出版社 : 徳間書店
中央アフリカのマリ。神秘的な宗教を持つドゴン族の遺跡から,奇妙な化石骨と未知の合金が発掘された。それは、ヒトと似てはいるが、まったく異種の生命体であり、地球外のものである可能性があった。異端の古人類学者ジャック・オースティンは、化石の素性を調べるため、さらに南米ボリビアの地下遺跡へと飛ぶ。彼はそこで現生人類の飛躍的進化の秘密にかかわる壮大な事実を知るが-。
春野一郎は、金井組所属のチンピラやくざ。根っからのお人好しが災いし、どうにもうだつが上がらない。そんなある日、一郎は兄貴分から貸金の取り立てを命じられた。三万一千八百円と額は極端に少ないが、この集金ができないようでは男じゃねえとばかりに、“劇団 華”の主催者北原の許に勇躍乗り込んだ。しかし、劇団員の田井サキに一目惚れしてしまい…。ユーモアとペーソスで描く長篇やくざ小説。
鳥居耀蔵に命じられ、札差「伊勢屋」の押し込み一件の裏探索に当たっていた明智惣五郎。背景には、鳥居が町奉行の座を狙う思惑があったが、前職を失脚させた矢部駿河守に先を越されてしまう。水野越前守ら幕閣内での覇権争いや、先年、北町奉行の職に就いた遠山左衛門尉の執政を横目で睨みながら策を巡らす鳥居は、矢部の追い落としを謀る。執拗で周到な攻勢をかけ、南町奉行の地位を渇望する鳥居は…。
肥満し醜い気弱なレナード。だが彼は周期的に「風の吟遊詩人」へと変性し、浄化の神となって人を殺す。天才的ハッカーの腕前でセキュリティを打ち破ってどこにでも侵入しては女性を惨殺し死体を切断する。犯罪プロファイラーのカレンと捜査官のジョンは偶然、インターネットでレナードの秘密のチャットルームをのぞいてしまう。急きょ追跡を始めるが、レナードも彼らの侵入に気づき、迎え撃とうとしていた。
抜群のカード・テクニックを持つマイクはロシアン・マフィアテディKGBとのポーカー勝負で全財産を失い、ロースクールの学生としての新たな人生を選ぶ。同棲中の恋人ジョー、そして輝かしい将来を目前にしながらも、闇ポーカーのスリルと興奮が忘れられない。そんな時友人のワームが刑務所から出所しトラブルに巻き込まれる。マイクは友情のため再び“ラウンダーズ”の世界に足を踏み入れることに…。
豊科署の刑事・道原伝吉もひいきにしている信州・安曇野のそば店「波奈屋」の社長梅村尚子が、豊科署を訪れた。支配人の沢尻が、従業員の給料と、造園業者などに支払うため銀行からおろしてきた約三千万円とともに昨夜から行方不明だという。持ち逃げするような人間ではないようだが、金庫の番号は知らないはずだという。ところが、牛山刑事が一週間前に、乗鞍岳で沢尻の姿を見かけていた。二人連れだったようだ。事件は複雑に絡み合って、連続殺人へ。
バブル崩壊後、冬の時代を迎えた不動産業界にあって、城東不動産の若き営業課長・東堂彦馬は野望に燃えていた。東洋の仕手師として米国で大成功を収めた実業家・醍醐大五郎が帰国し、都心の土地を買い上げ巨大ビルを建築する構想をぶち上げたのだ。米国人妻を亡くし、帰国後はたおやかな大和撫子と余生を過ごしたいという醍醐の希望を叶えることによって大型プロジェクトを自社に導くため、彦馬に白羽の矢が立った。美貌の女取締役を軽々昇天させ、密命資格を得た彦馬は花嫁探しに乗り出す。米国仕込みの醍醐を満足させる名器の持ち主は見つかるか?長篇痛快官能サクセス。
旧軽井沢の別荘で、資産家・西城豊士教授夫妻が死体となって発見された。場所は自宅敷地内の地下貯蔵庫。鉄扉を内側から南京錠で固定した六畳ほどの室内、夫妻は折り重なるように倒れていた。嘔吐物が散らばり一目で毒死と分かる。完全なる密室。遺書はなく、床には「WS」の文字が。心中か、あるいは殺人か。別荘で一夜を明かしたパーティ招待客は十三人。だが殺害動機も決め手がない…。本格推理の傑作。
“天誅邪淫”-新宿のホテル街で惨殺された娼婦の身体の上には、半紙に墨で書かれた文字が残されていた。科学捜査研究所心理課の捜査官・加山知子は犯人像を追い始めるが、嘲笑うかのように、同様の文字を残し、女子中学生、バーのママが次々と殺害されてしまう。しかも手足切断、肝臓摘出と猟奇性は増していく。残された文字と、犯行の残虐性に何らかの意味を見た知子は、事件の核心に迫り始めるが…。
カリフォルニアのバークレーヒルズ病院に勤務するレイ・デュープレーは、黒人で女性の産婦人科医。3カ月後には部長への昇進が控えている。ところが突然、愛すべき産婦人科が病院の収益減から閉鎖を迫られる。さらに妊婦たちの出産に急に異常事態が続発する。医療ミス、それとも事故?はたまたもっと悪質で意図的なものなのか。レイは調査に乗り出すがー。現役の黒人女医が描く傑作医学ミステリー。
2カ月間で8人の出産に異常が生じていた。それらはいずれも、バースセンターから救急でバークレーヒルズ病院へ送られてきた妊婦のケースだったことがわかる。レイは、何者かが人為的に事故を起こしているという確信を抱く。産婦人科の閉鎖を望む心臓外科医のマーコウ、麻酔医サム、かつての恋人ボーーだれもが怪しい。疑心暗鬼はつのるばかり。そしてついに、思いがけない手口と陰謀が明らかになる。
十二月三日に新宿公園、一月十三日に代々木公園、そして今日、一月二十三日に大久保公園で女性の絞殺死体が発見された。手口はすべて同じで抵抗した跡はなく、媾合しながらロープで首を締められ、また、現場の情況から、別の場所で殺された後そこに捨てられて、わざわざ局部をむき出しにされているのだ。被害者は、OLの山内幸代、女子大生の武田弥生、そして今日は、予備校で英語を教える佐々原明子だった。ムラマサこと警視庁歌舞伎町分室の村木正警視の必死の捜査が始った…!圧倒的迫力で描く迫真の書下し長篇。
『ショッピングマート赤羽店』の通用口に横づけされた現金輸送車が襲われた。手口は、非常にあらっぽい。イラン人らしき男がナイフでガードマンを脅し、コロンビア人と共に自動拳銃をぶっぱなし、中国人らしき二人連れが、現金輸送車を乗っ取るという荒技だ。同様な事件が相次ぎ、億単位の現金が強奪されているのだ。鰐沢賢は桜田物産本社の地下秘密射撃訓練場で一日百発のターゲットペーパーへの撃ち込みを終えた。鰐沢は警察庁長官直属の特別捜査班『隼』のメンバーだった。超法規の私刑執行部隊だ。書下し新シリーズ。
渋谷署強行犯係の刑事・辰巳吾郎は、目の前の若者たちを見て驚きを隠せなかった。彼らは渋谷センター街を仕切るチーム「渋谷自警団」のメンバー。他のグループと衝突し、袋叩きにしたところ、目出し帽の男が突然現れ、気がついたら倒れていたという。少年たちの体には胸骨の上に打撲傷が一箇所だけ。辰巳の依頼で少年たちを診た整体師・竜門光一は、その突きの破壊力に眼を止めた。長篇アクション。
理由ありの男と女の難事件にめっぽう強いのが、お乱姐さん。露草寺に住みつく住職、虚無僧と、若い二人の妹分とともに、岡っ引の鎌吉親分を助けての大活躍。不審な夫婦心中や、マムシを使った“責め”の末の妾殺し(?)などが、彼女たちの周りに次々と起こりー。お乱は、艶然とした美貌と持ち前の推理力で、事件にかかわる人々の嘘を見抜き、色と金でもつれにもつれた男女の謎を痛快に解き明かしていく。