出版社 : 文藝春秋
資産家老女の架空名義の銀行預金一億円を横領した男女銀行員。女子行員を巧みにあやつる男子行員、妻子ある彼との新しい生活設計を夢みる女子行員ー二人の愛の微妙な心理の揺れがやがて悲しい結末になっていく。男を信じようとして信じきれない女の運命を描く表題作など、卓絶したミステリー5篇。
さまざまな思惑が蠢く巨大弁護士事務所のなかで、どうやら自分だけが知らないことがあるートゥロー得意の物語展開はいよいよ冴えわたる。行方不明の同僚を探すさえない中年弁護士マックの前に予想もつかなかった意外な事実が次々に展開される。そしてついにすべてのパイを握ったマックに、壮大な人生の決断が待っていた。
婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。その日を境に、玲の心の中で何かが変わっていく。そして、様々な人間の思惑が絡み合う中、「みぃさんの祭り」がやってくる…。奈良を舞台に人の心の移ろいを描きだす傑作伝奇長篇小説。
せんじつめれば全て偶然のいたずら、あるいは運命でしかないーあの日メイン州ヘイヴンの森で、ボビ・アンダーソンが何物かにつまずいたことも、好奇心から地面を掘り返しはじめたことも。(ボビが大変なことになっている!)虫の知らせを感じ、訪ねてきたかつての恋人ジム・ガードナーは、驚くべき光景を目の当たりにするが…。
大量の乾電池などを使い、家庭の日用品をつぎつぎと改良していくヘイヴンの人々。町には不可解な死亡事故や失踪事件が頻発している。森の奥深くからは、怪しい緑色の光が…。平和だったヘイヴンに何が起っているのか?ボビはどこまで“進化”していくのか?SF的趣向とモダン・ホラーが渾然一体となったキング・ワールド。
昭和、平成とあまたの作家が登場したが、この天才を越えた者がいただろうか? 近代知性の極に荒廃を見た作家の、光芒を放つ珠玉集。二十一世紀への心の遺産「現代日本文学館」その二
十五歳のとき、私は娼婦だった。売春宿のおかみさんは私の実の母であり、ただ独りのお客は彼女の情夫で、私の育ての父だった……。自由を求めて旅立つ多感な少女を描くベストセラー。
ハイミスおばさんにせまられまくる優柔不断な青年、浮気な年下男を思い切れない三十女、キャリアウーマンがたまたま第一回目の見合い相手に出会うがまたもやケンカが始まり…。うまくいきそうでいかない、駄目に見えてそうでもない男女の仲を描いて冴えわたる、著者会心のナニワのラブ・ストーリー六篇。
意外なきっかけで知り合った男は画家だった。繊細な指、しゃれた服装、そして胃を病んでいる。丈夫で平凡なサラリーマンの夫とは何から何まで違っていた。魅力的な男の出現に揺れる微妙な女心を描いた表題作の他、温かくてちょっとホロ苦い向田ドラマの秀作「びっくり箱」「母上様・赤沢良雄」を収録。
人別書きを持たずに故郷を出奔した者に就く職はない。無宿者は江戸制度の谷間であったー。賭場の喧嘩で八丈島へ流され、赦免船を待ちわびる忠五郎、牢の火事で思わぬ自由を得た平吉、佐渡から島抜けを図る新平、入墨を暴かれて堅気の暮しを失う卯助など、自由と公正を渇望する男達を描いた傑作時代短篇集。