出版社 : 徳間書店
幼少時に海外でテロに巻き込まれ傭兵部隊に拾われたことで、非常時における冷静さ残酷さ、常人離れした危機回避能力を得た小日向純也。現在、彼は警察庁のキャリアとしての道を歩んでいた。ある日、純也との逢瀬の直後、木内夕佳が車ごと爆殺されてしまう。背後にちらつくのは新興宗教“天敬会”と女性斡旋業“カフェ”。真相を探ろうと奔走する純也だったが、事態は思わぬ方向へ…。書下し。
二十七歳のOL早水深雪は、清楚な美貌の模範的な社員。しかしその姿は仮のもの。本当の深雪は、出張SM嬢としてサディストの男たちに嬲られる仕事をしていた。金のためでなく快楽のため、彼女は鞭で打たれ続ける。そんな深雪にも、浩介という恋人が出来た。浩介は深雪にプロポーズをするが、深雪の心は揺れ動く。わたしは、結婚してはいけない女。きっと浩介を不幸にしてしまうー。
かわら版は江戸時代の新聞であり、その記者を当時は矢立屋と呼んだ。寺子屋師範にして矢立屋の顔も持つ柿江新平太は、お上の許可を得ずに出版するもぐりのかわら版専門。大ネタであればあるほどよく売れるのだが、ネタに鼻が利く性分ゆえに、次々と事件に巻き込まれてしまい…。市井の人々との温かな交流とともに、泥棒、殺人という江戸の闇までをも描く、新感覚時代ミステリー!
地井邦夫は浮気調査専門の私立探偵。つかんだ証拠で浮気夫から金を強請る。そのうえ依頼主である妻には気晴らしの浮気を焚きつけ、風俗に沈めては上前をはねる。依頼者たちをとことん食い物にし、破滅の淵に突き落とすのだ。阿漕に稼ぐ悪徳探偵の金の行き先は、二十も歳の離れた女子大生仲村美園だった。昼間は天使、夜のベッドでは高級娼婦のような美園に、地井は魅入られていた…。
父は盗賊に惨殺され、母は妖しい笑みを浮かべながら盗賊とともに家を飛び出した…。お琴は、七歳のときの悪夢のような出来事を今でも忘れられずにいる。尾張屋の主・宗因たちが招かれたある祝言に、角倉屋敷の台所働きをしているお琴も手伝いにいくことに。そんな晴れやかな夜、怪しい足音が…。悪夢から十一年後、明らかになる事件の真相とは一体ー。大好評の連作シリーズ第八弾!
雷獣クロスケの姿が見えない。え、家出!?その原因は、「おめえだよ、刀弥」-。誤解が誤解を生み、いじけたクロスケが“疫病神”と恋におちてしまって、さあ大変!大きな揺れとともに謎の灰が降ってきて、江戸中みんなが寝込んでしまう大ピンチ。“疫病神”と雷獣、最強最悪の組み合わせに立ち向かうのは、唯一元気な妖怪改方の冬坂刀弥。お江戸を、統子を、そしてクロスケを救えるのか。
信州上田城にて徳川家康に反旗を翻した真田昌幸・幸村親子は、直江兼続、前田慶次郎とともに三河勢を見事撃退した。家康に惨敗し続けた羽柴秀吉は、捲土重来、岡崎・刈谷攻めの両面作戦に打って出る。手薄の三河勢の隙を突き、真田は諏訪に進撃する!一方、秀吉の不興を買う希代の軍師黒田官兵衛は、反秀吉の策謀に蠢くのだった。戦国の英傑たちが激突する怒涛の合戦シミュレーション!
数百人の士卒がむらがっていた。「幸村殿のもとで死なば、このうえのしあわせはない」との想いが胸中にたぎっていた。寄せ集めの牢人で編成した真田隊だったが、一万の伊達隊を圧倒しつづけた。めまぐるしく進退を繰り返し、わずかな乱れを見逃さずつけこんでゆく。目の当たりにした政宗は鳥肌を立てた。「やはり幸村は怪物だっちゃ。真田の赤武者はもう見たくねえ」。合戦小説の精華!
真田の郷の故地を回復する悲願のために、信州善光寺の商人・次郎三郎は上杉家に身を寄せていたが、信虎追放後の武田晴信(信玄)と、道鬼坊こと山本勘助を通じて結びつくことになる。信濃に再び戦雲渦巻くなかで、駒を操る滋野の一党を糾合し、知謀を尽くして奮戦していた。後に大坂方の知将として知られる真田幸村の祖父・真田幸綱の活躍。名門真田家のルーツに迫る戦国大河がここに!
父との確執、妹への思い、娘に対する後悔、甥との戦。豊臣、徳川、上杉、伊達が躍動する戦国乱世。男は苦しみ、夢をみた。羽州を豊かに。家臣に太平を。歴史小説界の麒麟児が最上義光を活写する!
「島流し」とさえ言われる、雪降りしきる陣屋で…勘定、検見や郷まわり、仕事に忙殺される鉄之助。着物や白粉、紅を買う余裕のない妻、紀久。桑名に子を残し、遠く越後に赴任してきた夫婦はふるさと帰参の願いを梅に託す。望郷の念が胸を衝く、至高の時代小説!
南町奉行の根岸肥前守鎮衛から、江戸で起きる兇悪な犯科を隠密裡に取り締まるべく、特命を受けた同心の帰山貴三郎と深草新吾。その活躍を知った老中から、北陸の小藩で起きている不審な動きを探るように命令が下った。探索の補佐をする小りんと丑松とともに潜入した彼らは、私欲のために藩政を牛耳り、幼君を幽閉した家老の悪逆を知る。策謀渦巻く城下に、特命同心たちの正義の剣が閃く!
箱根湯本の山林で若い女性の胸部が入った袋が発見された。中には、信濃日日新聞の安曇野版と、地元の銘菓の包装紙もあったのだ。なぜ犯人は有力な物証を残したのか?やがて被害者は、安曇野市の自宅から失踪した高崎恵那子と判明。長野県警安曇野署の道原伝吉は、彼女の足跡を追って畑宿、仙石原、強羅を訪れる。そして次々と発見される切断遺体!傑作長篇ミステリー。
老中首座松平定信は将軍家斉の意を汲み、実父治済の大御所称号勅許を朝廷に願う。しかし難航する交渉を受けて強行策に転換。若年の使番東城鷹矢を公儀御領巡検使として京に向ける。公家の不正を探り、朝廷に圧力をかける狙いだ。朝幕関係はにわかに緊迫。定信を憎む京都所司代戸田忠寛からは刺客が放たれた。鷹矢は困難な任務を成し遂げられるのか。圧倒的スケールの新シリーズ、開幕!
「十兵衛に抱かれると、心願がかなう」-噂は江戸の娘たちの間に広がった!「好きな男と夫婦になれた」「形見が高値で売れた」と大評判。だが千代という女の願いは少し妙?「奉公先の御嫡男、田沼龍助様の御出世でございます」。惚れた男との恋の成就ではないって?そして一年後、「千代が亡くなりました」と突然美貌の若侍が出現。彼こそが、龍助であった。
「にゃん!」「にゃんだと?生意気な野郎だ!」-最近のお江戸は物騒だ。夜明けに血を吸われたお嬢さんの死体が転がっていたりする。化け猫のしわざでは、と町人たちに疑われる雷獣クロスケ。しかしその昔、京都でも“吸血鬼”なる魔物が出たことが…。さらにお園に言い寄る謎の異国人や、ヘタレ仁科に相棒が!?花のお江戸を妖怪から守るため、妖怪改方の刀弥たちは立ち上がる!
相思相愛の日比野左内と茜姫であったが、二人はまだ男女の仲に至っていない。父殺しの汚名を着せられて出奔した兄を見つけ出し、その潔白を証明するまでは、誰とも深い仲にはなるまい。左内は、そう心に決めているのだ。二人が甘く切ないすれ違いをした夜、左内の前に弊衣の浪人者が現れた。その人物こそ、日比野博之進、三十四歳。長く行方知れずとなっていた、腹違いの兄であった。