み、防犯カメラにさえ姿を現さない犯人の逮捕に奔る。
編集者・黒島郁生は、かねてから愛読していた若き女流小説家・結城日向子の新しい担当者となった。打ち合わせ、取材旅行、執筆、原稿直し。二人はまさに二人三脚で、日向子が挑む初めてのジャンルであるミステリー『サクラメント』を作り上げてゆく。俺ならこの人の力になれる。原稿をあるべき姿、「正解」に近づけてゆく作業の中で、黒島はかつてない特別な感覚を覚える。この作品には、小説が持つ、もっとも大切な何かがある。すべては小説のためにー。黒島は編集者として、できる全てをやり尽くす。ついに刊行の日を迎え、黒島は日向子に、編集者としての枠を越えた思いを抱いていることに気づく。そしてもう一つ、別の思いも抑えられなくなっていた…。警察ミステリーで人気の著者が、小説の持つ豊穣な魅力を描き尽くす!書下し。
岡山発ひかり九八号が東京駅に到着。車掌長の安田は、グリーン車の洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられているのに気づいた。翌日、持ち主と思われる田島久一郎の他殺体が発見され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の妻・亜木子は田島の女癖の悪さに悩んで自殺していたのだ。続いて田島の浮気相手と思われる女の他殺体が阿武隈川の河原で発見され、容疑者が浮上するが、鉄壁のアリバイが…。(「ゆうづる5号殺人事件」)他、寝代特急富士、北斗星等を舞台に描いた傑作短篇5篇!!
主人公・恭一郎には、七人の叔母がいる。 昭和を舞台に、時代に流されず、したたかに生きる八人姉妹。 彼女たちとその周囲で起きる様々な日常を、『東京バンドワゴン』シリーズなどで人気の著者が描き上げる。
紺野洋一と芳子は車で新婚旅行へ。猛吹雪に遭遇した二人は、偶然あったロッジへ逃げ込んだ。オーナーは優しく迎え入れてくれ、六名の宿泊者たちとも話が弾む。お互いの連絡先を交換し、記念撮影までして夜を楽しんだ。ところが翌朝、紺野夫妻が目覚めると、誰もいない。それは奇妙な事件の幕開けだった!宿泊者たちの隠された素顔が見えてくる、ジェットコースターミステリ小説。傑作初期長篇!作家生活40周年記念特別インタビュー収録。
徳川家に凶事をもたらす禁断の妖刀村正が相次いで盗まれた。被害にあった研ぎ師は遊女と心中し、家宝を失った老侍は愛娘を身売りした。悲劇の舞台となった吉原に動揺が拡がる。何者かが村正を集めている。その目的とは。織江緋之介は水戸藩主徳川光圀の密命を帯びて真犯人を探る。浮上したのは幕府の重鎮。背景には将軍位継承をめぐる争いが。危機の及ぶ将軍家綱のもとに緋之介が疾る!
元妻の依頼で、不破勝彦は故郷・棚尾市へ久々に戻った。不倫の証拠写真を撮った者を調べてほしいという。不破はかつて義父のホテル業を手伝うために地元紙・信央日報を退職した。しかし食中毒事件で義父は失脚、妻との不仲もあって、彼は故郷から逃げ出したのだ。七年ぶりに戻った不破は、ホテルが古巣の信央グループに買収されていたことを知る。そして、何者かが彼を襲撃する!「正義」の真の意味を問いける、渾身の長篇ミステリー!
「江戸っちゅうのは、どないなとこなん?」お伊勢参りをする犬のシロは道中、江戸から来た老犬・雪と出会い旅することに。ところが化け物と遭遇しー(「件の夢」小松エメル)。佐々木小次郎との仕合、逃げてしまおうか、迷った宮本武蔵。そんな折、身に覚えのない子に名をつけるようせがまれたりー刻限に間に合うのか?(「異聞巌流島決闘」天野純希)。今読んでおきたい時代小説作家が集結!
直木賞受賞作『流』の原点。傑作青春小説! どうしてひとりぼっちじゃ駄目なのだろう? もと引きこもりの19歳。ゆるーいヒーローが中国大陸を疾駆する。水洩れしている心を抱えて…。直木賞作家が描く切ない恋と、何処までも続く沙漠をひた走る旅の行方に…。弁当工場でバイトしながら、三流大学に通う高良伸晃は教室で陸安?という中国人女子学生に惹かれる。引きこもり後、初の恋心をずたずたにされ、中国に短期留学する。
武田晴信(信玄)と道鬼坊こと山本勘助を通じて結びついた真田幸綱。戦乱の信濃で滋野一党を糾合し悲願の旧領回復を果たした。関東管領山内上杉家が衰退する一方、上杉景虎が勢力を伸張。真田は武田の部将として、越後上杉家と対峙し川中島合戦などで大きな役割を果たしてゆく。後に大坂方の知将として知られる真田幸村の祖父・真田幸綱の活躍。武田・真田の興亡を描く戦国大河第四弾!書下し。