出版社 : 徳間書店
平凡な大学生、滝寺治は、軍事マニアの先輩床井謙二に誘われ、硫黄島の自衛隊基地に皿洗いのアルバイトに出向くことにした。好待遇のもと、青春を謳歌する二人であったが、基地周辺では、米軍最新鋭空母「ロナルド・レーガン」や、艦戦機F/A-18「ホーネット」が、何やら不穏な動きを見せていた…。日米安保条約の“新ガイドライン”が想定する『周辺事態』に巻き込まれ、自衛隊の臨時業務支援隊に“志願”させられてしまった治たちの運命は!?最新の軍事情報を駆使した、近未来シミュレーション決定版。
物語は2002年のアメリカ。天才的遺伝子学者トム・カーターは、人間の設計図ともいえる遺伝子の内容をすべて解読する画期的装置を発明する。彼は、一人娘ホリーの遺伝子を自らの装置で調べ、まもなく彼女が脳腫瘍を発病して1年の命となることを知る。それが遺伝子情報から得たホリーの運命だった。しかし、カーターは諦められない。あらゆる可能性にしがみつき、娘の命を救おうとする。そして、最後に残された道は、奇蹟の治癒能力を持つイエス・キリストの遺伝子、すなわち「神の遺伝子」の謎を解くことだった-。神の遺伝子の謎が明らかにされるとき、ひとつの真理があらわれる-。最先端科学がもたらす恐怖を描いた傑作冒険ミステリー。
弘化二年、江ノ島弁財天への御代参に向かう大奥女中の行列の駕籠が四人の虚無僧に襲われ、その中の一人が拉致された。二度と人は斬らぬと誓って、刀を捨てて久しい俳諧師・風来老人だが、弁天詣で女性を救うのも、風雅というもの、五尺の樫の杖を旋風のように翻転させ、賊を追い払った。助けられた娘は志乃、老中・水野忠邦の密命を受け江戸城大奥への阿片持ち込みの噂を確かめるべく、探索をする者だった…。
末期がんで病床に就いた父・文雄が逝き、雑事やしがらみに振り回されてしまった、ベストセラー少女小説家・花山咲子。欲得ずくの親戚たちの信じられないようなひどい仕打ちで、父の死の哀しみを受け止める余裕さえもない彼女の前に、突然、相続権を主張する異母兄姉たちがあらわれた…。少女小説界の女王と呼ばれた著者が半自伝的につづる、汗と涙のマネーバトル体験長篇。
排水量七万二千トンの巨大要塞として生れ変った長門改は、昭和18年8月、東部ニューギニアの拠点ポートモレスビーを目指して、米内光政提督指揮の下、サンゴ海を進撃していた。折から、ポートモレスビー上陸作戦の参謀長として石原莞爾が現役復帰をはたした。石原はかつて、その才を妬んだ東条英機と対立、予備役に編入されていたのだ。しかも、山下奉之大将が上陸作戦の軍司令官を務め、15万から20万の大兵力を率いることになったのだ!迎え撃つマッカーサーの戦略とは?決戦の行方は?怒涛の完結篇。
人類の未来のため、というと崇高にきこえるが、藤堂京太は究極の女体を求めるセクシーロボットの開発者だ。開発のためには自らを実験台に自慢のイチモツに手を入れて、女体遍歴に明け暮れる毎日。体験を活かして女性用の技術開発にも乗り出した。おまけに、共同研究者の椿千鶴は大変な美人である。はりきって、完璧な女体と男性を造り上げようと頑張る藤堂だった。
幕府に批判的な渡辺登(崋山)、高野長英らの動きを探る本丸目付・鳥居耀蔵は、蘭癖の密偵・花井虎一を走らせる。一方、鳥居の家臣・明智惣五郎は、干鰯問屋「秋田屋」一家惨殺の裏探索と鳥居の沿海巡視の先駆けを兼ね、浦賀領内を奔走していた。幕閣内の覇権争いが絡むなか、鳥居は幕政と背反する勢力への弾圧を次第に進めていく。やがて“蛮社の獄”の嵐が江戸中に吹き荒れ始める…。
FBI捜査官ショーン・アーチャーは、自分の幼い息子を殺したテロリスト、キャスター・トロイを逮捕する。トロイは植物人間となるが、アーチャーは彼の顔を自分に移植し、テロリストの陰謀を暴こうとする。やがて昏睡から覚めた凶悪犯トロイは殺人と偽りによってアーチャーの顔を手に入れ、彼の人生に侵入する。鬼才ジョン・ウー監督で映画化。名作「ブレードランナー」を超えるアクション巨篇。
石黒啓一郎は、先月、還暦を迎え、その月末に石黒製薬の専務を辞し、自らの王国を創ろうと計画を練った。石黒製薬は祖父が創業者であり、生活的には裕福であった。石黒は十一歳の時、大火傷を負い顔の左半分がケロイドで覆れ、一度も結婚はしなかった。しかし四年前、岡村久美子が入社し秘書課に配属されてきたとき、彼女に狂気の中に誘い込まれるような魅惑を感じ、烈しい恋情を抱いた。王国の計画は、久美子を拉致し、その肉体をサデスティックに専有することだったが…。性の魔力と愛の変貌を綴るハードロマン。
昭和九年浅草。沼田平助は紀州犬の散歩で、吉原の弁財天にひきずられるように入った。本堂と稲荷祠の間の路地を抜けた。右手には「触れずの銀杏」という神隠しの因縁がまつわる銀杏の古木がある。と、足元にぐったりした老人が座っている。が、どこか変だ。顔がこちらを向いているのに、同時に背中もこちらを向いている。つまり顔が裏表逆さまについているのだ。老人の手がゆらり動き、手招く。蒼白になって、参道を駆け抜けた沼田の背中に甲高い獣の遠吠えが響いた。驚愕の異界への招待。