出版社 : 徳間書店
ヒマラヤの秘峰で発見された原人の頭蓋骨。旧約聖書の人物にちなんで「エサウ」と名づけられたその化石は、ヒトの起源を根底からくつがえすものだった。世界的登山家ジャック・ファーニスと古人類学者ステラ・スウィフトの一行は、エサウの正体を求め、人類の過去を探る旅に出かける。しかし、彼らがヒマラヤで見つけたものは、人類の未来を脅やかす恐ろしい秘密だった-。ヒマラヤの秘境で彼らは、人類の恐るべき運命を知った。神の視点で描かれた傑作冒険ミステリー。
浅草黒船町の小間物屋「紅屋」の女あるじお乱は、美人でお侠で艶っぽく、皆が振り返るほどの女っぷり。そんな美女が大の捕物好きときた。今日も馴染みの破れ寺に通っては、そこに住みつく、いわくありげな生臭坊主や虚無僧と、事件の推理に花を咲かす。寺に来てはなにかと憎まれ口をきく岡っ引の鎌吉親分も、彼女たちのおかげで大手柄の連続。お乱たちのからだをはった探索で、次々と事件のからくりが明らかに。
年頃を迎えた娘へのさりげない父親の愛情が、胸に迫る表題作「頬をつたう涙」。酒とオーケストラをこよなく愛し、五十五歳で逝ってしまった兄を愛しむ弟の思いを描いた「酒呑みたちのオーケストラ」。勤務の合間に、偶然に街で出逢った共働き夫婦の愛情の機微を綴った「平凡な生活」など全十一篇。家族や友人、身近な人々を限りなく暖かい目で見つめ描いた、人生の哀歓あふれる珠玉の小説集。
高級車窃盗常習犯のアリスは、二十歳になる女性。服役を終えて出所する日、彼女は急死してしまった母が遺したというカセット・テープを渡される。「二十年前、一生に一度あるかないかの恋をした。それも二人同時に…」アリスはレオとジュリアンという二人の紳士に会うが、どっちが本当の父親なのかがわかる前に、とんでもない事件に巻き込まれてしまう。マフィアを敵にまわした三人の運命は…。
シカゴの静かな郊外で自閉症の少年サイモンは国家の安全を脅かす最も危険な存在になろうとしていた。恐ろしいほどの数学的才能を持つ彼は、みずから知らずに国家安全保障局(NSA)の開発した超ど級難度の暗号「キウィ」を解読してしまったのだ。NSAに命を狙われるサイモンを守るのはFBI捜査官のアート・ジェファースンのみ。際限なき逃亡を続ける中でサイモンはしだいに愛と勇気に目覚めていく。
聖徳太子はガン死だったー時代作家・大和田博が、妻の歴史学者・伸子の研究からヒントを得て書いた小説「聖徳太子の謎」は衝撃的なテーマで大反響を呼んだ。しかし、大学内で伸子と対立する実力者・桃井は新聞に批判文を発表、伸子の左遷を図る。その矢先、桃井が高原の別荘で惨殺された。そこには「天ばつ」の血文字が…。作中作、多重構成のプロットなど、ふんだんに趣向を凝らした、快作ミステリー。
俵物問屋『万代屋』の押し込み探索に当たった鳥居耀蔵の家来・明智惣五郎は、十五人一家惨殺の現場を横目に、同店が唐物の抜け荷を扱っていたことを嗅ぎつける。下手人の追及とともに消えた荷の行方を追う明智は、背後に巨大な力が働いていることを垣間見る。幕府本丸目付である鳥居は、明智を薩摩へと奔らせ、裏探索を進める。やがて鳥居は、事実を明確化すべく画策を始めるが…。書下ろし痛快時代長篇。
元禄大飢饉により津軽藩は窮乏の危機に陥った。召放ちの立場に追い込まれようとしていた棟方長九郎は、勘定奉行・森岡主膳から、賄賂を出せば召放ちを免じると申し渡される。しかも賄賂とは長九郎の妻・松枝であった。妻と家のどちらをとるのか、苦悶する長九郎が選んだ道は…!?(「浮かぶ瀬もなし」)。表題作他、武家社会にあって、建前と本音の狭間で呻吟する人々の姿を描いた八篇を収録。文庫オリジナル。
ニューヨークのダウンタウンに暮らす日本人青年ケンジは、ある日不思議な夢を見る。舞台はバグダッド。美しい死神“デス”が率いる兵士に追われ、必死に逃げるアラブ人の男…。やがて死神は現実の世界にも現れ、ケンジの生命があと12時間であることを告げる。刻一刻と迫る運命の時を前にケンジは…?ニューヨークを舞台に繰り広げられる全く新しい青春ストーリー。金城武の魅力満載!写真16ページ。