出版社 : 徳間書店
バブル崩壊後、銀行は多量の不良債権を抱え、不景気は本格化し、中小企業の倒産も日増しに増えていた。そんなある日、奇妙な宗教団体を率いる森川俊のもとにグループの一人、ビームファイナンスの社長・税所から妙な話が持ち込まれていた。九州のある商事会社の融通手形を、総計で五億程割り引いたという。九州の会社がなぜわざわざ東京の街金業者に…。森川達の巧妙な会社喰いが始まった。書下し経済小説。
元末、王朝は内訌に明け暮れ、各地で、白蓮教の反乱が起こった。淮西出身の流浪僧・朱元璋は反乱軍に身を投じ、めきめき頭角を現す。こうして長江流域に三つの反元勢力が鼎立することになった。集慶(南京)の朱元璋を挾み、西の陳友諒、東の張士誠である。天才軍師・劉基を三顧の礼を尽くして帷幕に迎え入れた朱元璋は彼の言に従い、陳友諒を討つべく、史上名高い〓陽湖の戦いに臨む。本格中国歴史長篇。
子供専門の精神科医サミュエルは、バレエ・インストラクターをしている恋人レベッカと5年間にわたって交際中。キャリアと愛に満ち、幸せの絶頂にいたが、ある日レベッカから妊娠したことを告げられ大あわて。「子供なんて欲しくない」。だが、レベッカの母になる決心はかたい。2人は出産を前に9か月にわたって愛の試練にたたされる。はたして恋人たちの間に何が起こるのか。おかしくて愛しい素敵な物語。
東日本独裁者、山多田大三の命令で父島海域を制圧し、星間文明の「黒い球体」奪取に向かう七隻の東日本艦隊。一方、東日本軍機の奇襲を受けながら、ただ一隻、父島海域に急行する西日本海軍イージス艦「新緑」。三宅島沖海戦の衝突が迫る…。さて、いきなり呼出をくって、空母「赤城」を発艦しF18ホーネットを駆る愛月有理砂は、敵の正体も分からずに、阿武隈山中の峡谷に突入していく。
吉永直美。学生時代に四年連続日本空手チャンピオンの栄冠に輝いたバリバリの体育会系単細胞である。三流大学出身にもかかわらず、強運にも超一流企業のアジア電気に入社したばかりか、入社三年目にして突然、花形と呼ばれる少数精鋭の頭脳集団・宣伝部に配属された。香港の世界的キーボード奏者のウイリアム・ボーのコンサートを東京、大阪、神戸、福岡、そして香港の五カ所で開催するという大きな仕事を担当させられた矢先、公演直前にボーとマネージャーのコーが失踪し…。背後に渦巻く利権と謀略の嵐とは。
18歳のロザモンド・ヴィヴィアンはイギリスの小さな島で、愛情のない祖父と二人きりの孤独な生活を送っていた。ある日、祖父のもとを大金持ちのフィリップ・テンペストが訪れる。ロザモンドは自分の倍近い年の、どこか陰のあるテンペストと恋に落ち、二人は結婚してフランスへと旅立つ。しかしやがてロザモンドは、その結婚が罠であり、テンペストの恐るべき秘密に気づき始める-。
ゲームとして誕生し、いまも幻の傑作として語られる「レッドサンブラッククロス」は、募るその声に応えて、小説として復活した。豊富な作戦知識に支えられて、三百人を超える登場人物にもかかわらず、劇的な展開、手に汗をにぎる熱戦の迫力を現出させる。本書は、いまだ全貌をあらわさない究極の攻防の一端を開封し、読者の想像と頭脳戦の一助として提供する。小説世界から厳密に再現した戦車設計とキャラクター・プロフィール、そして、この傑作を生んだもう一人の作者のメタ論文を加えて、重量級の資料である。
岡っ引きの勘兵、人呼んで悪勘兵は色事にかけては浪花一の事情通。ある日、同心鮫島様のお呼びで奉行所の門をくぐった。新奉行の御目見得だ。何と色白で頬はぽっちゃり、膝を崩して横座り。隣のお小姓と何やら怪しい。この奉行、名が菅丹波守、略して『すかたん奉行』。勘兵、すかたん様から大事件を探し出せとの仰せを受ける。早速飲み仲間の読本作家・西鶴爺さんのお知恵を拝借する。ユーモア時代小説。
おれの名は松平利春。不幸な死体を解剖、検死する監察医だ。死体の声なき声を聞き、事件解決へ導くてぇんで、刑事(デカ)チョウ達に頼りにされている。熱海へ到着すると、寝台特急あさかぜ2号で男女ふたりが死体で発見されたという。男は久野産業総帥、女は熱海の高級クラブのママ。女を殺して後追い自殺かと考えていた矢先、駅前広場で女の死体が発見された。手掛かりは死体のみ、おれのメスの出番だ。長篇推理。