出版社 : 徳間書店
新婚旅行中に新潟で行方不明になっていた女性が、三カ月後、沼越峠で全裸死体で発見された。同じ頃、新潟県の国道沿いでカップルの失踪事件が相次いでいた。新潟県警は全力を挙げて捜査態勢を敷く。被害者の兄である北岡刑事は五頭山麓へと分け入り聞き込みを行う。しかし、山麓西側の山荘に住む老人が恐るべき欲望に取り憑かれているとは、誰も知る由がなかった…。人間の狂気を描くハードロマン集。
イザは自由で屈託なく、バックパック一つで旅を続けるたくましさがある。意識不明の少女の日記を読み、看病を通して心の交流を試みる。マリーは孤独感ゆえにいつも不機嫌で反抗的。うちに秘められた狂気に近い熱情で、いつしか動物的匂いを放つ男・クリスに溺れていく。-心の隙を埋めあうような二人の共同生活を通して、若い女性の生きることの喜び、愛、孤独、不安、焦躁を色鮮やかに描いた感動作。
ブルックリンのバス爆破事件で悪夢は始まった。FBI捜査官でテロリズム対策本部長のハブは、CIA謀報員の女エリースとの奇妙な協力関係を築きアラブ系テロリスト組織を突き止めようと奔走。しかし、第2、第3のテロが起こり、街は暴動寸前の状態に。ついにニューヨークはダヴロー将軍の指揮のもと戒厳令下におかれる。テロの恐怖に民主主義は屈服せざるを得ないのか?ハブの孤独な闘いが始まった…。全米を震撼させた超話題映画原作。
紫式部と清少納言に囲碁の五番勝負をさせるという発想の妙、宮廷才女の典雅な戦いの背後にうごめくドス黒い政争・欲望、すべてが終わった後で明らかにされる祈りにも似た思い-。奇想天外歴史小説。
八代将軍・徳川吉宗の母、浄円院の逝去により、にわかに動き出した『お庭番』たち。薬込役の筆頭格、風間家の新之助が失踪した。佐賀鍋島藩を脱藩した刀弥平八郎や尾張の松平通春の命をうけた尾張柳生の使い手星野藤馬が奔る。江戸市中では、雲霧仁左衛門が暗躍する。徳川政権の謎に挑み、柳生の剣が煌めく。
最終回直前に発表!番組プロデューサーと脚本家が協力して書き下ろした人気ドラマの原作小説。主題歌担当GLAY TAKUROによる「あとがき」を巻末に掲載。タブロイドなんか出したって誰もほめてくれない。咲とくるみ二人が見つけた“愛”と“真実”とは。
石見に参り、かの地の動静を調べて参れー遠国御用の密命を帯びた幕府のお庭番・土屋与三郎は箱職人に姿をやつし、出雲から石見銀山に入った。四万八千石の天領内には、幕府直轄のお囲い村が三十二、間歩(坑道)が二十本あり、毎年五百貫の銀が江戸に送られている。この銀山の実権を握る代官代理の小栗市太夫が、長州藩から謀反の誘いを受けたというのだ…。
不世出の実業家、根津嘉一郎。県会議員時代に同郷甲州政財界の重鎮、若尾逸平から示唆された言葉「株をやるならば、これからは『乗りもの』か『明かり』だ」が彼の関心を実業界へと向けさせた。倒産寸前の東武鉄道再建に乗り出し、強気の経営哲学のもと消極派を押し切って成功に導く。数多くの企業に関わりながら一族経営を排し、利益の社会還元を忘れなかった嘉一郎の波乱の生涯を辿る。書下し評伝小説。
西新宿にある東和信用金庫が三人組の男に襲われた。行員三人が射殺され、現金一億八千万円が強奪される。事件を追う新宿西署の暮林刑事は、三人組の一人が中国人・張狼元であることをつきとめ、張が情婦の石原ひろみと暮らすアパートを張り込んだ。が、ひろみが張を殺してしまったのだ!ひろみの境遇に同情した暮林は、彼女のために部屋を借り、愛欲に溺れる…。一方、三人組のもう一人、李冲虎を割り出した歌舞伎町分室だったが、その背後に、香港黒社会の巨魁・蛇駄逵の影がちらつき始めた…。
日本を震撼させた“金大中拉致事件”は、いまや当時のKCIAの手になったことが明らかになっているが、命をとりとめた金大中は永い牢獄生活を経て、韓国の大統領となっている。一方、事件の陰で当時の日本の政党と韓国政府との間で何らかの闇取引が行われたといわれている。本書は、日韓両国の間に横たわる巨大な闇の部分に翻弄された一日本人と東証一部上場のある会社の消滅の物語である。
日本経済最大の危機、金融崩壊が迫っている。長期信用銀行は、公的管理という道でどうにか解決をみたが、それが決定した後日、日本リースが倒産した。もくろまれた長銀の不良債権放棄が不可能になったからである。その背景にあるのは、銀行がかかえる表向きの不良債権の額をはるかにオーバーする膨大な量の“飛ばされた”不良債権である。本書は、それが何故生じたのかという最大の疑問に答えてくれる。
リベンジー復讐。人生の師と仰いだ人物を殺した氷室竜介。それをつけ狙う盛岡。十二年間、追いつづけ、ついにつきとめた。雪が舞った。今夜は雪嵐だ。もっと降れ。今夜は俺とおまえの地獄の夜だ。盛岡はそう思い、「死ね。この雪をおまえの血で染めてやる」と長いどすを閃めかせた。それをかわして氷室のナイフが宙を舞う。生粋の不良たちを描きつくす究極のハードボイルドの力作。
男たちは、それぞれの思いで“その日”を待った!ある者は最後まで義士としての誇りを望み、ある者は志半ばにして運命に翻弄され、またある者は図らずも世の中の敵役となってしまうことにー。元禄の世を熱狂させた「忠臣蔵」の人間ドラマを、山手樹一郎、山田風太郎、中山義秀、海音寺潮五郎、邦枝完二、神坂次郎、赤坂好美、柴田錬三郎、隆慶一郎が活写。時代小説の名手の傑作を一挙に収録。
千葉家四天王の一人と謳われた北辰一刀流の手練、森要蔵は飯野藩剣術師範として保科正益に仕えた。慶応三年、将軍徳川慶喜は大政を奉還、朝廷は諸侯に上京を命ずる。一方、慶喜から江戸退去を命じられた会津藩主・松平容保は全藩士を従え帰国、新政府との対決は必至であった。正益の腹違いの姉、照姫の身を案じた森は、朝命に応じ上洛した主君の立場を慮り、脱藩して会津へ向う…直木賞作家による時代小説集。
警視庁の敏腕刑事・徳田左近は定年間際に警察庁に引き抜かれ、都道府県警すべてに亘る未解決事件の再捜査を担当している。彼の身近で不気味な動物虐待事件が続いた。庭で餌づけしていた鳩が両足を切断された数日後、榧ノ木山への登山道で、木の幹に鎖で繋がれ放置されたアイリッシュ・セッターの餓死死体を発見した。異常者の愉快犯…血統書を手掛かりに徳田は執拗に犯人に迫る(表題作)。ハードロマン集。
大正三年の夏、誠吾は旅芸人の食客だった父につれられ東北の小さな町、岩井へやって来た。父を失ってからは町の俥屋「徳茂」で人力車をひきながら、たったひとりの妹と手に手をとって生きてきた。芝居小屋の脇に聳える相生の槇の巨木が、いつもふたりを見守るように梢を揺らしている…。遠くに軍靴の足音が聞こえはじめた昭和初年。平穏だったこの町にも、物騒な事件の波が押し寄せて来た…。素朴な日々の暮らしに息ずく温かい心の交歓を、郷愁豊かに綴る長篇小説。
日本企業に死刑を宣告する海外の格付け社会。自主廃業した証券会社を辞めた元社員が格付け見直しに賭ける。これからの日本企業の未来を照らし出す様々な(可能性)の数々。