出版社 : 扶桑社
ワシントン郊外の邸宅で、実業家ジョナサン・ガエイタンが血まみれの死体で発見され、自殺と断定された。しかし、捜査にあたったキャメル刑事は、実業家の妻メアリーに秘密の匂いをかぎとった。彼女は前夜、邸宅に侵入した男の存在を隠しているのだ。その殺人狂の男フィリップは近くのモーテルに身をひそめ、次々と陰惨な殺人を引き起こし、事件は意外な展開を見せてゆくー。「『サイコ』『羊たちの沈黙』の伝統を受け継ぎ、新時代を築く傑作!」と絶賛されるD・マーティンのサイコ・スリラー問題作。
聖なる夜に人はみな、心静かに己れの罪を悔い改めーというわけにいかないのが世のならい。大学構内で出回った贋札造りの犯人探しに奔走するシャンディ教授。いきのいい女探偵のオフィスにころがりこむ死体。クリスマス劇の天使が射殺される一方で、二人の娘とその貧乏亭主に遺産めあてに殺されてしまうと疑心暗鬼の父親。ましてや妻殺しを計画する夫にいたっては…。はらはらさせたり、泣かせたり、一転絶妙のコンゲーム。趣向をこらした書き下ろしのクリスマスミステリーが13編。
ロス市内で3人組による銀行強盗事件が続けざまに起きた。犯人は各銀行を入念に下調べし、不倫進行中の支店長に狙いをつけると、その愛人を人質にとるという手口だった…。停職処分中のロス市警部長刑事ロイド・ホプキンズは上司に呼ばれ、処分がとけると同時にこの強盗事件の担当を命じられた。ただし、職場はFBIロサンジェルス支部銀行強盗課への出向だった。調査を開始したホプキンズは、犯人たちに“知性”を嗅ぎ取った。と同時に彼はこの一件が自分の最後の仕事になると思っていた。市警の上層部が彼を切りたがっていたのだ。そして、市警内の宿敵である上司との最終的対決も予感していた。『血まみれの月』『ホプキンズの夜』に続くホプキンズ・シリーズ第3弾。
ファンハウスのオーナー、コンラッドは赤ん坊を溺愛していた。異形に生まれついた赤ん坊でも、彼には最愛の息子だった。だが行く末を悲観した妻のエレンが、こともあろうに我が子を殺してしまった。コンラッドは憤怒の果てに、エレンを叩き出した。-いつかエレンにおれと同じ絶望と哀しみを味わわせてやる。いずれエレンに子どもができるだろう。その子をおれが殺してやるのだ…。カーニバルで全国を回りながら、コンラッドはエレンの子どもが現われるのを待ち続けた。何年も何年も待ち、そしてついに、その日はやってきた。エレンの娘エイミーが何も知らずにカーニバルを訪れたのだ。ファンハウスに悲鳴が渦巻き復讐劇の幕は切って落とされた。クーンツ異色ホラーサスペンス登場。
その孤独な殺人者は内なる妄念に衝き動かされ、次々と若い女を惨殺していた。ある時は路上で。またある時は被害者の部屋で。“詩人”と呼ばれるその男はいつも彼の最愛の女性を殺すのだったー。一方この殺人者を追い求めるロイド・ホプキンズはロス市警強盗殺人課の部長刑事。仲間から“ブレーン(頭脳)”と呼ばれる天才肌で、異常なほどの正義感をもつ男だった。そのホプキンズの直感が犯人は一種の天才であると告げていた。天才対天才の闘いが始まった直後、ホプキンズに市警の上層部から圧力がかかった。上司からも部下からも見放され、〈静かな狂気〉と化したホプキンズは、ひとりロサンジェルスの街を駆けめぐり、〈激しい狂気〉である“詩人”を追いつめる。ロイド・ホプキンズ・シリーズ第1弾。
ロス市警の警官ハーゾグが失踪して3週間が過ぎた。勤続13年の模範的な警官で変装を得意とし、単身で市内の各署によく駆り出されていた。同僚のロイド・ホプキンズ部長刑事はハーゾグの部屋に泊まり込み独自の捜査を開始するが、しばらくして奇妙な事実をつきとめる。ハーゾグは6人の市警警官の資料をとりよせ、彼らの言動をさぐっていたのだった。しかもリストの6人目には「ロイド・ホプキンズ強盗殺人課」とあった。何のためなのか。一方同じ頃、小さな酒屋で3人が射殺される強盗事件が発生し、ホプキンズの興味をひく。この凶悪事件と警官失踪を結ぶ糸とは…。鬼才J・エルロイが放つ新警官小説ロイド・ホプキンズ・シリーズ第2弾。
精神科医キャロル・トレーシーが車でひとりの美しい少女をはねたのは、期待していた養子縁組が延期された直後のことだった。ショックで記憶喪失となった少女はキャロルに引きとられて、記憶を呼び戻すための催眠療法を受けることになった。ある日突然、少女はだれかの名前を呼んだ。同時に激しい苦痛に襲われながら、さらに別の二人の名前を呼び続けた。炎にまかれ、首を切断され、脇腹に斧を打ちこまれる。たて続けに起こる無惨な出来事。少女はいったい何者なのか?さらに家をゆるがすポルターガイスト。少女の周辺で起こるすべての出来事は、不吉で邪悪なものの存在を予感させた。全篇を恐怖の衝撃が走る。
スーザンは見知らぬ病院のベッドで目覚めた。医者が言うには、彼女は休暇中に交通事故に遇い、このオレゴン州の田舎の病院に運びこまれ、三週間も意識を失っていたのだというー。しかし、彼女にはそんな記憶はなかった。と同時にこれまで自分がたずさわっていた仕事の内容、同僚の名前が思い出せない。なぜか彼女には、そこだけ記憶がないのだ。そして、彼女は病院の中で信じられないものを見た。大学時代にボーイフレンドを殺した男たちが、当時の若い姿のまま患者として入院しているのだ。その上死んだはずの男たちまでがスーザンの目の前に現れた。これは狂気か?幻覚か?その後もぞくぞくと怪異現象は起こる。そしてスーザンが最後に発見したのは信じられないような事実だった。人気沸騰の鬼才クーンツが放つ、異色の大型ロマンス&サスペンス・ホラー。
近未来のアメリカ。そこでは選抜された十四歳から十六歳までの少年100人を集めて毎年五月に〈ロングウォーク〉という競技が行われていた。アメリカ・カナダの国境から出発し、コース上をただひたすら南へ歩くだけという単純な競技だ。だが、歩行速度が時速四マイル以下になると警告を受け、一時間に三回以上警告を受けると射殺される。この競技にはゴールはない。最後の一人になるまで、つまり九九人が殺されるまで、昼も夜もなく競技はつづくのだ。体力と精神力の限界と闘いながら、少年たちは一人また一人と脱落し、射殺されていく。彼らは歩きながら、境遇を語り、冗談を交わし、おたがいを励ましあう。この絶望的な極限状況で最後まで生き残るのははたして誰なのかー。死と直面する少年たちの苦闘を描いた、鬼才キングの問題作、ついに登場。
SIS長官ケネス・オーブリーは二年ほど前からKGB副議長カプースティンとヨーロッパ各地で秘密裡に接触を重ねていた。カプースティンから亡命の希望がよせられ、二人はその条件や手はずを話し合っていたのだ。接触は組織を離れた個人的なもので、カプースティンはつねに独り、オーブリーのほうも工作員のハイドを随行させただけだった。ところが、話も煮詰まった冬のウィーンでの接触で、KGBの副議長は不意に亡命の意志を翻した。その直後、オーブリーはソ連のスパイとしてバビントン率いるM15に逮捕されてしまう。〈涙のしずく〉というコードネームを持つソ連のスパイである、というのが彼に着せられた容疑だった。あやういところで、逮捕をまぬがれた部下のハイドは、敵味方の両組織から命をねらわれながら、オーブリー逮捕の手懸りを求め、救出にのりだした。
オーブリー逮捕劇の真相とは?ウィーンのKGB駐在官を拉致したハイドは、その男から驚くべき人物の名前を聞き出した。ペトルーニン。オーブリーのために大失態を演じ、アフガニスタンに左遷されたKGBの大佐だ。今回の〈涙のしずく〉作戦はペトルーニンが考案した謀略だというのだ。KGB上層部は彼をアフガニスタンへ追いやりながらも、その計画だけは取り上げ、いまそれを実行に移したのだ。だが、計画の全貌は発案者のペトルーニン本人から聞き出さなければならない。ハイドは宿敵を求めて単身、戦乱のアフガニスタンへ飛んだ。繊細な野獣に変身した工作員ハイドが、駆け、吠え、襲い、逃げ、殺し、恐怖に身を震わせ、苦痛に身をよじり、ウィーン、アフガニスタン、チェコスロヴァキアと、地獄のなかを疾走する。
エリック・リーベンー天才的な遺伝子工学者。彼はその才能を武器にベンチャー・ビジネスを成功させ、莫大な財を築いていたが、別居中の妻レイチエルと口論した直後、自動車にはねられて即死した。しかし、奇怪なことに彼の死体が、市の死体公示所から忽然と消失した。この報せをうけたレイチェルはあることに思い当たったが、それはあまりにも恐ろしい想像だった。信頼する恋人ベンとともに極秘の調査を開始したレイチェルの前に、謎の追手が立ちふさがる。一方、エリックが手がけていたプロジェクト〈ワイルドカード〉の機密流出を恐れた防衛保安情報局の高官アンスン・シャープも二人に対する追跡を開始した。〈ワイルドカード〉とはいったい何なのか?エリックになにがおこったのか?日本でも人気集中、モダンホラーの鬼才クーンツが放つ、超大型サスペンス。
不老不死を実現する野望に取りつかれた天才的遺伝子工学者、エリック・リーベンは自らに施した遺伝子工学的処置〈ワイルドカード〉によって死から蘇った。しかしその副作用は激烈だった。暴走する遺伝子は彼を怪物へと変容させた。額に角が盛り上がり、尻尾が生え、体に鱗が生じた。彼は地上に現れたこともない爬虫類の怪物へと変容していったのだ。だが、エリックは怪物と化しながらも、自分から離れていった妻への復讐の念に燃え、レイチェルを追う。また、情報局の高官シャープ、そして正義派の警官たちが三つ巴、四つ巴となって彼らを追いつづける。奸計により、指名手配されラスベカズへ向かって砂漠を移動するレイチェルに、もはや人間の姿をとどめなくなったエリックが襲いかかったー。鬼才クーンツがくりだすストーリーは最後まであなたを絶対に離さない。
早漏、インポテンツ、腟痙攣ーこれらを完治させるという、フリーバーグ医師の治療法ーそれははたして「売春」か、それとも悩める男女への「福音」か?性治療訓練士と呼ばれる専門家が、医師の指導のもと、愛撫その他を通じ文字通り患者に接するこの治療法、密室でおこなわれていることもあり、そのため、姿を変えた売春の疑いありとして、いくつかの州では禁止されてもいた。さて、日頃から道徳の頽廃を糾弾する牧師スクラフィールドは、一躍名を上げんものとフリーバーグの性治療への攻撃を開始した。この騒ぎに巻き込まれ、地方検事、性治療訓練士や患者たちは右往左往する。はたして正義の女神は誰に微笑むのだろうか?百発百中のベストセラー作家ウォーレスが性に悩む全ての人々に送る、愛と感動のエンターテインメント。
お笑い王国・天下の吉本興業で、女性マネージャーが殺された。彼女が担当していたのは横山やすしと西川のりお。アクの強い2人の芸人を抱えた美人マネージャーは、殺されるべくして殺されたのか?社内に連続して起こる難事件解決にのり出すのは、吉本興業会長林正之助、89歳。実在する登場人物129人。果たして犯人は、あなたの知っている、アノ人物-か?
〈二年前のことだ。そのころから、ぼくのあたまはおかしくなり始めたー〉ぼくの名前はチャーリー・デッカー。プレイサーヴィル・ハイスクールの最上級生だ。ぼくは、代数のアンダーウッド先生と、歴史のヴァンス先生を父のピストルで射殺した。あっという間のできごとだった。しかし、だれもいまおこっていることを信じられない。警官隊がやってきてぼくたちを遠巻きに包囲している。ぼくとクラスメートたちは日常世界から切り離された世界に漂いだした。まるで白日夢のような、しかし緊迫した時間がながれていく。五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。
満月の夜、東京・麻布の高級住宅街で、美人モデルが、首を鋭利な刃物で横一文字に掻き切られて殺された。それよりひと月ほど前にも、やはり麻布で若い美人ばかりが、心臓と性器を抉り取られて殺された。信じがたいことだが、娘たちは“悪魔の生け贄、悪魔の花嫁”として殺されたのだ。そしていま、こともあろうに緋沙子と恋人・翔の2人にも悪霊が取り憑いてしまった。突然、部屋の壁がさざ波のようにくねり出して、そこから生きた蛇がポトッ、ポトッ…。2人の裸身を這いまわり、ついには黒い蛇の群れにも埋もれてしまった。美貌のホラー・クィーンが、「血のピアス」に続いて贈る待望の“血のシリーズ”第2弾。
2068年。チャンネル40のTVレポーター、オカダノブヒコは20世紀末のドキュメンタリー番組を企画したが、トップには受け入れられず、その理由については言葉を濁されるだけだった。何か割り切れないものを感じたノブヒコは、1988年へのタイム・トラベルを敢行した。そこは、80年前のトーキョー、武道館。ジョージ・マイケルのコンサートに熱狂する少年少女たち。2068年のコンピューター・ディスコでは体験することのできない若者たちの健康的なエネルギーに包まれながら、一緒に踊り出したノブヒコに、隣の席の女が囁きかける。「あなたは、狙われている」-1988年という“過去”のもうひとつの都市で着々と進行する恐怖のプロジェクトとは“何”?