出版社 : 徳間書店
杭州は南宋時代の首都である。蘇州とともに名園の多いところで、神戸の華僑・銭延真の故郷でもあった。みごとな菊づくりで知られる銭は、杭州で庭園づくりに励み、その熱意と抜群の感覚に師匠から庭園づくりの一切を託された。心魂を傾け思う存分腕を振るう銭であったが、依頼主が初恋の人を奪った政商・李巨元と判ったとき、ある怨念が胸に宿る。そして名園「菊花園」は完成した…。表題作ほか六篇を収録。
ワシントン発ロス行きの旅客機が謎の墜落を遂げた。乗客は全員死亡。優秀な女性弁護士シドニー・アーチャーは、乗客名簿に夫ジェイスンの名があることを知らされる。夫の葬儀の日、悲嘆に暮れる彼女のもとをFBI捜査官リー・ソーヤーが訪れる。旅客機墜落の裏には、二大コンピュータ企業による買収競争とそれにまつわる陰謀が渦巻いていたのだ。夫はその事件に関係があるらしい。傑作サスペンス巨篇。
罠にはめられたジェイスンが、失踪直前に自宅宛てに送ったフロッピー・ディスク。拉致される直前に、誤ったアドレスに送付したEメール。買収工作の全貌を明らかにするこの二つの“爆弾”を巡って、シドニーと巨大情報通信企業、そしてFBIによる熾烈な争奪戦が繰り広げられる。世界の全面支配をもくろんだネットワーク犯罪を果たして阻止できるのか?全米ベストセラーついに邦訳。
エレベーター専門の電機メーカー、ニュートン社の営業課長・水城寛太郎は、実家のラブホテル「カサブランカ」のフロントという夜の顔を持つ。ある日、総務部の女主任・万田百合絵に誘われ、濃密な情事の後で驚くべき事実を聞いた。水城が一番信頼し、可愛がっていた部下の前田美矢香が、援助交際をしているという。さらに、社長の檜垣達之助が株主代表訴訟を起こされるらしい。水城に与えられた特命は。
十六歳の少女・森下麻沙美との愛人関係を解消して半年、紀本晋一郎はしきりに麻沙美との日々を懐しんでいた。そんなある日、紀本のもとに麻沙美から突然連絡があり、会うことになった。麻沙美は、その場に中学生の妹・亜沙美を伴ない、妊娠してしまった亜沙美の堕胎の費用を出してほしいというのだ。五回だけ紀本に抱かれてもいいという。青い性に再び溺れる紀本だったが…。会心の長篇官能ロマン。
南町奉行に就任し、天保の改革を推し進める鳥居耀蔵の命を受けた内与力・明智惣五郎は、深川、浅草一帯の裏人宿の存在と組織を探索していた。裏人宿の元締めは、執拗で周到、強靱な惣五郎の首に千両の賞金をかけるが、徐々に迫る惣五郎に危機感を募らせる。一方、阿片を主原料とする秘薬「テリヤーカ」を武器に、大店の後添いや大奥にまで魔手を伸ばすMという人物が浮かび上がる…。書下し痛快時代長篇。
営団地下鉄銀座線が地下鉄ジャックされた。浅草発の六輛編成で、車内にはおよそ七百人の乗客が乗り込んでいた。勤め帰りのサラリーマンやOLだ。警視庁採用の特別捜査官・峰岸淳一も恋人のアイリーンとともに乗車していた。峰岸はテロリストの隙を見てPHSを使って上司の鰐沢賢に通報した。鰐沢は通称鰐、表向きは普通の商事会社を装った警察庁長官直属の覆面捜査機関『隼』の潜入捜査官の班長である。銃器の携帯はもちろん、自動小銃、ときには手榴弾や榴弾さえ使う。テロリストたちの攻撃にプロが挑む。
ニューヨーク郊外の大邸宅が何者かによって破壊された。ポールは叔母ヴィヴィアンからその修復を依頼される。瓦礫の山と化した邸宅を目のあたりにして、ポールは封印された過去の記憶を辿り始める。その頃、ルイスボロ分署のモーガン・フォード刑事は相次ぐ若者たちの失踪事件と、破壊された大邸宅とのつながりに気づき始めていた。精神の暗闇から生み出される超人的な力を描くモダン・ホラーの傑作。
邸宅近くで発見されたふたりの若者のバラバラ死体。モーガン刑事は、この事件と邸宅の破壊の間に異常な暴力という共通点があることに気づく。そして、ポールはこの異常な暴力を脳内の化学作用の面から説明する理論に出くわす。「ハイパーキネシス」と「ハイパーダイナミズム」。超人的な力を用いて悪魔的な暴力行為を起こし続けているのは、一体誰なのか?ポールと犯人との対決のときが迫る。
白羽京一は妻子との休暇先、沖縄で奇妙な動物死体を発見する。その直後、防菌服の集団から銃撃を受け、妻子は無残に射殺される。白羽も全身に無数の銃弾を浴びたが、強靭な生命力で生き延びた。彼の生命力に目をつけたのは細菌兵器の研究を行なうコスモス科学だった。様々な抗体実験を施された白羽は、驚異的肉体を持つ人間として蘇る。秋田県神姫町が微生物災害(バイオ・ハザード)で潰滅し、秘密国家機関ゼブラに調査に派遣される。が、現地で一連の悪事の黒幕に気づいた白羽は、凄絶な復讐に立ち上がる。バイオハザード(微生物災害)を目撃したゆえに妻子を虐殺され、己の肉体までも奪われた男が超絶な人間兵器となって巨大国家機関に凄絶な復讐戦を挑む!気鋭、渾身の書下し長篇、正統派ハード・バイオレンスの傑作!肉体を酷使した凄まじい復讐。
「朕に北顧の憂いなし」-太祖洪武帝にそう言わしめた朱棣(永楽帝)は父の武勇、才気を最も色濃く受け継ぎながら、四男ゆえに燕王として北平(北京)の地にあった。しかし溢れる野心は、彼をその地位に甘んじさせてはおかなかった。朝廷は建国の元勲が次々と粛清され弱体化していた。朱棣は遂に叛旗を翻す。靖難の変の始まりである…。
雪の一夜が二人の義兄弟の運命を変えた。一人はモンゴルの大草原で戦場の勇者に、もう一人は金国の王室で育てられるが…。宋末元初の激動期を描く大河ロマン!武侠小説の金字塔、ついに登場。