出版社 : 扶桑社
昭和34年9月26日。のちに「伊勢湾台風」と呼ばれることになる未曾有の台風が迫り来る非常事態の中、「一刻も早く家族のもとに帰りたい」と思いつつ、節子は職務を全うするため警察署に留まった。だが、それが人生を大きく狂わせる…。伊勢湾台風が引き裂き、そして巡り合せた2組の母子の行きつく先とは?「あの日、すべての終わりが、すべての始まりでした」。
その事件は、郊外に建つ一軒の洋館で起こった。主の老資産家が、燃えさかる暖炉に頭から倒れ込んで死亡したのである。そして中庭では、窓から飛び出して落下した女が気を失っていた。うつ伏せに倒れた彼女は夕陽に照らされて、この世のものとは思えぬほど神々しかった。その姿は、まるでペンタグラムのように見えたという。古くから“魔術”のシンボルとされてきた五線星形のように…。裁判員制度を題材としたドラマ「魔女裁判」(フジテレビ系)をノベライズ。
書店経営に絶望したオーナーが店を閉めたため、エンジェルは職場を失った。新たな就職先は、出版エージェント。新人作家を発掘し、原稿の修正から売り込みまでを仕切る、まさに本を産む現場の仕事だ。読書家の彼女には最適な職場のはずが、女性社長の暴君ぶりに振り回される日々。それでも才覚を発揮しはじめたエンジェルのもとに、不審な匿名原稿が届く。彼女自身をモデルにした小説で、内容はエスカレートし、ついに殺人が!…出版界で奮闘する女性を描き、熱い支持を得た業界ミステリー。
19世紀初頭のロンドン。5代エリントン伯爵トリスタンは8年前に母を殺され、最近父を事故で亡くした。ある晩、妹エミリーが彼に反抗し家出をする。貧民街に迷い込んだらしいという情報を得た彼は、その界隈に詳しいとされるロザビィ子爵夫人ディアドリの邸を訪ねた。彼女はトリスタンの姿を見てひどく驚く。彼は8年前、彼女も一役買った殺人事件で殺された婦人の息子だったのだ。が、彼の魅力的な容姿に心のときめきを覚えた。一方、トリスタンも彼女の美貌に戸惑いを感じていた…。
山田正紀の膨大な作品群のなかでも、きわめて重要な意味をもつ「犯罪ゲーム」という概念。本書では、実行不可能と思われる作戦に果敢に挑む男たちの、手に汗握る活躍を描くシリーズ「贋作ゲーム」計四篇に加え、「アマゾン・ゲーム」「マッカーサーを射った男」「伊豆の捕虜」の計三篇を収録。著者が「“ミッション・インポシブル”と“地下室のメロディ”の中間ぐらいをねらった」と述べる、痛快無比なる「泥棒小説」の粋をぜひお楽しみあれ。
今を生きる孤独、喪失と再生の物語。幼いころに両親を殺害され、たったひとりの肉親である兄まで殺人容疑で逮捕されるという、過酷な運命を背負わされた佳音(かのん)。さまざまな困難に見舞われつつも、ただ純粋に人を愛する気持ちだけを支えに生きていく姿を、せつなく、リアルに描いたラヴストーリーをここに。
「かごめ歌」を聞いた若い女性が失踪、現場には必ず「銀の鱗」が残されている…という怪事件が続発。その事件に巻き込まれた楓とともに謎の解明に乗り出した鬼太郎たちは、千年の時を経て蘇った悪霊が原因であることをつきとめる。鬼太郎は、自分に課せられた運命を乗り越えて、楓を、人間を守ることができるのか…。
バーチャル空間に生き続ける人格が独り歩きを始めたとき、人類未体験のパニックが社会を襲う-最先端のコンピュータ科学の暴走に立ち向かったのは、高僧の鋭い直観と、いとけなき幼女の健気な意識だった。乱歩賞作家・赤井三尋が放つ、近未来の戦慄!名作「翳りゆく夏」から五年、満を持して世に問う渾身の書き下ろし長編小説。
2000年サラエボ。かつて戦場レポーターの頂点に輝きながら破滅し、どん底からの再起をはかるサイモン。彼と共に戦火をくぐってきた元戦場カメラマンのダック。そして新米TVプロデューサーのベン。3人が驚愕のスクープを求めて重要戦争犯罪人フォックスの至近距離まで辿り着いたとき、彼らの前に立ちはだかったのは誰一人想像しえなかったある事態だった…。実話をもとに、命知らずなジャーナリストたちのスリリングな追走劇を描く、R・ギア主演のエンタテインメント大作、待望の小説化。
恋人に捨てられ、傷ついたエリザベス。そんな彼女をやさしく受けとめてくれたのは、NYのカフェのオーナー・ジェレミーと、彼が毎日作るのにいつも売れのこるブルーベリーパイ。すこしずつ2人の心が近づいてきたある日、エリザベスは思う。新しい恋をはじめるまえに、回り道をしよう、と。NYから遠く離れた土地で、エリザベスが出会う、さまざまな愛の形…名匠ウォン・カーウァイ監督が、ベストセラー作家ローレンス・ブロックと作りあげた、切なくも幸せなラヴストーリー。
シェイカーを1本の鉛筆に持ち替えて、極上のカクテル・ストーリーを生み出す、おそらく世界でただひとりのバーテンダー、オキ・シロー。彼のつくった31話のカクテル・ストーリーには、男女の機微がワン・ダッシュ加えられている。ロンドンのサヴォイホテル、ニューヨークのアルゴンキンのバーでもだせないこの味を一度口にしたらたちまち一杯が二杯、二杯が三杯と虜になってしまうだろう。
兵庫県丹波に生を享け、母ひとりの荒んだ家庭で育った森沢康平は、運命に翻弄され、過酷な境遇に苛め抜かれる。村の有力者の息子で同じ歳の柳本治夫との宿命的な葛藤を断ち切るべく故郷を出奔した康平は、奇妙な縁から愛知県尾西市の染色工場で働き始めた。だが、中小企業で必死に働く康平を待っていたのは、治夫が勤める大銀行との熾烈で過酷な戦いだった!好況といわれる愛知県を舞台に交錯する人生の光と影!昭和-平成を生き抜いた名もなき者たちへ贈る著者渾身の感動大河ロマン。
“シャナラの剣”の冒険から50年後…。平和を取りもどしていた世界に、いま、ふたたび不穏な影が忍び寄る。エルフ王国を守護する「生命の樹」が、枯れはじめた。そのため“結界”が破られ、封じられていた魔物どもが、侵入を開始したのだ。魔物の首領ダグダ・モーアは、特殊能力に長けた手下を率い、エルフ王国を壊滅させるべく、邪悪な作戦を開始した。世界の命運をかけて、魔物との絶望的な大戦争がはじまる-。
枯れはじめた「生命の樹」を守れ。そのためには、謎めいた伝説を解明し、幻の地を探さなければならない-。その任務は、エルフの乙女アンバリーと、治療師を目指す青年ウィルに託された。過酷な運命にあらがいながら、ふたりはついに命がけの冒険に身を投じる。つぎつぎ襲いくる怪物たちと、行く手をはばむ魔物どものおそるべき策略。頼れるものは、みずからの知恵と勇気、そして未知の力を持つ妖精石だけだ。若きふたりの決死の探索行と、魔物との壮絶な戦いを描く、一大ベストセラー。冒険と戦い、謎と驚異、そして青春と恋…世界が熱狂した華麗なファンタジー巨編。
建築デザイナー、桑野信介。ルックスはよく、仕事も順調。趣味は、部屋で牛乳を飲みながらクラシック音楽を聴くこと。人づき合いを嫌う信介の態度に、女性は寄りつかない。ある日、突然の腹痛で病院に。冷静な女医、早坂は、信介の変人ぶりを意に介さず、肛門の診察をしようとするが…。